Embaixada do Japão

トピックス 2014年3月号

国立アマゾン研究所(INPA)と日本の共同プロジェクト紹介

国立アマゾン研究所(Instituto Nacional de Pesquisas da Amazônia: INPA)はアマゾナス州マナウス市に本部を置き,アマゾン熱帯地域の動植物・環境・生態学の研究を行っています。1952年に設立され,その2年後に本格的な活動を開始しました。敷地総面積はアクレ州、ロライマ州、ロンドニア州の支部を含め,38ヘクタールにものぼりますが,市民の自然科学に対する興味や環境意識の向上といった教育を目的に,1995年よりおよそ13ヘクタールを「科学の森(Bosque da Ciência)」として一般に開放しました。

現在ではアマゾン地域における持続可能な天然資源の利用方法の探求に加え,企業や大学と提携し同地の植物を使った食品や化粧品の開発研究や特許出願の支援を行なう等,その活動領域を広げております。こうしてINPAは現在アマゾンの熱帯地域の研究機関という役割に加え,科学技術開発とその活用,住民に興味及び憩いの場所の提供を行っています。

またINPAは様々な外国機関との連携を通じ,多くの共同開発・研究プロジェクトを手がけておりますが,現在INPAと日本が提携して行っているプロジェクトの幾つかをここで紹介します。

INPAと日本の共同プロジェクト紹介

1.「地球の肺」の炭素量はいかに?アマゾン熱帯雨林を地上・上空から調査
「アマゾンの森林における炭素動態の広域評価(CADAF)」

「森林保全・温室効果ガス排出量削減」が提唱される中, ブラジルではアマゾンの森林における炭素蓄積量の変化について具体的に計測する方法が確立されておりませんでした。そこでブラジル政府は,東南アジアでの計測研究に実績がある日本に支援を要請し,ブラジル外務省国際協力庁(ABC)と日本国際協力機構(JICA)を代表とする二国間技術協力プロジェクトが2010年より4年計画で開始されました。このプロジェクトはブラジルよりINPA, 国立宇宙研究所(INPE),日本より森林総合研究所(FFPRI),東京大学,リモート・センシング技術センター(RESTEC)の共同研究のもと進められています。具体的な調査方法は地上・上空の2班に分けられます。「地上班」はアマゾンの原生林に1000カ所以上もの調査区をつくり樹木の調査を行い,「リモート・センシング班」はその周辺を人工衛星や小型飛行機等を使用し上空から調査するこれまでにない大規模な試みです。INPAではこれら支援を活かし,ボリビアやペルーなどの周辺諸国を招いて計測の研修も行っております。

2.市民参加型プロジェクト。開かれた生物多様性の研究を目指して
“フィールドミュージアム”構想によるアマゾンの生物多様性保全プロジェクト

近年,世界では環境教育や地域生態系の研究・保全場所として動植物園・水族館が活用されつつありますが,アマゾン川の中心都市マナウスにはこのような動植物園・水族館が現在存在しません。同地域は,地球上で最も生物多様性に富み全生物種の半数以上が生息していると推定されているにも関わらず,その魚類や水生ほ乳類の生態は,川の濁度が高く未だほぼ未解明です。

このような状況の下、INPAと京都大学, 独立行政法人技術振興機構(JST),文部科学省,外務省が連携して自然環境を活かし,一般見学が可能な観察研究施設と保護区を結ぶ「フィールドミュージアム」を整備しました。アマゾン川及び流域熱帯林の生態系を解明するとともに,地域社会への環境教育、エコツアーの活用により経済的にも貢献することを目指して2013年10月より5年間の計画で,同プロジェクトが実施されています。

3.アマゾン産シイタケの栽培に挑戦
ノエミア・イシカワ博士による鳥取大学,日本きのこセンターとの共同研究

現在およそ20種類が食用として世界に流通しているキノコですが,アマゾンの熱帯雨林には非常に多くのキノコがみかけられ,現地人(インジオ)の間では34種類ほどのきのこが食用にされているという報告があります。しかしその多くが未研究であり,現在マナウスの市場で生きのことして出回っているのはシイタケ,シメジ,シャンピオンのたった3種類であり,その全てが他州からの輸入に頼っています。生シイタケは当地で1Kg143レアルと高値で取引されています。

INPAで研究をしている日系人菌類学者ノエミア・カズエ・イシカワ博士は鳥取大学と日本きのこセンターで共同研究を行い,アマゾンに生息をしているLentinula raphanica(Murrill)がシイタケの仲間であることに着目し,現在栽培を進めています。一般に市場に出回る多くのキノコの栽培温度は通常15から25℃であり,アマゾン地域は高温のため栽培に適しません。ところがLentinula raphanicaの飼育温度は20から35℃であり,アマゾンで栽培が可能となります。傘はしいたけより薄くマーガリンと塩で炒めるとシイタケのような香りがします。

