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最近の経済情勢 2014年11月

1.経済情勢・経済見通し

(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、10月31日の発表では、本年の経済成長見通しは0.24%と前週より下方修正されており、明年については、1.00%と前週から下方修正されている。

(2)10月7日、IMFは世界経済見通しにおいて、ブラジルの経済成長率見通しについて本年0.3%、明年1.4%とした。

2.経済政策等

(1)10月7日、マンテガ財務大臣は、IMFが本年の経済成長見通しを0.3%としたことに関して悲観的に過ぎるとし、確かに上半期は非常に弱含んでいたが、下半期は回復を示す指標が出ていると反論した。

(2)10月8日、オランド財務省経済政策局長は、12か月累計の拡大消費者物価指数(IPCA)が6.75%に達したことを受け、特に牛肉の価格が上昇しているため、国民は牛肉の消費を控え、鶏肉や卵などを代替食品とすることを考える必要がある旨発言。また、たとえ現時点でインフレ率が目標圏の上限を超えていても年末までには目標圏内に落ちつくとの見方を示した。

(3)10月10日、マンテガ財務大臣は、米国連邦準備制度理事会(FRB)が実質ゼロ金利を解除すれば、短期的な資金流動を招き、新興国・途上国に副作用を与える可能性があると述べた。ただし同大臣は、新興国は総じて外貨準備が増加しており、財政も強固になっているため、資金逆流の衝撃に耐える強さがあることを強調した。

(4)10月14日、マンテガ財務大臣は、社会負担金(PIS)及び社会保障融資負担金(Cofins)の簡素化は来年まで延期されるだろうと発言した。

(5)10月28日、再選を果たしたルセーフ大統領は、ブラジルは困難な状況の中を進んでいるが、経済成長を取り戻すというはっきりした目的の下で国民が団結すれば困難は克服できるとし、企業経営者の意見に耳を傾け、今後の政策調整に関する議論を行う機会を設けることを言明した。

3.中銀の金融政策等

(1)10月11日、トンビーニ伯中銀総裁は、FRBが利上げを開始すれば、ブラジル経済は一段と不安定になるとの認識を示しつつ、ブラジルは外貨準備を増やし、変動相場制を維持し、利上げに対する備えはできていると述べた。

(2)10月15日、伯中銀は、銀行が企業向け短期貸出を増加させた場合、定期性預金準備率を引下げると発表。

(3)10月29日、伯中銀通貨政策委員会(Copom)は、本年4月以降11.00%に据え置かれていた政策金利(Selic)を0.25%引上げ、11.25%に引き上げることを賛成5票、現状維持3票で決定した。

4.為替市場・株式市場

(1)為替市場

(ア)10月のドル・レアル為替相場は、経済界からの支持が高いPSDBのネーヴェス候補が大統領選の決選投票に残る可能性が高まったことでレアル買いの動きが強まり、5日に行われた第1回目の投票で同候補が決選投票に残ったため、週明けの6日にレアルは1.8%上昇した。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公開され、世界的な景気回復の鈍さから米国の早期利上げ観測が後退したこともあり、レアルは9日に1ドル=2.3908レアル(買値)の月内最高値を記録した。その後、欧州をはじめとする世界的な景気に対する不安感が強まりドルが上昇する一方、ネーヴェス候補の支持率が伸びたことでレアルを買う動きも見られた。

(イ)しかし月の半ばになると、大統領選の候補者による討論会でネーヴェス候補の評価が芳しくなかったことでレアルが売られる展開となった。世界経済の減速傾向が強まり、リスク通貨であるレアルを売って安定的なドルを買う動きが活発化したことや、第1回投票後の世論調査で僅かながら初めてルセーフ大統領の支持率がネーヴェス候補を上回ったことで、為替相場は2008年12月以来の1ドル=2.5レアルを超えるレアル安水準に達した。その後、大統領選の決選投票日を前に為替は神経質な動きとなり、26日の決選投票でルセーフ大統領が勝利したことを受け、翌27日に2005年以来のドル高レアル安となる1ドル=2.5341レアル(売値)を記録した。

(ウ)ただし月末にかけて、再選されたルセーフ大統領が野党や企業などとの対話を重視する姿勢を強調したことや、11月から経済に関して具体的な施策を講じると発言したことが市場で評価されたことに加え、政策金利(Selic)の引き上げで高金利通貨のレアルを買う動きが活発化した。その結果、レアルは10月に今年の最安値を更新したものの、月末は前月末比マイナス0.28%の下落となる1ドル=2.4436レアル(買値)で取引を終えた。

(2)株式市場

(ア)10月のブラジルの株式相場(ボベスパ指数)は、世論調査でルセーフ大統領再選の可能性が高まったことや、9月の貿易収支が同月として98年以降で最大の赤字額となったことで、大幅な下落で始まった。しかし、大統領選でネーヴェス候補の支持率が高まり、第1回目の投票の結果、同候補が予想以上の得票率を獲得し決選投票に残ると、それを好感して一日で4.7%もの大幅上昇となった。月の半ばは、低調な米国の小売売上高など世界経済に対する悲観的な見方による売りと、大統領選でのネーヴェス候補当選への期待感から政府系企業の株に対する買いが交錯する展開となった。

(イ)しかし、大統領選で両候補の接戦状態から先行き不透明感が高まったことに加え、ブラジルの9月の正規雇用創出数が前年同期比でマイナス41%と大幅に減少したことから、16日には一日でマイナス3.24%もの大幅下落となった。その後も、米国をはじめとする世界的な株安の影響からボベスパ指数も連日値を下げるなか、決選投票直前の世論調査でルセーフ大統領が初めてネーヴェス候補をリードし同大統領の再選の可能性が高まったことや、ムーディーズによるペトロブラスの信用格付けの引下げにより、21日も1日で3.44%%の大幅下落となった。そして、株価は大統領選の決選投票日を前に乱高下した後、ルセーフ大統領が再選されると、ペトロブラスやエレトロブラスなど政府系企業の株を中心に大きく売られ、決選投票日明けの27日に月内最安値となる50,504ポイントまで下落した。

(ウ)しかし月末にかけては、ルセーフ大統領が再選されたものの、新政権において市場をより重視する新しい経済チームが組織されるであろうとの期待感から、株価は反発。米国の早期利上げ観測が高まったことで一時下落したが、Selicの引き上げが政府と中央銀行のインフレ抑制に対する強い意志として捉えられたこと、ペトロブラスが燃料価格の変更を行うのではとの観測が高まったこと、日本銀行が追加金融緩和策を発表したことなどを好感して上昇した。そして、月末の株価は54,629ポイントで、前月末比で0.95%とほぼ同じレベルで10月の取引を終了した。

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