安全の手引き
平成28年12月1日
在レシフェ領事事務所
1.はじめに
当地の治安状況は改善の兆しが見られず、都市別の人口10万人あたりの殺人事件の発生率もブラジル全土で常に上位に位置しています。特に、銃器を使用した一般犯罪が多発しており、近年犯罪の手口も凶悪化していますので「自分の身は自分で守る」との心構えを持って十分注意し、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。今般、皆様が当地にて、より安全な生活を送られるための一助となるように、留意事項をまとめた「安全の手引き」を改訂しました。お気づきの点等ありましたら、御意見等お聞かせください。
2.当地の治安情勢
当地では、銃器を使用した殺人や強盗等の凶悪犯罪が多発しています。犯罪手口も凶悪化しており、貧しい人々が住む貧民窟が市内に点在しており、違法薬物の売買や強盗などの犯罪の温床となっています。人通りの多い商業地区でも警察と強盗団の銃撃戦が昼夜問わず発生しており、流れ弾で多くの市民が死傷しています。観光地でも、観光客を狙った拳銃、ナイフ等を用いた強盗事件が発生しています。
3.治安情勢及び一般犯罪の傾向
(1) レシフェ大都市圏(ペルナンブコ州)
2014年 | 2015年 | |
殺人 | 1,520件 | 1,585件(4.2%増) |
2014年 | 2015年 | |
強盗 | 40,407件 | 58,180件(44%増) |
州社会防衛局の発表によりますと、2015年もレシフェ大都市圏の殺人及び強盗の件数は増加傾向にあり、市内では依然として拳銃を使用した凶悪犯罪が後を絶たちません。当地では被害者側も拳銃を所持している場合があり、犯人と被害者との銃撃戦に周囲の人が巻き込まれる場合があります。
2015年の10万人あたりにおける強盗事件発生件数は1,492件(日本の約785倍)、殺人事件発生件数は40件(日本の約54倍)であり、治安は日本とは比較にならないほど悪い状況です。
(2) サルバドル大都市圏(バイア州)
2014年 | 2015年 | |
殺人 | 793件 | 690件 |
バス強盗 | 312件 | 296件 |
車両強盗 | 2,060件 | 2,031件 |
強姦 | 214件 | 183件 |
ブラジル国内でも有数の観光地であるサルバドール市には、国内外から多くの観光客が集まり、邦人も年間約2,500人訪れています。同地は観光客の移動手段であるバスを標的にした強盗事件が多く、2015年は1か月平均25件のバス強盗事件が発生しています(州警察発表)。さらに、2015年の殺人やバス強盗の件数も、前年とほぼ同じ水準であり、治安の改善が見られません。
4. 主な犯罪手口の特徴
(1)犯人は、車両やオートバイを使用してグループで犯行に及びます。
(2)空港内で犯人グループの一味が被害者を物色し、被害者の車両の特徴や走行方向等を共犯者に携帯電話で伝え、仲間が被害者車両を追尾し、人気の少ないところで停車した被害者車両に対して銃口を向け貴重品や車両を強奪します。
5. 日常生活における犯罪被害のケース
(1) 外出・歩行中
★信号やバス(バスは強盗等の犯罪に巻き込まれる危険性が高いため、極力利用は避けた方がよい)を待つ間に、後ろからバックをナイフ等で切られ、中身をスラれる、あるいは何気なく近づいてきた子供に所持品をひったくられる事件が多発しています。特に一人歩きの女性や老人が狙われやすく、ネックレス等の装飾品を強奪され、逃走する事件が多発しています。★いきなり後頭部を殴打されたり、タックルで押し倒され、ひるんだ隙に、所持品を奪われる(複数犯による犯行が多い)。
★突然、数人の男や少年等に囲まれ、ナイフで脅され所持品を強奪される。
★自動二輪等で背後から近づき,金品や携帯電話を要求されたり,バッグ等をひったくられる。
【対策】
