9月、在クリチバ総領事館は毎年恒例の日本文化月間を実施しました。多様な日本文化の魅力を様々な事業を通じて1ヶ月間に集中的に紹介することで、日本文化の知識が必ずしも十分でない一般市民の対日理解を促進することを目的として取り組みました。今年は、計13件の広報文化事業を集中的に実施し、多くのブラジル人に日本文化に触れてもらう機会となりました。以下,主な文化月間事業を紹介します。
文化月間のオープニングとしてクリチバ市有数のランドマークであり特に週末買い物客で賑わう市営市場にて開会式を実施しました。グスターボ・フルエチ・クリチバ市長等の出席を得て,東山農業加工(株)にご協力いただいた日本酒セットで鏡開きを行った他,地元日系文化団体による太鼓やよさこいソーランのアトラクションを行いました。また,市営市場内の展示スペースにて当地の3大生け花流派の池坊、大原、山月による作品展示会及び当地盆栽協会による作品展示とワークショップを開催しました。事前広報の効果もあり、来場者数が昨年の約800名から約1400名に増加し大変好評でした。
パラナ州歴史博物館にて,国際交流基金の巡回展「手仕事のかたち」を開催しました。陶芸、染織、金工、木竹工、紙など日々の暮らしの中で育まれてきた伝統的工芸品と各地の工房で伝統的な技術を用いつつ創造性豊かな作品を生み出している工芸作家の作品を紹介し、当地の多くの芸術家を始め一般市民等、多くの来場者が訪れました。また、東京国立近代美術館の主任研究員の諸山正則氏をお招きし、パラナ州歴史博物館にて来館者とのギャラリー・トーク,また,パラナ州立大学音楽美術学校講堂にて「日本の工芸と現代」をテーマに講演を行いました。
続いて,国際交流基金の協力を得て、クリチバ市シネマテカ映画館にて「新作・近作青春映画祭」を開催しました。1990年から2010年にかけて制作された日本の青春映画,第9回手塚治虫文化賞新生賞受賞映画や累計発行部数1100万部を突破した好評漫画の映画化作品等を計13本上映しました。日本語及び日本文化に興味を持つ学生やクリチバ市民が集まり,映画を通じて日本の若者の生き方,考え方などに触れてもらう機会となりました。
2年に一回クリチバ市で開かれる国際漫画大会(ジビコン)内で「ブラジルにおける(日本の)漫画の歴史」に関するパネル展示会、「漫画を描きながら」をテーマにした講演会、漫画教室等を行い、日本の漫画に関する情報等を紹介しました。イベント全体は約2万人を集め、約1ヶ月間,展示されたパネル展示では約2,5万人の来場者を集め,日本の漫画人気を実感することができました。
教育広報の一環として、日本から独立行政法人日本学生支援機構関係者、信州大学等の5大学がクリチバを訪問し当地において日本留学フェアを開催しました。日本政府の国費留学生制度及び伯国政府の留学制度「国境なき科学」の広報のみならず、日伯両国の大学間連携を模索する交流会も設ける等、非常に内容が充実した事業となり、500人以上が来場し盛況を博しました。また、この機会を捉え当地大学関係者や帰国留学生会会員等を総領事公邸に招き、交流を促進するための懇談会を開催しました。このような取り組みが、日本へのブラジル人留学生の増加につながり、彼らが日本とブラジルの友好関係を強化する次世代のリーダーとなってくれることを願っています。
パラナ連邦大学において,日本語教育普及の支援として、日本語を専攻する学生、元学生及び教師を対象に、日本語及び文化と深く楽しくふれあう場を設け、当地にある他の日本語学校の学生がふれあい、意見交換をし、交流を深める機会を作りました。イベント当日には大勢の日本語学習者及び教師が訪れ、折り紙、書道、茶道及び合気道のワークショップで日本文化に体験した他、日本人を交えたレベル別の会話サークルでは日ごろの勉強の成果を思う存分に発揮していました。
