Embaixada do Japão

トピックス 2013年12月号

アマゾナス州マナウス市の重要歴史建造物アドルフォ・リスボアがリニューアルオープン

2013年10月24日,8年ものあいだ閉鎖されていたマナウス市の重要歴史建造物の一つ「アドルフォ・リスボア」がついに改修工事を終えリニューアルオープンの日を迎えた。修繕・改修費用は当初予定されていた1300万レアルを上回り1700万レアルとなった。これは長い間工事が中断し放置された結果,修繕が終了していた部分の補修も必要となったためである。

ところで「アドルフォ・リスボア」の改修工事で費やされた年月は,この8年間だけではない。振り返れば建設から過去数世紀にも渡り改築が行われている。改築が行われる度,あらゆる様式が混じり合い独創的な美をつくり上げてきた。例えば柱はイギリス中西部リバプールから,「亀パビリオン」,「魚・肉パビリオン」に見られる構造はスコットランドのグラスゴーからもたらされたものである。見上げれば天井にイギリス王家の紋章を見つけることができる。これら折衷美はアマゾナス劇場同様,ゴム景気が生んだ富の象徴とされている。

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どのようにアドルフォ・リスボアは改修されて来たのか,今日に至るまでの歴史を少しだけ辿ってみたい。

  • 1882年 工事開始

1882年8月2日,パリの有名な市場‘Les Halles’をモデルとして工事は開始された。当時の計画では鉄や石,煉瓦のみを用い建設される予定だった。

こうして1883年7月15日,メルカード・プブリコ・ジ・マナウス(マナウス市営市場)という名で「中央パビリオン」が開放されたが,当時はそれほど有名にはならなかった。

建物は現在と比較し非常に小さく,ネグロ川に面した2つの建築物に限っていえば,煉瓦で丹念に作られていたが,当時市場はポルトガル産の石版を使った大きな格納庫といったイメージが浸透していたため芸術面に注意を払われることはなかった。

Imagem mostra o Pavilhão Central no início do século XX (Foto: Divulgação/Semcom)
  • 1890年

1890年に対のパビリオンが木材とトタン屋根を用いて増築された。

  • 1902年-1906年

ゴム景気によってもたらされた繁栄により経済活動が活発化し,売り手を考えた構造が要求されるようになった。

街の成長にともない,建物はバレー通りに面した外面部分を拡張する必要にせまられたため,アドルフォ・ギリェルミ・デ・ミランダ・リスボア市長の時,拡張工事が行われた。

このとき1890年に増築したパビリオンの場所に,素材を鉄に変えた対のパビリオンを建て直した。また正面には鉄やガラスで繊細な装飾を施した「アール・ヌーヴォー」様式のアーチを取り入れ,市場は一躍有名となった。この2つのパビリオンが現在の「魚・肉パビリオン」である。同時にバレー通りの外面には煉瓦を用い更に入念な改修工事が行われた。

  • 1909年

南庭の中央に,当時アマゾンで贅沢な伝統料理とされた亀類を販売する為のスペース,「亀パビリオン」が建設された。建物は全て鉄,ガラス,ベネチアンブラインドで覆われ,入口には鉄と色とりどりのガラスで飾られた小さな破風によって表現された4つの水の波模様を見ることができる。

  • 1911-1913年

ジョルジ・モラエス市長の下,1911-1913年の3年をかけて,アマゾナス州とパラー州に敬意を表した小さな8角形のパビリオンが,亀パビリオンの両脇に対で建設された(「パビリオン・アマゾナス」「パビリオン・パラー」)。

  • 1977年

新しい工事はジョルジ・テイシェイラ市長の下で行われた。マナウス・フリーゾーンの開始に支えられ,多くの国内外スーパーマーケットのチェーン店が街に進出し,それまで同市場は「メルカダォン」の通称の方がより一般的であったが,このときのリニューアルオープン式典にて正式に「アドルフォ・リスボア」と呼ばれることとなった。

  • 2005年-2013年

修繕事業は2005年にIphan(国立歴史芸術遺産研究所)により承認され,170人以上もの専門家が工事に携わったが,改修方法を巡って工事は中断され2006年から2013年まで「アドルフォ・リスボア」は閉鎖された。Iphanが工事続行を良しとしなかった主な理由は事業者側が本来の床の姿を換えようとした為と言われている。Iphanは床の歴史的価値が失われると主張し,作業はストップされた。閉鎖中の2007年10月には火災も起こったが,2013年10月,改修は無事終わり,こうして現在5000平方キロメートルの敷地を持つ「アドルフォ・リスボア」は,「中央パビリオン」に64ブース,「魚パビリオン」に20ブース,「肉パビリオン」に22ブース,「野菜果物パビリオン」に24ブース,2つのフードコートにはそれぞれ11ブース,菓子屋が2店舗,レストランが2店舗,「パビリオン・パラー」,「パビリオン・アマゾナス」で構成され今日も多くの人たちで賑わっている。

