Embaixada do Japão

トピックス 2012年2月号

社会保障協定現地説明会について

前号に掲載されたとおり、昨年12月7日に行われた外交上の公文交換によって、本年3月1日から日・ブラジル社会保障協定が発効することとなりました。これに先だち、ブラジル国内4都市(マナウス市、リオデジャネイロ市、サンパウロ市及びクリチバ市)において、各地の商工会議所の協力を得て、現地説明会が実施されることとなりました。各説明会では、今回の協定の概要、日本での手続、ブラジルでの手続、ブラジルにおける社会保障についてなど、厚生労働省、日本年金機構及びブラジル社会保障省(INSS)の担当者による説明と質疑応答が行われる予定です(いずれも日・ポ通訳有り)。日程は2月7日から13日まで、以下のとおり実施されます。詳細な情報については、各地総領事館または商工会議所までお問い合わせください。

(1)2月 7日 16h00 
マナウス市 在マナウス総領事館内広報文化センター(Rua Fortaleza 412、 Adrianópolis、 Manaus)
お問い合わせ:在マナウス総領事館:(92)3232-2000

(2)2月 9日 12h00
リオデジャネイロ市 リオデジャネイロ日本商工会議所(Praia de Botafogo、 228、 Rio de Janeiro)
(同商工会議所月例昼食会の中で実施予定のため、事前にお問い合わせください)
お問い合わせ:リオデジャネイロ日本商工会議所:(21)2524-7361

(3)2月10日 12h00
サンパウロ市 ホテル・マスクードプラザ(Alameida Campinas、 150、 Bela Vista、 São Paulo)
(日本ブラジル商工会議所月例会合の中で実施予定のため、事前にお問い合わせください。)

(4)2月11日 14h00
サンパウロ市 ブラジル日本文化福祉協会(Rua São Joaquim、 381、 Liberdade、 Sao Paulo)
お問い合わせ:日本ブラジル商工会議所:(11)3178-6233
:在サンパウロ総領事館:(11)3254-0100

(5)2月13日 09h30~ 
パラナ日伯商工会議所(Rua Comendador Franco、871、Jardim Botânico、 Curitiba)
お問い合わせ:パラナ日伯商工会議所:(41)3362-3663

今回発効する社会保障協定の内容については、次ページに掲載の資料にまとめられています(厚生労働省及び日本年金機構提供)。

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外交

1 1月18日~19日、ヘーグ英外相はブラジルを訪問し、18日にはパトリオッタ外相と外相会談を行った。この会談で、ヘーグ外相は、ブラジルは英国にとって益々重要なパートーナーとなっている、英国は、昨年11月に在レシフェ領事館を開設する等、伯においてプレゼンスを高めている、両国の関係が更に良好なものとなることを確信している旨述べるとともに、英国が伯の安保理常任理事国入りを支持していることを再確認した。

パトリオッタ外相は、ブラジルは、昨年、GDPにおいて英国を抜き、世界第6位の経済となったが、一人あたりの所得水準は英国の方が遥かに高く、伯英関係は、新たな段階を迎えているが、伯が経済力を増すことによって、より対等なものとなるであろうと述べた。

2 1月30日~31日にルセーフ大統領は、就任後大統領として初のキューバ訪問を行った。この訪問の目的は2カ国の経済関係強化で、ブラジルは、キューバのマリエル港建設に6.8億米ドルを融資するなど、市場経済への移行を促す。

なお、ルセーフ大統領の訪問前に、反体制ブログの制作者であるヨアニ・サンチェス氏にブラジルが査証を発給し、右発行にはルセーフ大統領やパトリオッタ外相も関わっていたと報道されたが、ルセーフ大統領の訪問の際は、キューバの人権政策に関する対話は行われず、ルセーフ大統領は人権問題を政治的武器にすべきではない旨述べた。

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内政

1 1月22日、ルセーフ政権に関する世論調査結果が発表された。調査によれば、ルセーフ大統領就任1年目における政権への評価は、「良い/非常に良い」が59%、「普通」が33%だった。「良い/非常に良い」は半年で10%上昇し、政権発足1年後の支持率として過去最高を記録した。

2 1月24日、アダッジ教育大臣は、サンパウロ市選挙出馬のため大臣の職を辞した。アダッジ大臣の退任式には、ルセーフ大統領やルーラ前大統領に加え、殆どの閣僚が出席した。また、アダッジ教育大臣の辞任に伴い、メルカダンテ科学技術大臣が新教育大臣となり、科学技術大臣にはハウッピ宇宙庁長官が就任することとなったため、アダッジ教育大臣の退任式の同日に、メルカダンテ新教育大臣及びハウッピ新科学技術大臣の就任式も行われた。

3 2月2日、ネグロモンテ都市大臣(PP/進歩党)は辞表を提出し、これでルセーフ政権発足以来9人目(うち汚職疑惑による辞職は7名)の閣僚辞職となった。ネグロモンテ大臣は、昨年よりメディアにより複数の不正疑惑が報じられており、本年の内閣改造で交代させられるとの見方が強かったが、今年に入り不正なロビイストとの会合が報じられたことを受け側近が辞職し、今回の辞職に至った。ただし同大臣は、各種不正疑惑報道には根拠がないとして、それらが辞職の理由ではないと発言している。後任にはアギナルド・リベイロ下院議員(PP)が就任予定。 

