1.経済情勢・経済見通し
(1)中銀が週次で発表しているエコノミストへの調査に基づく経済成長予測に関し、3月28日の発表では、本年の経済成長見通しは1.69%と前週より若干下方修正、明年の経済成長見通しは2.00%と前週から据置きとなっている。
(2)3月27日、中銀は、四半期に一度公表している「インフレ報告書」において本年の経済成長率を2.0%、インフレ率を6.1%とした。
(3)3月24日、S&Pは、足元の経済成長率の低迷、経常収支赤字の拡大、財政状況の悪化等を原因としてブラジル国債の格付けをBBBからBBB-に引き下げると発表。
(1)3月13日、ブラジル政府は本年の渇水で発電コストの上昇に苦しむ電力会社への支援として40億レアル(約1600億円)を新たに提供するとともに、明年の段階的な電気料金引上げを認める発表を行った。
(2)3月17日、マンテガ財務大臣は、ルー米財務長官との会談後、IMFの2010年のクオータ改革を発効させることが、IMFがウクライナのような困難な状況にある国を支援する役割を果たすために必要であり、今後もIMFの役割を強化し続けることが重要であると述べた。
(3)3月24日、伯財務省は、S&Pによる国債の格付け引下げに関し、ブラジルの経済のファンダメンタルズの強靭性と矛盾している、ブラジルの財政状況を適切に分析していない、伯の国内のインフラ投資や外国直接投資の流入について誤った認識を持っている等の反論プレスリリースを発表。
(4)3月25日、サンパウロ州検察庁は同州における地下鉄及びメトロ関連入札における談合疑惑に関して三井物産を含む12社の幹部計30人を起訴したと発表。
(5)3月27日、伯財務省は、満期7年で10億ユーロに上るユーロ建て国債を2006年以来初めて発行すると発表、また翌28日、カファレリ財務次官は、日本から強い需要があるとして、今後数か月中の円建て債の発行を検討していると述べた。
(6)3月28日、マンテガ財務大臣は、本年の物価上位率が中銀の目標圏内に収まり基礎的財政収支黒字も目標を達成する見通しを示した。
(1)3月12日、トンビーニ伯中銀総裁は、2月の対内証券投資と外国直接投資が92億ドルとなったことにつき、これまでのところ外国からの資金流入は引き続き力強いとの見方を示した。
(2)3月24日、伯中銀は、S&Pによる国債の格付け引下げに関し、ブラジルは、厳格なマクロ経済政策、柔軟な為替政策、急激な資金流出へのバッファーとして長年に亘って積み上がった外貨準備の活用を組み合わせ確固たる対応を取ることで国際金融情勢の正常化という新しい段階に適切に対処し、安全に乗り切っていく能力を有している旨のプレスリリースを発表。
(3)4月2日、通貨政策審議会(Copom)は、基準金利(Selic)を10.75%から11.00%に引き上げることを発表。引き上げは9会合連続となった。
(ア)3月のドル・レアル為替相場は、前月の流れを引き継ぐドル安レアル高で取引が始まったが、米国の雇用統計が予想を上回ったことやウクライナ情勢の緊迫化によりドル買いが進み、12日に1ドル=2.3649レアル(売値)とドルの月内最高値を記録した。その後、米国連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が量的緩和政策を予想より早く終了して利上げを行う旨の発言で更にドル高が加速するとの見方が広まったものの、クリミア半島のロシア編入によりウクライナを巡る事態は収束へ向かうとの期待から、ドルの上昇はストップした。
(イ)月の後半になると、ブラジルへのドル流入が多く、国内市場でドルが余剰気味だったこともあり、ドルを売りレアルを買う動きが強まった。さらに、2月の基礎的財政収支が予想より良かったことで、28日には今年のドル最安値となる1ドル=2.2597レアル(買値)までレアルが上昇した。そして、月末はドルが若干戻したものの、前月末比でドルは3.02%下落し、1ドル=2.2625レアル(買値)で3月の取引を終えた。
(ア)前月末から軟調な傾向にあった3月のブラジルの株式相場(Bovespa指数)は、一時、プレサル海底油田の一日の石油採掘量が過去最大を記録したことで、ペトロブラス株が買われる場面も見られたが、月の半ばまでは軟調な展開となった。その要因としてウクライナ情勢の悪化、中国の鉱工業生産指数が不振であったこと、旱魃による電気供給が懸念される中、政府が選挙の年に電気料金の値上げを回避すべく電気会社に資金援助を行うと発表したことで財政懸念が高まったことなどがある。これらの要因から株価は14日に44,966ポイントまで下落し、今年の最安値を更新した。
(イ)しかし月の後半になると、プーチン大統領がクリミア半島以上のウクライナ分裂を望まないと発言したことや、米国の経済指標が好調だったことで株価は上昇に転じた。24日には、S&Pがブラジル国債の格付けをBBB-に引き下げるとともに、ペトロブラス社とエレトロブラス社も同様にBBB-へ格下げると発表したが、市場では、昨年後半に格付け引き下げの可能性が指摘されて以降、株価は実際の引き下げを織り込みながら下落してきたため、今回の発表では大きな反応は見られなかった。
(ウ)むしろ、ブラジルの2月の経常赤字が予想ほど悪くなかったことなどを好感し、株価は上昇を続け、月末は前月末比7.05%もの上昇し、本年1月15日以来の50,000ポイント台回復となる50,415ポイントで3月の取引を終了した。