Embaixada do Japão

トピックス 2013年01月号

ジャテーネ・パラー州知事の訪日招へい

ジャテーネ・パラー州知事は、2012年9月、外務省の閣僚級招へいプログラムにより日本を訪問した。順調な消費市場の拡大や資源関連事業への期待により、ブラジルへの日本企業の関心は拡大傾向にあるが、パラー州は、日本のビジネスマンにとり馴染みが薄い地域であることは否めない。今回の知事訪日では、高い潜在能力と日本との深い関わりを持ちながらも、これまで限定的であった日本とパラー州の経済関係へのテコ入れが、目的として掲げられた。

パラー州は日本の3.3倍という広大な面積を持つ一方、大部分をアマゾンの熱帯雨林が占めており、また、国内最大の市場と物流拠点を持つサンパウロから3千キロ以上離れていることもあり、輸送インフラ問題が常に経済発展を阻んできた。他方で、鉄鉱石、銅、ボーキサイトなどの天然資源は豊富な埋蔵量を持ち、生産、輸出量ともにミナスジェライス州に次いで全国2位に位置する。また、約3万人の日系社会もパラー州が誇る重要な「資産」であり、農業、法曹、医療、ビジネス等幅広い分野に優秀な人材を輩出している。

表:パラー州基礎情報

項目

数値等

備考

面積

1,247,955k㎡

アマゾナス州に次ぐ面積

人口

7,581,051人

全国9位、2010年

名目GDP総額

413億8,600万ドル

全国の2.1%、2010年

主な内訳(鉱業:21%、商業:9%、製造業:6%)

実質GDP成長率

8.0%

全国:7.5%、2010年

1人当たりGDP

5,454ドル

全国:11,094ドル、2010年

対日輸出額

20億3,400万ドル

伯の対日総額の21%、2011年

対日輸入額

4,400万ドル

伯の対日総額の0.6%、2011年

州都

ベレン

人口:1,393,399人、2010年

出所:ブラジル地理統計院(IBGE)、開発商工省より在ベレン総領事館作成

ジャテーネ知事の最大のミッションの一つは、「ベレン都市圏幹線バスシステム事業」に対する約164億円の円借款の貸付契約調印式への出席で、9月4日、東京で堂道JICA副理事長との間で執り行われた。本事業は、ベレン市と周辺市を結ぶ幹線道路バス専用レーンを設置し、慢性的な交通渋滞を解決して輸送インフラの向上を図り、また、大気汚染を軽減することを目的としている。知事一行は、地方都市で実際に走っているバス・ラピッド・トランジット(BRT)の視察も行い、高効率で事故を最小限に抑える日本の運行システムに高い関心を示した。本事業は、2016年9月の完成を予定している。

今回の訪日では、経団連で日本の企業関係者に対し、パラー州に関するプレゼンテーションも行われた。ジャテーネ知事自ら、州の概要、主な経済活動などについて説明を行い、特に、連邦政府等が進める港湾拡張工事、輸送インフラ整備の進捗と計画などにつき詳細な情報提供が行われた。今後、州北東部の港湾整備や、州を南北に流れるトカンチンス川の巨大岩石破壊等が順調に進めば、これまで「陸の孤島」であったパラー州が、国内外の市場とより早くより低コストで結ばれることとなる。物流網の整備により、パラー州が消費市場としてこれまで以上に認知されれば、ジャテーネ知事念願の製造業への投資拡大も期待することができる。

現在、パラー州から日本への輸出は、鉄鉱石、アルミ地金など付加価値の低い品目が大半を占めるが、州北東部のトメアスーで、日系人を中心にアグロフォレストリー農法で栽培されている熱帯果実ピューレなども、日本企業による輸入が増加傾向にある。ジャテーネ知事は、これら産品がアサイードリンク等として小売店で販売されている状況を視察し、新たな輸出産業の可能性を目の当たりにするとともに、州経済への日系社会の貢献を再認識するに至った。

この他にも、多くの日本の政府、企業関係者との面談を行ったジャテーネ知事は、州企画局長時代の96年の初訪日時と比べ、パラー州への日本の関心は格段に高まったと帰国後に印象を述べた。こうした感想は、昨今の日本企業のブラジル地方都市への関心増を差し引いても、事実に基づいているといえよう。他方、日本企業のパラー州への関心が「本物」となるには、計画通りの輸送及びエネルギー・インフラ整備の実現、教育、治安等社会インフラの改善など、連邦、州政府の課題は山積している。1929年、198名の日本人移住者を受けいれて以来、移住者を核とする長い交流と信頼の歴史を持つ我が国とパラー州が、この21世紀、日本企業の参加を得た新たな経済関係へと飛躍することを期待したい。

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外交

1.ルセーフ大統領の訪仏
  • (1) 12月11日及び12日,ルセーフ大統領はフランスを訪問し,11日,パリにおいてオランド仏大統領との首脳会談を行った。会談の後に発表された共同宣言の内容は以下のとおり。なお,今回の会合においては,日伯間においても関心の高い運輸,ICT,宇宙,留学生派遣受入れ等の協力についても言及された。
  • (2)主な共同宣言内容