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リオの治安対策-UPPの現状と今後

  • -UPPとは-

2014年のサッカーワールドカップ、2016年のオリンピックを控え、リオデジャネイロ州政府が治安の改善に総力を挙げる中、最も注目されている治安対策の取り組みが、UPP(Unidade de Polícia Pacificadora)と呼ばれる、スラム街における常駐の軍警察治安維持部隊である。

従来から、リオデジャネイロのスラム街においては、犯罪組織はスラム街の貧困住民に金銭や薬物、銃器を与え、スラム街住民は麻薬密売組織をスラム街内に匿うという形で相互に補完しあう関係にあるため、麻薬密売組織と住民が強く結びついており、警察が捜査に入ることさえ困難な無法地帯となっている。

そこで、治安当局は警察内部にBOPE(警察特別作戦部隊:軍警察)、CORE(特別人材調整局:文民警察)などの強力な特殊部隊を整備し、強硬手段を用いて一時的にスラム街から麻薬密売組織を排除した上で、スラム街内部に24時間駐留の警察部隊であるUPPを設置することにより、スラム街への麻薬密売組織の回帰を防ぎ、住民と麻薬密売組織を切り離して、抜本的な治安改善を目指している。

  • -ファヴェーラ・ドナ・マルタにおける実験-

州政府はまず、リオ市南部ボタフォゴ地区に位置するファヴェーラ・ドナ・マルタを試験的実施の対象と定めた。リオ市の主要部分に位置しており、治安改善の要請が強いことや、住民8千人と比較的小さく、他のスラム街から独立しているため、比較的管理しやすいと分析されたためであった。

UPPの設置に当たっては、日本の地域警察の概念等を参考にして、従来は警察と対立関係にあったスラム街住民との融和を目指し、警察官は住民の苦情や要求に対して丁寧に声を拾い上げるよう努めた。

UPP設置後に同スラム街で事件が起きた際には、致命傷を与える武器の使用を避け、ゴム弾銃や電気ショック銃を使うなどの配慮をして、住民との信頼関係構築に努めた。

スラム街にはインフラが整備されておらず、住民は劣悪な環境で暮らしていたところ、州政府は上下水道、電気、住居、学校から無線インターネット回線に至るまでの整備を進め、急峻な斜面の移動を助けるために、無料のトロッコ電車を建設した。また、スラム街内部にサッカーグラウンドを整備し、著名なコーチが子供たちを指導することにより、貧困から脱却してスターになる夢を与える事業も行われた。

当初は州政府内部にも懐疑的な見方が多かった取り組みであるが、UPPは次第に住民の信頼を得るようになり、その結果、ドナ・マルタ内部はもちろん、周辺地区の治安も飛躍的に改善された。

スラム街の治安改善が進んだ結果、予想外の展開も訪れた。

リオのスラム街は従来から外国人観光客の間で関心が非常に高かったことから、リオ州政府は治安の改善されたスラム街を観光資源として捉え、パンフレットの作成や展望台の整備などを進めた。スラム街の治安改善は非常にインパクトがあるため、州政府はリオの治安改善PRの格好の材料として活用している。

最近ではUPPにより情勢が安定したスラム街をロケ地とする映画、ドラマ、プロモーションビデオが多数作成されているが、UPPはそのマネージメントを行い、住人をエキストラとして雇用するよう求めるなど、スラム街内部に現金が入るシステムの構築に至るまで、徹底した支援を行っている。

  • -UPPの現状と今後-

ドナ・マルタの成功例を皮切りに次々とUPPが設置され、2011年12月現在、リオ市内に18ヶ所のUPPが設置されている。州政府はオリンピックが開催される2016年までに合計40ヶ所のUPP設置を明らかにしている。

警察は一昨年11月にリオ市北部のコンプレクソ・ド・アレマオン、昨年11月に南部のホシーニャの2大スラム街を制圧し、いずれも本年中にUPPが設置される運びとなっている。

その一方、リオデジャネイロのファヴェーラは市内に約700ヶ所、近郊を含む大リオ圏では1000ヶ所以上存在しており、その大半では銃撃戦や凶悪犯罪が日常化している。

さらには、麻薬密売組織のコントロールに失敗し、UPPの一部隊全体が麻薬密売組織に買収されていた事例も発覚するなど、当地の警察腐敗の根深さが露呈している上、スラム街の住民には行政による管理を嫌う者が少なくないため、治安改善は安易に期待を持てるものではない。 

しかし、これらの問題点を考慮した上でも、UPPの取り組みは全体としては好結果を残しているとの評価が聞かれる。

また、その手法も従来のブラジル警察のスタンスとは一線を画すものであり、今後のブラジル社会が目指す方向性に新たな期待を持たせてくれるとの声も多い。

添付写真
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(左)ファヴェーラ・ドナ・マルタ 。右上にトロッコ電車の線路が見える。
(右)逮捕された麻薬密売組織メンバー。写真のような少年が強力な銃器を多量に所持している。

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(左)UPPの開所式典(ファヴェーラ・トゥオノ) 
(右)住人との融和を目指す

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