Embaixada do Japão

最近の経済情勢 2015年2月

1.経済情勢等

(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、1月30日時点の発表では、本年の経済成長見通しは0.03%と前週より下方修正、明年の経済成長見通しも1.50%と前週より下方修正されている。

(2)1月20日、IMFは世界経済見通し(WEO)の改訂版を発表し、ブラジル経済の本年の成長通しを0.3%(前回昨年10月の報告書の1.4%から下方修正)、明年の経済成長見通しを1.5%(同2.2%から下方修正)とした。

(3)1月9日、ブラジル地理統計院(IBGE)は、2014年の拡大消費者物価指数(IPCA)が6.41%となり、中銀のインフレ目標の上限(6.5%)内に収まったと発表。

(4)1月29日、財務省国庫局は2014年の中央政府のプライマリーバランスは172億レアルの赤字(GDP比でマイナス0.34%)となったと発表(伯のプライマリーバランスが赤字となるのは1997年以降初)。

2.経済政策等

(1)1月3日、バルボーザ企画予算大臣は、政府の歳出の伸びをGDP成長率並みかそれ以下に抑制する意向を表明した。他方、同日バルボーザ大臣は、最低賃金の調整に伴う計算式を変更するとした発言を撤回した。

(2)1月5日、レヴィ財務大臣は就任式において、前任の経済チームによって増加した公的支出の抑制に向けた改革を推進するため、経済社会開発銀行(BNDES)の金利引上げ、いくつかの社会保障の給付基準を厳格化することを発表し、更にその他の税制の改革にも取り組む意向を表明した。

(3)1月7日、モンテイロ開発商工大臣は、就任式において開発商工省の主要な役割は、産業競争力向上のための課題を伯経済政策の中心に据えることであるとし、近い将来に産業競争力向上に向けたアジェンダを発表する、アジェンダの焦点は貿易、税制環境の改善、産業の近代化、イノベーションの奨励、競争力の課題を検討するガバナンス機構の再生強化の5項目であると述べた。

(4)1月19日、ブラジル財務省は、2015年のプライマリーバランス黒字目標であるGDP比1.2%を達成するため、化粧品に対する工業製品税(IPI)の引上げ、輸入製品に対する社会統合基金(PIS)/法人売上に対する社会負担金(COFINS)引上げ、個人向け融資に対する金融取引税(IOF)の引上げ、ガソリン及びディーゼル油に対するPIS/COFINS及び燃料税(CIDE)の引上げを発表、また、同日レヴィ財務大臣は、これら施策は、市場の信頼感を高め、投資家がリスクを取って投資を行い企業が新たな事業を始めることにつながるものであり、すでに実施されている、経済社会開発銀行(BNDES)の低利融資に対する補助金の削減、失業保険、死亡年金等社会保障の受給資格の厳格化、各省の庁費等の削減政策等に続き財政均衡に向けた新たな1歩となると語った。

(5)1月22日、レヴィ財務大臣は、スイス・ダボスでの世界経済フォーラムに参加し、緊縮財政によってブラジル経済は成長が横ばい(ゼロ成長)となる可能性は排除できないとし、需要喚起策よりも供給サイドの改革の必要性を強調した。また、メディアから財政改革がPT政権左派から反対され、ルセーフ大統領から信任を得られないのではとの質問に対し、「ルセーフ大統領は非常に決断力のある人間であり取るべき選択を理解している」、「私は決して政府において孤立しているわけではなく、ルセーフ政権において、エネルギーや農業など他のカギを握る分野でも同志が改革に着手している」と述べた。

(6)1月27日、ルセーフ大統領は、閣議における演説において、財政健全化政策は雇用創出、所得向上及び諸々の社会政策を継続するために重要であり、段階的に行っていくこと、今後、中小企業向け簡易納税制度の改善、輸出振興策、手続き簡素化策、インフラコンセッション拡大、低所得者向け住宅プログラムの拡大、ブロードバンドの更なる普及といった諸策を実施していくこと等を述べた。

