国際交流基金巡回展「手仕事のかたち(11/12-11/26)」の広報とともに,文化週間のオープニングを「旧アマゾナス州司法裁判所文化センター」にて実施しました。
同裁判所はアマゾナス州の歴史文化遺産に登録されています。本年サンパウロで行われたミス・ニッケイ全伯大会2014にて2位を獲得したアマゾナス州代表トナキ・リエさんも駆けつけ、日本文化の紹介にメディア等を通じご協力いただきました。日本各地に伝わる伝統工芸品を紹介する同巡回展には400名を超える見学者が訪れ、大盛況を納めました。
1日、元小原流生花家元教授であり、裏千家茶道准教授である松田絹子さんを講師として招き、生け花のワークショップを実施しました。当日は30名が参加し、受講生は花材の取り合わせや水揚げの方法などの講義とともに、自分たちで花を切り、生けました。アマゾネンセ(※アマゾナス州出身の人々の意)独特の感覚を生かしたのびのびと力強い作品が多く見られました。
8日、服飾デザイナーとして活躍する山本祥子さんを講師に招き、風呂敷のワークショップを実施しました。日本の歴史や文化等の講義も織り交ぜた同ワークショップでは、多くの受講者が真剣な眼差しで風呂敷の包み方やその作法を学びました。
サンパウロからウエムラ・コウキさんを講師として招へいし、マナウス市にて活動を行っている和太鼓グループ「風河火山」協力の下、14日から3日間「初級・子ども」「初級・大人」「上級・大人」の3グループに分けたワークショップを実施しました。体に響き渡る地鳴りのような力強さを体感した子ども達は、その初めての響きやリズムに戸惑いながらも短時間で目覚ましい成長を遂げました。講師を務めた「風河火山」は「よさこいソーラン全伯大会」において2009年に2位,翌年3位,2012年に特別賞を受賞する等、着実に実績を積み上げており、州内各地で公演活動を行っています。
19日及び24日の両日、ハシモト・キョウコ上級調理師を招き、マナウス市職業訓練センターで日本食のワークショップを実施しました。無言で集中し、巻き寿司と格闘する受講生たちでしたが、試食会では緊張がほぐれ、努力の結晶を頬張りながらの笑い声が会場に溢れました。
28日、観世流緑泉会代表の能楽師津村禮次郎さんに師事している広田功さんより、能の講演会と実演を行っていただきました。「日本文化に興味はあるが、能は高尚すぎてハードルが高い」と敬遠していた多くのブラジル人に受け入れられ、大切な日本文化の一つである能への入り口を開くことに成功しました。質疑応答では参加者から多くの手が上がり、講演後の能への関心の高まりが見て取れました。広田さんは,現在当地の日本人学校等においても積極的に能の講演を行っています。
29日、風呂敷ワークショップでご活躍いただいた服飾デザイナーの山本祥子さんに、折り紙の講師も務めていただきました。鶴から薬玉まで、一枚の紙から様々な形が出来上がる過程に胸を膨らませ、皆さん終始制作に没頭しました。出来上がった色とりどりの作品は、受講生の家で年末、新年、またその先の行事を共に迎えることとなります。
現在、国際協力機構(JICA)と警察庁はブラジルで日伯技術協力プロジェクトとして日本の交番の普及等を目的とした「地域警察活動普及プロジェクト」の協力開始に向けた準備を進めている。11月19日、ブラジリアで開催されたブラジル法務省が主催する地域警察/交番セミナーではブラジル各州の警察関係者等が出席したほか、梅田在ブラジル日本大使も出席し、挨拶の中で同プロジェクトの重要性について言及した。
ブラジルでは、2005年以降、交番制度の導入に向け、JICAや警察庁と連携し、モデル交番の設置や本邦研修者の派遣等を行い、これまでに13州で交番制度が普及されているところ、今後、ブラジル全土(全27州)への普及を進めていく。
日本では現在、交番・駐在所が全国で約12,800か所設置され、パトロールや巡回連絡等の様々な活動を通じて、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、国民の身近な不安を解消する機能を果たしている。警察庁では、日本警察の知見や特性をいかし、JICA等と連携し専門家を海外に派遣するなどして交番制度の知識・技術の移転を図り、国際協力を展開している。