(ア)政治分野協力
両首脳は,伯仏の関係維持及び政策調整の強化のため,定例協議を設置し,また,「2+2」戦略対話を活性化することを約束する。2013年上半期中には,ブラジルでの高級実務者による準備会合を開催する。また両国の友好議員連盟の議員交流を促進する。

(イ)経済通商協力
二国間経済においては,毎年の伯仏経済フォーラムを設立し,第一回会合を2013年に開催する。両首脳は,航空,宇宙,インフラ(高速鉄道を含む。),空港経営,防衛,ハイテクの各産業分野におけるパートナーシップ強化を望む。また,仏開発庁(AFD)によるブラジルでの活動も讃えられ,ブラジル経済社会開発銀行(BNDES)及びAFDによる新規協力事業も奨励する。また,グッドプラクティスや経験の交流を促進させ,新たな分野における協力発展を期待する。

(ウ)科学技術イノベーション・産業協力
両首脳は,二国間科学技術協力を支援し,また,産官学協力を奨励する。両国は産業技術における互恵的なパートナーシップ,特に衛星分野,ICTへの産業拠点協力等の発展を支援する。両首脳は,ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)インフラの開発のための協議の進展を推進・支援する。

(エ)エネルギー分野
両国首脳は,特に,原子力分野における対話を評価し,また,原子力開発について再確認すると共に,両国企業の交流,及び,仏アレバ社と伯エレトロヌクレアール社によるアングラ原子力第3発電所の完工,伯原子力産業公団による核燃料サイクル分野等の協力を讃え,2013年上半期における作業部会会合により,二国間協力を更に深めていく。この他,水力,風力発電,また,気候変動対策に資するバイオエネルギー技術の共同開発等の協力も強調。また,オフショア石油開発及び太陽光発電分野における共同投資,パートナーシップ強化にも期待する。両首脳は,モザンビーク水力発電事業のようなアフリカ・サブサハラ地域におけるエネルギー分野第三国協力を含む両国公社間パートナーシップを讃える。

(オ)教育及び文化における協力
フランスは,2015年までに伯政府の留学生送り出し10万人計画(Ciencia sem Fronteiras)の枠組みにおいて1万人の学生及び研究者を受け入れ,仏学生のブラジルへの受入増加も望む。また,この計画と連携して,伯における人材育成の枠組みを更に発展させることを讃える。

(カ)国連
両首脳は,国連のグローバルガバナンス改革を促進するための,協調を強化することを決意。特に,常任・非常任理事国拡大を通じた安保理改革の促進に合意。

(キ)国際経済 
G20等を通じた,国際経済成長支援の必要性に合意。両首脳は,閣僚級定期会合による対話の深化に合意し,G20でのより緊密な協力の確立も希望。両国はIMF及び世銀による改革プロセスを支援する。


オランド大統領との会談Roberto Stuckert Filho/PR

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ルセーフ大統領の訪露
  • (1)ルセーフ大統領は,12月13日及び14日,大統領就任後初めてロシアを公式訪問し,14日には,モスクワにおいてプーチン大統領と首脳会談を行い,貿易の多様化,戦略的パートナーシップの深化,科学技術,文化人文分野における協力進展の見通しについて議論し,以下のとおり共同宣言を発出した。
  • (2)共同宣言の主要ポイント

(ア)経済,貿易及び投資協力
両国首脳は,短期的に二国間貿易額が100億ドルに到達するよう努力することを約束した。両国は貿易の多様化,戦略的パートナーシップの深化,科学技術,文化人文分野における協力進展の見通しについて議論した。

(イ)教育,科学,技術及び革新における協力
両国は戦略的パートナーの深化のための協力に一致。ロシアは,伯政府の留学生送り出し10万人計画への早急の参加を表明。同計画への参加指標については近いうちに両国担当省の諮問にて決定予定。

(ウ)G20枠組みでの協力
  ルセーフ大統領は,露のG20議長国就任に祝意を表明し,国際金融機関改革のためのG20枠組みの可能性を活用する重要性を協調した。また両国はG20における議題を二国間又はBRICSの枠組みで緊密な協力を図ることを再確認した。

(エ)グローバルガバナンス及び国際平和及び安全保障
  両国大統領は,一般的及びBRICSでの多国間枠組による二国間の緊密な協力の必要性を訴え,より公平な国際秩序の構築に協力姿勢を示した。さらに,国連改革の促進に向けた更なる努力の重要性を確認した。さらに,国連安保理の改革についての,政府間での交渉の継続の必要性についても強調した。この意味でプーチン大統領からは,改革安保理における常任理事国にふさわしい有力な候補としてのブラジルへのロシアの支持が表明された。

  • (3)二か国の合意文書

(ア)戦略的パートナーシップに関する行動計画

(イ)2013年~2015年の両国外務省間の政治審査計画

(ウ)関係省庁間での,経済の近代化分野における協力のための覚書

(エ)政府間の防衛協力に関する合意

(オ)オリンピック及びパラリンピック並びにFIFAワールドカップの開催に関するガバナンス及び引継ぎに関する覚書


プーチン大統領との会談Roberto Stuckert Filho/PR

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