Embaixada do Japão

トピックス 2013年11月号

パラー州公安局による当地日系社会に対する安全対策セミナーの開催

1 ベレン大都市圏は、近年の急激な人口増加により人口220万人を超えるブラジル国内でも有数の都市部となり、中心部には20階以上の高層ビルが乱立するようになった。それに伴い犯罪も増加しており、また、管内にはブラジル国内三位の規模を有する約39,000人(平成24年度時点)の日系社会があり、ベレン市内のみならず、トメアスを始めとする州内各地の移住地に居住しているが、犯罪は大都市圏のみならず地方部において増大している。

例えば、ベレン近郊の代表的移住地であり、ベレン大都市圏を構成するサンタイザベル・ド・パラー市周辺(ベレン市から約50km)でも、2~3年前より在留邦人(永住者)や日系人農業者の住宅を中心に侵入強盗被害が連続的に発生していたが、今年に入り、後述のとおり、「ニッポン・オペレーション」という日系社会と州警察当局との連携で犯罪者の一斉逮捕につながる成果があり、日系社会における犯罪取締りの好事例となった。このような背景から今般、汎アマゾニア日伯協会のイニシアチブで、パラー州公安局による本年2回目の安全対策セミナーが日系社会の安全に対する意識の向上と対策の強化を図るとの目的で、サンタイザベル・ド・パラー市で開催された。

また、本セミナー開催の背景には、当館とパラー州公安局との日頃からの緊密な関係、ロッシャ局長の日系社会に対する極めて好意的な配慮があった。

2 セミナーは、9月27日(金)15時より18時30分まで3時間半に亘り開催され、トメアス、カスタニャールを含む州内陸部を中心に約60名の日系社会関係者が参加し、熱心な意見交換が行われた。

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州側より、治安当局の最高責任者であるロッシャ公安局長を筆頭に、サンタイザベル文民警察署長など地元警察幹部が参加した。冒頭、ロッシャ局長より、地域の犯罪動向、治安対策に関する州政府の取り組み、日系社会との連携による捜査オペレーションの好事例の紹介などが行われた。

具体的には、以下の点につき説明があった。

(1)パラー州全域での警備体制について、圧倒的な警官の不足を改善すべく努力しているが、10月以降、然るべき訓練を受けた文民警察官、軍警警察官をそれぞれ1000人規模で増員するとともに、退役警官の再雇用を促進する予定であり、警備車両、装備の充実についても積極的に行っており、日系移住地においても、警官の増員、パトカーの追加配置などの改善が見られるとの見通しが立っている。

(2)ブラジル全国で問題となっている麻薬取引関連の犯罪については、件数的には僅かながら減少しているが、押収量は増加している(10月中旬には500キロを超えるコカインがベレン大都市圏内で押収された)。麻薬はあらゆる凶悪犯罪に繋がるものであり、若年層の間でも蔓延しつつあることから、教育面を含めた重点的な取り組みが進められている。

(3)治安の改善は警察だけで行われるものではなく、地域社会全体で取り組むべき課題であるとの考え方から、警察、教育、保健衛生の各行政機関が連携して社会環境を整備するUPP事業(UNIDADE DE POLICIA PACIFICADORA)も州内全域で徐々にではあるが進められている。

3 ダマセーノ文民警察サンタイザベル署長からは、サンタイザベル市周辺の日系人を標的とした侵入強盗で、犯人逮捕に至るまでの経緯が説明された。また、右逮捕にあたっては本年1月以降、現地日系社会との連絡会を頻繁に設け、警察と日系社会が緊密に連携する捜査活動「ニッポン・オペレーション」を展開したことが功を奏したとの報告があった。同オペレーションでの犯人逮捕後、類似事案は発生していないことから、確認されただけでも被害者数20名以上に達していた日系人を狙った一連の事件は、同グループの犯行であったと推測されるとの説明があった。
更に、同署長より、今回のオペレーションの教訓として、以下の分析結果が提示された。

(1)犯人側は、日系人(若しくは在留邦人)を、換金性の高い日本メーカーの電化製品や、自宅に多くの現金を保有している格好の標的であると見なしていた。

(2)日系人は行動パターンが規則的で抵抗することが少なく、かつ、警察に届け出ず泣き寝入りすることが多いため、逮捕される可能性が低いと考えていた。

(3)一連の犯行は一定の時間帯に集中し、その手口も同一であった。

 重要な点は、被害にあった日系人が警察を信頼して被害届を提出したことと、文民警察、軍警察、連邦警察の三者の連携が確保されたことであると考えられる。犯罪は、仕事を終えて帰宅する18時から20時の時間帯に集中的に発生していること、帰宅時は注意が散漫になるので降車時が最も危険であることなど、犯罪の共通性も明らかになった。

4 今回のセミナーは、総じて地元の日系社会を対象としたものであったが、ロッシャ局長を始めとする州公安局幹部の様々な指摘は、ベレンやブラジルの他の地域の在留邦人や日系人にとっても有益なものであったと考えられる。

また、ロッシャ局長他が述べていたように、在留邦人の皆様におかれても、万が一被害に遭われた際は、各警察署へ被害届の提出をお願い致したく、防犯対策についても日頃から注意して頂きたい。

なお、パラー州治安当局がまとめた、過去5年間のベレン大都市圏(ベレン市、アナニンデウア市、マリトゥーバ市、ベネビデス市、サンタイザベル・ド・パラー市、サンタ・バーバラ市)における主要犯罪の発生件数は下記のとおり。

犯罪種別

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

犯罪認知総件数(件)

127,896

121,984

200,592

193,888

173,612

(内訳)

 

 

 

 

 

対物犯罪   (件)

77,921

66,907

147,515

140,353

124,738

 窃 盗   (件)

