(1)中銀が週次で発表しているエコノミストへの調査に基づく経済成長予測に関し、5月30日の発表では、本年の経済成長見通しは1.50%と前週より下方修正、明年の経済成長見通しについても1.85%と前週より下方修正されている。
(2)5月30日、ブラジル地理統計院(IBGE)は本年第1四半期のGDP成長率が前期比0.2%、前年同期比1.9%となったと発表。
(1)5月22日、ルセーフ大統領は、伯南北鉄道の一部区間であるアナポリス(ゴイアニア州)-パルマス(トカンチンス州)間の855kmの完工式に出席した。大統領は、南北鉄道の整備の遅れに言及し、既に計画から27年が経過していることに触れ、ブラジルはかつてインフラへの投資を放棄してきたが、PT政権のイニシアティブにより鉄道への投資を復活させたことを強調。
(2)5月27日、マンテガ財務大臣は、当初2014年末で打ち切るとしていた一部業種を対象とした給与免税措置を恒久化し、これにより税収は年間で216億レアル(約9700億円)減少するが、経済活動と企業収益が押し上げられるので減収分を補えると述べた。
(1)5月9日、アワズ・ペレイラ伯中銀副総裁は、新興国経済の強いファンダメンタルズや政策対応により、悲観的な見方が変化していると述べ、中銀は近くインフレ率を目標圏の中央値(4.5%)付近に低下させることを目指しているが、金融政策が物価に影響を及ぼすには時間がかかると述べた。
(2)5月28日、中銀の通貨政策委員会は、政策金利を11.00%に据え置くと発表した。市場では予想通りと受け止められ、昨年4月以降9回連続で金利を引上げてきたが、経済成長の鈍化等を受けてインフレ率が引き続き高いままであるにもかかわらず、金融引締めサイクルを一旦中断することとしたと解されている。
(ア)5月のドル・レアル為替相場は、1ドル=2.20~2.25レアルの狭いレンジでの取引となった。ウクライナ情勢の悪化による有事のドル買い、中国の鉱工業生産指数の予想外の低下、世界経済の弱い景気回復にもとづく新興諸国通貨売りなど、ドル高レアル安の要素がある一方、伯中銀による連日の為替介入の効果もあり、為替相場はほぼ横ばいの推移となった。
(イ)しかし、月の後半、トンビーニ伯中銀総裁が日常的なスワップ取引による為替介入を中止する可能性に言及したことや、30日に発表された第1四半期GDPが極めて低調であったこと等から、若干ドル高に振れ、月末の終値1ドル=2.2384レアル(買値)で、前月末比0.13%ドル高という水準で5月の取引を終えた。
(ア)5月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)は、月の前半、米国の4月の雇用統計が予想を上回ったこと、発表された大統領選の世論調査でルセーフ大統領の支持率が低下したこと、大手小売業のポン・デ・アスーカルとフランス系企業がインターネットなどの電子取引部門を統合すると発表したこと、ペトロブラスをめぐる汚職疑惑でルセーフ大統領の責任が問われていることで同社の経営が改善するとの期待感が高まったこと等が好材料視され、株価は右肩上がりで続伸した。
(イ)その後、早期自主退職費用や原油生産減少の影響でペトロブラスの第1四半期の純利益が前年同期比マイナス3%だったこともあり、一時値を下げる場面もあったが、世銀や格付け会社から、中国経済に対する楽観的な見通しが発表されたこと、米国株価の上昇等を受け、14日には今年の最高値となる54,413ポイントを記録した。
(ウ)しかし月の後半になると、鉄鉱石の国際価格が過去20か月で最も低下した影響で鉄鋼大手ヴァーレの株が売られたこと、選挙戦に関する世論調査でルセーフ大統領の支持率が上昇するとの噂が流れたこと、サンパウロ州を中心とした旱魃により電力供給の懸念が高まったことなどで、株価は下落に転じた。
(エ)更に月末の30日、予想を下回るブラジルの第1四半期GDPが発表されると1,000ポイントの大幅下落となり、5月は今年の最高値を記録したものの、結局は前月末比でマイナス0.75%のマイナスとなる51,239ポイントで取引を終了した。