外出時は、所持品の携行には細心の注意が必要です。地元の人がハンドバッグをタスキ掛けにする、リュックサックを胸に抱えている姿をよく見かけますが、これはひったくりの被害を避けることが目的です。同様に財布をお尻のポケットに入れる人が少ないのも、強盗やすりから身を守る方法の一つです。腕時計や貴金属類を着用する等の華美な装い、或いは一目で高価な製品とわかる衣服等は犯罪者の目を引きやすくなります。服装全般に気を配り、目立つ服装で街頭を歩かないようにし、周囲と同化する様な服装を心掛けてください。
現在、スマートホンや携帯電話機、タブレット型端末を狙う強盗が全国で多発しています。人通りの少ない場所や夜間の路上での端末等の使用は十分注意してください。
日本人の場合、こうした不注意から被害に遭ってしまうことが多いので、外出する際には常に警戒することが重要です。
(2) ひったくりの被害に遭い、逃走する犯人を追いかけようとすると、拳銃やナイフを所持した仲間が立ちはだかり、進路の妨害を図るばかりでなく攻撃してくることもある。
【対策】
ひったくりでも犯罪者は単独行動することは稀です。必ず周囲に見張り役の仲間が潜んでいます。犯人が子供の場合、腕力的には取り押さえることも可能ですが、抵抗する者に対しては容赦なく拳銃やナイフで攻撃してくるため、絶対に抵抗せず、素直に所持品を渡しましょう。人通りの多い場所でも、抵抗して犯人が逆上し殺人事件に至るケースが多発しています。(3) 知らない男に気軽な口調で呼び止められ、時間を尋ねられ腕時計で時間確認している間にひったくりに遭う。又は、そうした隙に乗じて、凶器を突きつけられ所持品を奪われる。
【対策】
人の親切心を利用した犯行手口です。見知らぬ人には簡単に気を許さないようにしましょう。話しかけてくる人には、充分間合いを保ち、目を離さないことが重要です。特に日本人は、話しかけられるとつい親切に対応してしまいがちですので注意してください。6. レンタカー等の自動車の利用
(1) 駐車中の車両の中から、荷物やカーステレオを盗まれるケース、また、車両そのものを盗難される事件も多発している。
【対策】
路上駐車が可能な場所であっても、周囲の安全と時間帯を考える必要があります。監視員のいる有料駐車場が近くにあれば、そちらを利用する方が安全です。また、盗難防止装置を装備し盗難に備えることも重要となります。一般的には、自動車のハンドルを固定する錠や、三角窓のこじ開け防止用の補強器具などがあります。しかし、これらを使用していても盗難に遭う場合が増えていることから、最近では、正しい鍵を使わなければクラクションが鳴る警報装置や、燃料が流れなくなる仕組みなど、新たな防犯装置が発売されていますので、これらを備えておくと一層安心です。
普段から、貴重品やバッグなどはトランクに入れ、車外から見える場所へ置かないようお勧めします。
(2) 信号待ち等で停車中に、開けていた窓から手を入れられたり、窓ガラスを割って強引に時計やネックレスをむしり盗られる事件も多発しています。ネックレスの場合、首にひどい怪我を被る可能性があるので十分な注意が必要です。
(3) 停車中、数人が車両に近寄り、拳銃やナイフを突きつけ、金品や車両を強奪される。
【対策】
クーラー設備の無い自動車では、暑い夏に不用意に窓を開けていると、このような被害に遭います。停車中は窓を閉め、手を入れられない程度に小さく開ける等、注意を怠らないようにしましょう。怪しい人物が近づいてくる場合に備えて、信号待ち等で停車した際には前方車両の距離を少し広め、常に周囲に気を配り、いつでも発進できるよう心掛けてください。
(4) 駐車中、車のタイヤをパンクさせられ、パンクに気づきタイヤの交換する際に襲われる。走り出してから気づいた場合でも、尾行され車外に出た瞬間を狙って襲われることがある。
(5)駐車中の車の中で同乗者等を待っている時、あるいは車への乗降時に、凶器等で脅され、自動車を強奪される。
【対策】
車の乗降時は、鍵を準備し周囲に気を配りながら車の足回りなどを確認してください。パンクを見つけた場合も、人通りのある場所やガソリンスタンド等の適当な場所へ移動してから、タイヤ交換を行ってください。強盗だけでなく誘拐の危険性もありますので、駐車中の車内にいることは避け、車から離れて待つようにしてください。(6) 走行中、近くを走る車が合図をして車両故障を教えてくれたため、確認のため車外に出たところを襲われる。路上で車の故障で困っている人がいたため、車を止め、声をかけたところを襲われる。
