昨年,パラナ州の州都クリチバ市と兵庫県姫路市は姉妹都市提携締結から30年を迎えました(1984年5月14日締結)。長年にわたる交流関係を祝賀するため,昨年11月6日~9日,石見利勝姫路市長一行がクリチバ市を訪問し各種歓迎行事に参加しました。
グスターヴォ・フルエチ・クリチバ市長主催の歓迎行事として,クリチバ市バリグイ公園内公会議場で,アルンス副知事(当時)(リッシャ・パラナ州知事代行),石見市長,八木市議会議長及び池田総領事他,多くの一般市民が参加し,両市姉妹都市提携30周年式典が開催されました。
式典冒頭では,姫路市から記念のプレゼントとして同市や兵庫県に関する和文・英文の多数の書籍が贈呈されました。続いて石見市長から,両市の30年間の絆もクリチバ市民の御陰であると謝辞を述べられ,改修工事を終え今年5月に一般公開が再開される世界文化遺産の姫路城を紹介しつつ,未来に向けて両市の関係が益々盛んになることを祈念する旨挨拶されました。続いて,主催者としてクリチバ市長が歓迎の辞を述べられ,自身の父(マウリシオ・フルエチ)が市長であった30年前にまさに提携が始まったエビソードを回顧しつつ,この間の両市の交流がもたらす果実が多かった旨評価しカウンターパートである姫路市に謝意を表しました。最後にアルンス州知事代行より,両市の関係は日伯友好関係の好例であるとし,教育・文化における当地在住日系人の貢献を評価する趣旨の挨拶を行いました。
来賓挨拶につづき,ピレス・クリチバ市都市計画研究所長が同市の都市計画についての説明を行い,姫路市の高校と交流してきたヴィレラ・ポジチボ高校教諭より両市が行った青少年交流の実例が紹介されました。式典後には,両市関係者等は,当地日系団体有志による折り紙や当地小学生による絵画の展示を鑑賞しました。
式典で挨拶をする石見・姫路市市長
在クリチバ総領事館,国際交流基金サンパウロ日本文化センター,クリチバ文化財団との共催により,クリチバ市が所有するクラシック音楽講堂(カペラ・サンタ・マリア)において,リオデジャネイロ在住の邦人ピアニスト清水由香氏と当地弦楽四重奏団による記念コンサートが開催されました。エレオノラ財務局長(市長代理でフルエチ市長の実妹)を含む複数のクリチバ市幹部及び当地日系社会名士を初めとした約200名が来場されました。演奏ブログラムは三部構成で,第一部は清水由香氏によるピアノ演奏,第二部は弦楽四重奏団の演奏,第三部としてピアノと弦楽四重奏団の共演により日本とブラジルの曲を二曲(Tico Tico no Fuba,紅葉)演奏しました。記念コンサート終了後には,クラシック音楽講堂の中庭において,クリチバ日伯文化援護協会提供によるカクテルが開催され,両市関係者が交流し更に親交を深める機会となり,また参加者より記念コンサートに対する賞賛の声が多く寄せられました。
ピアニスト清水由香氏による演奏
クリチバ市役所は,石見市長一行を歓迎し,サラムニ・クリチバ市議会議長及び多数のクリチバ市の局長級幹部の参加の下,フルエチ市長主催の歓迎昼食会をクリチバ市環境局内のログハウスにて行いました。
そして,滞在最後の夜は,姫路市長一行,フルエチ・クリチバ市長,姉妹提携30周年祝賀に携わったクリチバ市スタッフ等を在クリチバ日本国総領事公邸に招待し歓迎夕食会を開催しました。クリチバ・姫路の両市長と関係者が参加し両市間の今後の交流のあり方について意見交換を行う有意義な機会となりました。
クリチバ市の有名なバス停「チューブ」を視察する石見市長一行