2014年ワールドカップ開催前の6月には、日本の警察官がブラジル版交番の実態調査のため、ブラジルを訪れ、サンパウロではブラジルの警察官とともにパトロールや地域住民との交流を行った。2年後にはリオオリンピック・パラリンピックの開催が予定されており、ブラジルでは良好な治安の確保が喫緊の課題のひとつであるところ、日本の交番制度がその一助となることを期待されている。
写真:地域警察/交番セミナーの様子(11月19日 ブラジリア)
写真:サンパウロにおけるブラジル版交番の実態調査の様子(写真提供:JICA)
写真:SENAIにおける溶接訓練の様子(写真提供: 渋谷敦志/JICA)
(1)11月27日、ブラジル大統領府のホームページにおいて、財務大臣、企画予算大臣及び中銀総裁人事が正式発表された。財務大臣にはジョアキン・レヴィ氏、企画予算大臣にはネルソン・バルボーザ氏が新たに任命され、トンビーニ中銀総裁は留任となる。なお、3名とも政党出身ではない。
(2)マンテガ現財務大臣とベルキオール現企画予算大臣は、移行期間が終了し新たな経済政策チームが形成されるまでの期間現職に留まる。移行期間中、レヴィ新大臣及びバルボーザ新大臣は大統領官邸にて勤務する。
(3)ルセーフ大統領は、民政下のブラジルの歴史の中で財務大臣の最長在職期間を記録したマンテガ大臣に謝意を表明した。「マ」大臣は、12年間の政権内での職務において(注:「マ」大臣は2003年に企画予算大臣に就任以降、国立経済社会銀行(BNDES)総裁を経て2006年から財務大臣を務めている)ブラジルが世界的経済危機に直面する中で雇用を創出し国民の所得を改善することを最優先とした取り組みを行ってきた。
(4)また、ベルキオール企画予算大臣は、成長加速プログラム(PAC)の進捗と連邦予算の編成にその手腕を発揮してきた。
(5)当地報道各紙は、今回のレヴィ次期財務大臣就任を受けて今後の財政見通しとして,以下のように報じている。
(ア)新財務大臣となるジョアキン・レヴィ氏は、本日(27日)基礎的財政黒字の目標額を2015年は対GDP比1.2%とすると述べた。2016年と2017年については、対GDP比2%を下回ることはないだろうと同氏は述べている。
(イ)レヴィ氏は、財務大臣就任が発表されてから初めてのインタビューに答え、喫緊の目標は、今後3年間の基礎的財政収支を安定させることであり、債務残高の対GDP比の削減と両立させると述べており、「こうした軌道を実現するためには、公的金融機関への国庫からの資金移転の増加をなくし、長期的に基礎的財政黒字が対GDP比2%に達する必要がある」「2015年は、基礎的財政黒字はこの水準を上回ることが出来ず、対GDP比1.2%にとどまるが、2016年と2017年は2%を下回ることはない」と述べた。
(ウ)レヴィ氏によれば、(基礎的財政黒字の)目標の達成が、政策の信頼を増強し、経済成長の基礎を創出するための土台となるとしている。同氏はまた、民政下で最長在職期間を記録した財務大臣(マンテガ現財務大臣)の後任となることは栄誉である以上に特権であると述べた。
(1)経緯
(ア)14日,連邦警察は本年3月に開始した資金洗浄組織摘発オペレーション(「ラヴァ・ジャット(高圧洗車機)・オペレーション」)の一環として,ペトロブラス社から横流しされた資金の一部をPT等の連立与党に提供していた容疑により,PTと緊密な関係にあるとされるドゥッキ元ペトロブラス社エンジニアリング・サービス部長のほか,伯を代表する大手建設会社9社(カマルゴ・コレーア,OAS,オデブレヒト,UTC,ENGEVIX,イエザ,ケイロス・ガルヴァン,ガルヴァン・エンジェニャリア,メンデス・ジュニオール)の役員18人(うち,社長は,カマルゴ・コレーア社のアヴァンシーニ社長,OAS社のピニェイロ社長,UTC社のペソア社長の3名)及び他2名(闇ドル業者の関係者及び建設会社の弁護士)の合計21名を逮捕した。これら大手建設会社の役員が汚職の容疑で逮捕されたのは今回が初めてのことである。また,裁判所は,36名の容疑者の銀行口座(合計約7.2億レアル)の凍結を命じた。
