政治情勢・トピックス 2020年8月号
令和2年8月31日
ブラジル政治情勢(7月の出来事)
【内政】
(1)2020年統一地方選挙の期日延期
(2)新型コロナウイルス対策
(3)大統領動静
(4)税制改正法案の提出
【外交】
(1)首脳電話会談及びテレビ会談
(2)伯仏二国間対話
(3)アラウージョ外務大臣とOAS事務局長のテレビ会談
(4)電気通信等に関するチリとの協力にかかる覚書の署名
(5)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連
(2)山田大使の「頑張って!青年!」プロジェクト第6弾オンラインイベントへの参加
(3)Suframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官によるウェブセミナー(在マナウス総)
1日、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う統一地方選挙の期日延期に関する憲法修正法案が下院において可決され、翌2日、同修正憲法が公布された。同修正憲法により、本年の統一地方選挙の第一回投票は11月15日(日)、決選投票は同月29日(日)に延期された。
(2)新型コロナウイルス対策
3日、ボルソナーロ大統領は、一部条項に拒否権を発動した上で、公道及び公共交通機関におけるマスク着用義務化に関する法律第14,109号を裁可した(注:拒否権行使の対象となったのは、公官庁、商業・産業施設、宗教の礼拝所及び教育施設等におけるマスク着用の義務化。)。6日、同大統領は、刑務所や施設でのマスク着用を義務付けた条項に対しても更に拒否権を発動した。
(3)大統領動静
(ア)7日、ボルソナーロ大統領は、官邸内のぶら下がり会見において、新型コロナウイルス感染検査で陽性反応が出た旨公表した。
(イ)9日、同大統領は、官邸からライブ動画を配信し、自身の社会的距離を確保する旨述べた。
(ウ)25日、同大統領は、新型コロナウイルス感染に関し、直近の検査結果で陰性反応が出た旨SNS上で公表した。27日以降、大統領府執務室での公務を再開。
(4)税制改革法案の提出
21日、ゲデス経済大臣は、税制改革法案の第一段階分を連邦議会に提出した。同法案では、現行の連邦税であるPIS(社会統合基金)とCOFINS(社会保険融資負担金)を統合し、同じく連邦税としてCBS(商品サービス税)を新設すること等が記載されている。
(ア)2日、ボルソナーロ大統領は、アラウージョ外務大臣及びゲデス経済大臣と共に、テレビ会議形式にて開催された第56回メルコスール首脳会合に出席し、現在メルコスールを通じて交渉中のカナダ、韓国、シンガポール、レバノンとの協定締結を進めるとともに、協定相手国をイスラエルやインドに広げ、更にはその他のアジア地域において新たな協定を始める意向を示した。
(イ)9日、ボルソナーロ大統領は、ベニテス・パラグアイ大統領及びムハンマド・サウジアラビア皇太子との間でそれぞれ電話会談を行った。
(ウ)10日、ボルソナーロ大統領は、ムハンマドUAE皇太子とテレビ会議を行った。
(2)伯仏二国間対話
7日、伯仏両国は、二国間政治対話に関するテレビ会議を実施し、二国間関係の将来、技術協力、貿易投資、新型コロナウイルス対策に関する仏領ギアナとの協力、環境保護、生物多様性保全及び気候変動対策等につき協議した。
(3)アラウージョ外務大臣とOAS事務局長のテレビ会談
9日、アラウージョ外相は、アルマグロOAS事務総長との間でテレビ会談を行い、ベネズエラ情勢を含む地域の現状及び新型コロナウイルス感染拡大につき協議した。
(4)電気通信等に関するチリとの協力にかかる覚書の署名
24日、アラウージョ外相及びリベラ・チリ外相は、テレビ会議を通じ、電気通信とデジタル経済の協力に関する覚書に署名した。本覚書により、デジタル接続、電気通信インフラ、接続性、両国間のデータフロー等、両国にとって戦略的に重要な分野におけるより緊密な二国間協力が可能となる由。また、IoT、5G技術、AI及びその応用に関する協力についても規定されている。
