(1)中銀が週次で発表する市場の経済成長予測は、このところ、連続して下方修正されており、8月31日現在で本年のブラジル経済成長率見通しは1.64%にまで下方修正されている。
(2)8月31日、ブラジル地理統計院(IBGE)は、本年第2四半期(4-6月)のGDPを発表。前期比0.4%、前年同期比0.5%の伸びとなった。12か月累計で1.2%となり、事前のアナリスト予測平均(前期比0.46%)を下回る結果となった。
(3)部門別にみると、農業部門が前期比4.9%、サービス部門が同0.7%の伸びとなったのに対し、工業部門はマイナス2.5%となっている。工業部門は、とりわけ、電化製品、通信機器、自動車部品等の一般製造業(マイナス2.5%)、鉱物精製(マイナス2.3%)、建設(マイナス0.7%)の落ち込みが顕著となっている。
(4)また、民間消費は前期比0.6%、政府消費は同1.1%であるが、総固定資本形成は同マイナス0.7%となっている。また、輸入が前期比1.9%となる一方、輸出は同マイナス0.7%と落ち込んだ。
(5)これに関して民間アナリスト等は、投資が落ち込む中、消費は若干拡大しているものの、ブラジル経済全体の潜在成長率は減少している、また、世界経済の減速が為替レートの下落効果以上に輸出に打撃を与えている等との見方をしている。他方、マンテガ財務大臣は、ブラジル企業は既に年率6%で投資需要を増加させており、現在は余力を残している、既に投資の動きは起こりつつあると述べ、依然として、今年後半からの回復、2013年の最低4%の成長率達成との見方を堅持している。
(1)8月15日、ルセーフ大統領は、コンセッション契約に基づき民間企業とのパートナーシップによって進められる総額1,330億レアル(約5兆3200億円)に上る道路、鉄道事業への投資計画を発表。内訳は、道路事業(7,500km拡張予定)に420億レアル(約1兆6,800億円)、鉄道事業(1万km拡張予定)に910億レアル(約3兆6,400億円)。いずれもコンセッション契約に基づく民間企業の投資によって進められ、ブラジル経済社会開発銀行(BNDES)等の融資が行われる。
(2)同月25日には、本件コンセッションに参加する民間企業の投融資リスクを引き受ける、保険公社の設立を発表した。
(3)本件計画に関しては、エコノミストや業界団体などからは、インフラ投資への政府の取組については評価しつつも、予定通りに実施できるのか懐疑的な見方がなされている。
(1)8月31日、政府は、総額2.14兆レアル(約85.6兆円)に上る2013年度予算案を発表し、議会に提出した。4.5%のGDP成長率、4.5%のインフレ率を維持するとの目標を掲げ、財政赤字額を本年度の対GDP比1.6%から1%へ削減することなども目標として掲げている。
(2)4.5%の成長目標達成のためには、歳出面では、成長促進プログラム(PAC)、保健、教育等を投資の優先分野とし、歳入面では、これまで発表された減税策に加えて152億レアル(約6,000億円)の減税を2013年度中に行うこととしている。
(3)その他の目標として、労働者最低賃金を670.95レアル(本年より7.9%増)、政策金利を年平均8.03%、平均為替レートを1米ドル=2.03レアル、州政府による投資を1,106億レアル(約4.4兆円)としている。
(1)8月29日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策金利を事前の市場予測どおり0.5ポイント引き下げ、年率7.5%とする事を決定。今回の引下げで9回連続の引下げとなり、インフレ率を差し引いた実質金利は1.98%となった。中銀のプレスリリースでは、更なる利下げの可能性を排除はしていない。
(2)市場では今回の利下げ後も、更なる利下げを見込み、7%までの下落を予想する声も依然多いものの、今回の発表は最大限の慎重な節度を以て(maximo parcimônia)との表現を用いていることから、昨年8月以降の大胆な金融緩和政策の基調は終了し、更なる利下げがあったとしても0.25%程度の小幅なものに留まるだろうとの見方もなされている。
(1)8月のレアルの対ドル相場は、中銀による双方向の為替介入もあり、1レアル=2.01~2.05ドルの狭いレンジで安定的に推移。
(2)株式市場は資源関連株及び金融株が中心で、資源価格等の動向にリンクしており、足元は、58,000~59,000ポイントのレンジで推移。