(イ)コスタ元ペトロブラス社供給・精製部長,カマルゴ・トーヨー・セタール社社長,アルベルト・ユセフ(闇ドル業者)等の容疑者が司法取引に応じて行った供述により,今回逮捕された関係者の容疑が固まったことが今回の逮捕に繋がったと見られている。上記は,カルテルを形成し,ペトロブラス社から巨額(合計590億レアル)の受注を得ていたとされ,それによる利益の一部(コスタ元部長によれば,契約額の3%)は,資金洗浄組織を通じて連立与党(PT,PMDB及びPP)に提供されていた模様であり,また右資金の一部は,2010年総選挙において選挙運動費用として使われた疑いがあるとされている。
(2)今後の流れ
(ア)連邦警察及び検察は,今月18日までの拘留期間中に容疑者から供述を引き出すことにしており,ドゥッキ元部長及び企業関係者が何処まで供述に応じるか,または司法取引に応じるのかが注目されている。特にドゥッキ元部長とPT(特にジョアン・ヴァカリ・ネトPT党出納長)の関係が明らかにされ,PTがペトロブラス社の汚職に組織的に関与していたか否かが最大のポイントになるとされている。因みにドゥッキは,2003年のルーラ政権発足後,当時のジルセウ文官長(PT)の口利きでペトロブラス社工学サービス部長に任命されたとされているが,PTは,ジルセウ元文官長の口利きについては否定している。
(イ)警察は,所在不明により,14日の時点では逮捕できなかった容疑者4名の行方を追っているが,右5名の内,アダリコ・ネグロモンテ(ネグロモンテ元都市大臣の兄弟)及びフェルナンド・ソアレス(ロビイスト)は,それぞれPP及びPMDBと汚職組織の連絡役を務めていたとされており,その行方が注目されている。
(3)与野党の反応
(ア)野党PSDBのカルドーゾ元大統領及びネーヴェス上院議員は,14日,記者会見を開き,ペトロブラス社の不正疑惑に関し,PT政権を激しく批判した。ネーヴェス議員は,明年の連邦議会開会後,同社の汚職に関する新たな議会調査委員会(CPI)を設置するための署名運動を開始すると表明。また,同議員は,「ペトロブラス社内で汚職が組織的に行われ,伯が多大な損害を被ったのは明らかであり,政府上層部の関与についても調査を行う必要がある」と述べた。
(イ)カルドーゾ法相(PT)は15日,「選挙は終了し,勝者は既に決まっている。野党は,逮捕を利用して,(第1回投票,決選投票に続く)第3回投票を実施することはできない。政府は,脅しや不当な告発には屈さない。」と述べ,本件を政治問題化しようとしている野党の動きを牽制した。また,G20首脳会合のためオーストラリアに滞在中のルセーフ大統領は16日,「本件は,伯の社会,国家及び民間企業の関係を根底から変えることになろう。但し,企業そのものが悪いということではなく,ペトロブラス社の行為が全て汚職であるということではなく,同社の中に贈収賄を行った人間が存在するということである。」旨述べると共に,政府が真相究明に努めていることを強調した。
(4)政局等に対する影響
(ア)ペトロブラス社の汚職には,複数の閣僚,連邦議員,州知事等の大物政治家も関与しているとされているが,連邦最高裁判所がコスタ元部長の供述書の開示に応じていないため,第2次ルセーフ政権に向けた閣僚人事が遅れる可能性が指摘されている。ルセーフ大統領としては,閣僚に任命した人物が後にペトロブラス社の汚職に関与していたことが発覚して辞任に追い込まれるのは避けたいところである。実際,汚職への関与が取り沙汰されているロボン鉱業エネルギー相(PMDB)は,2期目には入閣せず,上院議員に復帰したいとの意向を明らかにしている。
(イ)ペトロブラス社の場合,スキャンダルの影響により,今月14日に予定されていた第3四半期の決算報告を12月12日に延期し,株価が下落(-2.94%)する等,既に大きな影響を受けている。ルセーフ大統領は,プレサルト油田の開発により経済成長を促すことを望んでいるが,そのためには,フォスター・ペトロブラス社総裁を更迭し,同社の経営を立て直す必要があると見られている。
11月10日,梅田邦夫在ブラジル日本国大使は大統領府官邸にて,ルセー
フ大統領に対して信任状を捧呈した。なお,右式典では,梅田大使を含む合計32名の外国大使が信任状を捧呈し,式典の後はイタマラチ宮殿にてフィゲレド外相主催の昼食会が開催された。