注目ポイント
  • 砲撃の跡

大規模改修工事が終わった1906年から4年後の1910年,市場は砲爆を受けた。海軍部隊によるネグロ川から市場及び周辺の建物に対する砲撃はアントニオ・ビテンコート州知事の退任を目的として行われたと言われているが,今日までその弾痕をみることができる。

  • クレゾールの合図

現在でもクレゾールのにおいを「魚パビリオン」で嗅ぐことがある。これは氷がなかった時代,痛んだ魚や肉を次の日に売らないよう,クレゾールを撒く市の職員が到着したことを知らせるために使われた習慣が基になっている。こうして今日においてもこのクレゾールの匂いは値下げ・店じまいの合図となっている。

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外交

1.米国による通信傍受に対する非難決議案の国連への提出
  • (1)11月1日,ブラジル及びドイツは,米国による通信傍受はプライバシーという基本的権利の侵害に当たるとして,これを非難する決議案(「デジタル時代のプライバシーの権利」)を国連人権理事会に提出した。同決議案の内容は米国を名指しするものではなく,ルセーフ大統領が本年9月23日の第68回国連総会の際に行った一般討論演説の内容に基づいている。
  • (2)26日,57カ国の共同提案国の下,同決議案は第68回国連総会第3委員会でコンセンサス採択された。伯政府は,同決議の目的はデジタル通信の情報収集及び監視の文脈におけるプライバシー権利の保護に関する議論を促進していくことであり,情報傍受・監視や個人情報の収集の手段・方法及び法律を見直し,プライバシーの権利を尊重することを各国に呼びかけるものであると述べている。
2.伯大統領府情報庁によるカウンターインテリジェンス活動
  • (1)11月4日,フォーリャ・デ・サンパウロ紙は,伯政府が在伯大使館に勤務する3か国(ロシア,イラン及びイラク)の外交官及び在伯米国大使館の貸部屋を監視していた旨報道した。同紙が入手した伯大統領府情報庁(ABIN)作成の報告書には,2003年から2004年にかけて行われていた10の秘密作戦に関する詳細が記載され,伯が近年接近を図っているロシアやイラン等がABINの標的となっていたことを示している。
  • (2)これに対し,大統領府安全保障室(GSI)は声明を発表し,同紙が引用した作戦は国益保護についての伯の法律に従い行われたものであり,インテリジェンス活動に関する政府の決定は完全なる法の履行である旨述べている。
3.テメール副大統領の中国訪問
  • (1)11月1日より,テメール副大統領は伯中両国のハイレベルでの行事に出席するために閣僚及び起業家等により構成される訪問団とともに中国を訪問し,ブラジルが関心を有している投資や科学技術,教育,対中輸出の拡大等といった様々なテーマに関して中国政府高官と協議を行った。
  • (2)同副大統領はまずマカオを訪問し,汪洋副総理とバイ会談を行ったほか,マカオ・フォーラム(中国・CPLP(ポルトガル語諸国共同体)経済貿易協力フォーラム)10周年記念及び第4回閣僚会合に参加した。
  • (3)6日からは,広州で開催された両国間での主要経済テーマを扱う伯中ハイレベル協調協力委員会(COSBAN)に参加し,貿易,投資,科学技術,宇宙協力等多岐にわたる分野で議論が行われた。更に7日,北京にて習近平国家主席及び李源潮副主席を表敬訪問した。
  • (4)また,北京においては,伯中企業評議会会議の機会に伯中両国の企業家とも会合し,中国市場における伯アグロビジネスの機会拡大を目的としたブラジル農畜産業連盟(CNA)主催夕食会に参加した。
4.ルセーフ大統領のペルー公式訪問
  • (1)11月11日,ルセーフ大統領はペルーを公式訪問し,ウマラ・ペルー大統領と首脳会談を行った。会談では,陸路,鉄道及び水路におけるインフラ整備のための共同プロジェクトや投資機会の拡大,南米諸国連合首脳会合の強化,医薬品生産等の医療分野での協力,主にハイチからの移住者を対象とした人身売買との闘いのための協力,ブラジルの社会政策のペルーでの実施可能性等について話し合いが行われた。
  • (2)ルセーフ大統領は,伯ペルー間の戦略的同盟は10周年を迎え,この期間に輸出は50%増加し,本年中にはブラジルはペルーにとり第3位の貿易相手国となると述べた。また現在,70社以上の伯企業が計600億米ドル以上の投資をペルーに対して行っており,ブラジルは第7位の対ペルー投資国であるとも述べている。
  • (3)また首脳会談において,両国首脳は,両国の国境地帯にある都市間での国際ローミング料金の免除に関する取極や水資源分野での情報交換等の協力及び労働者保護のための協力に関する覚書に署名を行った。
  • (4)ルセーフ大統領は右署名式後,各国15社の主要企業により構成される伯ペルー企業評議会との会合に参加した。