このように、多くの関係者及び団体のご協力のおかげで、多くの事業を成功裏に実施することができました。多種多様な広報、文化事業を重層的に実施することによって、親日家、知日家が増え、文化面だけでなく、政治、経済分野でもパラナ州と日本の関係が一層の発展につながればと考えています。来年は、日本ブラジル外交関係樹立120周年、パラナ州日本人入植100周年,そして兵庫県パラナ州姉妹州県提携45周年と3つの周年を同時に祝う節目の年となりますが、パラナ州においては、当地政府機関、日系団体、日系進出企業等のご支援とご協力をいただきながら盛り上げていきたいと思います。
(1)9日10日付当国ヴェージャ誌は,本年3月,100億米ドルを動かしていたとされる資金洗浄組織の一員として連邦警察に逮捕されていたコスタ元ペトロブラス社供給・精製部長(在任期間:2004年-2012年)が司法取引(刑期の短縮のため)に応じ,ペトロブラス社の不正に関する供述を行った旨報じている。同供述によれば,業者がペトロブラス社からの受注を得るために,それにより得られる利益の一部を組織に支払い,その資金は闇ドル業者により洗浄された後,連立与党の政治家に分配されていたとされる。
(2)同元部長は連邦警察の捜査官に対し,ペトロブラス社から横流しされた資金の一部を受け取っていたのは,閣僚1名(ロボン鉱業エネルギー相(PMDB)),州知事3名(カブラル前リオデジャネイロ州知事(PMDB),サルネイ・マラニョン州知事(PMDB)及び故カンポス前ペルナンブコ州知事(PSB,大統領選挙開始まで連立与党の一部)),上院議員6名(カリェイロス上院議長及びジュカー上院議員(いずれもPMDB),ノゲイラ上院議員(PP)等)及び少なくとも25名の下院議員(アルヴェス下院議長(PMDB)等)と述べている。
(3)コスタ元部長が司法取引に応じたとの情報を受けて,5日,選挙への影響を危惧したルセーフ大統領は関係閣僚と会合を行い対応につき協議した。野党PSDBのネーヴェス候補は,「これは,近年の歴史で最も重大な告発であり,第2のメンサロン事件とも言えるものである。」と批判した。また同候補は,「ペトロブラス社幹部の人事を行っていたのはPTであり,ルセーフ大統領には同社内で何が起きていたのか知らなかったとは言わせない。」とも批判している。
(4)17日,ペトロブラス社の不正疑惑に関する連邦議会調査委員会において,コスタ元部長の証人喚問が行われたが,同元部長は黙秘権を行使し,議員の質問には一切答えなかった。これは,石油公社の汚職に関する新たな情報の流出を恐れていた政府にとり,有利な結果となっている。他方,22日の報道では,コスタ元部長は検察省及び連邦警察に対し,PTの指名を受けて就任し,ネトPT党出納長とも親しいことで知られていたドゥッキ元工学サービス部長及びセルヴェロ国際部長も本件に関与していたことを指摘したとしている。
(1)IBOPE社が9月13日から15日にかけて実施した世論調査によれば,各大統領候補の支持率は以下の通り推移している。
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8月26日 |
9月3日 |
12日 |
16日 |
ルセーフ大統領 |
34% |
37% |
39% |
36% |
マリーナ・シルヴァ元環境相 |
29% |
33% |
31% |
30% |
ネーヴェス上院議員 |
19% |
15% |
15% |
19% |
エヴェラルド・PSC副党首 |
1% |
1% |
1% |
1% |
他候補の合計 |
1% |
2% |
1% |
1% |
白票/無効票 |
7% |
7% |
8% |
7% |
分からない/無回答 |
8% |
5% |
5% |
6% |
(2)今回の調査によれば,ネーヴェス候補が支持率を4ポイント伸ばして2位との差を前回の16から11ポイントに縮めている。ルセーフ大統領は,首位を守っているものの,この1週間で支持率が39%から36%に下落し,シルヴァ候補との差は,前回の8から6ポイントに縮まった。
(3)決選投票に関しては,(ア)シルヴァ候補43%(前回比±0),ルセーフ大統領40%(2ポイント減),(イ)ルセーフ大統領44%(4ポイント減),ネーヴェス候補37%(4ポイント増)となっている。シルヴァ候補とルセーフ大統領の差は,前回の1ポイントから今回は3ポイントに拡がったが,±2ポイントの誤差を考慮すれば,未だ互角の状態にあると言える。
