Embaixada do Japão

最近の経済情勢 2012年10月

1.経済情勢・経済見通し

(1)中銀が週次で発表する市場(エコノミスト調査)の経済成長予測は、このところ、下方修正されており、9月28日現在で本年のブラジル経済成長率の市場見通しは1.57%となっている。

(2)9月13日、マンテガ財務大臣は、これまで本年のGDP成長率見通しを3%と主張してきたが、2%に下方修正するとの見方を示した。しかし、明年には先般発表された電力料金の引下げや、減税、金融緩和などの様々な景気刺激策が功を奏し、4%の成長を達成できるとの見方を堅持している。

(3)9月27日、ブラジル中銀は、四半期に一度公表している「インフレ報告書」を発表し、本年の経済成長率は1.6%、インフレ率は5.2%との見通しを示したところ、概要以下のとおり。

(ア)世界経済を見ると、米国では、労働市場の脆弱性や財政面の懸念に回復のペースは制約されている。ユーロ圏では、政情不安や、銀行システムの健全性に対する懐疑的な見方が継続している。また、ラテンアメリカやアジアの新興国でも、成長の度合いは控えめなものとなっている。
(イ)一次産品価格は、前回の報告書以来上昇しており、特に農産品価格は供給不足を反映して高騰している。ただし、中国の経済活動の減速は、世界経済の脆弱性と結びつき、一次産品価格の高騰を抑制する方向に向かっている。
(ウ)ブラジルにおいては、経済回復は漸進的であるが、そのペースは、今四半期(10月~12月)及び明年において、加速するであろう。中でも貿易や投資の増加、家計消費などの点は、昨年以降に実施された金融政策の重要性を際立たせることになろう。ただし、現在のところ、その効果の顕在化にはタイムラグがあると考えられる。
(エ)財政政策に関連して公的部門の収支を見ると、中立的路線から拡張路線へと迅速にスタンスを変化させている。しかし、通貨政策委員会は、現在のインフレ見通しは、財政赤字の減少を確固たるものとすると考えており、この考えは、プライマリーバランスの黒字の維持とも調和していると考えている。
(オ)インフレについては、拡大消費者物価指数(IPCA)は、8月に12か月累計で5.24%となり、前年同月の12カ月累計より1.98%減となった。通貨政策委員会は、昨年第4四半期以降累積インフレ率は下降を始め、直線的にではないものの、インフレ目標へ向けて軌道を変えたと再確認している。
(カ)今後の見通しについていえば、今後1ドル2.05レアル、政策金利7.50%で維持されるとすると、本年のインフレ率は5.2%、明年は4.9%、2014年の第3四半期には5.1%となると見込まれる。
(キ)これまで累次とられた各種政策は一部効果を発揮しているものの、効果の顕在化にタイムラグがあることを考慮すれば、通貨政策委員会は、今後のシナリオにおいて更なる金融政策調整を容認するとしても、その動きは慎重なる節度を持って行われるべきであることを理解している。今回中銀が想定したシナリオに基づけば、本年のGDP成長率は1.6%、明年6月までの1年間の成長率は3.3%となることが見込まれる。

セクター

2012年

2013年

 

第2四半期*

第4四半期*

第2四半期***

農牧畜業
工業
鉱物資源採掘
加工業
建設
電気ガス

サービス
商業
輸送・保管・配送
情報サービス
金融仲介業等
その他サービス
不動産
保健・教育

国内総生産

家計消費
政府支出
総固定資本形成
輸出
輸入 

1.5
▲0.4
1.7
▲2.9
2.9
3.7

1.6
1.2
1.0
3.9
1.7
0.9
1.3
2.4

1.2

2.5
2.2
▲0.3
2.8
5.0

▲1.4
▲0.1
0.8
▲2.2
2.5
3.6

2.2
2.1
1.1
2.7
2.4
1.7
1.5
3.1

1.6

3.3
3.7
▲2.2
0.9
2.7

4.8
2.0
3.3
0.8
3.3
3.2

3.3
4.0
3.2
3.2
4.9
3.1
1.6
3.0

3.3

4.2
3.6
1.4
1.5
2.7

*2011年6月~2012年6月までの実績
**2012年1月~12月までの成長見通し
***2012年6月~2013年6月までの成長見通し

2.経済政策等

(1)9月4日、貿易審議会(CAMEX)は、鉄鋼製品、石油化学品、ばれいしょ、タイヤ等100品目の輸入関税を最大25%にまで引き上げることを発表。関税引上げは、10月1日から実施された。CAMEXの議長を務めるピメンテル開発商工大臣は、今回の措置は完全にWTOルールに整合的であるとしており、また、マンテガ財務大臣は、今回の輸入関税引上げは、国内生産の刺激が目的であって、インフレは望んではおらず、こうした品目の価格はモニタリングしていく、また、仮に価格上昇が生じた場合、その品目は関税引上げの対象から外されると述べた。

(2)9月6日、ルセーフ大統領は、独立記念日前夜の国民向けテレビ演説において、産業界及び一般消費者に対する電力料金の値下げを行うと述べた。政府と電力会社との間のコンセッション契約の見直しと各種課徴金の減免等により、産業界(大口消費者)に対しては電力価格を平均28%引き下げ、一般消費者(小口消費者)に対しては平均16.2%引き下げる。新しい料金は2013年2月より実施される予定。

(3)9月17日、ルセーフ大統領は、本年4月に制定された暫定措置令第563号の内容を立法化した法律第12715号を裁可した。同法は、移転価格税制にかかる利益マージン率を定めることに加え、ブラジル・マヨール計画の一環として、本年4月に発表された自動車に対するIPI減税(2013年~17年)、輸入品にかかる社会保険負担金(COFINS)の1%引上げ等を内容としている。

(4)9月25日、ルセーフ大統領は、国連総会の一般討論演説において、「先進国の中央銀行が、為替レートの不均衡をもたらす金融緩和政策に固執しているため、ブラジルをはじめとした新興国は、人為的な自国通貨高により市場を失い、世界的な不況は更に悪化している」と先進国の金融政策を批判し、「このような状況に対応するために途上国が貿易上の正当防衛行為をとることを「保護主義」として不当に位置づけることは受け入れられない」と主張。また、国連各加盟国とG20、IMF、世銀等の多国間の枠組みとの連携強化により、財政政策と金融政策の再調整を模索し、経済不況の悪化を防ぎ、通貨戦争をコントロールし、世界の需要を刺激すべきであるとも主張。

3.中銀の金融政策

9月14日、中銀は、民間銀行の預金準備率を普通預金については現行の6%から0%へ、定期預金については現行の12%から11%へ引き下げ、より一層の金融緩和を推進することを発表。

4.為替相場・株式相場

(1)9月のレアルの対ドル相場は、1レアル=2.01~2.04ドルの狭いレンジで安定的に推移。

(2)9月20日、マンテガ財務大臣は、ロンドンでの講演において、現在の為替相場を維持するため、今後も何らかの手段を取る旨発言。

(3)9月の株式市場は市場インフレ予測が下降したことなどを受けて、若干上昇し、9月後半にかけて60,000ポイント程度の水準で推移。

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