政治情勢・トピックス 2019年10月号

ブラジル政治情勢(9月の出来事)

【内政】
(1)大統領動静
(2)郵便公社職員によるストライキ
(3)銃所持の規制緩和に関する法改正
(4)新検事総長任命の承認


【外交】
(1)リベラ・チリ外相の訪伯
(2)ボルソナーロ大統領のアマゾン関係国首脳会合への出席
(3)リーバス・パラグアイ外相の訪伯
(4)ワシントンにおける伯米外相会談
(5)第74回国連総会におけるボルソナーロ大統領の一般討論演説
(6)アラウージョ外相の国際会議出席


トピックス
(1)第1回地上デジタルテレビ及びICTに関する日伯共同作業部会


(2)ブラジル・アマゾン森林火災に対する緊急支援物資供与式

(3)山田大使によるパラ-州・アマゾナス州訪問

(4)令和元年度草の根・人間の安全保障無償協力「ロライマ州ベネズエラ難民支援のため機材整備計画」署名式

(5)日本人アマゾン移住90周年記念式典(式典及び祝賀会)(マナウス総領事館)

(6)日本祭り(「ジャングル祭り」)の開催(マナウス総領事館)

 

【内政】

(1)大統領動静
     8日,ボルソナーロ大統領は,腹部のヘルニアを切除するための手術を受け,16日,サンパウロ市内の病院から退院し,17日に公務に復帰した。

(2)郵便公社職員によるストライキ
     10日,郵便公社の職員が無期限のストライキを開始した。10日夜,伯国内各地で開催された郵便局組合の集会でストライキの決行が宣言された後,20州及びブラジリア連邦区の組合がストライキを実施した。

(3)銃所持の規制緩和に関する法改正
     17日,ボルソナーロ大統領は,農村部の土地所有者に対して不動産の全敷地内で銃火器の所持を認める法案を裁可した。

(4)新検事総長任命の承認
     25日,ボルソナーロ大統領によるアウグスト・アラス検事長への検事総長任命が上院本会議で承認されたことに伴い,同氏の就任が決定した。翌26日,大統領府においてアラス新検事総長の就任式典が行われた。

 

【外交】

(1)リベラ・チリ外相の訪伯
     5日,アラウージョ外務大臣は,リベラ・チリ外相の就任後初となる公式訪問を受け,外相会談を行った。両外相は,ベネズエラ情勢等の地域及び世界情勢に関する意見交換に加え,両大洋間回廊プロジェクトやアジア南米デジタルゲートウェイ等,二国間の主要テーマについて協議した。

(2)ボルソナーロ大統領のアマゾン関係国首脳会合への出席
     6日,ボルソナーロ大統領は,コロンビアのレティシアで開催されたアマゾン関係国首脳会合にビデオを通じて出席し,約10分間にわたり,アマゾン諸国の主権が脅かされている旨発言した。

(3)リーバス・パラグアイ外相の訪伯
     9日,アラウージョ外務大臣は,リーバス・パラグアイ外相の就任後初となる公式訪問を受け,外相会談を行った。両外相は,ベネズエラ情勢等の地域及び世界情勢に関する意見交換に加え,イタイプ二国間水力発電所,二国間自動車協定,メルコスール等,二国間の主要テーマについて協議した。

(4)ワシントンにおける伯米外相会談
     13日,ワシントンを訪問中のアラウージョ外相は,ポンペオ米国務長官と外相会談を行い,伯米戦略的パートナーシップ対話を立ち上げた。会談後の記者会見において,米国の民間主導によるアマゾン森林保全のための1億米ドルの投資基金の創設等が発表された。

(5)第74回国連総会におけるボルソナーロ大統領の一般討論演説
     24日,ボルソナーロ大統領は,第74回国連総会で一般討論演説を行った。同大統領は,官僚主義からの脱却や規制緩和により,失業,暴力,ビジネスへのリスクを減らすことで,世界の信頼を取り戻すべく取り組んでいる旨述べ,自由貿易の推進及びOECD加盟に対する意欲を示した。また,社会主義及びアマゾン森林火災関連報道を批判し,ベネズエラの民主主義回復へ向けた関係国との連携を主張。人権,民主主義及び表現,宗教,報道の自由に言及した。その他,日本,米国,豪州,カナダ等に対する伯の査証免除措置を紹介し,年内に日本,中国,サウジアラビア,UAE,カタールを訪問する旨発言。

(6)アラウージョ外相の国際会議出席
(ア)23日,アラウージョ外相は,ニューヨークで開催されたリマ・グループ会合(ボルソナーロ大統領の代理)及び米州相互援助条約(TIAR)外相会合に出席。

