トピックス 2017年8月号

平成29年8月17日
ブラジル政治情勢
[内政]
(1)テメル大統領を巡る動き
(2)ラヴァ・ジャット捜査関連
(3)労働法改正案の成立
(4)その他


[外政]
(1)テメル大統領のG20サミット出席
(2)核兵器禁止条約採択
(3)フォリー亜外務・宗務大臣の訪伯
(4)テメル大統領のメルコスール首脳会議への出席
(5)CPLP閣僚会合の開催
(6)ベネズエラ情勢


トピックス
(1)第3回日伯農業・食料対話の開催

(2)在サンパウロ総領事館の「サンパウロ日本祭り」への参加

(3)「日本民謡協会」公演の開催

   

【内政】

(1)テメル大統領を巡る動き

(ア)4日 下院憲法司法委員会は,テメル大統領の起訴にかかる報告者として,セルジオ・ツバイテル議員(PMDB)を選出。同議員は,PMDB議員ながら,独立・専門的見地から報告書を作成することを言明。
 

(イ)5日,テメル大統領弁護団は,下院憲法司法委員会に抗弁書を提出。収賄容疑を全面否定。
 

(ウ)13日,下院憲法司法委員会は,投票により,テメル大統領の収賄容疑にかかる起訴に反対の判断を下し,右結果を下院本会議に報告。
 

(エ)議会休会明けの8月2日,下院本会議において,テメル大統領に対する起訴を認めるかどうかの投票が行われる見込み。連邦検察庁による起訴を認めて,テメル大統領に対する公判を開始するためには,下院議員342人(下院議席513の3分の2)が賛成することが条件。8月2日の本会議に342議員が出席していなければ,投票は後日に延期される。


 

(2)ラヴァ・ジャット捜査関連

(ア)3日,連邦警察は,リマ元政府調整庁長官(PMDB)をクーニャ前下院議長とフナロ両替商の口封じに関与したとして司法妨害容疑で逮捕(ただし12日にはGPS装着を条件に釈放され,自宅謹慎措置に)。
 

(イ)6日,連邦警察は,クリチバ市におけるラヴァ・ジャット捜査専属班を解散し,汚職公金横領対策課に同捜査の担当を移管。連邦検察庁は右決定を批判。
 

(ウ)12日,上院本会議は,ドッジ次期検事総長の任命を承認(賛成74票,反対1票)。その後,13日にテメル大統領が正式に任命。
 

(エ)12日,クリチバ連邦裁判所は,ルーラ元大統領に対し,収賄罪及びマネロン罪で禁錮9年6か月の有罪判決。右判決に対し,14日,ルーラ元大統領は「判決不明瞭点の解明請求」を提出(18日,クリチバ連邦裁は右請求を棄却。ただし請求棄却にかかわらず,ルーラ側の控訴手続きは認められる。
 

 

(3)労働法改正案の成立

(ア)4日,連邦上院で労働法改正案の緊急動議が賛成多数で可決。その後,11日,上院本会議は労働法改正案を賛成多数(賛成50票,反対26票,棄権1票)で可決。
 

(イ)13日にはテメル大統領が裁可し,本法案が成立(120日後に施行)。
 

(ウ)過剰な労働者保護の労働法が改正されることにより,今後の労使関係のあり方が大幅に改善され,労働訴訟も減少する見通し。


 

(4)その他

     20日 テメル大統領は,5月のフレイレ前文化大臣の辞任以来,空席となっていた文化大臣にジャーナリスト出身のサ・レイタァン国家映画庁長官を任命。


 

【外政】

(1) テメル大統領のG20サミット出席

(ア)7~8日,テメル大統領は独ハンブルグで行われたG20サミットに出席し,公式プログラムに参加。
 

(イ)7日,テメル大統領は,サミットのマージンにおいて,中国の習近平国家主席主宰のBRICS首脳非公式会議に出席。他の首脳と共に,世界の政治・経済情勢やG20の重点議題につき意見交換するとともに,BRICSの団結・協力の強化,開放型世界経済の共同構築,グローバル経済ガバナンスの整備,持続可能な発展の促進等につき協議。


 

(2)核兵器禁止条約採択

(ア)7日,伯外務省は核兵器禁止条約の採択に関して祝意を表する声明を発出。伯は,南ア,オーストリア,アイルランド,メキシコ,ナイジェリア等と並んで,本件条約交渉に係る国際会議を招集する国連総会決議の共同提案国であった。
 