(1)ダタ・フォーリャ社が2月3日から5日にかけて実施した世論調査によれば,ルセーフ大統領の支持率が大統領選挙での勝利後,僅か3ヵ月半で激減していたことが判明した。同大統領に対する評価は,「非常に良い/良い」が前回(昨年12月2日~3日)の42%から23%に急落した他,「悪い/非常に悪い」が前回の24%から44%に急増している。これらは,ルセーフ政権発足以降,最も悪い数字であり,1999年12月(当時のカルドーゾ政権が「悪い/非常に悪い」46%を記録)以来,最低の評価となった。
(2)大統領選挙ではルセーフ大統領に投票した有権者の占める割合が大きい低所得層においても,同大統領の支持率が低下している。昨年12月の時点で,最低賃金2倍までの所得層の半数がルセーフ政権のことを「非常に良い/良い」と評価していたが,現在,この数字は27%に落ち込んでいる。
(3)支持率急落の背景には,ペトロブラス社の汚職,景況感の悪化,悲観主義の蔓延,社会福祉の削減,電力及び水不足等があるが,特に,国民から問題視されているのは,汚職である。「現在,伯が直面している問題で最も深刻なものは何か?」との設問に対し,「汚職」と答えた回答者は,全体の22%に上っており,「医療」(26%)に次いで最も多い結果が出ている。
(4)フォーリャ・デ・サンパウロ紙の分析記事によれば,今回の調査結果からは,昨年の大統領選でルセーフ大統領の言葉を信じて同大統領に投票した有権者が,選挙後,厳しい現実(公共料金の値上げ,社会福祉の削減等)に直面し,ショックを受けていることが窺われるとしている。支持率低下の原因であるペトロブラス社の汚職,経済の悪化,電気及び水不足等の問題が改善する兆しは見えておらず,デモ等の混乱は発生していないものの,状況は,大規模デモが発生した2013年6月より悪いと言える。
(1)2月12日,芸術家のトミエ・オオタケ氏が逝去した(享年101歳)。同氏逝去に関し,ルセーフ大統領が声明を発出したところ,以下のとおり。
(2)ブラジル文化は本日トミエ・オオタケ氏を失った。ブラジル絵画の巨匠であるトミエ・オオタケ氏は日本で生まれたが,百年以上に亘る歳月の中で彼女は真のブラジル人となった。幾何学模様,色彩,動きそして平穏をまとめ上げる才能によりトミエ・オオタケ氏は比類のないアーティストとなった。
悲報に接し,オオタケ氏に敬意を表するとともに,同氏のご遺族,ご友人そして同氏を賛美する人々に謹んでお悔やみ申し上げる。
ジルマ・ルセーフ・ブラジル連邦共和国大統領
(1)2月26日,下院において,ペトロブラス社の汚職事件を調査するための議会調査委員会(CPI)が設置され,ウゴ・モッタ下院議員(PMDB)が委員長,ルイス・セルジオ下院議員(PT)が報告者に選出された。両議員はそれぞれ,CPI設置の目的はペトロブラス社の再建にあるとのスピーチを行った。
(2)弱冠25歳のモッタ委員長は,「我が国最大の企業を救うため,与党議員の経験及び野党議員の協力に期待する。CPIの作業は,独立且つ公正公明なものでなければならない。」旨述べた。また,ルイス・セルジオ報告者は,「石油ほどカルテル化が進んだ業界はない。CPIは,石油業界のカルテルについて掘り下げた調査を行うべきである。」と述べている。
(3)CPI設置後のセッションは,野党PSOLが,過去の選挙における疑惑が指摘される建設会社から献金を受け取っていたCPIメンバー全員の排除を求める動議案を提出したことにより,波乱の幕開けとなった。例えば,モッタ委員長は,アンドラーデ・グチエヘス及びオデブレヒトの2社から45.1万レアル,ルイス・セルジオ報告者は,ケイロス・ガルヴォン,OAS,トーヨー・セタール及びUTCから96.25万レアルを受け取っていたとされている。右同議案は却下されることとなったが,PSOLはこれに対して,異議申し立てを行うこととなった。