(4)オ・エスタード・デ・サンパウロ紙の分析記事
決選投票ではシルヴァ候補に投票すると答えている有権者の内,ルセーフ大統領に投票する可能性も残されていることを認めているのは27%に上っており,また,ルセーフ大統領に投票すると答えている有権者の46%がシルヴァ候補に投票する可能性も残されているとしている。このように,多くの票が両候補の間で揺れ動いているのが現状である。市場がシルヴァ候補の当選を望んでいるのは,それにより,株価(IBOVESPA指数)が現在の6万前後から7万5千に跳ね上がると予想されているからである。因みにルセーフ大統領再選の場合,同指数は5万に下落すると見られている。
(1)ヴァロール紙の取材によれば,9月,エンブラエル社は同社が米フロリダ州のジャクソンビルに建設した工場で製造されたスーパー・トゥカーノの1号機を米空軍に納入する。同契約では,米空軍が20機(4.275億米ドル)を購入することになっているが,購入機数が合計50機となれば,契約額が10億米ドルに達する可能性があり,追加分の交渉を1号機の納入後に開始するとのことである。20機のスーパー・トゥカーノは,アフガニスタンにおいて,軽度の航空支援,偵察及び要員の訓練に使用される。
(2)エンブラエル社にとり、今回の納入は、米軍に対する初の防衛装備品の納入となり,歴史的な出来事となる。また、伯空軍が同機の特許を所有しているところ、同社は伯空軍に対するロイヤリティ(課税伝票に記載される価格の1%)の支払いを年内に開始する。同機1機当たりの価格は設定・搭載兵器及びセンサーの種類等により異なるが、1千万米ドルから1.5千万米ドルの間とされている。米国製スーパー・トゥカーノ製造計画には、米国21州の100社以上(サービス及び部品の提供)が参加しており、1400人の雇用に繋がっている。
(1)9月23日,ルセーフ大統領は国連総会において,一般討論演説を行い,24分間に亘った演説の約半分を使って,12年間に亘るPT政権の成果(貧困の撲滅,社会格差の是正,経済成長,雇用創出等)を強調した。そのため,本演説は10月5日の大統領選挙を念頭に置いた国内世論向けのものであったと受け止められている。
(2)ルセーフ大統領が,右演説の中で汚職の問題を取り上げ,伯政府が捜査機関の強化,情報開示法の制定,汚職の撲滅を目的とするポータル・サイトの開設等,様々な施策を行っていることを強調したのも,伯国内で石油公社の不正疑惑が問題となっており,これが選挙に影響する可能性が取り沙汰されていることと関係があると指摘されている。また,同大統領は,同じく選挙の争点となっている人種差別,同性愛者等,マイノリティーの問題についても言及した。
(3)ルセーフ大統領は,演説後の記者会見において,「伯が社会格差を是正し,所得と雇用を増やしたと演説したのは,国家元首として誇りに感じているからである。自分は,これまでに似たような内容の演説を(国連総会で)4回も行ってきた。」と述べ,一般討論演説を選挙目的に利用したとの見方を否定した。
(4)ルセーフ大統領は,イスラム国に対する米国主導の空爆に関し,「武力行使は,紛争の根源的な原因を根絶することはできない。我々は,軍事介入が行われる度に紛争が激化するのを見てきた。」と,欧米諸国等を名指しすることなく批判。また,同大統領は,演説後の記者会見において,「イスラム国を爆撃することで問題が解決すると思うのか。解決するのであれば,イラク問題も解決していたはずであったが,実際にはイラクは麻痺している。紛争は,国際法に則って解決されるべきであり,如何なる行動も安保理の承認を得るべきである。」と述べ,米国の軍事行動を批判した。
(5)また,ルセーフ大統領は,現在の国連安保理では危機に対応するのが困難であるとして,安保理改革を主張した。また,同大統領は,国際社会はイスラエルとパレスチナの対立に無関心であってはならないと述べ,「不均衡な武力行使」を批判した。