松本外務大臣のメルコスール首脳会合への出席及びブラジル訪問

1. メルコスール首脳会合への出席
6月29日(水)、松本外務大臣はパラグアイで開催された第41回メルコスール首脳会合に日本の外務大臣として初めて出席しました。その際、今次震災に対するメルコスール諸国からの支援への謝意を表するとともに、日本とメルコスールの経済関係を強化することの重要性を訴えるスピーチを行いました。スピーチの骨子は以下のとおりです。
大臣スピーチ骨子
(1)総論
- アスンシオン条約発効20周年の節目の会合に出席し、光栄。
- 自分にとり初の南米訪問の機会を、日・メルコスール関係の更なる強化に向けた契機としたい。
(2)東日本大震災
- 震災後の各国からの支援に感謝。日本は未来に向けた創造的再生を目指す。
- 今次震災で日本経済の世界との結びつきを実感。「開かれた復興」を進める。
- 日本は「open for business and travel」。日本へお越し頂きたい。
- 原発事故につき、国際社会への迅速かつ十分な情報提供を今後も実施。
(3)メルコスールとの経済関係強化
- 成長戦略の柱の一つである経済連携の推進は震災後ますます重要に。
- 両地域間の経済関係強化に高い関心。メルコスールにもメリット。
(4)経済関係緊密化のための日・メルコスール対話の立ち上げ
- 貿易,投資をはじめ広範な経済分野において関係緊密化の可能性を探る場。
- メルコスールの活力は、我が国の開かれた復興と新たな成長に貢献。
2.ブラジル訪問
6月30日(木)、松本外務大臣は、ブラジリア及びサンパウロを訪問しました。日本の外務大臣としては、4年ぶりのブラジル訪問となります。
ブラジリアにおいては、パトリオッタ外相と会談を行いました。外相会談の概要は以下のとおりです。なお、外相会談に先立ち、両外相は円借款2件(ベレン都市圏幹線バスシステム、サンパウロ州無収水対策計画)の署名を行いました。また、外相会談後に現地有力日系人も出席して行われたパトリオッタ外相主催昼食会では、北朝鮮、中東、北アフリカ情勢に関しても意見を交わしました。
サンパウロにおいては、日系社会との懇談、移民資料館視察、日系企業との懇談を行いました。
日ブラジル外相会談(概要)
- 冒頭・二国間関係総論
(イ)パトリオッタ外相から、ブラジル訪問を歓迎する、これまで3回会談しているが、ブラジルでの会談実現はうれしい、また震災後の日本国民の組織力に敬意を表する旨述べました。これに対し、松本大臣から、我が国はブラジル始め南米諸国との関係を重視しており、ブラジル訪問が早期に実現してうれしいと述べ、震災に際してのブラジル政府・国民からの支援に謝意を表しました。両外相は、伝統的な人的つながりに加えて政治・経済分野など幅広い両国関係を発展させていくことの重要性につき一致しました。
(ロ)原子力安全に関し、パトリオッタ外相から、福島第一原発事故及び原子力安全に関する関心が表明されたのに対し、松本大臣から、原発事故の収束に全力で取り組むとともに事故の調査・検証も進めており、IAEAの調査団を受け入れ、IAEA閣僚会議で報告書を提出するなど、情報の透明性に・努めている、最高水準の原子力安全の実現に貢献したい旨述べました 。
- 二国間経済関係
(イ)パトリオッタ外相から、前日に松本大臣がメルコスール首脳会合(於アスンシオン)において行ったスピーチにも触れつつ、二国間貿易は昨年統計上の新記録を樹立するなど、ダイナミックなものとなっており、経済分野での二国間関係、さらには日本とメルコスールの枠組みを通じた経済関係を発展させていきたい、第三国に対する農業協力も含め農業分野等での協力を進めて行きたい旨述べました。また、パトリオッタ外相から、ルセーフ大統領は科学技術を重視しており、新興国であるブラジルが次のステップに進むためには生産性や競争力の強化が重要であると考えている旨述べ、日本との協力の可能性に関心が表明されました。以上に対し、松本大臣からも両国間で議論していきたい旨応じました。
(ロ)ブラジルの食品輸入規制に関し、両外相は、4月の日伯外相会談を踏まえ、規制対象が全都道府県から12都県に限定されたが、今般具体化の手続きについても合意ができたことを確認しました。
- 商用目的の短期数次査証
両外相は、商用目的の短期数次査証を簡易取得する方向で基本的に一致しました。松本大臣は、実現すれば両国の経済界へのインパクトは大きい旨述べました。
- 社会保障協定
(イ)松本大臣から、日・ブラジル社会保障協定につき、我が国では批准に向けた国内手続を終了しており、早期発効を期待する旨述べました。
(ロ)これに対しパトリオッタ外相から、短期間での発効を実現できるよう努力したい、本件については日本在住のブラジル人も高い関心を持っている旨述べました。
- 高速鉄道計画
(イ)パトリオッタ外相から、高速鉄道計画についてはルセーフ大統領自身が情熱をもって取り組んでいるとして、日本側の関心に期待を表明しました。
(ロ)これに対し松本大臣から、日伯は長い友好関係を築いており、我が国としても高速鉄道計画には注目している、我が国の誇る技術が生かせるような環境ができることを期待している旨述べました。
- 国際場裡における協力
国連安保理改革、MDGs、気候変動(リオ+20)及び不拡散等について、両国間の協力のあり方等につき意見交換が行われました。