またノエミアさんは2011年の大地震以降,日本が放射能汚染によって失った原木を東南アジアから買おうという動きがありますが,アマゾナスに生息するブラジルナツの木が原木としてキノコの栽培は可能ではないかと提案をしています。

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内政

1.キューバ人医師の米国への亡命申請
  • (1)2月6日付当国各紙は,「より多くの医師を」計画を通じて伯に派遣されていたキューバ人のラモナ・マトス・ロドリゲス医師が,在伯米国大使館に政治亡命の申請を行った旨報道している。
  • (2)同医師は,伯到着後に伯政府から支払われている本来の報酬を知り,騙されたと感じ逃亡を決意した旨述べている。同計画により伯に派遣されている外国人医師には報酬として10000レアル(4170ドル)が毎月支払われているが,同医師が得ていた報酬は毎月受け取る400ドルに加え,600ドルのキューバの銀行口座への送金の計1000ドル(2400レアル)のみであったと述べている。
  • (3)ロドリゲス医師は,自身の行動は他のキューバ人医師も刺激するものとなるであろうと述べた。これに対しキオーロ保健大臣は,「より多くの医師を」計画によるキューバ人医師の離脱率は極めて低いものであるとしつつ,野党が大げさに騒いでいるとして非難するとともに,ロドリゲス医師の計画からの離脱を,患者に対する重大な損害として批判している。同医師の報酬に関する質問についてキオロ保健大臣は,キューバ政府と汎アメリカ保健機構(PAHO)の問題であるとして回答を避けている。また,ロドリゲス医師が在伯米国大使館を訪問し亡命申請関連書類を提出したと述べたのに対し,米国大使館は回答には時間を要する旨答えている。
2.ピメンテル開発商工大臣の辞任
  • (1)2月13日,ピメンテル開発商工大臣の辞任が発表された。
  • (2)また同大臣の後任として,経済学者でもあるマウロ・ボルジェス・ブラジル産業開発庁長官が臨時大臣を務めることが発表された。
3.国内各界のルセーフ大統領への不満及びルーラ大統領による批判
  • (1)2月24日及び25日付当国各紙は,伯国内ではルセーフ大統領に対する不満からルーラ大統領を本年の大統領選挙に推す声が上がっている一方で,ルーラ前大統領も内々にルセーフ大統領を批判しつつも自身の出馬はないと発言している旨報じている。報道によれば,ルーラ前大統領は,公の場ではルセーフ大統領を賞賛しているものの,内々にはルセーフ大統領の政治的手腕及び経済政策を批判しており,ルセーフ大統領が本年の大統領選で再選を果たしたとしても,2015年には経済政策及び政治的手法を変えなければならないと述べている。
  • (2)財界は,ルセーフ大統領の経済に対する過度の介入,経済の低成長(2011年以降,年平均1.8%の成長という,この20年間で最低水準の成長),インフレの上昇(目標値の上限である6.5%に届こうとしている),経常収支の赤字(史上最高水準)等を不満としている。「ルーラ,カムバック」運動を率いている企業家及び銀行家の筆頭は,ルーベンス・オメット・コサン社社長である。
  • (3)ただし,ルーラ前大統領は今のところ,こうした声に対しルセーフ大統領の再選を確信すると述べて,自らの出馬を全面的に否定している。同前大統領に近い友人によれば,ルーラ前大統領は,数ヶ月前に「自分が出馬すれば,ルセーフ大統領の失敗を認めることになるので,それはできない。ルセーフ大統領は幾つかのミスを犯したが,自分は(ルセーフ大統領が大統領として)失敗したとは考えていない。ルセーフ大統領も過ちに気付き,2015年には改善を図るはずである。」と述べた模様。
  • (4)これに対しルセーフ大統領は,ブラジル人記者団との記者会見において,「(マスコミは)あらゆる手段を使って,自分(「ル」大統領)とルーラ前大統領の不仲を演出しようとしているが,これが上手く行くことはないであろう。自分とルーラ前大統領の間には,通常の意見相違以上の対立は存在しない。(ルーラ前大統領が現政権の経済政策を批判しているのを聞いたことがあるかとの記者の質問に対し,)ルーラ前大統領がそのようなコメントを自分に対してしたことは一度もない。」と述べている。
4.2014年大統領選挙:ダタ・フォーリャ社世論調査
  • (1)ダタ・フォーリャ社が2月19日から20日にかけて161市の2,614人を対象に実施した世論調査によれば,現時点での大統領候補の支持率及びこれまでの調査との比較は以下の通り。今回の調査のポイントは,昨年11月以降各候補の支持率に大きな変化は見られず,現時点で選挙が行われれば,ルセーフ大統領が第1回目の投票で有効票の過半数を獲得して再選を決める状況に変りがないとの点にある。

(ア)シナリオA

 

昨年10月

昨年11月

本年2月

ルセーフ大統領(PT)         

42%

47%

47%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

21%

19%

17%

カンポス・ペルナンブコ州知事(PSB)

