Embaixada do Japão

トピックス 2014年6月号

松島経済産業副大臣の訪伯

5月6日、松島経済産業副大臣はブラジリアを訪れ、ロボン鉱業エネルギー大臣及びシェーファー開発商工大臣と会談し、今後の日伯間の貿易・投資の更なる拡大に向けた二国間の協力関係の強化について議論した。また、両国間の省エネルギー・スマートコミュニティ分野での具体的な協力の進め方について、民間企業を交えて意見交換を行った。

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日本の医療機器が10年間救ってきた小さな命

-ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年-

ミナスジェライス州ヴィソーザ市にある慈善病院「サン・セバスチャン病院」。ここでは、未熟児などの新生児の集中治療を行っている。1歳未満で死亡する子供の多くが、産まれてから1週間以内に亡くなるとのことで、この新生児治療室は10年前にオープンした。

しかしながら当時、新生児治療用の病棟ができたものの、肝心な医療機材の購入の目途が立っていなかった。サン・セバスチャン病院は慈善病院であるため、十分な資金を持ち合わせていなかったためである。

そこで、2004年に「草の根・人間の安全保障無償資金協力」という事業を通じて、日本より、保育器や蘇生器、呼吸器、光線療法設備等の医療機材を供与した。これにより、同年、治療室は開業した。

ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年 ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年

開業より10年が経った2014年5月9日、その10周年を記念する式典が開催された。機材供与に関わったリオデジャネイロ総領事館も招待を受けて出席した。式典には、サン・セバスチャン病院院長をはじめ、前院長(治療室オープン時の院長)、ヴィソーザ市長、ミナス州環境局長、ヴィソーザ連邦大学学長ほか多数の関係者、来賓が出席していた。

出席者のスピーチのうち、一部を紹介する。

  • トレス・ジュニオール院長

「本日遠くから駆けつけてくれた日本総領事館の皆様に深く感謝します。日本総領事館の協力なくしてこの集中治療室は存在しませんでした。この10年間、1,600人以上の大切な命が救われました。」

  • 元患者(新生児)の母親

「これまで多くの新生児が入院し、多くの母親が付き添ったことと思います。その中では、笑いあり、涙あり、喜びあり、そして悲しみもあったことと思います。自分はわずか28週間で長女を出産しました。長女は未熟児で、紹介を受けてこの集中治療室に入院することになりました。病院は健康保険を持たない私に無料で治療を施してくれました。

当初、新生児治療室がどのようなところかさえわからなかった自分に対し、病院スタッフは懇切丁寧に説明してくれ、長女に対して朝から晩まで24時間献身的に対応してくれました。どれだけ感謝してもしきれません。

長女にとっては毎日が戦いの日々でしたが、74日間もの間入院し続けた結果、ついに、その戦いに勝つことができたのです。自分は、長女が集中治療室から出てきて、初めて抱くことができたその瞬間を、決して忘れることができません。

長女は現在すでに8歳になり健やかに育っていますが、自分は1日たりとも病院への感謝を忘れたことがありません。」

ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年 ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年

式典に先駆けてサン・セバスチャン病院の集中治療室を訪れた。訪問したときも7人の赤ちゃんが入院していた。周辺の市から来院する方も少なくないそうである。当時日本から供与した機材は今でも大切に使われ、多くの子供たちの治療に役立てられている。機材はメンテナンスが行き届き、10年という年月を感じさせないほどであった。スタッフは12時間2交代制、24時間つきっきりで対応にあたっている。

10年間、数多くの小さな命を救ってきた、サン・セバスチャン病院、今後も多くの命を救ってくれることが期待される。

ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年  ヴィソーザ市サン・セバスチャン病院集中治療室開業10周年