22,293

19,403

48,558

49,661

44,349

 強 盗   (件)

43,728

37,898

89,353

80,748

72,050

 強盗殺人  (件)

113

101

120

57

61

その他   (件)

11,787

9,505

9,484

9,887

8,278

対人犯罪   (件)    

43,352

47,434

46,238

46,690

42,262

 殺 人   (件)

1,057

1,169

1,490

1,076

1,043

 傷 害   (件)

15,735

15,814

14,563

14,431

12,577

 その他   (件)

26,560

30,451

30,185

31,183

28,642

性犯罪    (件)

781

964

929

922

931

 強 姦   (件)

264

447

815

804

840

 その他   (件)

517

517

114

118

91

その他の犯罪 (件)

5,842

6,679

5,910

5,923

5,681

出所:パラー州公安局

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外交

1.伯パラグアイ首脳会談
  • (1)9月30日、ルセーフ大統領及びカルテス・パラグアイ大統領の首脳会談がブラジリアで実施された。同大統領による首脳会談が実施されるのは今年8月のカルテス大統領の選出以降、既に3回目となる。
  • (2)首脳会談では、2国間関係全般について話し合われるとともに、ルセーフ大統領より本年12月のパラグアイのメルコスールへの復帰についての提案がなされた。
  • (3)カルテス大統領より、11月末に予定されているイタイプダムからアスンシオンへの送電線の完了式典にルセーフ大統領を招待し、同大統領はこれを受け入れた。
2.カナダ通信安全保障局による伯鉱業エネルギー省に対する通信傍受疑惑
  • (1)10月6日、TVグローボがスノーデン元米国安全保障省(NSA)職員により漏えいされた資料に基づいて、カナダ通信安全保障局が伯鉱業エネルギー省の通信を傍受していた旨の報道を行った。
  • (2)この報道を受けて、ルセーフ大統領は、カナダ通信安全保障局による通信傍受を非難するとともに、フィゲイレド外相は駐伯カナダ大使を召還し、伯政府の抗議を伝えるとともに、事実関係につき説明を求めた。
3.水俣条約外交会議へのテイシェイラ環境大臣の出席
  • (1)「水銀に関する水俣条約」の採択・署名のための外交会議及び開会記念式典が10月9日から11日にかけて,熊本市及び水俣市で開催され,約140か国から閣僚を含む1000名以上が出席し,日本,ブラジルを含む92カ国(EU含む)が署名を行った。
  • (2)ブラジルからはテイシェイラ環境相を団長とする代表団が訪日し,11日には石原環境相とテイシェイラ環境相との間でバイ会談が実施され,気候変動分野等に関する二国間の連携等について確認した。
4.第6回伯印政治・経済・科学技術・文化合同委員会の開催
  • (1)10月14及び15日、フィゲイレド外相及びクルシード印外相の共同主催による第6回伯印政治・経済・科学技術・文化合同委員会がブラジリアで開催された。同合同委員会では、2国間協力からマルチでの協力まで幅広いテーマが取り扱われた。
  • (2)両外相は、合同委員会の10周年を称えつつ、2国間協力の見直しや地域的国際的なテーマに関する意見交換のための政治対話を強化していくことの重要性を再確認した。

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内政

1.マリーナ・シルヴァ元環境相のブラジル社会党(PSB)への移籍
  • (1)10月3日、来年の大統領選挙の有力候補であるシルヴァ元環境相が設立を目指していた新政党Redeが選挙高等裁判所(TSE)により否決された。新政党の成立のためには、少なくとも49万2千の選挙人の署名を集め、TSEに承認される必要があるが、TSEの見積もりでは約5万人の支持が不足していたとしている。
  • (2)これを受けて、同元環境相は5日、大統領選挙への出馬が噂されているカンポス・ペルナンブコ州知事が率いるPSBへの移籍を発表した。カンポス州知事はPSBからの正式な大統領選挙候補者は来年に発表するとしているが、IBOPE社による世論調査では、シルヴァ元環境相はルセーフ大統領に次ぐ第2位の支持を得ており、シルヴァ元環境相とカンポス州知事の連携は、ルセーフ大統領の再選に向けての強力な対抗馬となりうる。
2.2014年大統領選挙に関する世論調査
  • (1)10月17-21日、Ibope社が143市の2002人を対象に実施した明年の大統領選挙に関する世論調査によれば、現時点での各候補者の支持率は以下のとおり。なお、以下のシナリオのうち、決戦投票にもつれ込む可能性があるのはシナリオ4のみで、残り3つのシナリオでは、いずれの場合もルセーフ大統領が1回目の投票で有効票の過半数を獲得して再選を決めることとなる。

(ア)シナリオ1  
               
ルセーフ大統領(PT)      41%      
ネーヴェス上院議員(PSDB) 14%     
カンポス州知事(PSB)    10%    

(イ)シナリオ2     

ルセーフ大統領(PT)      39%    
シルヴァ元環境相(PSB)   21% 
ネーヴェス上院議員(PSDB)  13%

(ウ)シナリオ3     

ルセーフ大統領(PT)      40%    
セーラ元州知事(PSDB)   18%   
カンポス州知事(PSB)    10%

(エ)シナリオ4    

ルセーフ大統領(PT)    39%    
シルヴァ元環境相(PSB)   21% 
セーラ元州知事(PSDB)   16%

  • (2)また,決選投票が行われると仮定した場合の調査結果は以下のとおり。

(ア)シナリオ1
ルセーフ大統領42%,シルヴァ元環境相29%。

(イ)シナリオ2
ルセーフ大統領47%,ネーヴェス上院議員19%。

(ウ)シナリオ3
ルセーフ大統領44%,セーラ元州知事23%。

(エ)シナリオ4
ルセーフ大統領45%,カンポス州知事18%。

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