(1)中銀が週次で発表しているエコノミストへの調査に基づく経済成長予測に関し、4月25日の発表では、本年の経済成長見通しは1.65%と前週より若干上方修正、明年の経済成長見通しは2.00%と前週から据置きとなっている。
(2)IMFは本年4月の世界経済見通し(WEO)において、本年のブラジルの経済成長率を1.8%。明年の成長率を2.7%と見込んでいると発表した。
(1)4月1日、ブラジル議会下院は、企業の海外利益に関する税制の改正案を可決し、外国における子会社等の収益に対する課税に関し、8年間支払繰延を認めるとともに外国当局に支払った税金と外国子会社からブラジル本国への配当は控除できることとした。今後上院での審議・承認、大統領の署名を経て改正法が発行する見通し。
(2)4月14日、マンテガ財務大臣は、IMFが世界経済見通しにおいて、ブラジルの経済成長見通しを下方修正したことについて、「投資家がリスク回避的であった1月、2月のデータにとらわれ過ぎており、悲観的なバイアスを持った見方をしている」と批判した。
(3)4月15日、マンテガ財務大臣は、来年の経済成長率について政府見通しが3%と市場予想を大きく上回っていることに関し、来年経済の勢いが加速することは十分あり得ることで、その場合財政黒字目標を引き上げることもありうると発言した。
(4)4月29日、マンテガ財務大臣は、明年のブラジルの経済成長率は2.3%との見通しを示すとともに、インフレ率もトウモロコシの収穫が順調なことなどを挙げ5月~6月は最低水準になるとの見通しを示した。
(5)4月30日、ルセーフ大統領は、テレビ演説を行い、低、中所得層の生活向上に必要な見直しはどんなものであれ継続すると述べ、「ボルサ・ファミリア」で受給者3600万人を貧困ラインを上回る水準の所得に維持するため現金給付額を10%引き上げる等の政策を発表した。
(1)4月2日、伯中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.25%引き上げ、11.00%とすることを発表。
(2)4月10日、トンビーニ伯中銀総裁は、現在の食料品価格の高騰が一時的なものとみなせれば、現在継続中の利上げサイクルを停止することもありうると述べた。
(3)4月16日、ハミルトン伯中銀経済政策担当副総裁は、伯中銀の金融政策は十分に奏功しており、最近のSelicの引上げの効果は正常な軌道をたどって物価に浸透しつつあり、今後明らかになってくる旨述べた。
(ア)4月のドル・レアル為替相場は月のはじめ、中銀のデータが資金の海外流出を示すものだったことや、2日にSelicが引き上げられたもののCopomの声明が引き上げの終了の可能性を示唆するものであったこと等から、3日に1ドル=2.2811レアル(売値)の月内レアル最安値をつけた。しかしその後、発表された3月の物価が予想よりも高く、金利上昇を見込んだレアル買いが強まったこともあり、一時1ドル=2.2レアルを超えるレアル高となった。
(イ)月の半ば以降は、ウクライナ軍が親ロシア派に対して武力行使に出たことで有事のドル買いが強まり、再びドル高レアル安に転じた。月の後半になると、中央銀行の外貨フローのデータが流入超だったことなどから、ドルの上値は重い一方、中銀のスワップによる5月のドル買いをめぐる予測やウクライナ情勢に関する米ロの対立等から、ドル買い要素もあったため、相場は小幅な値動きとなった。月末はそのままのレベルの1ドル=2.2354レアル(買値)で4月の取引を終えたが、前月末比でレアルは1.19%高くなり3ヶ月連続の上昇となった。
(ア)4月のブラジルの株式相場(ボベスパ指数)は、ブラジルの国内的な要素に影響を受けたものの、全体として横ばいの展開となった。月のはじめ、マンテガ財務相が明年のエネルギー価格の調整は大きくなると発言しエネルギー関連株が買われたことや、大統領選に関する世論調査でのルセーフ大統領の支持率低下により外国人投資家がブラジルの株式に資産を移動したことから、7日に52,155ポイントと今年の最高値を記録した。
(イ)しかし、ブラジルの物価上昇でSelicがさらに引き上げられるとの見方が強まったことや、ペトロブラスをめぐる汚職疑惑を嫌気して同社株が売られるなど、国内の要素から軟調な推移となった。更に、ウクライナ情勢の緊張化や中国の経済成長の鈍化を受け、月の半ばに一時大幅な下落となった。その後、中国の第1四半期GDPや米国の鉱工業生産指数が予想を上回ったこともあり、株価は再び52,000ポイントの水準まで上昇した。鉄鋼会社大手ヴァーレの海外資産の課税に関して最高裁が同社に有利な判断を下したため同社株が買われたことも、株価全体を押し上げる要因になった。
(ウ)ただし、政府がアルコールおよび清涼飲料への税率を引き上げると発表したため、飲料会社大手アンベブなどの株が売られたことや、鉄鉱石価格の下落を受けヴァーレの第1四半期の純利益が減少したことを受け、同社株が売られたことが株価の押し下げ材料となった。また、発表された米国の第1四半期GDPが市場の予想を大きく下回ったことも影響し、月末は51,627ポイントで4月の取引を終了したものの前月末比で2.4%プラスとなり2ヶ月連続の上昇となった。