ミナスジェライス州ヴィソーザ市、ここは今でも日本の支援に感謝の気持ちを持つ人たちが多くいる街である。

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内政

1.PT全国大会におけるルセーフ大統領の大統領選への再選立候補の再確認
  • (1)5月2日,ルセーフ大統領及びルーラ前大統領はPTの全国会合の場でルセーフ大統領の再選立候補を再度表明した。その際両者は野党を非難し,ルーラ前大統領がルセーフ大統領の代わりに選挙戦に出るとの噂の払拭に努めた。
  • (2)ルセーフ大統領は,世論調査で支持率が低下していることを受け,政治的主導権の回復とルーラ前大統領出馬論封じ込めに向けた攻勢に出ている。ルセーフ大統領は,たとえ連立与党から支持されなくても立候補すると述べ,メーデーの前日に行ったテレビ・ラジオ演説においては,ボルサ・ファミリアの増額等,国民受けする数々の施策を発表した。
  • (3)ルーラ前大統領は,名指しすることなくPSBのカンポス候補とその政策(中銀の独立性強化)を批判するとともに,ペトロブラスの取引について議会調査委員会(CPI)が設置されようとしている件に関して野党を攻撃した。また,ルーラ前大統領は,ルセーフ大統領とともにマスコミを批判した。ルーラ前大統領は,PTが党のイメージを回復し,政党政治に関心を失った若年層に対して「新しいユートピア」を提示するために本年の選挙を活用すべきであると表明した。
  • (4)なお,今後,党大会を経て,選挙高等裁(TSE)が規定する6月30日までに正式なPTからの大統領及び副大統領候補が選出されることとなる。
2.2014年大統領選挙:ダタ・フォーリャ社世論調査
  • (1)ダタ・フォーリャ社が5月7日から8日にかけて実施した世論調査によれば,現時点における大統領候補の支持率は以下の通り。今回の調査においては,ネーヴェス上院議員(PSDB)が支持率を伸ばしたことで,現時点において選挙が行われれば,ルセーフ大統領以外の候補者の得票率(合計38%)がルセーフ大統領の得票率(37%)を上回り,ルセーフ大統領とネーヴェス議員による決選投票にもつれ込む可能性が出たことがポイントなっている。

(ア)シナリオA: 

 

本年2月

4月

5月

ルセーフ大統領(PT)         

44%

38%

37%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

16%

16%

20%

カンポス・ペルナンブコ州知事(PSB)

9%

10%

11%

他候補の合計

5% 

6%

7%

白票/無効票/誰にも投票しない

19%

20%

16%

分からない

7%  

9%

8%

(イ)シナリオB:

 

本年2月

4月

5月

ルセーフ大統領(PT)         

47%

43%

41%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

17%

18%

22%

カンポス・ペルナンブコ前州知事(PSB)

12%

14%

14%

白票/無効票/誰にも投票しない  

 

19%

16%

分からない 

 

6%

7%

(ウ)シナリオC:   

 

本年2月

4月

5月

ルーラ前大統領(PT) 

54%

52%

52%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

15%

16%

19%

カンポス・ペルナンブコ前州知事(PSB)

9%

11%

11%

白票/無効票/誰にも投票しない

 

 

12%

分からない

 

 

6%

(エ)シナリオD(今回の調査で初めて想定):  

ルーラ前大統領(PT)

49%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

17%

カンポス前ペルナンブコ州知事(PSB)

9%

パストール・エヴェラルド・キリスト教社会党副党首(PSC)

2%

アブレウ元国家民間航空庁長官(PTN) 

1%

ロドリゲス上院議員(PSOL)

1%

ジョルジ元下院議員(PV) 

1%

ジョゼ・マリア統一労働者社会主義党党首(PSTU)

1%

白票/無効票/誰にも投票しない

12%

分からない

7%

  • (2)決選投票に関する調査結果は以下の通り。

(ア)ルセーフ大統領47%(3ポイント減),ネーヴェス上院議員36%(5ポイント増)

(イ)ルセーフ大統領49%(2ポイント減),カンポス前州知事32%(5ポイント増)

  • (3)ルセーフ政権に対する評価は,以下のように推移している。なお,10点満点の評価では,4月の5.9から今回は5.8に落ちている。

 

