最近の経済情勢 2012年4月
1.インフレ動向
昨年の拡大消費者物価指数(IPCA)は6.5%とインフレ目標値上限と同じであったが、今年に入りIPCAは下落傾向にあり、3月のIPCAは単月で0.21%(2月:0.45%、昨年3月:0.79%)、12ヶ月累計で5.24%であった。また、中銀Focus(4月5日)による今年のIPCA予測は5.06%としている。
中銀のインフレ報告によると、今年のIPCAは、年末にかけて下落し、来年は再び上昇するとしており、2012年末のIPCAを可能性50%として、3.7%~5.2%と予測している。また、2013年末については、50%の可能性で、4.1%~6.3%としている。
2.産業政策
4月3日、ブラジル政府は、ブラジル国内産業保護のための政策「ブラジルマヨール計画」の一環として、新たな施策パッケージを発表した。
- 15産業(衣類、革・靴、情報通信、コールセンター、繊維、家具、プラスチック、電気部品、自動車部品、バス、船舶、航空機、機械・設備、ホテル、集積回路設計(デザイン・ハウス))分野に対する社会保険(INSS)企業負担金の軽減
- 港湾・鉄道インフラに係る免税範囲の拡大
- 輸入品との競争に苦しんでいる産業(繊維、衣服、履物、自動車部品、家具)に対するPIS/COFINSの支払い延期(4月及び5月徴収分を11月及び12月に延期)
- 政府調達における国産品優先購入
- 貿易に関する融資制度の拡充
- 情報通信分野におけるインフラ等の拡充
- 半導体産業におけるPIS/COFINSの減免
- BNDESの融資拡大
- 自動車に対する工業製品税(IPI)の軽減措置:
輸入車等に係るIPIの30%ポイント引上げ課税が本年末に終了することから、後継スキームとして2013年から2017年まで適用される措置として、R&D等、一定の資格を満たす企業について、国産部品等の購入額に応じ、IPIを最大30%ポイント免除するとともに、更にR&Dへの投資目標を達成する場合には更にIPIを2%ポイント免除。
ルセーフ大統領は、産業政策の発表の際、国際的基準の範囲で行動するとし、自動車政策はブラジル国内企業を守るためのものであり、保護主義ではなく、自動車市場の保護にあると述べた。
3.移転価格税制に係る暫定措置令第563号
4月3日、暫定措置令第563号が制定され、移転価格税制についても利益マージン率等について改正された。
- 本規定の実施時期
2013年1月より実施。2012年課税対象額の決定についても本規定の適用可能。
- 再販売価格基準法(PRL)
輸入製品は20%、輸入部品は60%とされていたマージン率を統合の上、一律20%とし、以下の品目の利益マージン率については30%又は40%となる。PRLにおける計算方法については、細則第243/02号を適用。また、運賃、保険、輸入税や通関費用はPRLの計算に当たって含まれない。
(ア)利益マージン率30%の品目
化学製品、ガラス・ガラス製品、パルプ・紙・紙製品、金属
(イ)利益マージン率40%の品目
医薬品、タバコ、カメラ等光学機器、医療用機器、石油・天然ガス、石油製品
- 独立価格比準法(PIC)
PICを用いる場合は、輸入通関実績の少なくとも5%(暦年で1年間)を伯税務当局に提示する。
- コモディティに対する課税対象額の決定:輸入レートによる価格方式(PCI)及び輸出レートによる価格方式(PECEX))
コモディティにおける課税対象額の決定に際しては、国際的に承認されたコモディティ取引所及び同先物取引所における公的価格を使用。
- 支払・受取利息
利息の課税対象額決定に際する控除額は、Libor(6ヶ月)+スプレッドで計算。スプレッドは財務省で定める。
- 課税対象額の決定に際しての計算方法の選択
製品ごとにPRL等の計算方法を選択することができるが(コモディティについては、PCI及びPECEXを適用)、暦年を通じて、選択した計算方法を継続しなければいけない。
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