(5)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
29日、伯政府は、政令第340号(6月30日発効)に記載された要件を一部緩和した上で、外国人(国籍不問)の陸路、空路及び水運による入国を制限する措置につき、同日より30日間延長する旨の政令第1号を公布した。
(ア)3日、連邦直轄区政府は、経済活動の部分的再開に関する条例を公布した(2日施行)。同条例により、イベント、スポーツイベント、条件を満たさない映画館、劇場、ナイトクラブなどの活動は期限を定めずに引き続き停止し、これらを除く全ての経済活動は、定められた安全措置を講じ、要件を満たした上で活動を再開することが認められた。美容院・理髪店等は7日、スポーツジムは7日、バー及びレストランは15日より営業が認められた。(営業時間は未記載)
(イ)29日、伯政府は、ブラジルへの陸路及び水運による外国人の入国を国籍に関わらず制限する措置を、一部要件を緩和しつつ、30日間延長する旨発表した(同日施行)。同政令第1条6号により、日本人は、観光(90日以内の短期滞在)目的でも訪問ビザ(Visto de Visita)免除の下でブラジルへの空路入国が可能となった。
(2)山田大使の「頑張って!青年!」プロジェクト第6弾オンラインイベントへの参加
6月30日、山田大使はゴイアス日伯協会青年会が主催する「頑張って!青年!」プロジェクトの第6弾オンラインイベントに参加した。第6弾イベントでは、アーティストのユウジ・タマシロさんによる講演が行われた他、山田大使がビデオ・メッセージを寄せ、当日もオンラインも出席して参加者と交流を深めた。
山田大使のメッセージはこちら(動画/メッセージ)
(3)Suframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官によるウェブセミナー(在マナウス総)
17日、パンアマゾニア協会が、本年6月17日就任したアルガシル・ポウシンSuframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官をスピーカーに迎えて、ウェブセミナーを開催した。同長官の発言概要は以下のとおり。
(ア)長官拝命は政治任用ではなく実務経歴によるもの。アマゾナス州選出議員団から支持されていると承知。何かを達成するには経済界や社会の支持が必要なので、コミュニケーションを良くとり、負託に応えていく。
(イ)五州を管轄するSuframa長官として、機関の実力を発揮し使命を全うする覚悟。組織としては汚職や不正を絶対に許さず、透明性を第一に運営する。個別には次の5つに優先的に取り組んでいく。
(1) 前長官が始めたPPB(基礎製造工程:恩典享受の条件)審査の迅速化・簡便化を進める。審査が遅れると企業活動に支障を来す。国益にかなった改革であると認識。
(2) 工業の多角化を図る。代表団体(Cieam:アマゾナス工業センター)の100社・名からニーズを聴取しているところ。
(3) 不法占拠者のため有名無実となっている農牧畜特区の正常化を図り、アグリビジネスを興隆する。リオ・プレット・ダ・エヴァ市所在のアマゾナス州政府のアグリ産業計画とも連携する。
(4) 商業の再起動を図るべく多数の業界リーダーの声を聞いていく。工業ほどに恩典制度が活用されていない商業主体への周知を図り、実際的な結果を追求していく。
(5) CBA(アマゾン・バイオテクノロジー・センター)の法人格を確定し(公益を扱う民間団体)、本来の活動(企業のバイオ分野R&Dを支援)を起動させる。
(ウ)観光業についてはまず業界と対話して、後日、自身の立場を述べる。
(エ)雇用創出は直接雇用のみならず間接雇用も視野に取り組む。企業の研究開発が地域開発や環境発展にも役立つ仕組み作り、行政能力が弱い地方自治体を支援する取り組みにも着手する。議員と連携して議員予算枠を地方にもたらすことにも試みる。またZFM(マナウス・フリーゾーン)の実態が全伯レベルで知られていないため、地理的隔離や環境保全のコストを正当に代償する制度である旨を周知し、単なる租税回避地という誤解を解きたい。
【内政】
(1)2020年統一地方選挙の期日延期