(イ)25日,アラウージョ外相は,第74回国連総会のマージンで開催されたG4外相会合に出席。

(ウ)25日,アラウージョ外相は,第74回国連総会のマージンで開催されたPROSUR(南米の前進と発展のためのフォーラム)外相会合に出席。各国外相はPROSUR始動宣言に署名した。

(エ)26日,アラウージョ外相は,第74回国連総会のマージンで開催されたBRICS外相会合に出席。各国外相は,政治,安全保障,経済,金融,持続可能な開発,BRICS間の活動等の主要な国際情勢及び地域情勢につき協議した。

 

トピックス

(1)第1回地上デジタルテレビ及びICTに関する日伯共同作業部会
     9月6日,第1回地上デジタルテレビ及びICTに関する日ブラジル共同作業部会が科学技術革新通信省で開催された。共同作業部会は,2018年8月に野田総務大臣とカサビ科学技術革新通信大臣との間で署名した覚書に基づき設置されたものである。

     同会合には,日本側より,山田大使と渡邊総務省国際戦略局次長,ブラジル側より,ポンテス科学技術革新通信大臣やセメギニ次官,ザルアル外務省技術促進大使が出席した。また,総務省とMCTICの他,伯情報通信関係機関,伯放送関係機関,関係大学,議会関係者,日本企業が参加した。

     共同作業部会では,サイバーセキュリティ,IoT,スマートシティ,光ファイバーケーブル,AI,EWBS,次世代地上デジタルテレビ方式等について,両国出席者の間で活発な意見交換が行われた。

     同日,セメギニ科学技術革新通信省次官との会談も実施し,今後のデジタルテレビ及びICT分野に係る協力関係の強化に資するものとなった。

(2)ブラジル・アマゾン森林火災に対する緊急支援物資供与式
     9月23日,ブラジル外務省(イタマラチ宮)において,ブラジル・アマゾン森林火災に対する我が国政府による緊急援助物資(テント,スリーピングパッド)の供与式が行われた。これは,我が国政府が,ブラジル政府のニーズを踏まえ,またブラジルとの友好協力関係に鑑み,ブラジル政府による消火活動への協力のため,国際協力機構(JICA)を通じて緊急援助物資を供与することを決定したことを受けてのものである。

     同式典には,日本側から山田大使、佐藤JICA ブラジル事務所長他,ブラジル側からサルガード外務省アジア・太平洋・ロシア二国間交渉担当副次官,ペレイラ国際協力庁長官,ビアギオニ環境省大臣代行他が出席し,佐藤JICAブラジル事務所長とセルケイラICMBio(シコメンデス生物多様性保全院)総裁の間で,物資の引き渡しを確認する文書への署名が行われた。

     今回の我が国政府の協力が,ブラジル政府の消火活動に効果的に貢献することが期待される。

     また,我が国政府は,今回の緊急援助に加えて,中長期的な観点から,ブラジルの森林保全に資する協力を行っており,これからも協力を進めていく。

     今回供与された援助物資は,ブラジル環境省ICMBioを通じて,最前線で消火活動にあたっている関係者に届けられる予定。
 

式典出席者

ペレイラ国際協力庁長官

(3)山田大使によるパラ-州・アマゾナス州訪問
     9月12~16日にかけて,山田大使は,パラー州・アマゾナス州を訪問した(アマゾン日本人移住90周年記念式典関連記事についてはこちら(トメアス市,ベレン市,マナウス市))。

     13日,トメアス市において,まず山田大使は,最初の移住者の唯一の生存者である山田元氏とともに,最初に移住者が到着した場所であるゼロ地点を視察した。アマゾン日本人移住90周年記念式典(別記事参照)に出席した後は,トメアス文化農業振興協会(ACTA)敷地内にて大鳥居及び太陽光発電機完工式に同席し,さらにニッケイ学校を視察した。その後の昼食会では,臨席した来賓の方々による鏡割り・乾杯の後,式典参加者にACTA婦人会の和食が振る舞われた。

     同日,ベレン市に移動した山田大使は,パラー州立文化センターで開催された「日本週間」の開会式に出席したのち,国際交流基金によって派遣された「オン・アンサンブル」及び金子純恵氏による邦楽講演を鑑賞した。

     14日午前、山田大使は、越知学園を訪問し,越知校長から同校の概要について説明を受けた後,生徒たちから歌・ダンスが披露された。その後,汎アマゾニア日伯協会に移動した山田大使は,現地日系団体との懇談を行った後,遠方から記念式典出席のため現地を訪れた方々に対して90周年記念式典委員会とベレン領事事務所が共催した歓迎昼食会に出席した。その後,山田大使は,ベレン近郊のサンタイザベル日伯協会を訪問し,同協会内の施設及び敷地内の日本語学校を視察した。訪問に際しては,サンタイザベル市のジルソン・フレイタス副市長やフルタード・テイシェイラ市議会議長,現地日系社会の方々から歓迎を受けた。