(1)2月5日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙は,米国ホワイトハウスが4日,米国家安全保障省(NSA)が(NSAによるルセーフ伯大統領に対する通信傍受が発覚した後も)同大統領への通信傍受を継続しているとのニューヨークタイムズ紙の報道につき,推測に過ぎないとの見解を表明した旨報じている。3日付のニューヨークタイムズ紙は,米国の情報機関が米国人及び外国人に関するデータを収集・使用する際のルールについて定めた新たな規則に関し,「オバマ大統領はメルケル独首相に対する監視は止めた旨公表していたが,ブラジル及びメキシコにおける監視プログラムは継続している模様。」と報じていた。
(2)プライス・ホワイトハウス報道官は,フォーリャ紙の質問に対し,「一般的な規則に照らし,我々は個々の目標に関する詳細は公表しない。最近メディアで報じられたそれらの詳細は推測に過ぎない。」旨メールで回答した。また同報道官は,「オバマ大統領は昨年,国家安全保障チーム及び情報機関に対し,外国のパートナーと信頼関係を再構築するため,協力・連携を深化させるよう指示した。」と述べ,米国は今後同盟国及び友好国の国家元首に対する監視活動は行わない旨情報コミュニティに対し明言したことに言及している。
(1)2月13日,ルセーフ大統領は,大統領府においてシュタインマイヤー独外相の表敬を受けた。主要な議題の一つは,本年8月のメルケル首相の訪伯時に発表される予定でのハイレベル政府間対話の立ち上げに向けた準備であった。また,メルコスール・EU間での自由貿易,国連安保理改革,インターネットガバナンス,デジタル時代のプライバシー権,科学技術・イノベーション及び教育分野における投資及び協力等についても協議した。
(2)会談後の記者会見において,ヴィエイラ外相は,「政府間対話はルセーフ大統領及びメルケル首相のリーダシップによる,包括的かつ幅広い対話メカニズムであり,二国間の主要議題を担当する閣僚も参加する。」と述べた。また,同外相は,独は欧州における伯の主要なパートナーであり,今日,1600社の独企業が伯で活動しており,伯経済のために貿易及び投資を拡大していく必要がある旨述べた。
(3)シュタインマイヤー外相は,両国が共通の価値及び経済的利益を有している旨強調し,「今次の訪問で独は経済及び投資面で信頼できるパートナーであり続けるというメッセージを発したい。現在,欧州及び南米で起こっている危機は,両国関係を緊密化させるものである。」と述べた。なお,同訪伯には対伯投資に関心を有する企業家も同行している。また,ルセーフ大統領との会談後,両国外相はワーキングホリデーに関する覚書に署名した。
(1)2月20日,ルセーフ大統領は,エルサルバドル,パナマ,ベネズエラ,セネガル及びギリシャの5名の大使より信任状を受け取ったものの,インドネシア大使からの信任状の受け取りを拒んでいる。信任状捧呈式後,ルセーフ大統領は,インドネシア大使の不在は,同国に対する対抗措置ではなく,両国関係の進展の可能性を注視するために信任状受け取りを延期したものである旨述べている。
(2)これに対し同日,インドネシア外務省は,21日に協議を行うためにソアレス駐インドネシア伯大使を召喚した。同召喚は,ルセーフ大統領がインドネシア大使からの信任状の受け取りを拒んだことに対するインドネシア側の反発である。また,インドネシアのジャカルタポスト紙は,同国が伯製のミサイル発射装置及び16機の航空機の購入を再検討する可能性を報じている。
(3)1月17日にインドネシアでアルシェル氏が死刑執行された後,ルセーフ大統領は憤り及び悲しみを表明し,ヴィエイラ外相は,アルシェル氏の死刑執行は二国間関係に陰を生じさせるものであると述べ,インドネシア大使に抗議文書を渡していた。更に,駐インドネシア伯大使が協議のために本国に呼び戻されていた。インドネシアではまた,グラルチ氏に対する死刑執行が予定されている。