トピックス 2017年12月号

平成29年12月11日
ブラジル政治情勢(11月の出来事)

[内政]
(1)テメル大統領の健康問題
(2)汚職捜査関係
(3)その他


[外政]
(1)ベネズエラ問題
(2)国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙での伯候補当選
(3)ヌネス外務大臣による欧州・中央コーカサス諸国訪問
(4)E-VISA(電子査証)の導入
(5)ブラジル・パラグアイ関係
(6)ブラジル・メキシコ関係
(7)エジプトにおけるテロ
(8)ブラジル・ボリビア関係
(9)ブラジル・ベラルーシ関係
(10)北朝鮮の弾道ミサイル発射に対するブラジル政府の非難声明


トピックス

(1)山田大使のサンパウロ州ノロエステ地方及び汎パウリスタ地方訪問

(2)百歳以上高齢者表彰式の実施(在サンパウロ日本国総領事館)

 

【内政】

(1)テメル大統領の健康問題
(ア)1日、テメル大統領は、前月27日にサンパウロ市内の病院で前立腺肥大症の手術を受けるも職務に復帰。

(イ)24日、テメル大統領は、サンパウロ市内の病院に入院。冠動脈血栓除去のための心臓のカテーテル手術を受けるも、27日に退院し、同日午後に職務に復帰。


(2)汚職捜査関係
(ア)5日、ピシアーニ・スポーツ大臣に対して保健省への入札に関する不正疑惑が浮上。同大臣はこれを否定。しかし、14日、連邦警察は、収賄容疑でピシアーニ大臣の父(リオデジャデネイロ州議会議長)、また、資金洗浄の容疑で同大臣の弟を逮捕。

(イ)16日、連邦検察庁は、ブラジル空軍次期主力戦闘機選定及び自動車メーカーに対する税制上の優遇措置延長を巡る不正疑惑に関し、ルーラ元大統領及びその子息の資産(合計2,400万レアル)の凍結をブラジリア連邦裁判所に請求。

(ウ)22日、司法高等裁判所は、アルキンミン・サンパウロ州知事の不正疑惑に関する連邦検察庁の捜査許可請求を受理。連邦検察庁によれば、同知事は、2010年及び2014年の選挙においてオーデブレヒト社から違法献金(約1千万レアル)を受け取ったとしている。


(3)その他
     13日、アラウージョ都市大臣(PSDB)が自ら辞任。後任にアレシャンドレ・バルディ下院議員(PP)が、22日就任。

 

【外政】

(1)ベネズエラ問題
     11月4日,ブラジル外務省は,リマ・グループ(亜,伯,加,チリ,コロンビア,コスタリカ,グアテマラ,ホンジュラス,墨,パナマ,パラグアイ及びペルー)として,ベネズエラ最高裁が国民議第一会副議長の議員特権を剥奪し国外渡航を禁じる決定を行ったことを非難する共同声明を発出。


(2)国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙での伯候補当選
     11月10日,国連においてICJ裁判官選挙が行われ,伯の現職判事であるカンサード・トリンダーデ候補が再選。ブラジル外務省はこれを祝福する旨の声明を発出した。


(3)ヌネス外務大臣による欧州・中央コーカサス諸国訪問
     11月13日~17日,ヌネス外務大臣はイタリア,アゼルバイジャン,ジョージア,アルメニアを歴訪(後者3カ国は伯外相初訪問)し,各国で外相等と会談。イタリアでのアルファーノ伊外相との会談では,2007年に発足した戦略的パートナーシップの強化に向けた二国間課題,EU・メルコスールFTA,伯のOECD加盟,グローバルな課題等につき協議が行われた模様。


(4)E-VISA(電子査証)の導入
     11月21日,ブラジル外務省は日本を含む4か国(他に豪,加,米)に対して電子査証(E-VISA)をすることを発表。日本については,明年1月11日から導入される予定。


