リオ総領事館では、2月27日~3月1日の3日間、ミナスジェライス州ベロオリゾンテ市にて開かれた「ミナス日本祭り」にて、観光庁訪日促進イベント「ビジットジャパン」をブース出展というかたちで実施した。2013年に初めて外国人旅行者数1,000万人を突破した日本だが、日本政府としては、2020年にはさらに倍の2,000万人の外国人旅行者数を目標としている。州内の日系人は少ないものの3日間で2万人が訪れるミナス日本祭りは、親日的なミナス州民が集う、潜在的な日本旅行者の大きな市場だ。
実施にあたって工夫したのは日本文化紹介との差別化である。訪日促進を目的にして日本祭りの中で行う以上、他の日本文化紹介(太鼓、着物、生け花、コスプレ、アニメ等)とは異なるものとし、日本祭り全体に埋もれることを避けたかった。
そこで、本ビジットジャパンでは、「①ありのままの日本を、②魅力的に、③体験できる。」をコンセプトに、日本に興味はあるが日本祭りで体験する以上のことを知らない来場者に対し、日常の日本の中でも多様な体験ができることを伝え、新たな日本の魅力発見につながるような内容とした。
なお、実施にあたっては、事業の主催者である日本政府観光局(JNTO)のほか、山梨県庁、JRグループ(以下、「JR」)、パナソニック、エミレーツからの多大な協力をいただいた。特に山梨県庁とJRは、自らの予算でブラジルに出張し、ブースへ直接参加いただいた。
イベントの主な目玉は以下のとおり。
山梨県はミナスジェライス州と姉妹都市提携を結んでいる。そして同県には昨今世界文化遺産に登録を受けた富士山などの多様な地域資源がある。そこで、本イベントでは山梨県に一つのスポットをあてることとした。その一環として実施したのが、山梨県産のワインと、ミナスの名産であるチーズをコラボレーションさせた試飲・試食である。
なじみのある現地のチーズを用いることにより、来場者にとっては一つのとっかかりとなり、試飲・試食は大盛況に終わった。山梨県産ワインは赤・白両方用意したが、白ワインに対しては「Sake?」と質問されるほど当地では清酒が定着している。この試飲・試食により、日本には多様な酒があることを来場者に印象づけ、日本ブランドのイメージ拡充にも貢献できたものと思われる。
そのほか、山梨県からは、山梨県公式観光ナビゲーターであるキティちゃんをあしらったマグカップ等の各種広報物や、巨大幟に用いる富士山の画像データを提供いただくなど、ブースの盛り上げに貢献をいただいた。
日本国内の旅において欠かせない存在である鉄道のすばらしさと各地の観光スポットを盛り込んだJR作成のDVD映像を、パナソニックの3Dモニターによって映し出した。ともに両社から無償で提供(レンタル)いただいたものである。
これにより、列車が走る姿、車内でサービスを受ける様子、旅先の風景などが、あたかもその場にいるかのように映し出された。当地では3D専用テレビが一般に普及していないこともあり、3D専用眼鏡をかけてモニターを見入る人は絶え間なく続いた。子供達は迫ってくる列車に驚き、ひらひらと舞い落ちる桜の花びらをつかもうとする仕草を見せ、大人たちは驚きの表情を隠せなかった。
日本に関するクイズ大会を1日複数回開催した。企画の際、いかに日本に詳しい人に栄誉を与えるかという視点ではなく、訪日促進の観点から、日本をあまり知らない人でも「こんなものがあるんだ」と興味を持ってもらえるような内容で実施することとした(回転寿司や、相撲の試合前に力士がまくもの(塩)等)。また、設問や回答時には常に写真を見せ、ビジュアルによるインパクトを与え、イメージとして記憶に残すことを狙いとした。
クイズ大会の上位者に授与する景品には、山梨県庁から提供いただいたキティちゃんのマグカップや、エミレーツ航空から提供いただいたオリジナルグッズを用いた。
その他、ブース出展とは別の会場にて、訪日に関する各種情報を提供するためのセミナーも実施した。(スピーカーは、在リオ総領事館、JNTO、エミレーツ航空、JR、山梨県庁、訪日経験のあるミナス州在住のブラジル人の方)