     16日,山田大使はマナウス市において,マナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)のメネゼス長官を表敬訪問し意見交換を行った。その後,山田大使は,マナウス市北部に位置するダイキンエアコンディショニングアマゾナス社を訪問し,幹部の方々と意見交換し,同社工場内を視察した。
 

トメアス市(トメアス物産展)
 

トメアス市(トメアス移住のゼロ地点視察)
 

マナウス市(アマゾナス劇場)

マナウス市(メネゼスSUFRAMA長官表敬)

(4)令和元年度草の根・人間の安全保障無償協力「ロライマ州ベネズエラ難民支援のため機材整備計画」署名式
     9月11日、草の根・人間の安全保障無償資金協力による「ロライマ州ボアビスタ市ベネズエラ避難民のための機材整備計画」(供与限度額額 42,926米ドル)署名式が日本大使館大使公邸にて行われた。山田大使とハイサ・ホシッテ ワールドビジョン・ブラジル代表が署名を行った。

     日本政府は、ベネズエラの経済・社会情勢の悪化により、ベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいる状況に対し、避難民を含むベネズエラ国民への民生支援を継続するとともに,影響を受けている周辺国に対しても継続して支援を行っている。

     被供与団体であるワールドビジョン・ブラジルは、ベネズエラからの避難民に対するブラジルでの生活の立ち上げ時における入国時の登録,行政手続きや就労活動の支援、その子弟が安全で健康な生活を送るための教育活動への支援をカトリック教会のロライマ州教区内の社会支援協会(Diocese de Obras Sociais em Roraima)が所有するリベルダージ地区社会センター(Centro Social Liberdade)という避難民の受け入れ施設を通じて実施している。

     この度日本政府は,ブラジル北部のロライマ州における同団体の活動の支援を行うことを決定した。今回の支援により、入国時の登録などの手続きに必要な椅子や机、棚などの事務機器や、移動のための車両、防犯用の柵の設置などを行う。

     山田大使は「本プロジェクトの実施によって、さらに多くのベネズエラから支援を必要とする人々を受け入れることが可能となり,避難民の方々が安心して安全にブラジルでの新しい生活を築いていくことに貢献することを期待しております」と述べた。
 

大使スピーチ

署名の様子

(5)日本人アマゾン移住90周年記念祭典(式典及び祝賀会)(在マナウス総領事館)
     9月15日,マナウス在住の主要日系人からなる「日本人アマゾン移住90周年記念祭典西部アマゾン地域実行委員会」(以下,委員会)は,そのメイン行事となる記念祭典を開催した。祭典は,格式高いアマゾナス劇場を会場とした記念式典及びダイアモンド催事場を会場とした記念祝賀会(懇親夕食会)の二部構成で実施された。前者では700余席が,後者では400席が満員となり,アマゾナス州副知事,陸・海・空の司令官,同州文化局長はじめ多数の州・市・連邦諸機関代表が出席,各地から駆けつけた各日系団体代表や関係者等により大変盛況に祝賀された。

     記念式典ではニシキド委員長が主催者として挨拶,日本側から山田駐ブラジル大使及び関口在マナウス総領事が挨拶に立ち,山田大使は茂木外務大臣の祝辞を代読した。ブラジル側からはアルメイダ州知事代行(リマ知事は同日州外に出張中)及びマナウス市長代理(サンパイオ前連邦下院議員・現同市女性社会扶助局長)が挨拶に立った。ブラジル側からは日本人移住者及び進出日本企業の当地社会発展における貢献に謝意が表された。また式典の中で同委員会が80歳以上のご高齢者への顕彰を行い,更に活躍が目覚ましい4名・2団体に対して在マナウス総領事から在外公館長表彰が授与された。

(6)日本祭り(「ジャングル祭り」)の開催(在マナウス総領事館)
     9月20日~22日,マナウス市内の「スタジオ5」にて,同委員会は当地初となる大規模日本祭りである「ジャングル祭り」を開催した。3日間で2万人以上を集客,地元及び州外からのアーティストが招聘され多彩なショーを披露した他,進出日本企業(ホンダ,ヤマハ,パナソニック,ダイキン,ヒサミツ,コニカミノルタ)等の出展ブース,日本食や小物の出店,漫画アニメといったポップから武道など各種ワークショップが実施され,連日大盛況であった。在マナウス総領事館も開会式への国民的漫画家マウリシオ・デ・ソウザ氏の出席や,中平マリコ歌手の出演に協力,また独自ブースを出展し東京オリンピック・パラリンピックの広報等を行った。

     記念祭典も日本祭りも当地委員会の中の若手日系人の活躍が目覚ましかった。次世代を担う彼等の活躍に大いに期待したい。