(2)新型コロナウイルス対策
(3)大統領動静
(4)税制改正法案の提出
【外交】
(1)首脳電話会談及びテレビ会談
(2)伯仏二国間対話
(3)アラウージョ外務大臣とOAS事務局長のテレビ会談
(4)電気通信等に関するチリとの協力にかかる覚書の署名
(5)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連
(2)山田大使の「頑張って!青年!」プロジェクト第6弾オンラインイベントへの参加
(3)Suframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官によるウェブセミナー(在マナウス総)
【内政】
(1)2020年統一地方選挙の期日延期1日、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴う統一地方選挙の期日延期に関する憲法修正法案が下院において可決され、翌2日、同修正憲法が公布された。同修正憲法により、本年の統一地方選挙の第一回投票は11月15日(日)、決選投票は同月29日(日)に延期された。
(2)新型コロナウイルス対策
3日、ボルソナーロ大統領は、一部条項に拒否権を発動した上で、公道及び公共交通機関におけるマスク着用義務化に関する法律第14,109号を裁可した(注:拒否権行使の対象となったのは、公官庁、商業・産業施設、宗教の礼拝所及び教育施設等におけるマスク着用の義務化。)。6日、同大統領は、刑務所や施設でのマスク着用を義務付けた条項に対しても更に拒否権を発動した。
(3)大統領動静
(ア)7日、ボルソナーロ大統領は、官邸内のぶら下がり会見において、新型コロナウイルス感染検査で陽性反応が出た旨公表した。
(イ)9日、同大統領は、官邸からライブ動画を配信し、自身の社会的距離を確保する旨述べた。
(ウ)25日、同大統領は、新型コロナウイルス感染に関し、直近の検査結果で陰性反応が出た旨SNS上で公表した。27日以降、大統領府執務室での公務を再開。
(4)税制改革法案の提出
21日、ゲデス経済大臣は、税制改革法案の第一段階分を連邦議会に提出した。同法案では、現行の連邦税であるPIS(社会統合基金)とCOFINS(社会保険融資負担金)を統合し、同じく連邦税としてCBS(商品サービス税)を新設すること等が記載されている。
【外交】
(1)首脳電話会談及びテレビ会談(ア)2日、ボルソナーロ大統領は、アラウージョ外務大臣及びゲデス経済大臣と共に、テレビ会議形式にて開催された第56回メルコスール首脳会合に出席し、現在メルコスールを通じて交渉中のカナダ、韓国、シンガポール、レバノンとの協定締結を進めるとともに、協定相手国をイスラエルやインドに広げ、更にはその他のアジア地域において新たな協定を始める意向を示した。
(イ)9日、ボルソナーロ大統領は、ベニテス・パラグアイ大統領及びムハンマド・サウジアラビア皇太子との間でそれぞれ電話会談を行った。
(ウ)10日、ボルソナーロ大統領は、ムハンマドUAE皇太子とテレビ会議を行った。
(2)伯仏二国間対話
7日、伯仏両国は、二国間政治対話に関するテレビ会議を実施し、二国間関係の将来、技術協力、貿易投資、新型コロナウイルス対策に関する仏領ギアナとの協力、環境保護、生物多様性保全及び気候変動対策等につき協議した。
(3)アラウージョ外務大臣とOAS事務局長のテレビ会談
9日、アラウージョ外相は、アルマグロOAS事務総長との間でテレビ会談を行い、ベネズエラ情勢を含む地域の現状及び新型コロナウイルス感染拡大につき協議した。
(4)電気通信等に関するチリとの協力にかかる覚書の署名
24日、アラウージョ外相及びリベラ・チリ外相は、テレビ会議を通じ、電気通信とデジタル経済の協力に関する覚書に署名した。本覚書により、デジタル接続、電気通信インフラ、接続性、両国間のデータフロー等、両国にとって戦略的に重要な分野におけるより緊密な二国間協力が可能となる由。また、IoT、5G技術、AI及びその応用に関する協力についても規定されている。
(5)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