3日間、スタッフは絶え間なく質問者の対応に追われ、用意した資料はたった1種類の資料をのぞき、すべて無くなったほど盛況であった。また、メディアの取材も複数受けた。
本イベントが、日本の疑似体験に終わらず、実際の訪日につながれば本望である。
最後に、本イベントに協力いただいた、山梨県庁、JR、パナソニック、エミレーツ航空の関係者に心から御礼を申し上げたい。これらの方々の協力無くしてはできないイベントであった。
(1)3月6日,連邦最高裁(STF)は,3日にジャノー連邦検事総長が提出した申請に基づき,政治家を含む50名に関する更なる捜査継続を承認し,捜査対象となる50名を公表した。
(2)捜査継続とされた人物の主な内訳は,現職副州知事1名,下院議員22名,上院議員12名,元議員13名,労働者等(PT)財務担当1名,ロビイスト1名。所属政党は与野党6党にまたがっており,進歩党(PP)31名,伯民主運動党(PMDB)7名,労働者党(PT)6名,伯社会民主党(PSDB)1名,伯労働党(PTB)1名, 連帯党(SD)1名。
(3)今般捜査継続決定を受けた者の中には,上院・下院各現職議長が含まれるほか,元文官長のホフマン現上院議員など,与党大物の顔も見られるが,ネーヴェス上院議員と,ルセーフ大統領については,3日のリスト提出時点でジャノー検事総長自身が,起訴しない扱いとしていることをプレスに明言し,今回最高裁が公表したリストの中でも不起訴扱いと判明。
(4)多くの筋では,現政権中枢への直接の捜査はなく,当面大きな波紋は生じないものとみられている。もっとも,検事総局は,大統領職務遂行の中で事件への関与を窺わせる怪しい行動は見当たらないとしつつ,同リストにおいて最高裁が捜査継続を許可したパロッシ元文官長(与党PT)の捜査の延長で,2010大統領選におけるルセーフ大統領の選挙資金源については調査するとしている。ルセーフ第一次政権時代の重要閣僚等大統領に近い人物を中心とする今後の捜査の成り行きについては,慎重に見守っていく必要があると考えられる。
(1)3月15日,連邦直轄区のほか伯の25の州において,政府及び労働者党(PT)に反対するデモが行われ,警察の推計によると全国で少なくとも200万人が参加した。最大規模のデモは,サンパウロ市内のパウリスタ大通りで行われたもので,警察の発表では100万人,ダタフォーリャ社によれば,約21万人が参加したとしている。サンパウロ州でPTの本部に対する放火が行われたが,デモは全体として平和的に行われた。
(2)各州の軍警察によると,主な都市におけるデモ参加者は次のとおり。
サンパウロ約100万人。ポルト・アレグレ10万人。クリチバ8万人。ゴイアニア6万人。ブラジリア約4万5千から5万人。マナウス及びベレン3万人。リオデジャネイロ及びベロオリゾンチ2万5千人。フォルタレーザ約2万人。ナタル1万2千人。レシフェ1万人。
(3)今回のデモは,「自由なブラジル運動(MBL)」,「街頭に出よう(Vem para Rua-VPR)」等を名乗るグループが主にSNSを通じて呼びかけることによって実現した。呼びかけに応じたのは,インフレの上昇,増税等の影響を受け,現状に不満を持つ中間層とされている。なお,デモの現場では,ルセーフ大統領の退陣または弾劾を求める声が最も大きかったが,政治の腐敗及び汚職の一掃を叫ぶ者,少数派ではあるが,軍部によるクーデターを主張する者等様々な主張が見られた。
(4)これを受けて,15日夜,カルドーゾ法務大臣及びロセット大統領府官房長官は記者会見を開き,「政府は,国民の意見を汲み取る用意があり,汚職対策パッケージを近日中に発表する予定である。また,政府は,企業の政治献金廃止等,政治改革にも取り組む所存である。」と表明し, 2013年6月の大規模デモを受けて政府が発表した3つの対応措置をあらためて表明した。
(1)3月18日,大統領支持率に関するダタフォーリャ社の調査結果が発表された。就任前42%あったルセーフ大統領に対する肯定的支持の声は,13%にまで下落し,就任前24%にとどまっていた「ルセーフ政権への評価は悪い」との回答率が,今回62%にまで上昇している。また,ルセーフ再選への支持が最も高かった北東部における政権支持の声(とても良い/良い)が,現在16%にまで低下したことが注目される。