3.中銀の金融政策等

(1)1月21日、伯中銀の通貨政策委員会(Copom)は政策金利(Selic)を0.50%引上げ、12.25%とする声明を全会一致で発表した。同29日に公表されたCopomの議事録では、インフレとの闘いの進展は未だ十分とは言えないとの見解が示された。

(2)1月27日、トンビーニ伯中銀総裁は、ルセーフ大統領に召集された閣議の場で連邦政府によってとられている財政政策はインフレ率を中銀の目標中央値(4.5%)に近づけるだろうと確信していると述べた。

4.為替市場・株式市場

(1)為替市場

(ア)1月のドル・レアル為替相場は、ギリシャがユーロを離脱する可能性が再浮上したことなどを受け、5日に1ドル=2.7102レアル(売値)の月内レアル最安値を記録した。その後、月の後半に向け、レアルは緩やかに上昇する展開となった。レアル買いの要素としては、中銀が為替介入を継続的に行ったこと、レヴィ財務大臣が増税を含む財政再建策に言及し、実際に社会保障(失業保険、死亡年金等)の受給資格の厳格化等の歳出削減及び金融取引税(IOF)、燃料負担金(Cide)、化粧品の工業製品税(IPI)、輸入品の輸入税(PIS/Cofins)などの増税策及びを発表し、これらの政策が投資家により歓迎されたこと、中銀行が政策金利(Selic)を引き上げた一方、欧州中央銀行が発表した金融緩和策により市場に流通する資金の増加が見込まれたこと、などが挙げられる。

(イ)他方、レアル売りの要素としては、原油価格の下落によりレアルをはじめとする新興国及び資源輸出国の通貨が売られたこと、国内で猛暑による大規模な停電が発生し電力供給の問題が経済に悪影響を与えるとの見方が強まったこと、米国が既定通りに利上げを年内に実施する観測が高まったこと、公開された中銀の通貨政策委員会(Copom)議事録で今後の利上げ幅が縮小する可能性が示唆されたこと、などが挙げられる。

(ウ)月末にはレヴィ財務大臣が為替市場に対して人為的な操作を行うべきではないと発言し、為替介入に関する消極的な姿勢を表明したこともレアル安に拍車をかけ、1ドル=2.6623レアル(売値)で1月の取引を終えた。ただし、月末の終値は前月末比0.23%のレアル安に留まった。

(2)株式市場

(ア)1月のブラジルの株式市場(Bovespa指数)は、ルセーフ大統領が就任演説で表明した経済や財政政策に対して懐疑的な見方が大半を占めたことや、原油の国際価格の下落やペトロブラスをめぐる汚職疑惑の進展を受け同社株が大幅に売られたことで月のはじめは値を下げる展開となった。その後、中国がインフラ投資を加速させると発表したことを好感し、ヴァーレなど鉄鋼関連株が買われ、8日には月内最高値となる49,943ポイントまで上昇した。

(イ)しかし月の半ばに向け、ペトロブラスをめぐる汚職事件の捜査が金融部門にも及ぶとの情報から銀行などの株が売られるとともに、原油の国際価格の下落が止まらないことも追い打ちをかけペトロブラス株が大幅安となった。また、世銀やIMFがブラジルの2015年のGDP予測を大幅に下方修正(世銀は2.7%から1.0%へ、IMFは2.2%から1.5%へそれぞれ下方修正)した影響も加わり、株価は下落傾向を強めた。

(ウ)月の後半は、欧州中央銀行が景気対策を実施するであろうとの期待感および実際に大規模な金融緩和策を発表したことへの好感から、株価は上昇する場面が見られたものの、
連日の猛暑により経済の中心である南東部など多くの州で電力と水道の供給に支障が出たため、関連分野の株が売られたこと、ブラジルの国際収支が2001年以降で最大の赤字となったこと、2014年の正規雇用の創出が過去12年間で最低だったことなどが、株価の下落要因となった。

(エ)月末になると、ペトロブラスが延期していた決算発表を行ったが、汚職事件による損失が含まれておらず、市場の失望や不信感を高めたため同社株が大幅に売られた。また、ムーディーズが過去4か月で3回目となるペトロブラスの格付けを引き下げたことも影響し、月末は前月末比6.20%ものマイナスとなる46,908ポイントで1月の取引を終了した。

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