6月1日、ブラジル地理統計院(IBGE)は2012年第1四半期GDP成長率を発表した。
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GDP成長率 |
第1次産業 |
第2次産業 |
第3次産業 |
民間消費 |
政府消費 |
総固定 |
輸出 |
輸入 |
前期比 |
0.2 |
△7.3 |
1.7 |
0.6 |
1.0 |
1.5 |
△1.8 |
0.2 |
1.1 |
前年同期比 |
0.8 |
△8.5 |
0.1 |
1.6 |
2.5 |
3.4 |
△2.1 |
6.6 |
6.3 |
(出所)ブラジル地理統計院(IBGE)
・第1次産業は、天候不順や世界経済の不振で不調。特に、大豆(△11.4%)、米(13.8%)、タバコ(△15.9%)が大きくマイナス成長。
・第2次産業については前期比+1.7%であるが、鉱業(前期比)は△0.5%。
・民間消費は堅調。特に前年同期比の成長率については、2003年第4四半期以降連続してプラス成長を続けている。
・総固定資本形成(前期比)については3期連続でマイナス成長であった(11年Q3:△0.6%、11年Q4:△0.6%)
マンテガ財務大臣は、第2四半期のGDP成長率は第1四半期よりも良くなるとコメント。中銀Focus(6月1日)の2012年GDP成長率予測は2.72%。
5月21日、ブラジル政府は、金融取引税、自動車に対する工業製品税(IPI)の減税や国立経済社会開発銀行(BNDES)の投資継続プログラム(PSI)の金利引下げ等を実施した。
(1)個人向け貸付に対するIOFを年率2.5%から年率1.5%に引下げ
(2)減税規模:9億レアル
(1)排気量1000cc
①ガソリン車:7%→0%
②エタノール/フレックス車:7%→0%
(2)排気量1000cc~2000cc
③ガソリン車:13%→6.5%
④エタノール/フレックス車:11%→5.5%
(3)トラック(ガソリン車及びエタノール/フレックス車):4%→1%
(4)減税規模:12億レアル
(1)トラック、バス:7.7%→5.5%
(2)大企業向け資本財(機械、設備等):7.3%→5.5%
(3)機械・設備、技術開発等向けBNDES融資(Proengenharia):6.5%→5.5%
(4)大企業向け輸出資本財:9%→8%
(5)トラック購入に対する融資期間を96ヶ月から120ヶ月に延長
(6)右措置に要する金額は総額約6億レアル
*(1)~(3)の金利引下げ期間は本年5月21日~同年8月31日まで
中銀は金融機関からの強制預託について、自動車ローン向け資金として180億レアルを減額する。
(1)5月31日、伯財務省は、オートバイ、電子レンジ、ドライヤー、アイロン、エアコン等について、IPIの増税を行った。マナウス・フリーゾーンで生産されている製品はIPIが免除されていることから(ブラジルではこれら品目の90%以上がマナウス・フリーゾーンで生産されている)、マナウス・フリーゾーンでの生産を輸入品との競合から保護することが目的とされている。本増税は本年9月から実施される。
・オートバイ 50cc:15%→35%、50cc以上:25%→35%
・電子レンジ、ドライヤー、アイロン等:30%→35%
・エアコン:20%→35%
(2)5月31日、伯政府は、税収確保のため、飲料のIPIを増税した(年間の税収が約24.4億レアル増加)。 伯財務省によると、飲料の値段は2.85%値上がりすることになる。本増税は本年10月から実施される。
5月30日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、Selicを0.5%引下げ、8.5%とした。これにより、Selicはリーマンショック後の8.75%を下回る水準となった。
今後も、Selicは更なる引下げが行われると予測されており、次回Copom(7月10、11日)において、0.5%引下げられ、8.0%になるとの見方がある。