(2)支持率低下については,グローボ等主要テレビ局の解説において,ペトロブラスを中心とする汚職事件に関する新たな情報が続々報道される中での国に対するイメージダウン,経済難による増税,値上げ等を背景に,国民の生活負担増の実感が高まっていることなどを挙げている。
(1)3月18日,伯大統領府は,ゴメス教育大臣が辞表を提出した旨発表した。また25日には,伯大統領府は,トラウマン大統領府社会広報庁長官が辞表を提出し,ルセーフ大統領がこれを受理した旨発表した。
(2)ゴメス教育大臣は,「下院には3~4百名もの脅迫者(achacadores)がいる」と自ら発言したことを問われ,これを釈明するため,下院議場に18日召喚された。同大臣は,議場でクーニャ議長と口論となり,クーニャ議長の所属政党で連立与党の重要な一員であるPMDBは,ゴメス大臣を解任しなければ与党との連立を解消すると大統領に迫った結果,同日中に大統領と同大臣が協議の結果,辞表提出となった。
(3)また,トラウマン長官の辞任については,外部に流出した大統領府社会広報庁の内部文書の中で,当局者である同長官が政府の広報戦略が誤っていたと認めていたこと,また現在の伯の内政状況を政治的カオスと表現していたことで大きな話題となったことから,ルセーフ大統領の怒りを買い,辞任に追い込まれたものと見られている。
(4)27日,2人の辞任を受けて,大統領府は後任人事を発表した。
新大統領府社会広報庁長官:エジーニョ・シルヴァ元下院議員(PT)
新教育大臣:レナート・ジャニーニ・リベイロサンパウロ大学教授(哲学)
3月22日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙は,現政権下における対アフリカ外交の後退について以下のとおり報じており,一例として日本とブラジルが協力してモザンビークで実施しているプロサバンナ事業にも言及している。
(1)ルーラ前大統領は幾度もアフリカを訪問し,17の大使館の新設を通じ,同大陸における影響力を高めたが,現在は資金及び関心の欠如により,伯の対アフリカ外交及び通商政策が崩壊し始めている。同大陸における伯の協力事業予算は2012年から25%削減され,多くの事業が停止されるに至っている。
(2)ヴァーレ社はアフリカ3ヶ国における鉱山開発事業を終了し,モザンビークにおける活動の一部を三井物産に売却した。またペトロブラス社は,ここ2年間で5つの探索地区を返還している。2011年に122.2億ドルであった伯の対アフリカ輸出は,2013年は97億ドルまで減少し,同期間で伯の輸入も12%減少している。
(3)日本,伯及びモザンビークとの協力によるナカラ回廊及び伯のセラードと近似した地域の農業開発を目的としたプロサバンナ事業も停滞している。同事業は,伯農牧研究公社(Embrapa)及び日本が研究所を開設する予定となっているが,伯外務省国際協力庁(ABC)を通じた150万ドルの融資計画は,予算不足により停止している。ABCの予算は,2012年の3690万ドルから2014年の2780万ドルへと減少しており,アフリカにおける事業数も2010年の253件から2014年は161件へと減少している。
(4)伯の人道支援にも影響が生じており,2012年に6520万ドルであった対アフリカ人道支援は,2013年には89%減の690万ドルとなっている。また,2014年には1190万ドルへと増額されているが,これはエボラ対策としての960万ドルの臨時支援を含めた金額となっている。
3月27日,大統領府は,アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加する旨の声明を以下のとおり発表した。
「ブラジル政府は、中国政府からのAIIBへの創設メンバーとしての加盟の招待を受け入れた。ルセーフ大統領は27日,アジアのインフラプロジェクトを金融面で保証することを目的とした本イニシアティブへの参加に非常に興味を持っていると表明した。」