29日、伯政府は、政令第340号(6月30日発効)に記載された要件を一部緩和した上で、外国人(国籍不問)の陸路、空路及び水運による入国を制限する措置につき、同日より30日間延長する旨の政令第1号を公布した。
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連(ア)3日、連邦直轄区政府は、経済活動の部分的再開に関する条例を公布した(2日施行)。同条例により、イベント、スポーツイベント、条件を満たさない映画館、劇場、ナイトクラブなどの活動は期限を定めずに引き続き停止し、これらを除く全ての経済活動は、定められた安全措置を講じ、要件を満たした上で活動を再開することが認められた。美容院・理髪店等は7日、スポーツジムは7日、バー及びレストランは15日より営業が認められた。(営業時間は未記載)
(イ)29日、伯政府は、ブラジルへの陸路及び水運による外国人の入国を国籍に関わらず制限する措置を、一部要件を緩和しつつ、30日間延長する旨発表した(同日施行)。同政令第1条6号により、日本人は、観光(90日以内の短期滞在)目的でも訪問ビザ(Visto de Visita)免除の下でブラジルへの空路入国が可能となった。
(2)山田大使の「頑張って!青年!」プロジェクト第6弾オンラインイベントへの参加
6月30日、山田大使はゴイアス日伯協会青年会が主催する「頑張って!青年!」プロジェクトの第6弾オンラインイベントに参加した。第6弾イベントでは、アーティストのユウジ・タマシロさんによる講演が行われた他、山田大使がビデオ・メッセージを寄せ、当日もオンラインも出席して参加者と交流を深めた。
山田大使のメッセージはこちら(動画/メッセージ)
(3)Suframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官によるウェブセミナー(在マナウス総)
17日、パンアマゾニア協会が、本年6月17日就任したアルガシル・ポウシンSuframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)新長官をスピーカーに迎えて、ウェブセミナーを開催した。同長官の発言概要は以下のとおり。
(ア)長官拝命は政治任用ではなく実務経歴によるもの。アマゾナス州選出議員団から支持されていると承知。何かを達成するには経済界や社会の支持が必要なので、コミュニケーションを良くとり、負託に応えていく。
(イ)五州を管轄するSuframa長官として、機関の実力を発揮し使命を全うする覚悟。組織としては汚職や不正を絶対に許さず、透明性を第一に運営する。個別には次の5つに優先的に取り組んでいく。
(1) 前長官が始めたPPB(基礎製造工程:恩典享受の条件)審査の迅速化・簡便化を進める。審査が遅れると企業活動に支障を来す。国益にかなった改革であると認識。
(2) 工業の多角化を図る。代表団体(Cieam:アマゾナス工業センター)の100社・名からニーズを聴取しているところ。
(3) 不法占拠者のため有名無実となっている農牧畜特区の正常化を図り、アグリビジネスを興隆する。リオ・プレット・ダ・エヴァ市所在のアマゾナス州政府のアグリ産業計画とも連携する。
(4) 商業の再起動を図るべく多数の業界リーダーの声を聞いていく。工業ほどに恩典制度が活用されていない商業主体への周知を図り、実際的な結果を追求していく。
(5) CBA(アマゾン・バイオテクノロジー・センター)の法人格を確定し(公益を扱う民間団体)、本来の活動(企業のバイオ分野R&Dを支援)を起動させる。
(ウ)観光業についてはまず業界と対話して、後日、自身の立場を述べる。
(エ)雇用創出は直接雇用のみならず間接雇用も視野に取り組む。企業の研究開発が地域開発や環境発展にも役立つ仕組み作り、行政能力が弱い地方自治体を支援する取り組みにも着手する。議員と連携して議員予算枠を地方にもたらすことにも試みる。またZFM(マナウス・フリーゾーン)の実態が全伯レベルで知られていないため、地理的隔離や環境保全のコストを正当に代償する制度である旨を周知し、単なる租税回避地という誤解を解きたい。