【対策】
親切そうに振舞ったり、相手の親切心を利用した手口です。ブラジル人は親切で正直な人も多く、実際に故障を教えてくれたり、手伝ってくれたりする場合もありますが、相手が見知らぬ人である限り、一定の警戒心を持って接した方が無難です。車を止める際は、できる限りガスリンスタンド等、人が多く、交通の妨げにならない場所へ行きましょう。
7. 公共交通機関(バス、メトロ等)の利用
(1) 混雑した車内でのスリ。バスの乗降口扉付近に立っていたら、開閉時にハンドバックをひったくられる。
【対策】
歩行中と同様の注意が必要です。日本の通勤電車の様に、居眠りをしたり、雑誌等を読みふけることは、隙ができるので避けてください。また、乗車位置は、出入口付近は避けたほうが無難です。バスの運転手は、乱暴な運転をすることが多く、急停止、カーブや交差点の右左折に減速しない場合があります。手すりや吊革にしっかりつかまってください。
(2) 武装した強盗(多くは複数)が乗り込んできて、所持品を奪われる。
【対策】
バスの中での強盗事件は、特にサルバドール市内で頻発しておりマス。万一強盗に遭遇した場合、周囲の状況を冷静に判断する必要があります。命の安全が最優先であり、100%の確信がない限り、逃走を図る等、抵抗することは避けてください。重ねて書きますが、犯人以外の第三者も拳銃を所持している場合、銃撃戦が起きることがあります。流れ弾を避けるために、なるべく身をかがめて体を低くしましょう。
(3) タクシーを降りて運転手に料金を渡す時、ひったくりに金品を奪われる。
【対策】
料金の受け渡しは車内で行うことが大原則です。その上で、降車時には周囲の様子を確認しましょう。(4) タクシーが不必要に遠回りをしたり、料金メーターを倒さず、或いは改造したメーターで走行して法外な料金を請求してくる。
【対策】
こちらが街に慣れていないことを察すると、口先でごまかしたり、強引に遠回りをして高額な料金を請求される場合もあります。女性一人で乗車する場合の被害が多いので、信用できる無線タクシーを利用するか、タクシー乗り場から乗車するようお勧めします。
タクシーに乗車する前に、メータータクシーか運転手に確認してください。そこで料金を言う運転手はメーターを使用しないので、割高の料金を請求されます。メータータクシーの中には平日でも割増し料金(料金設定は2パターンあり、割増料金は2の数字で表示)である場合もあるので、メーターを指さし1を指摘してください。注意を受け入れない時は,安全な場所で停止しタクシーを乗り換えるようお勧めします。
料金を支払う際は,紙幣を小分けに出すのでなく,支払金額をまとめて運転手に手渡し,その場で料金確認をしてもらいましょう。たまに,悪意の運転手は不足額を求める(紙幣の金額が少なく)ケースがありトラブルとなります。
※タクシーは初乗り4レアルで、平日(土曜含む)22時~6時はメーター1の通常料金であるが、休日や深夜・早朝はメーター2になり、25%割増し料金になります。
8. 銀行・商店等
(1) 店員や行員の不親切な対応や、長い待ち時間等で、気が散っている隙に財布をスラれる。
【対策】
店員や行員の接客は、日本のような丁寧さはありませんが、これがこちらの常識です。不慣れなうちは、こうした些細な日常の場面で、注意力散漫になりがちですが、安全への配慮は常に怠らないようにしましょう。(2) 銀行(ATMを含む)や商店から出たところで、ひったくりや強盗に遭遇する。
【対策】
銀行で多額の現金をおろした客の跡をつけ、人通りの少ない場所で現金を奪う手口があります。複数犯によるものでは、狙った客の背中に気づかれないようにシール等を貼り、外で待ちかまえる仲間の目印にするパターンもあります。外部から見通せない造りの店舗内でも、この様な手口がありますので、常に周囲の状況に十分注意してください。第3者から見える形で、多額の現金を引き出したり、派手な買い物をすることは、当然ながら被害の可能性を高めます。ATMの使用に際し,偽のATM操作パネルが取り付けてあったり,カードやパスワードの読み取り機器(スキミング手口)が取り付けてある事があります。不自然な人物が周囲に居ないか,ATMに違和感を感じたら、別のATMを利用しましょう。
