政治情勢・トピックス 2020年3月号

令和2年3月23日
ブラジル政治情勢(2月の出来事)

【内政】
(1)連邦議会(第56会期2年目)の開会
(2)ボルソナーロ政権発足400日記念式典
(3)閣僚の交代
(4)セアラー州における治安維持活動


【外交】
(1)中国における伯国民の救出
(2)チャプトヴィチ・ポーランド外務大臣の訪伯
(3)ワルシャワ・プロセス作業部会の開催
(4)ブラジル・パラグアイ経済補完協定及び二国間協定の署名
(5)アルゼンチン及びウルグアイ新外務大臣の訪伯
(6)アラウージョ外務大臣の外遊


トピックス
(1)スポーツ交流イベント「2020年東京-日伯スポーツ交流-」の開催

(2)在外公館文化事業「和食ワークショップ」の実施

(3)日本月間における日本文化紹介(在リオデジャネイロ総領事館)

(4)大鶴総領事ミナスジェライス州訪問(在リオデジャネイロ総領事館)

 

【内政】

(1)連邦議会(第56会期2年目)の開会
     3日,伯議会第56会期2年目の開会に際する式典が開催された。別の用務のため欠席したボルソナーロ大統領の演説文が代読されたところ,伯のOECD加盟へ向けたプロセスの加速が強調され,税制改革や財政改革法案を含む8件の法案が2020年の優先審議法案として挙げられた。

(2)ボルソナーロ政権発足400日記念式典
     5日,大統領府において,ボルソナーロ政権発足400日記念式典が開催された。同大統領は,国務大臣の出席の下,伯米技術保障協定の公布,アマゾン電力計画に関する法令や先住民保護区における鉱物資源開発に関する法案等,計6件の文書に署名した。

(3)閣僚の交代
(ア)6日,ホジェリオ・マリーニョ経済省年金労働担当次官が地域開発大臣に任命された。

(イ)13日,ブラガ・ネット陸軍参謀本部長が大統領府文官庁長官に,ロレンゾーニ文官長は市民大臣に任命された。

(4)セアラー州における治安維持活動
     セアラー州ソブラル市において,シド・ゴメス上院議員がスト中の軍警により銃撃されたことを受け,20日,ボルソナーロ大統領は,同日から28日までの間に同州において陸軍の治安維持活動を可能にする大統領令「法と秩序の保障(GLO)」に署名した。

 

【外交】

(1)中国における伯国民の救出
     新型コロナウイルス感染が拡大する中,伯政府は,中国在留伯国民を救出する「愛する祖国ブラジルへの帰還」作戦の実施を決定。5日,空軍機2機がブラジリアを出発し,7日に武漢に到着して伯人等37名が搭乗。9日,同2機はゴイアス州のアナポリス空軍基地に到着した。

(2)チャプトヴィチ・ポーランド外務大臣の訪伯
     4日,ボルソナーロ大統領及びアラウージョ外相は,ブラジリアを訪問したチャプトヴィチ・ポーランド外相と会談を行った。同日に公表された「ブラジル・ポーランド宣言」は,自由・民主主義・市場経済の価値の共有,宗教的自由の擁護及び二国間経済関係等を強調し,「ワルシャワ・プロセス」作業部会のブラジリア開催(下記(3))を歓迎。また,ベネズエラのマドゥーロ体制の終焉及び民主制への移行へ向け,国際社会が結束することの重要性が確認された。

(3)ワルシャワ・プロセス作業部会の開催
     4~6日,ブラジリアにおいて,中東における平和及び協力のための「ワルシャワ・プロセス」の人道問題及び難民問題に関する作業部会が開催された。

(4)ブラジル・パラグアイ経済補完協定及び二国間自動車協定の署名
     11日,ブラジル及びパラグアイ両国は,アスンシオンにおいて経済補完協定(ACE)に署名した。同協定は,貿易円滑化,税関協力等について両国の経済貿易分野での統合を深化させる枠組みであり,ラテンアメリカ統合連合(ALADI)の下でのブラジルとメルコスール各国との既存の二国間協定網を補完する。また,同じ機会に,ブラジル・パラグアイ自動車協定が署名された。

(5)アルゼンチン及びウルグアイ新外務大臣の訪伯
(ア)12日,ボルソナーロ大統領及びアラウージョ外相は,ブラジリアを訪問したソラー亜外相と会談を行った。

(イ)13日,アラウージョ外相は,ブラジリアにおいてタルビ・ウルグアイ次期外相(注:2020年3月1日外相に就任)と会談を行った。

(6)アラウージョ外務大臣の外遊
(ア)3日,アラウージョ外相はパラグアイを訪問し,同国のリバス外相と会談を行った。

(イ)19日,アラウージョ外相はグアテマラを訪問し,同国のブロロ外相と会談を行った。

(ウ)20日,アラウージョ外相は,オタワで開催された第18回リマ・グループ外相会合に出席した。

(エ)21日,アラウージョ外相はホンジュラスを訪問し,同国のロサレス外相と会談を行った。

 

