(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、4月30日時点では、本年の経済成長はマイナス1.18%と前週より下方修正、明年の経済成長は1.00%と前週から据え置きとなっている。
(2)4月10日、IMFは、ブラジルの4条協議報告書の概要を発表し、本年の経済成長率をマイナス1.0%、明年の経済成長率を0.9%と予測した。
(3)4月10日、格付け機関フィッチは経済状況の低迷、財政状況の悪化等を理由にブラジル国債の格付けを「弱含み」へと引下げた。
(1)4月1日、ブラジル財務省は、これまで免税されていた金融収入に対するPIS(Pasep)/Cofinsを7月1日以降、4.65%の税率で適用し、本年約27億レアルの税収増を見込んでいると発表した。
(2)4月15日、ブラジル企画予算省は、2016年度予算編成方針法(LDO)案を議会に提出し、2016年度のプライマリーバランス黒字目標は、連邦政府で対GDP比1.65%、政府全体で同2.0%と設定した。
(3)4月19日、レヴィ財務大臣は、ニューヨークでの投資家に向けた講演会で、ブラジル政府は5月に投資促進のためのコンセッションプログラムを発表予定であり、同時に投資金融メカニズムについて世界銀行と協議中であると述べた。
(4)4月19日、レヴィ財務大臣は、上記講演会で、中銀は予想インフレ率を4.5%につなぎとめるよう、価格調整が行われている間警戒を緩めるべきではないと発言した。
(5)4月20日、ルセーフ大統領は2015年度年間予算法(LOA)を裁可した。
(6)4月27日、レヴィ財務大臣は、議会において、経済状況の見通しについて安定感が見え始めており、政府が確実な実行力を持てば、ブラジル経済は成長と投資家の信頼を取り戻すとし、財政調整を超える政策への議会の理解を求め、とりわけインフラの整備、商品流通サービス税の改革が投資の流入にとって基礎的条件となると述べた。
(1)4月14日、トンビーニ中銀総裁は、講演において「規制価格の再調整が及ぼす二次的影響を回避するため、引き続き慎重な姿勢を維持する」と発言し、金融政策自体に規制価格の上昇を抑制する効果を期待することはできないため、中銀は価格の二次的影響のみを考慮するとの姿勢を示した。
(2)4月29日、通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.50%引上げ、13.25%とする声明を全会一致で発表した。
(3)4月30日、ブラジル中銀は、為替スワップのロールオーバーの比率を5月以降低下させる方針を示した。
(ア)4月のドル・レアル為替相場は、第2次ルセーフ政権が進める財政緊縮案や、ペトロブラスの決算をめぐり、落ち着きを取り戻し出し、ドル安レアル高が進行する展開となった。その結果、月末は1ドル=2.9930レアル(買値)と前月末比で6.68%もレアル高となった。
(イ)月の初め、地方政府の債務削減策に関してレヴィ財務大臣が政府の意向に沿って議会の説得に成功したことへの好感や、ルセーフ大統領が連立を組むPMDBのテメル副大統領に議会運営を任せる決断を下したことにより、政治的混乱が沈静化するとの見方からレアル買いが強まった。ただし、月の半ば、中国の3月の輸出の大幅な減少をはじめ経済成長の減速傾向が示されたことや、ギリシャのデフォルトが現実味を帯びてきたことを受け、ドルが買われる場面も見られた。
(ウ)しかし、Copom開催前にトンビーニ中銀総裁が金融引締め継続をほのめかす発言をしたため、しばらくSelicの0.50%引き上げは維持されるとの見方から金利上昇を見越したレアル高傾向が続いた一方、米国の雇用や住宅に関する経済指標が予想を下回ったためドルは売られる展開となった。
(エ)そして、汚職等の損失による財務状況の悪化が懸念されていたペトロブラスの決算が大幅赤字ながらも発表されたことが評価された一方、米国の利上げ時期が先送りされるとの見方が強まったことで、28日にレアルは1ドル=2.8937レアル(買値)の月内最高値を記録した。ただし、その後発表された政府の財政状況が3月として過去最低だったこともあり、月末は若干ドルが戻すかたちで取引を終えた。
(ア)4月のブラジルの株式相場(ボベスパ指数)も為替市場と同様、政府の経済対策やペトロブラス問題を前向きに評価するかたちで落ち着きを取り戻し始め、ほぼ続伸する展開となった。その結果、月末の終値は56,229ポイントと前月末比で9.93%も値上がりした。
(イ)月の前半における株価の上昇要素としては、レヴィ財務大臣が議会の説得に成功したことで懸案となっている政府の財政緊縮案が承認される可能性が高まったこと、ペトロブラスの決算報告への期待感から同社株が買われたことなどが挙げられる。ただし月の半ば、米国の小売売上高や中国の2015年の第1四半期GDPが市場予想を下回ったことや、ギリシャの債務問題に対する悲観的な見方が強まったことで、上値の重い展開となった。
(ウ)その後、月の後半になると、鉄鉱石の国際価格の上昇や第1四半期の生産高が好調だったことでヴァーレ他の鉄鋼関連株が買われ、株価全体も上昇。そして、ペトロブラスが5ヶ月遅れで決算を発表し、汚職関連の62億レアルを含む損失が446億レアルに上り、91年以降初めての赤字となり、負債総額も過去最高を記録した。しかし、デフォルトが懸念されていた同社の財務状況が実際に数値で公表されたことで市場には安心感が広がり、株価は年初来最高値となる56,594ポイントまで上昇し、月末はほぼ同じレベルで終了した。