Embaixada do Japão

最近の経済情勢 2013年01月

1.経済情勢・経済見通し

(1)中銀が週次で発表している市場(エコノミスト調査)の経済成長予測は、最近の景気低迷を受け、下方修正が続いており、12月28日の発表では2012年の成長率見通しは1%を下回り、0.98%に、2013年については3.30%とした。

(2)12月20日、ブラジル中銀は、四半期に一度公表している「インフレ報告書」を発表し、2012年の経済成長率は1.0%、インフレ率は5.7%との見通しを示したところ概要以下のとおり。

  • (ア)前回報告書(昨年9月27日公表)以来、世界の金融安定性のリスクは、とりわけ主要経済圏のデリバティブや財政危機国のソブリン債へのエクスポージャーを持つ銀行等において高まっている。しかし、中銀の通貨政策委員会は外部環境の複雑化にもかかわらず、国際金融市場のブラジル国内への影響は減少していると評価している。
  • (イ)主にユーロ圏では、政治的不安定が景気後退を加速させ、銀行システムの健全性への懐疑的な見方が強まっている。多くの成熟経済で潜在成長力が低下している証左が見られるが、これは、重要な新興市場国経済においても同様である。通貨政策委員会は、最近の安定化の兆しにもかかわらず、依然として、国際的な総需要の減退等の脆弱なシナリオを想定している。またこのメインシナリオは、国際市場のコモディティ価格の動きは比較的緩やかであると想定している。
  • (ウ)国内においては、最近2四半期の経済活動のペースは、それ以前よりも弱含みである。第3四半期は、農業・工業においては、これまで導入された景気刺激策の反応が見られたが、サービス部門の安定性は一時的な事象を反映しているにすぎない。国内需要は、融資の緩やかな伸びに刺激された家計消費の伸びと雇用・所得の創出によって経済を牽引している。他方、設備投資への信頼感の回復は依然緩慢であり、景気刺激策に対する反応も見られないままである。
  • (エ)通貨政策委員会は、今後の四半期は、国内需要、とりわけ家計消費は活性化し、融資の緩やかな拡大と所得の伸びと同様、負債も伸びていくと見ている。また同委員会は、今後の四半期は金融機関の融資条件の緩和、外国直接投資の増加、コンセッションによる公共投資の増加、企業の投資信頼感の回復により良好な設備投資見通しを予想している。
    (オ)国際収支においては、昨年1月~11月までの経常収支赤字の拡大は、所得収支の悪化等を反映しており、対GDP比で2.3%に達し、これは国外からの対内直接投資(FDI)によってファイナンスされており、FDI流入額は、同期間147億ドルに達している。輸出の弱含みの動向は世界経済の減速を一部反映している。輸入の増加は、昨年1月~11月で、貿易黒字を前年同期比33.8%減少させることに寄与している。
  • (カ)こうしたシナリオの下、インフレ率は11月時点で5.53%となり、前年同月より1.11%低下している。国内外の天候要因も一部反映して食料品・飲料部門においてインフレ圧力は減少しているものの、昨年1月~11月で前年同期比10.08%となっている。今後の見通しについて、これまでに取られてきた政策と12月7日までに得られた情報を勘案し、為替レートが1ドル=2.05レアルの水準で維持され、政策金利(Selic)が、7.25%という前提に立てば、2012年のインフレ率は5.7%、2013年のインフレ率は4.9%と予測する。
  • (キ)こうしたインフレに対するリスクバランス、国内経済活動の回復、国際的な状況において展開される複雑化などを考慮し、通貨政策委員会は、金融状況の安定性は、未だ一直線ではないにしろ、目標に向かって収束していると理解している。GDP成長率のシナリオは2012年1.0%(前回のインフレ報告書見通しから0.6%下方修正)、2013年第3四半期までの一年間は3.3%となっている。

セクター

2012

2013

 

第3四半期*

第4四半期**

第3四半期***

農牧畜業
工業
鉱物資源採掘
加工業
建設
電気・ガス
サービス
商業
輸送・保管・配送
情報サービス
金融仲介業等
その他サービス
不動産
保健・教育
国内総生産
家計消費
政府支出
総固定資本形成
輸出
輸入

0.8
▲0.9
0.3
▲3.2
2.3
3.3
1.5
1.1
0.3
3.4
0.6
1.0
1.3
2.6
0.9
2.6
2.7
▲2.4
0.9
1.7

▲1.0
▲0.5
▲0.5
▲2.3
1.9
3.3
1.6
1.3
0.3
2.7
0.3
1.5
1.5
3.0
1.0
3.0
3.2
▲3.5
0.3
0.3

4.8
2.8
2.8
2.8
3.8
3.3
3.2
4.0
3.4
3.7
4.0
3.0
1.5
2.9
3.3
4.0
2.9
3.1
3.2
4.8

*2011年10月~2012年9月までの実績
**2012年1月~2012年12月までの実績見込み
***2012年10月~2013年9月までの実績見込み

2.経済政策等

(1)昨年12月4日、マンテガ財務大臣は、建設業界への支援策として概要以下の施策を発表。

  • (ア)建設業界については、社会保険料(INSS)の企業負担分を現行の給与支払総額の20%から総売上高の2%に軽減(2013年における軽減効果:28.5億レアル)。
  • (イ)住宅建設に対する課税特別制度の税率を総売上高の6%から4%に引下げ。
  • (ウ)年間売上高が5000万レアルまでの小規模な建設関連企業に対して、連邦貯蓄公庫(Caixa Economica)による20億レアルの融資枠を創設。

(2)12月5日、ブラジル財務省は、外貨流入規制の一環として、借入期間又は債券の償還期間が720日までの金融商品(但し、国内企業が外貨を借入れる場合、又は国外で起債した資金が国内に流入する場合に限る)に対し、6%の金融取引税(IOF)を課していたが、足元のレアル安を踏まえ、12月5日より、右期間を360日までに短縮。

(3)12月5日、ブラジル政府は、投資促進策として概要以下の施策を発表。

  • (ア)2012年末まで延長されていた投資継続プログラム(PSI:特定分野の品目に対し低利子による融資枠を認めるもの。)を2013年末まで再延長。
  • (イ)BNDESの長期貸出金利(TJLP)を5.5%から5%に引下げ。引下げは2013年1月1日から適用。

(4)12月19日、ブラジル政府は、新たな景気刺激策として、自動車及び白物家電に対する工業製品税(IPI)減税措置の再延長(段階的廃止)、小売業者に対する社会保険料(INSS)の企業負担分の減免並びに輸出業者向けの税還付措置(Reintegra)の延長を発表。

3.為替相場・株式相場

(1)レアルの対ドル相場は、12月初旬に1レアル=2.1ドルを超えるレアル安の水準に達し、その後も、1レアル=2.07~2.08ドルで推移していたが、月末にかけて中銀が為替介入を行ったことや、インフレ懸念が生じないよう中銀が強硬策を採るとの見方が投資家の間で広まったことなどを受け、27日には、11月12日以来の高値となる1レアル=2.04ドルの水準に達した。

(2)12月の株式市場は、前半から中盤にかけて、ガソリン価格引上げの発表などから石油関連株が上昇したことや米国の財政の崖をめぐる楽観的な見方が強まり、リスク選好で上昇し、その後も概ね6万ポイントを超える水準で推移。

法的事項  |  アクセシビリティについて  |  プライバシーポリシー

Copyright © 2012 - Embaixada do Japão - Todos os direitos reservados