トピックス

(1)スポーツ交流イベント「2020年東京-日伯スポーツ交流-」の開催
     2月10日、当館はスポーツ交流イベント「2020年東京-日伯スポーツ交流-」(ブラジル市民省及び同省スポーツ庁による共催)を開催し,スポーツ協力に関する覚書及び柔道協力に関する覚書の署名式を実施するとともに,東京オリンピック・パラリンピックのPRを行った。

     イベントには,オズマール・テーハ市民大臣、デッシオ・ドス・サントス・ブラジルスポーツ庁長官、レイラ・バッホス上院議員,ジュリオ・セザール・リベイロ下院議員,エスペジード・ネット下院議員のほか、マルコ・ラ・ポルタ伯オリンピック委員会副会長及びミザエル・コンラード・オリヴェイラ伯パラリンピック委員会会長が出席した。その他,会場には,ブラジル政府関係者、メディア関係者など約200名が参加し,超満員の盛況だった。

     山田大使は開会の挨拶の中で,「日本・ブラジル両国は、選手やスポーツチームの人的交流とともに、アンチ・ドーピングとスポーツ医学,障害者・高齢者・女性のスポーツへの参加など、幅広い分野で協力を進めていきたいと思います」「柔道については、日本は、伯柔道連盟の協力のもと、ブラジルの学校カリキュラムの中に柔道が組み込まれるよう、ブラジルの指導者を日本に招聘したり、日本の指導者をブラジルに派遣したりするなど、必要な協力を行ってきた。これを是非引き続き推進していきたいと思っております」と述べるとともに,今年東京で開催されるオリンピック・パラリンピックの紹介を行った(山田大使の挨拶についてはこちら)。

     オズマール・テーハ大臣からは,「今回の署名式を実施できたのは、これまでの日本との歴史的な協力関係に加え、2016年のリオ大会から得られた良き結果の延長線にあるものである。今回のような協力は、我々の絆を深め、日本人から学ぶうえで有意義であると確信している。」と挨拶があり,スポーツ協力に関する覚書及び柔道協力に関する覚書に署名をした。

     そして,日本からこのイベントのために寄せられた鈴木大地スポーツ庁長官からのビデオメッセージが紹介された(鈴木大地スポーツ庁長官のメッセージについてはこちら)。

     署名式の後、藤井裕子・ブラジル柔道男子監督によるブラジルにおける柔道指導活動の紹介のほか、東京オリンピック・パラリンピックのPRビデオの上映,ブラジルのオリンピック・パラリンピック選手を迎え入れる日本のホストタウンからのメッセージの紹介や空手のデモンストレーションが行われた。

     在ブラジル日本国大使館は、スポーツ分野を通じた日ブラジル間の人的交流の促進と、東京オリンピック・パラリンピックの開催の機会を捉えた日ブラジル友好関係の深化に引き続き取り組む。

(2)在外公館文化事業「和食ワークショップ」の実施
     2月15日、在ブラジル日本国大使館は、ミナスジェライス州サンゴタルド市で野原一峰公邸料理人による在外公館文化事業「和食ワークショップ」を実施し、サンゴタルド慈善文化体育協会及びアウト・パライーバ農協の日系人50名が参加した。

     ワークショップでは、野原料理人からニンジンをはじめとする現地の名産品の素材を活かしたレシピを含む全5品の紹介があったほか、寿司の握り方や天ぷらの揚げ方などについて実演を交えた指導が行われました。参加者からは「非常に有益なワークショップだった。今後、各種イベントで今回学んだレシピを活かした食を提供していきたい」との声がありました。

     在ブラジル日本国大使館は引き続き、日系社会とも連携しつつ、ブラジルにおける和食をはじめとする日本文化の普及を促進して参ります。

(3)日本月間における日本紹介(在リオデジャネイロ総領事館)
     2月5日(木)から3月22日(日),リオデジャネイロ市コヘイオス文化センターにおいて「日本月間」を開催している。国際交流基金の「グラフィックデザイン7人の巨匠」,ジャパンハウスの「DŌ (道) ― 徳の極みへ」,カレンダーの展示に加え,日本折紙協会のご協力を得て,日伯折紙アーティストの作品を紹介する。また,生け花,太鼓,折り紙,漫画のワークショップ,日本映画上映,日伯音楽交流コンサート,日本のテクノロジーについての講演会を実施する。

     2月5日(木)に開催された開会式には,大鶴総領事,バストス日伯文化協会会長等出席の下,太鼓と空手のデモンストレーションが披露され,出席者から好評を博した。
 
 
大鶴総領事挨拶
 

空手のデモンストレーション
 
 
漫画ワークショップ

折り紙展

(4)大鶴総領事ミナスジェライス州訪問(在リオデジャネイロ総領事館)
     2月11日(火)から13日(木),ミナスジェライス州ベロオリゾンテ市及びイパチンガ市を大鶴総領事が訪問した。

     同地では,JICA及びベロオリゾンテ名誉総領事館共催による日系中小企業13社を対象としたマッチングイベントへの出席のほか,両市に拠点を置く日系企業の担当者らとの意見交換,工場等視察並びにイパチンガ市日系協会への訪問を行った。
 
 
イベントにおける大鶴総領事挨拶
 

鉄鉱山視察
 
 
紙パルプ用ユーカリ苗木の植栽現場視察

イパチンガ市日系協会訪問