大使メッセージ
令和7年1月15日

1908年以降、戦時中の中断を経て拡大を続けた日本人移住者によって、ブラジルには世界最大の日系社会が形成されました。現在、ブラジルには約270万人もの日系ブラジル人が、日本には約21万人の在日ブラジル人が生活しており、この特別な人的交流が、両国の絆を強固にしています。
経済面では、日本はブラジルにとって1950年代にまで遡る伝統的な投資国であり、また、農業、重工業などの分野において、様々な経済協力が進められてきました。1960年代~1970年代の高度経済成長期のブラジルでは、日本の投資や技術協力による数々の大規模な国家プロジェクトが推進され、今日、資源大国かつ農業大国となるまでに至ったブラジル経済の飛躍的な発展を支えてきました。近年では、両国の経済関係は、地上デジタル放送の日本方式採用やアマゾン森林の違法伐採対策に関する協力をはじめ、デジタル、環境・気候変動、防災、エネルギー転換といった分野にまで拡大しており、今後、更なる経済関係の強化が期待されています。
文化面では、日系社会が果たしている役割は非常に大きく、日本の祭りや食文化はブラジル社会に幅広く根付いており、また、最近では、アニメ・漫画をはじめとするポップカルチャーも若い世代を中心に人気を博しています。日本においても、ブラジルの音楽やダンスは高い評価を得ています。スポーツ分野では、2016年リオデジャネイロ大会、2020年東京大会の両オリンピック・パラリンピック競技大会の機会も通じて、サッカーや柔道をはじめ様々な分野で交流が拡大しました。
現在、日本とブラジルは、民主主義や法の支配といった基本的な価値観や原則を共有する「戦略的グローバル・パートナー」です。2024年5月、岸田文雄総理大臣(当時)のブラジル訪問時に開催された日ブラジル首脳会談において、両国首脳は、10周年を迎えた「戦略的グローバル・パートナーシップ」を更に強化していくことを確認するとともに、外交関係樹立130周年となる2025年を「日本ブラジル友好交流年」と位置づけ、文化、観光、スポーツなど様々な分野における人的交流を促進していくことで一致しました。
2025年は、年間を通じて官民の枠を超えて、様々な分野において、行事や交流事業の実施を通じて日本とブラジルの交流を促進し、両国の国交樹立を祝福する年となります。特に両国の若い世代や女性の参加も得て、次世代の日本とブラジルの二国間関係の担い手を育成し、次の10年に繋げる1年となることを強く期待しています。