(3) 商店や銀行を襲う強盗事件が多発している。
【対策】
その日の売上金が最大になる閉店間際がもっとも強盗に狙われる時間帯です。銀行へ入店した際は、万一強盗に遭った場合を想定し、隠れる場所や、避難経路を確認するようお勧めします。実際に強盗が押し入ってきた時は、全般の状況判断が大切です。奇襲時は、十分な公算なしに、逃走を図ったり、或いは冷静さを失って大声を発したりすることは危険です。無抵抗に徹し、目立たないようにすることが原則です。9. 家庭内
(1) 留守中の空き巣による窃盗。
【対策】
常に戸締まりに注意することは当然ですが、一戸建て、アパートのいずれも、地上階以外の窓も空き巣の侵入口になる可能性があります。これらの窓に格子を設置する等の補強をお勧めします。また、不在の予定を知られると、その間を狙われますので、外出時には注意し、特に長期間の不在を悟られないよう注意してください。(2) 配達員を装った強盗にドアを開けたところを凶器で襲われ、押し入られる。
【対策】
訪問者に対して、不用意にドアや門を開けないようにしましょう。ドアスコープやチェーンロック等を備え、ドアを開けなくとも、相手と外の様子が確認できるようにしておくことが必要です。(3) 家庭で仕事している使用人が、家の中の金品を盗んだり、強盗や空き巣の手引きをするケースがある。
【対策】
使用人の採用については、十分検討する必要があります。可能な限り、信頼のおける人の紹介を得た身元の確かな者を採用してください。この種の職業は、貧しい地域の人が多く、たとえ本人に盗癖や強盗仲間との関係はなくとも、ふとしたことで盗みを働くことも多く、出来心を起こさせないように現金や貴重品の管理には十分注意してください。また、慣れてくるといろいろな意味でつけ込まれます。日本人は、使用人を雇うのに不慣れなため、つい優しく対応しがちですが、採用後も十分な監督と教育が必要です。現地に精通している使用人は、信頼関係を築けば、家庭の安全確保の大切な一員として、大いに役立ってくれるものです。一方不信を感じることがあれば、被害に遭う前に早期に解雇するべきです。解雇に当たっては逆恨みを買わないよう、十分な配慮、手当等を考えることも大切です。
10.最後に
ブラジルでは「自分の身は自分で守る」ことが第一です。基本的な安全責任はブラジル側当局にありますが、万一の場合は在レシフェ領事事務所が可能な限り支援しますので相談してください。
(主な緊急連絡先) (電話番号冒頭の81はペルナンブコ州のエリアコードです。)
在レシフェ領事事務所
・TEL:(81)3207-0190
・Rua Padre Carapuceiro733,14andar Edf:Empresarial Center I, Boa Viagem,51020-280 Recife PE
文民警察ツーリストポリス(DELEGACIA DO TURISTA)
・TEL:(81)3322-4088、(81)3184-3438、(81)3322-4867---24hエスペランサ病院(HOPE ESPERANÇA)(日本語不可)
・TEL:(81)3302-2020・Rua Antonio de Freitas,265 Ilha do Leite Recife PE
ポルトガル病院(REAL HOSPITAL PORTUGUÊS)(日本語不可)
・TEL:(81)3416-1122・Av.Agamenon Magalhaes,S/N Ilha do Leite Recife PE
サンタ・ジョアナ病院(HOSPITAL SANTA JOANA)(日本語不可)
・TEL:(81)3216-6666・Av.Joaquim Nabuco,200 Gracas Recife PE