(1)18日,国連総会第3委員会は,北朝鮮政府による人権侵害を非難し,国際刑事裁判所(ICC)による審判を求める決議案を採択した。12月に国連総会本会議での採択に付されることになる。投票結果は賛成111,反対19,棄権55であった。反対票を投じた国のなかには,安保理で拒否権を有する中国及びロシアが含まれており,本決議案の効果的な適用に影響を及ぼす可能性もある。
(2)本決議案は,本年初めに提出された国連の委員会の報告書に基づくものであり,右報告書の中では,北朝鮮における人権状況は,「期間,密度,恐怖について他のどんな状況を超えているものである。」としていた。
(3)かねてよりブラジルは類似の決議案には棄権票を投じているが,EUと日本から共同提案された本決議案は支持した。ギリェルミ・パトリオッタ伯国連代次席代表は,「ブラジルは北朝鮮による進捗も認識しているが,改善の余地も大きい。」と投票説明(EOV)の中で述べた。
(4)Human Rights Watchはブラジルによる本件決議案への支持を歓迎しており,カニネウ・ブラジル支部長は「北朝鮮の状況がICCに付託され,ブラジルが人権侵害の被害者の側に立ち続けることを期待している。」と述べている。
(1)7日,大統領府において,ルセーフ大統領はムヒカ・ウルグアイ大統領との首脳会談を行った。会談後,ルセーフ大統領は,ウルグアイ及びメルコスール諸国との関係強化の必要性を強調し,両国間の生産的なエネルギー統合のための交渉及びインフラ投資の進展について述べた。
(2)また,ルセーフ大統領は,地域の市場の発展のための投資を行うことは重要であるとしつつ,「我々は地域の関心に気を配ることのできる統合プロセスについて話し合っている。我々の地域は,今日大変意義のある市場であり,拡大を手助けしていかなければならない。それは,積年の課題である格差の是正によりなされるもので,過去数年,多くのラテンアメリカ諸国における消費者はこれを達成してきており,我々にとり大きな市場が創設されている。」と述べた。
(3)ムヒカ大統領は,伯,パラグアイ,ボリビア,ウルグアイ及びアルゼンチンの発展に資するラプラタ川の湾港建設の試みについても言及し,「我々は数世紀もの間,お互いに注意を払わずにきたが,そのシナリオを変えるために前進していく必要がある。発展プロセスはラテンアメリカに遅く到達したため,我々は力を合わせていくことで力強くなることができる。」と述べた。
(1)12月2日付当国当地フォーリャ・デ・サンパウロ紙は、以下のとおり7日に伯中共同開発の新しい衛星を打ち上げると報じている。
(2)伯中両国が共同開発した人工衛星「CBERS-3」の打ち上げ失敗から約1年が経過したが,両国は,新たな衛星「CBERS-4」の打ち上げを12月7日に行う予定。また,両国は,3年後に「CBERS-4A」を打ち上げることを検討している。両国がこれまでに製造した人工衛星の数は,5基(CBERS-1,2,2B,3及び4)に上る。
(3)CBERS-4Aからは,これまでのように中国ではなく,伯で組み立てることが検討されており,その方向で既に交渉が行われている。早ければ,明年1月に合意が成立する可能性がある。
(4)国立宇宙研究所(Inpe)が本年半ばに受け取ったCBERS-3打ち上げ失敗に関する調査報告書によれば,事故の原因は,燃料(ヒドラジン)の汚染であった。燃料に不純物が混入していたことにより,長征4号Bロケットは,予定より早く燃料の燃焼が停止してしまい,衛星を軌道に乗せるのに必要な速度が出なかった。
(5)中国政府は,ミスが繰り返されることのないよう,管理を強化すると伯側に伝えてきた。ペロンジInpe所長は,「このようなミスを防止するシステムの構築に必要な調整は既に行われた。その後,長征4号Bロケットの打ち上げが2回行われたが,何れも成功に終わった。」と述べた。
(6)CBERS-4は,既にロケットに搭載されており,中国の太原衛星発射センターでテストを受けているところである。同衛星は,打ち上げに失敗したCBERS-3と同型機であり,森林伐採対策,都市及び農地計画,並びに災害対策に必要な地上観測を目的としている。