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内政

1.PT党首選挙結果
  • (1)11月10日に実施された労働者党(PT)の党首選挙結果が発表され,ファルコン現党首(サンパウロ州議会議員)が70%の票を獲得してPT党首に当選した(党首の任期は4年間)。同党首は,ルセーフ大統領及びルーラ前大統領の支持を受けており,当選が確実視されていた。
  • (2)当選の発表後に行われた記者会見において,同党首は自身の主要な役割はルセーフ大統領を再選させること及びPTへの若年層及び社会運動の取り込みである旨述べた。
  • (3)同党首は,明年の大統領等選挙においてルセーフ大統領再選に向けた選挙運動の指揮を執ることになる。明年選挙に先立つ喫緊の課題は,連立与党で最大政党であるPMDBとの間で生じている明年の州知事選の候補者擁立を巡る軋轢の解消及びPTの全国戦略とは異なる方針を有する各州のPT支部と足並みをそろえることであると見られている。
2.メンサロン裁判:有罪判決を受けた被告の収監の決定
  • (1)11月13日,連邦最高裁判所(STF)は,メンサロン裁判において有罪が確定した被告25名のうち,ジルセウ元大統領府文官長等の13名に関しては,判決再考願い(embargos infringentes)の対象の罪状以外の罪状に関して自由剥奪刑を執行することを決定した。
  • (2)他の12名の被告に関しては,そのうちの3名に対して代替刑(社会奉仕等)を執行することとなり,残りの9名については,全ての罪状に関して判決再考願い(embargos infringentes)を行っていることから,刑は再審が終了するまで執行されないことが確認された。
  • (3)今回の決定により,マルコス・ヴァレリオ元広告代理店社長を含む3名が閉鎖的刑務所,ジルセウ元大統領府文官長,ジェノイーノ下院議員(PT)及びソアレス元PT財務部長を含む7名が半開放的刑務所,またコレア元下院議員(PP)等の3名が開放的刑務所に収監されることとなった(半開放的刑務所の場合,日中は刑務所の外で活動できるが,夜間は刑務所に戻らなければならない)。
  • (4)これを受けて15日,連邦最高裁判所は本件被告12名の収監を決定し,ジルセウ元大統領府文官長及びジェノイーノ元PT党首を含む被告11名がブラジリア所在の刑務所に収監された(残る1名は国外逃亡したところ国際手配中。)。
3.2014年大統領選挙:IBOPE社世論調査
  • (1)IBOPE社が11月7日から11日にかけて有権者2,002人を対象に実施した世論調査によれば,現時点における大統領候補の支持率は以下の通り。前回(本年10月)の調査では,「シナリオ4」の場合にのみ選挙が決選投票にもつれ込む可能性があったが,今回の調査ではルセーフ大統領の支持率が上昇し,PSBのカンポス党首及びシルヴァ元環境大臣の支持率が低下したことから,いずれのシナリオにおいても現時点で投票が行われればルセーフ大統領が第1回投票で有効票の過半数を獲得して再選を決めるとの結果が出ている(括弧内は前回の調査結果との比較)。

(ア)シナリオ1   

ルセーフ大統領(PT)           

43%(2ポイント増)      

ネーヴェス上院議員(PSDB)       

14%(±0)     

カンポス・ペルナンブコ州知事(PSB)    

7%(3ポイント減)    

(イ)シナリオ2     

ルセーフ大統領(PT)           

42%(3ポイント増)    

シルヴァ元環境大臣(PSB)        

16%(5ポイント減) 

ネーヴェス議員(PSDB)         

13%(±0)

(ウ)シナリオ3     

ルセーフ大統領(PT)           

41%(1ポイント増)

セーラ元サンパウロ州知事(PSDB)    

19%(1ポイント増)   

カンポス知事(PSB)            

7%(3ポイント減)

(エ)シナリオ4    

ルセーフ大統領(PT)           

40%(1ポイント増)    

シルヴァ元大臣(PSB)          

15%(6ポイント減) 

セーラ元州知事(PSDB)         

17%(1ポイント増)

  • (2)決選投票に関する調査結果は以下の通り。括弧内は前回調査との比較。

(ア)ルセーフ大統領44%(2ポイント増),シルヴァ元大臣24%(5ポイント減)
(イ)ルセーフ大統領47%(±0),ネーヴェス議員18%(1ポイント減)
(ウ)ルセーフ大統領45%(1ポイント増),セーラ元州知事21%(2ポイント減)
(エ)ルセーフ大統領48%(3ポイント増),カンポス州知事12%(6ポイント減)

  • (3)今回の調査では,ルセーフ大統領が最有力候補であることが確認された形となったが,「次の大統領は,現政権の政策を踏襲すべきか。」との問いに対しては,回答者の24%が「全面的に変えるべき」,また,38%が「幾つかの政策は維持するが,大半の政策は変えるべき」と答えており(「大半の政策は維持するが,いくつかの政策は変えるべき」23%,「現在の政策を全面的に継続すべき」12%)と答えており,国民の大半が政策の見直しを望んでいることが判明している。

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