(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、5月29日時点では、本年の経済成長はマイナス1.27%と前週より下方修正、明年の経済成長は1.00%と前週から据え置き。
(2)5月29日、ブラジル地理統計院は、本年第一四半期のGDP成長率が前期比マイナス0.2%、前年同期比マイナス1.6%となったと発表。
(1)5月7日、レヴィ財務大臣は、前日に失業保険給付削減法案が議会において僅差で可決したことを受け、緊縮財政政策は景気回復のため依然として必要であり、ブラジル経済にとって最大のリスクが財政不均衡であると強調した。
(2)5月12日、レヴィ財務大臣は、ロンドンで世界の投資家に向けた講演を行い、現在ブラジル経済は、世界経済の状況の変化に対応するための調整移行期間にあり、明年の成長を確かなものとする軌道を歩んでいると強調し、そのために連邦税の簡素化などに取り組んでいることを説明した。
(3)5月13日、社会保障関連の歳出削減法案が議会において可決され、最大75億レアルの歳出削減が見込まれるとされる。
(4)5月22日、ブラジル政府は、銀行に対する社会負担金(CSLL)の税率を15%から20%へと引き上げた。また、2015年の投資や教育・医療向けの歳出を699億レアル凍結することを発表した。これに関連してレヴィ財務大臣は、歳入が不十分な状況になっていることを強調しつつ、今後は財政立て直しに向け増税よりも経済改革を深化させる必要性を訴え、金融取引税(IOF)の税率引上げ等は検討していないと述べた。
(5)5月26日、ルセーフ大統領はメキシコを訪問し、メキシコ両政との間で2国間貿易の規制緩和を進める協定に署名した。
(6)5月29日、レヴィ財務大臣は、リオデジャネイロでの経済界に対する講演において、農業対策やインフラ投資計画の発表を計画しているとし、緊縮財政の手は緩めないとしながらも、政府として諸々の景気対策を進める方針を明らかにした。
(1)5月7日、中銀は4月29日の通貨政策審議会(Copom)の議事要旨を公表し、物価上昇率は今年と来年の大半の期間、目標よりも上振れすると想定し、現在の積極的な利上げペースを維持することで物価抑制に努めていく旨表明した。インフレ率が目標圏の中央値である4.5%に収まるのは明年であると改めて明確にしたものの、これまでの取り組みが不十分であると認める記載がなされた。またエネルギー等管理価格の引上げとレアルの下落がもたらすインフレ圧力を緩和することを目指すべきだとの考えも示された。
(2)5月15日、中銀のアワズ・ペレイラ副総裁は、ブラジルが重要かつ必要なマクロ経済政策の調整に入っているとし、同時に米国の経済が期待よりも振るわないとは言え、回復のセンチメントはなくなっておらず、他の先進国もデフレのリスクは減じており、米国の金融政策の正常化にも準備しなければならないと述べた。
(3)5月22日、トンビーニ中銀総裁は、インフレ抑制について「これは我々の責務であり、必要なことは何でもやる」と述べ、市場では今後の追加利上げを示唆したとの受け止め方がなされた。
(4)5月28日、ブラジル中銀は、住宅購入向けへの貸出を条件に最大18%まで預金準備を取り崩すことと認め、この措置により225億レアルが住宅市場に供給されると発表した。他方、定期預金の金利を20%から25%に引上げることも発表した。
(ア)5月のドル・レアル為替相場は、メーデー前に中央銀行が為替介入の規模を縮小するとの見解を示したため、休み明けにドル高レアル安が進行した。しかし、公開されたCopomの議事録で金融政策は情勢の注視を継続すべきとの見解が示されたため、今後もSelicは引き上げられるとの見方から金利高を見越したレアル買いが強まり、一方で、発表された米国の雇用状況が市場予測を下回ったことでドルが売られた。
(イ)その後、中国の金利引き下げやギリシャ問題の不透明感の増大などのドル買い要素がある一方、米国の利上げが予想より遅れる可能性というドル売り要素もあり、月の半ばは小幅な値動きとなった。
(ウ)月の後半になると、政府の財政緊縮案に関する議会審議が遅れていることを嫌気したレアル売りとともに、米国FRBのイエレン議長が年内の利上げの可能性を示唆したことや米国経済の好調さを表す指標が発表されたことでドル買いが強まった。そして、市場予想よりは良かったものの、依然芳しくない結果となったブラジルの第1四半期GDPが発表されると更にレアル安が進行し、月末は1ドル=3.1788レアル(売値)で5月の取引を終えた(前月末比6.19%のドル高レアル安であるとともに、レアルの月内最安値)。
(1)5月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)は、前月の流れを引き継ぎ、4月末に決算報告を行ったペトロブラスやヴァーレなどの鉄鋼関連株を、主に外国人投資家が買う動きが強まり上昇。特に、汚職や経営問題で過去の四半期が2期連続でマイナスだったペトロブラスが第1四半期の決算を発表し、純利益が53億レアルのプラスとなり、市場の予想を上回ったことで同社株が大幅高となり、5日には今年の最高値となる58,052ポイントを記録した。
(2)しかし、政府が699億レアルに上る財政支出削減を発表し、市場が期待していた削減額の700億レアル近かったためある程度は好感を持って受け止められたが、その内容は、低所得向け住宅政策などを管轄する都市省、保健省、教育省、運輸省の予算削減額が大きく、インフラ整備等の政策に大きな影響が出ることが予想されるものであったこと、4月の雇用統計が悪化したことに加え、上院で政府の財政緊縮案の一つが可決されたものの、ブラジルの財政問題はすぐには改善しないとの見方から、株価は右肩下がりとなった。
(3)そして、月末に発表されたブラジルの第1四半期GDPがやはりマイナスだったことも追い打ちをかけ、5月の終値は前月末比6.17%マイナスとなる52,760ポイントまで値を下げ取引を終了した。