15%

11%

12%

白票/無効票/誰にも投票しない   

16%

16%

8%

分からない

7%

7%

6%

(イ)シナリオB(シルヴァ元環境相がPSB候補の場合)

 

昨年10月

昨年11月

本年2月

ルセーフ大統領          

39%

42%

43%

シルヴァ元環境相(PSB)     

29%

26%

23%

ネーヴェス上院議員(PSDB) 

17%

15%

15%

白票/無効票/誰にも投票しない

10%

11%

14%

分からない

 5%

 5%

 5%

(ウ)シナリオC(ルーラ前大統領がPT候補の場合)

 

昨年11月

本年2月

ルーラ前大統領(PT)

56%

54%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

16%

15%

カンポス州知事(PSB)

 8%

 9%

白票/無効票/誰にも投票しない

14%

15%

分からない

 6%

 6%

(エ)シナリオD(ルーラ前大統領がPT候補,シルヴァ元大臣がPSB候補の場合)

 

昨年11月

本年2月

ルーラ前大統領(PT)       

52%

51%

シルヴァ元環境相(PSB)

20%

19%

ネーヴェス上院議員(PSDB)

13%

14%

白票/無効票/誰にも投票しない 

9%

11%

分からない

5%

5%

  • (2)決選投票に関しては以下の結果。

(ア)ルセーフ大統領50%,シルヴァ元環境相35%

(イ)ルセーフ大統領54%,ネーヴェス議員27%

(ウ)ルセーフ大統領55%,カンポス知事23%

  • (3)ルセーフ政権に対する評価は,「非常に良い/良い」の割合に変化は見られなかったものの,「悪い/非常に悪い」に関しては昨年6月の大規模デモ直後25%に急上昇した後下降を続けていたが,今回再び上昇に転じた。また「次期大統領が現在の政策を見直すことを望む」と答えた回答者が67%に達していることから,有権者の大方は,PT政権下での政策の見直しを望んでいると見られる。

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外交

1.ベネズエラでの抗議デモにおける伯の立場
  • (1)2月19日付当国フォーリャ・デ・サンパウロ紙は,ベネズエラでの抗議デモにおけるメルコスールのプレスリリースに関して伯外務省が不満を抱いている旨報じている。報道によれば,ベネズエラにおける反政府の抗議デモを「犯罪行為」と称するメルコスールのプレスリリースに関し,多くの伯外交官は,同プレスリリースがバランスに欠き,デモの権利に言及していないことを非難しており,外交的な言い回しより,むしろマドゥーロ政権側の言い回しに類似しているとしている。
  • (2)同17日に発表されたメルコスールのプレスリリースは,メルコスール・メンバー国が,政治的闘争の道具として,ベネズエラにおいて忍耐の限界及び憎悪を波及させようとする犯罪的行為に対して反対する旨確認している。これに対し伯政府はベネズエラでの抗議デモに対してより慎重な立場を採り,伯大統領府はベネズエラにおける抗議デモの動機及び展開は未だ明らかになっていないとしている。
  • (3)本件に関し,フィゲイレド外相は,伯は同国における抗議デモを注視していると述べるのに留めたのに対し,伯を訪問中のヘーグ英外相は,ベネズエラ政府は平和的なデモを抑圧し,活動家及び反政府指導者を捕らえようとしており,英国はベネズエラにおける暴力を大いに懸念している旨述べた。
  • (4)ベネズエラでの抗議デモ及びアルゼンチンでの経済危機を受け,伯政府は域外の国々が南米を「リスク」として捉えていることを認識しつつも,伯のイメージに影響を与えることはないものと分析している。ベネズエラ情勢に対し伯外務省は,伯の立場はマドゥーロ政権を支持する南米諸国共同体(Unasul)及びメルコスールのプレスリリースに反映されているとしている。
2.伯・EU首脳会合
  • (1)2月13日付ヴァロール・エコノミコ紙は,伯政府が2月24日に予定されていた伯・EU首脳会合の延期を発表した旨報じている。これに対し欧州委員会は,同首脳会合の延期について再考するようルセーフ大統領に対して説得したが,同大統領は,EU側との協議可能な具体的案件に欠けるとして,現時点において首脳会合を行う必要はないと判断した。例えば,伯は,アルゼンチン抜きにメルコスール・EU自由貿易協定交渉は進めたくないとしており,アルゼンチンの諸問題が解決するまで,EU側と交渉を進めることはできないとしている。
  • (2)しかしその後14日,伯大統領府はルセーフ大統領の伯・EU首脳会合への出席を発表し,同首脳会合は予定通り24日に実施されることとなった。首脳会議の席上で演説したルセーフ大統領は,伯はインフレ抑制及び財政規律に力を入れ,経済の安定化に努める旨述べた。また同大統領は,メルコスール・EU自由貿易協定の交渉は進んでおり,近いうちに合意に達するであろう旨述べた。

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