(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、3月27日の時点では、本年の経済成長率はマイナス1.00%と前週より下方修正、明年の経済成長率も1.05%と前週より下方修正されている。
(2)3月23日、格付け会社のS&Pはブラジルのソブリン格付けを「BBBマイナス」に据え置き、見通しも「安定的」で維持した。
(3)3月26日、ブラジル中銀はインフレ報告書を発表し、本年の成長率をマイナス0.5%、本年のインフレ率見通しを7.9%とした。
(4)3月27日、ブラジル地理統計院(IBGE)は、昨年第4四半期のGDP成長率が前期比0.3%、前年同期比マイナス0.2%、2014年通年の経済成長率が前年比0.1%となったと発表。
(1)3月8日、ルセーフ大統領は、テレビ演説において必要な限り緊縮財政のプロセスを継続し、その成果は年末にも出始めるだろうとの見方を示した。
(2)3月9日、レヴィ財務大臣は金融教育に関するセミナーに出席し、今後、現在行われている緊縮財政の効果を測定すること、長期的に投資を増加させるには国民の貯蓄率を高めることが重要であり、そのために金融教育が重要となると説明した。
(3)3月10日、レヴィ財務大臣は、レアル安が景気活性化の鍵になるとの見方を否定し、通貨安よりも投資家の信頼回復に必要な緊縮財政の議会承認が経済成長を左右すると述べた。
(4)3月10日、ブラジル政府は低所得者層の所得課税限度額を引き上げることを発表した。レヴィ財務大臣は、これによって約60億レアルの税収が減少すると見込んでいるものの、財政健全化を実現させるため他の財源で充当するとの見解を示した。
(5)3月17日、バルボーザ企画予算大臣は、議会上院の経済問題委員会において、現在の為替の下落はインフレ圧力を高め経済成長を制限するが、6か月後にはプラスの効果を生むと発言した。
(6)3月17日、レヴィ財務大臣は、ルセーフ大統領に対し、財政健全化へ向け富裕層への増税を行うことが最も良い方法であると提案し、連邦歳入庁に贈与及び相続遺産課税の連邦税化と、課税税率及び計算方法を検討するよう指示した。
(7)3月27日、ブラジル大統領府は、中国政府からのアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設メンバーとしての加盟の招待を受け入れたと発表した。
(1)3月4日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策金利を0.50%引上げ、12.75%とする全会一致の声明を発表した。また同12日に発表されたCopomの議事録では、本年の物価見通しを引上げ、政府による管理価格の本年の上昇率を9.3%から10.7%に引上げ、本年中にインフレ率が長期低下傾向に入るとの見方を撤回したものの明年には目標の中央値に低下するとの見通しは維持した。
(2)3月11日、ブラジル中銀は、アワズ・ペレイラ副総裁(経済政策担当)が10月1日より国際決済銀行(BIS)副総支配人に就任する旨発表。
(3)3月24日、トンビーニ中銀総裁は、これまで行ってきた通貨スワップを用いた為替市場介入策が既に国内投資家のヘッジ需要を満たしておりその目的は十分果たしたとし、3月末で打ち切ることを表明した。
(ア)3月のドル・レアル為替相場は、月の前半にドルが続伸し2004年8月以来となる1ドル=3レアルを突破すると、17日には1ドル=3.2683レアル(売値)を記録した。その後、若干レアル高に振れる場面も見られたが、月末は前月末比11.46%ものドル高レアル安となる1ドル=3.2080レアル(売値)で取引を終えた。
(イ)ドル高レアル安の要因として、ブラジル国内の政治的な混乱や米国の景気回復への期待感が挙げられる。前者に関しては、ルセーフ大統領がレヴィ財務大臣の財政改革に苦言を呈したことや、検察側が最高裁に提出したペトロブラス汚職疑惑に関与した疑いのある政治家リストに上下両院の議長が含まれていたため、今後の財政緊縮法案の議会審議が遅れるとの懸念が高まったことが挙げられる。
(ウ)また、13日にルセーフ大統領の支持者によるデモが実施されたのに続き、15日には参加人数がブラジル史上過去最大となる全国規模の反政府の抗議デモが行われたが、それに対してルセーフ大統領が状況打開のための内閣改造は行わないと発言したことなど、国内の政治的な混迷度が深まったことがレアル安に拍車をかけた。
(エ)しかし月の半ばには、米国の金利引き上げ時期が遅くなるとの見方からドルが売られたことや、ギリシャの財政危機に対する楽観的な見方が広がったこともあり、リスクテイクの動きが高まりレアル高が進んだ。ただし月の後半に向け、中銀が2013年8月から毎日実施してきた為替介入を3月末で終了すると発表し、レヴィ財務大臣が表明していた為替市場には基本的に介入しないとの姿勢を明確化したことを受けドルが上昇。さらに、ブラジルの2014年のGDPが世界的金融危機後の2009年に次いで低い伸びだったためレアルが売られる展開となった。
(ア)3月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)は、月の前半に続落し10日には48,293ポイントの月内最安値を記録した。その要因として、為替市場でドル高レアル安が進んでいるにも関わらず、ブラジルの主要輸出農産物である大豆の輸送インフラの欠陥、長距離トラック運転手による主要道路の封鎖ストライキ、原油やコモディティの国際価格の下落などにより2月間の貿易収支が過去最大の赤字を記録したことが挙げられる。
(イ)さらに、ペトロブラス汚職疑惑をめぐり政府と連立与党や議会の間で政治的な混乱が起きていること、米国の雇用統計が良好であったため利上げが前倒しされるのではとの思惑が強まったこと、為替市場でドル高レアル安が急激に進行したことなども影響した。
(ウ)15日には、ルセーフ大統領の弾劾要求やペトロブラスをめぐる汚職への批判を掲げた反政権の抗議デモが広がりを見せた。これによって国民の要求に応えるかたちで政権運営が改善するとの見方が強まり、また実際にルセーフ大統領が政府の財政緊縮策を推し進める姿勢を明確化したことで株価は上昇した。
(エ)更に月前半に大幅下落したブラジル企業の株を主に外国人投資家が買いに転じたことや、米国の金融緩和政策の変更が後ずれするとの見方が強まったことで、20日には51,967ポイントの今年の最高値を記録した。しかし月末になると、発表された2014年のGDPが0.1%と低調だったことから値を下げる場面も見られ、月末終値は前月末比マイナス0.84%となる51,150ポイントで取引を終了した。