昨年11月  

本年2月   

4月

5月

「非常に良い/良い」  

41%

41%

36%

35%

「普通」        

40%

37%

39%

38%

「悪い/非常に悪い」   

17%

21%

25%

26%

「分からない」       

1%

1%

1%

1%

  • (4) ダタ・フォーリャ社の分析
    ネーヴェス上院議員の支持率が上昇したのは,イースター休暇の前にテレビ放映されたPSDBの政見放送に出演し知名度を上げることに成功したことが原因である。これまでの調査では,「白票/無効票/誰にも投票しない」と答えていた有権者の一部がネーヴェス議員を支持するようになったようである。決選投票に関しても,ルセーフ大統領とネーヴェス議員の差は縮まってきている。他方,与党はルセーフ大統領の支持率が前回と比べてほぼ横這いとなり,国民の経済に対する見方が楽観的になってきていることに安堵していることであろう。
3.伯全国で発生した抗議デモ
  • (1)5月15日,伯全国18都市でデモが行われ,そのうち11都市でワールドカップの開催に反対するデモが行われた。サンパウロでは,W杯の開催に反対する抗議デモに約1,200人が集まった一方,各種労組やホームレス労働者運動(MTST)が行ったストライキやデモは約6,000人を集め,5つの通りを封鎖するなど交通に大きな混乱をもたらした。リオデジャネイロでも,W杯反対デモよりも,教員らによるストライキのほうが多くの参加者を集めた。ブラジリアではW杯反対デモの参加者が300人を超えなかった。
  • (2)オ・グローボ紙は,今般の抗議デモの主体は,2013年6月の大規模デモでその主導権を奪われた労働組合や社会運動団体が主役の座を取り戻す動きであったと分析している。顔も名前も分からない若者たちが中心となって行った2013年6月当初のデモとは異なり,代表者や組織の性格等が明確な団体による抗議行動がより多くの支持者を得た。政府は,デモ参加者たちは期待したほどの支持者を集められず,効果を挙げられなかったとみているが,今後,デモが一般市民の支持を獲得し得るとして警戒を続けている。
  • (3)20日には,各州で文民警察がストライキを行ったものの,その規模は予想を下回る結果となり,先週軍警察のストライキによってレシフェで起こった暴力的事案のような混乱は生じなかった。またデモ行進は10州及び連邦区で発生したが参加者は少なかった。文民警察は給与の見直しや勤務環境の改善を要求しており,ワールドカップ直前にストライキを行うことでマスコミの注目を引きつける狙いがある。連邦区では文民警察だけでなく他の警察機関労働組合の代表もデモ行進に参加した。

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外交

ワールドカップ外交
  • 1.今年6-7月にかけて開催されるワールドカップの機会に,既に少なくとも10ヶ国がルセーフ大統領との首脳会談の実施を要請しており,その数は各国チームの決勝トーナメントへの進出状況次第で増加する可能性がある。
  • 2.最も関心を集めているのは,ローハニ・イラン大統領との会談であり,イラン側は6月16日での首脳会談の実施を求めている。同16日には,ルセーフ大統領はサルバドールにて,メルケル独首相及びパッソス葡首相と会談を行う予定となっており,17日にはブラジリアにてバイデン米副大統領と会談を行う予定。また,各国の代表チームの活躍次第では,オランド仏大統領やラホイ西首相等も訪伯する可能性がある。
  • 3.伯大統領官邸によれば,習近平国家主席及びプーチン露大統領が7月13日の決勝戦を観戦予定となっており,その後,BRICS首脳会合が予定されているフォルタレーザ市に移動し,ズマ南ア大統領及びモディ新印首相とともに同会合に出席する。同会合では,BRICS銀行及び1000億ドル相当の準備金ファンドの創設が発表される見込み。
  • 4.その他,ワールドカップ参加国より,ブルカルテール・スイス大統領,ミラノビッチ・クロアチア首相及びマハマ・ガーナ大統領,ワールドカップ不参加国からは,ドス・サントス・アンゴラ大統領及びサル・セネガル大統領等が訪伯予定。また,ラ米諸国からも,バチェレ・チリ大統領,コレア・エクアドル大統領及びペニャ・ニエト・メキシコ大統領が訪伯する可能性がある。

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