(5)ブラジル・パラグアイ関係
     11月23日,ロイサガ・パラグアイ外相が訪伯。ヌネス外務大臣との間で自動車協定を含む二国間の課題につき協議。会談終了後,両外相は,国境地帯の隣接居住地に関する協定に署名。


(6)ブラジル・メキシコ関係
     11月24日,ビデガライ・メキシコ外相が訪伯。ヌネス外務大臣との間で,二国間経済補完協定,メルコスール・太平洋同盟間の協力などについて協議。また,両外相は,2030アジェンダを二国間の技術協力戦略に取り入れる可能性についても協議した模様。


(7)エジプトにおけるテロ
     11月24日,ブラジル外務省は,同日,エジプトのシナイ半島のモスクにおいて数百人の死傷者が生じたテロ事件に関し,犠牲者への哀悼とテロ行為を非難する声明を発出。


(8)ブラジル・ボリビア関係
     11月27日,エボ・モラレス・ボリビア大統領の訪伯が予定されていたが,テメル大統領の心臓手術のため再度延期となった。右を受け,伯外務省は同日,モラレス大統領の訪伯は12月5日の予定と改めて発表。


(9)ブラジル・ベラルーシ関係
     11月27~29日,カリニン・ベラルーシ副大統領が訪伯。同副大統領は,27日,ヌネス外務大臣と会談,28日,ゴイアス州にてペリロ同州知事と会談を行うと共に,29日,サンパウロ州工業連盟(FIESP)におけるビジネスフォーラム等に出席した。


(10)北朝鮮の弾道ミサイル発射に対するブラジル政府の非難声明
     11月30日,ブラジル外務省は当地時間28日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難する声明を発出した。

 

トピックス

(1)山田大使のサンパウロ州ノロエステ地方及び汎パウリスタ地方訪問
     11月24日から26日まで、山田大使は野口サンパウロ総領事と共にサンパウロ州ノロエステ地方(アラサツーバ、プロミッソン、カフェランジア、リンス)及び汎パウリスタ地方(マリリア)を訪問した。

     各地では日系団体はじめ地元の皆様より心温まる歓迎を受け、とてもなごやかな雰囲気の中、山田大使及び野口総領事は出席者の方々との交流を深めた。

     それぞれの歓迎会には、日系団体関係者、在留邦人、市長、連邦・市議会議員など大変多くの方々が出席した。  

     山田大使は、各地での挨拶において、まず自身のこれまでのブラジルとの関わりを紹介した上で、日本とブラジルの関係が幅広い分野で力強く進展していることを喜ばしい、今日の日ブラジル友好協力関係は、日本人移住者、日系人の皆様による長年に亘る大変なご尽力があってこそであり、日系社会の方々に深く敬意を表するとともに、日ブラジル関係発展へのご協力に心から感謝申し上げる旨述べた。

     また、ブラジルに着任してまだ数ヶ月であるが、早い時期にこの土地を知ることが大切であると思ってきた旨述べた。

     更に、来年は日本人のブラジル移住110周年の大切な節目の年であり、日系社会の一層の発展と日ブラジル関係の更なる飛躍の年となることを期待する旨、引き続き出席者の方々の御協力も得て、日ブラジル関係をさらに前進させたい旨述べた。


(2)百歳以上高齢者表彰式の実施(在サンパウロ日本国総領事館)
     11月7日、在サンパウロ総領事公邸にて、百歳以上高齢者表彰式を行った。今年は世界19箇所の在外公館で54名が表彰されたが、そのうちサンパウロ総領事館管内は、28名と半数以上の対象者であった。

     表彰式当日には、12名の受彰者が出席され、ご子息やお孫さんに見守られる穏やかな雰囲気の中、来賓など多くの方々から祝福の言葉がかけられた。

     野口総領事は祝辞で、人生の模範を多くの後輩に示して頂いたことへの感謝とともに、ご家族やご友人の支えに対し敬意を表した。また、日本では人生100年時代を見据えた経済・社会システムの検討を行うため「人生100年時代構想会議」が官邸に設置され検討が進められていることを紹介した。