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最近の経済情勢 2014年10月

1.経済情勢・経済見通し

(1)中銀が週次で発表しているエコノミストへの調査に基づく経済成長予測に関し、9月26日の発表では、本年の経済成長見通しは0.29%と前週より下方修正されており、明年についても1.01%と前週から据え置きとなっている。

(2)9月9日、格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、Baa2としているブラジルの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

(3)9月17日、IMFは、G20に向けて報告書を発表し、ブラジル経済に関し、本年第2四半期は投資と消費の減退が顕著である、選挙が迫る中、企業や消費者の信頼感が減退しており、貿易相手国経済の減速も追加的に足を引っ張る要素となっている等と記述。

(4)9月28日、ブラジル中銀は、四半期に一度発表している「インフレ報告書」において、本年の経済成長率見通しを0.7%(前回6月の報告書の1.6%から下方修正)、インフレ率を6.3%(前回3月の報告書の6.4%から下方修正)とした。

2.経済政策等

(1)9月3日、ブラジル財務省は、最近の経済成長の減速は、ワールドカップによる休日の増加、米国の連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、アルゼンチンの経済危機に起因する輸出の減少、インフレ抑制のため中銀による高金利政策が続いていること等が原因であるとする調査報告書を発表した。

(2)9月4日、マンテガ財務大臣は、グローボニュースのインタビューにおいて、本年上半期の経済成長の減速は、干ばつ、ワールドカップによる営業日の減少、国際的な経済危機に起因するとし、ブラジル経済の大部分の問題は国際的経済危機に影響されたものであると強調した。

(3)9月8日、ルセーフ大統領は、再選を果たした場合の財務大臣について問われた際、「新しい政府、新しいチーム」と答え、マンテガ財務大臣の再任の可能性はない旨発言、また、マンテガ財務大臣も大統領選挙後に財務大臣職を辞任することを示唆する発言を行った。

(4)9月10日、11日、経団連とブラジル全国工業連盟(CNI)は、第17回日伯経済合同委員会を東京において開催し、日伯経済連携協定(EPA)に関する研究の開始について覚書を交わしたほか、貿易投資促進、天然資源・エネルギー、ビジネス環境整備、インフラ整備等に関する意見交換を行った。

(5)9月15日、マンテガ財務大臣は、CNIとの会合の席上、海外収益の9%に相当する租税還付金を全製造業に適用することを表明。

(6)9月17日、マンテガ財務大臣は、低所得層向け住宅建設計画(Minha Casa, Minha Vida)を拡充し,新たに35万戸を明年上半期に建設すると発表。同計画の第2段階では,255万戸の建設が予定されており,今回の発表で約300万人の低所得層が住宅購入の機会を得ることになるとしている。

(7)9月29日、マンテガ財務大臣は、企業の国際競争力の強化策として輸出企業への税返還制度・貸付制度等を発表。

3.中銀の金融政策

(1)9月3日、伯中銀は政策金利(Selic)を11.00%に据え置くとの声明を全会一致で発表。

(2)9月29日、伯中銀のアラウジョ副総裁は、インフレ率が高止まりを続けている現状に触れ、あらゆる必要な措置を取ると述べ、さらなる政策金利の引上げの可能性に含みを持たせた。

4.為替市場・株式市場

(1)為替市場

(ア)9月のドル・レアル為替相場は、大統領選挙戦の動向に左右され、ドル高レアル安が進行することとなった。月のはじめ、ルセーフ大統領の支持率が予想より低下しなかったことでレアルが売られたのと同時に、欧米とロシアの関係悪化、スコットランド独立をめぐる住民投票、中国の輸入減少など海外での不安定要素からドルを買う動きが活発化した。

(イ)その後も、格付会社ムーディーズがブラジルの信用見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ変更したことや、大統領選に関する世論調査でルセーフ大統領の支持率が上がったことを嫌気して、レアルを売る動きが続いた。また、公開された米国FRBの議事録でゼロ金利政策が当面維持される一方、来年以降の引き上げ予測が示されたことや、中国の経済成長の鈍化に対する懸念などのドル買い要素も加わった。

(ウ)月の後半、急激なドル高レアル安の進行に対して、中銀が日常的に行っているスワップの為替介入の規模を拡大したことで、若干レアル高に振れる場面も見られた。しかし、大統領選でルセーフ大統領の優勢が顕著になると再びレアルは大きく売られ、29日には1ドル=2.4522レアル(売値)と今年のドル最高値を更新した。そして月末、ドルは前月末比9.44%の上昇となる1ドル=2.4510(売値)で9月の取引を終えた。

(2)株式市場

(ア)9月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)も為替市場と同様、大統領選の動向に左右され、概ね値を下げる展開となった。月のはじめ、世論調査でシルヴァ候補が勝利する可能性が示されたことで、株価は2日に61,896ポイントの今年の最高値を記録した。しかし、その後に発表された世論調査でルセーフ大統領の支持率が高かったことに加え、ペトロブラスをめぐる汚職疑惑に閣僚や議員が関わっていた可能性が明るみに出たことで同社株が売られ、株価は下落に転じた。

(イ)月の半ば、鉄鉱石の国際価格の上昇を受けヴァーレなどの関連株が買われたことや、ルセーフ大統領の支持率が若干低下した一方、企業団体を支持基盤の一つに持つPSDBのネーヴェス候補が盛り返したことで、株価は一時上昇する場面も見られた。しかし、ルセーフ大統領の支持率が上昇すると株価は再び下落した。

(ウ)月の後半、米国の第2四半期GDPが好調だったという好材料もあったが、大統領選でルセーフ大統領のリードが広がったこともあり、ペトロブラスなどの政府系企業を中心とした株が売られ、29日には一日で4.5%もの大幅な下落となった。そして株価は月末、月内の最安値となる54,116ポイントまで値を下げ、前月末比で11.70%もの下落で9月の取引を終了した。

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