(1)中銀が週次で発表している市場(エコノミスト調査)の経済成長予測は、4月26日の発表では本年の成長率見通しは3.00%と前週より不変。明年の成長見通しについても、3.50%と、前週から不変。
(2)4月16日、IMFは、最新の世界経済見通しを発表し、ブラジル経済について本年3%(本年1月の見通しから0.5%下方修正)、明年4.0%(本年1月の見通しから変わらず)と予測している。
(1)4月18~19日、ワシントンで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、マンテガ財務大臣は、日本の金融政策等について、長年デフレ化にある経済では許容する必要があるとした上で、「ブラジルのような新興国や他の一次産品輸出国は、インフレ率が比較的高いため、金融緩和策を取ることができない。我々にはデフレの問題は存在ない」と述べ、新興国は日本が採っているような金融緩和策を取ることはできないと述べた。
(2)ラガルドIMF専務理事は、4月16日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙のインタビュー記事において、ブラジル経済について、(ア)成長率は低いとはいえ成長しており、本年も下方修正されているとはいえ改善している、ブラジルは効率的な財政・金融政策のツールを用いたと考えている、インフレ懸念も政策金利などの金融政策によって慎重に対処されるだろう、(イ)問題は、港湾、空港、高速道路などのボトルネックに関してなすべきことが多くあることである、財の供給の流れはこうしたボトルネックにより国内の殆どの地域で制限されている。インフラの改善は、国全体の大きな改善であり、IMFは優先して行うよう提案していることである、(ウ)ビジネス環境の予見可能性も重要である、自分はスポーツを愛するが、ブラジルはサッカーワールドカップとオリンピックを控えており、インフラ、輸送部門を改善する絶好の機会にあると述べた。
4月17日、中銀の通貨政策委員会は、政策金利(Selic)を0.25%引き上げ、7.50%とする決定を行ったが、4月25日、中銀のアラウージョ副総裁(経済政策局担当)は、サンパウロでのイタウ銀行主催の講演で、今後のインフレ懸念に対応して金融政策を引き締めのペースを速める可能性があることを示唆。
(1)4月のブラジル・レアル相場は前月末にかけて1ドル=1.95 レアル近辺までレアル高が進んだ場面で中銀がレアル売り介入を行ったことで、 月初めには1ドル=2.02 レアルまで反落した。インフレ圧力が高まる中、4 月5日にはマンテガ財務相の「政策金利は中銀が決定することである」との発言が、中銀の早期利上げを政府が容認したものと受け取られ、1ドル=1.97 レアルまで買われた。
(2)その後、マンテガ財務相がインフレ見通しの達成に自信を示し、政策金利を従来の水準まで引き上げる必要はないとの発言(4 月14 日)や4 月17 日の中銀の通貨政策委員会の利上げは慎重に行うとの声明を受けて、下旬には1ドル=2.02 レアル台まで反落した。足元はイタリアなど欧州情勢の一部進展により、1ドル=2.0 レアル近辺まで戻している。
(3)4月のブラジル株式市場は、前半、中国・米国の景気指標の悪化や資源価格の下落などから、資源関連株式がマイナスの影響を受ける展開で始まり、更に中旬には、ボストン・マラソンでの爆破事件を受けてリスク回避の動向も加わり、続落。
(4)国内要因としては、2月小売売上高など消費関連指数が市場予想を下回る結果となったこと、4月17日に中銀が政策金利を引き上げたことなどが嫌気され、18日には53,165.91(終値)と年初来安値を更新。更に25日にブラジルの一部企業の1-3月期決算が低調な結果となったことを嫌気し相場は停滞している。