ブラジル・パラナ州の州都であるクリチバ市では、1960年代(当時の人口は約60万人),都市開発のマスタープランが策定され,ジャイメ・レルネル市長(同市市長を3期務めると共に州知事を2期務め、現在は政界を引退)のリーダーシップのもと,先駆的な都市開発政策を実践してきたことで有名な都市です。都市交通政策も、高価格な地下鉄建設ではなく、BRT(バス高速輸送)システムと呼ばれる2両・3両連結バス・システムによる専用路線や、チューブ型バス停留所の導入等により低価格、かつ快適で利便性の高い公共交通システムが確立され,その先端的なシステムは国内外の都市がモデルとして導入されてきました。しかし,その後,急激な都市の拡張に伴い、クリチバ市の人口は1980年代に100万人,2000年には150万人を超え、自動車保有率の上昇とBRTシステムの限界が指摘され始めたことから,新たな交通システムの模索が始まりました。日系2世のカシオ・タニグチ市長(DEM、現パラナ州企画調整長官)時代には市内を横断する旧国道116号線を活用するモノレール導入も検討されましたが,景観への影響や資金繰りの問題で同計画は実現しませんでした。そして,タニグチ市長の後を受けたベト・リッシャ市長(PSDB、現パラナ州知事)の時代に,クリチバ市の都市計画のブレーンであるクリチバ都市計画研究所(IPPUC)によって、同市南部の工業団地地域から市中心部を通り北部を結ぶ全長22km(既存のバス専用路線の地下)を走る地下鉄導入計画が初めて策定されました。
ピーレスIPPUC総裁とルイジアナIPPUC職員
2010年,リッシャ市長がパラナ州知事に当選したことに伴い、副市長から市長に繰上がったルシアノ・ドゥッチ市長(PSB)は前者であるリッシャ市長の計画を継承しましたが、連邦政府による「成長加速化計画2(PAC2)」の予算総額の変更等があった結果,地下鉄導入計画は2分割され,第1期としてクリチバ市南部と中心部を結ぶ14km(14駅),総額22億レアルの計画に対する連邦政府の10億レアルの無償支援が要請されました。そして,2011年10月,ルセーフ大統領がクリチバ市を訪れた際,同計画へ10億レアルの無償供与が1度は発表されましたが、その後,連邦政府による支払い条件変更等の理由により入札は延期されてしまいました。更に同年10月,市長選挙で勝利したフルエチ現市長(PDT)は,ドゥッチ市長時代に検討されていた開削工法と新オーストリアトンネル工法の組み合わせではなく、ほとんどの区間をシールド工法に変更し,全長も市南部から中心部までの計画が中心部を経由しカブラル地区まで延長(4駅が新設)され全長約18kmとなりました。その結果,総事業費は45億6千万レアルとなり,フルエチ市長は連邦政府に対し21億レアルの無償供与を再要請しました。
このように、政治的な影響等を受け紆余曲折がありながらも、ようやく計画内容が落ち着き,昨年,トゥリウンフォ・ホールディング・デ・パルチシパソンエス社(THP)及び伯経済社会開発銀行(BNDES)の子会社BNDESPar社によって構成されるトゥリウンフォ・コンソーシアムによってフィージビリティ調査が4か月かけて実施されました。そして昨年10月,クリチバ市を訪れたルセーフ大統領は同計画に対する18億の無償供与並びにパラナ州政府及びクリチバ市に対し同計画向けに各々7億レアルの融資を発表しました。残りの資金はPPP案件として,落札業者が負担することになっています。
クリチバ市役所の計画局とそのブレーンであるIPPUCによると,現在まさに入札図書の最終チェックを行っているところであり,順調に行けば,5月中旬頃,ルセーフ大統領とフルエチ市長の立ち合いのもと入札が公示され、6月下旬から7月初旬に落札業者が決定する予定です。入札の透明性を確保するため,BM&FBOVESPA社が入札管理業者として選定されました。入札形態は施工と運営(35年間)のパッケージとなる予定の他,納入される車両は,現地調達率80%が条件になっているようです。また,完成後の乗車運賃は,現在のバス料金の一律2.70レアルより安く,現時点で一律2.45レアル以下に設定される予定です。施工期間は6年間の計画ですが,ワールドカップ(6月~7月)や国政選挙(10月)という大きなイベントが予定されていることもあり,計画通りに事業が動いていくのか注目されています。
地下鉄イメージ(出所:クリチバ市役所)
(ア)シナリオA:
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本年2月 |
4月 |
ルセーフ大統領(PT) |
44% |
38% |
ネーヴェス上院議員(PSDB) |
16% |
16% |
カンポス・ペルナンブコ州知事(PSB) |
9% |
10% |
他候補の合計 |
5% |
6% |
白票/無効票/誰にも投票しない |
19% |
20% |
分からない |
7% |
9% |
(イ)シナリオB:
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本年2月 |
4月 |
ルセーフ大統領(PT) |
47% |
43% |
ネーヴェス上院議員(PSDB) |
17% |
18% |
カンポス・ペルナンブコ前州知事(PSB) |
12% |
14% |
白票/無効票/誰にも投票しない |
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19% |
分からない |
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6% |
(ウ)シナリオC:
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本年2月 |
4月 |
ルセーフ大統領(PT) |
43% |
39% |
シルヴァ元環境相(PSB) |
23% |
27% |
ネーヴェス上院議員(PSDB) |
15% |
16% |
白票/無効票/誰にも投票しない |
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13% |
分からない |
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6% |
(エ)シナリオD:
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本年2月 |
4月 |
ルーラ前大統領(PT) |
54% |
52% |
ネーヴェス上院議員(PSDB) |
15% |
16% |
カンポス・ペルナンブコ前州知事(PSB) |
9% |
11% |
白票/無効票/誰にも投票しない |
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16% |
分からない |
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5% |
(オ)シナリオE:
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本年2月 |
4月 |
ルーラ前大統領(PT) |
51% |
48% |
シルヴァ元環境相(PSB) |
19% |
23% |
ネーヴェス上院議員(PSDB) |
14% |
16% |
白票/無効票/誰にも投票しない |
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11% |
分からない |
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4% |
(ア)ルセーフ大統領51%,ネーヴェス上院議員31%
(イ)ルセーフ大統領50%,カンポス前州知事27%