(イ)同声明では,「核の平和的利用を憲法上の誓約と定める伯にとり,核兵器のない世界を志向する交渉への伯政府の参加は,その国際的な実践である。核兵器禁止条約の発効はかかる方向性に向けた重要な一歩であり,伯政府は全ての国に対しその受諾を要請する」旨表明。


 

(3)フォリー亜外務・宗務大臣の訪伯

(ア)14日,フォリー亜外務・宗務大臣は訪伯し,テメル大統領表敬,及びヌネス外務大臣と会談等を行った。
 

(イ)テメル大統領への表敬では,両国の貿易関係,国境統合,その他の協力を定めた伯亜行動計画につき協議された模様。ヌネス外相との会談では,本年2月のマクリ亜大統領の訪伯時に首脳間で合意した伯亜行動計画(貿易関係,規制調和,国境統合及び領事協力等)の実施状況を確認した。
 

(ウ)報道によれば,フォリー外相は,在伯亜大使館で行われた記者会見において「伯は亜のパートナーであり,伯での出来事は全て亜にとり優先事項。亜は,伯の全ての制度的メカニズムを完全に信頼している」旨述べつつ,「国内政治問題は各国のものである」として,伯の政治危機に関し言及しなかった。
 

 

(4)テメル大統領のメルコスール首脳会議への出席

(ア)21日,テメル大統領は,メンドーサ(アルゼンチン)で開催された第50回メルコスール首脳会議に出席。同会議において,伯はアルゼンチンから議長国を引継いだ(任期は本年末までの半年間)。
 

(イ)本件会議出席に際し,テメル大統領は当国経済紙に寄稿。伯議長国の下,政府調達協定の締結,技術的規制の調和推進,域外国・地域との交渉・対話深化に取り組むと共に,ベネズエラ情勢を特に注視することを表明。


 

(5)CPLP閣僚会合の開催

(ア)20日,伯外務省イタマラチ宮において,ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)第22回閣僚会合が開催。各国から閣僚級レベルが出席(日本はオブザーバー国として,在伯大使館館員が出席)。
 

(イ)今次会合の結果,共同声明と共に,CPLP新戦略ビジョン運用決議,及びオブザーバー諸国との協力強化決議等が署名された。


 

(6)ベネズエラ情勢

(ア)17日,伯外務省は16日にベネズエラで実施された野党による国民投票を歓迎する旨のプレスリリースを発出。
 

(イ)30日,伯外務省は,ベネズエラの制憲議会召集に関して非難声明を発出。

 

 

トピックス

(1)第3回日伯農業・食料対話の開催

     7月7日(金)サンパウロにおいて、第3回日伯農業・食料対話が開催された。日本政府から細田農林水産大臣政務官、ブラジル政府からマッジ農務大臣が出席し、両国から多数の民間企業・関係団体が参加した。
 

     ブラジルにおける穀物輸送インフラや投資・ビジネス環境の改善、ブラジル日本商工会議所とブラジル農牧研究公社との産学連携等について議論が行われた。
 

     ブラジル日本商工会議所とブラジル農牧研究公社から、両者の連携体制の構築に関する共同発表が行われた。
 

     また、ブラジルで投資や事業を展開していくに当たっての日本側の要望を取りまとめた提案書が、細田政務官からブラジル側代表に手交された。
 

     午後には、両国企業のビジネスマッチングイベントとして「日伯投資ロードショー」が開催された。
 

     対話終了後には、日本食及び日系企業をPRするレセプションを行い、「日本食普及の親善大使」である小池シェフ監修による和牛料理、米どころ新潟県産のお米を使用した寿司や日本酒、東日本大震災復興支援の観点から福島県の日本酒等が振る舞われた。
 

【参考】

     細田農林水産大臣政務官の海外出張の概要について(農林水産省プレスリリース)

http://www.maff.go.jp/j/press/kokusai/chiiki/170713.html

 

発言する細田農林水産大臣政務官(左)とマッジ農務大臣


 

(2)サンパウロ日本祭りへの参加

     7月7日(金)から9日(日)にかけてイミグランテス・エキスポ会場にて開催された「サンパウロ日本祭り」に、細田農林水産大臣政務官、佐藤駐ブラジル日本国大使及び中前駐サンパウロ日本国総領事が参加し、8日(土)の開会式にて挨拶等を行った。
 

     サンパウロ総領事館はブースを開設し、日本文化理解促進を図るため,日本から招聘した「書道家:笹島沙恵氏」による書道のレクデモやワークショップ,「めぐりあいカルタ会」による日本の伝統遊技である百人一首レクデモ,当地日本語教師の松田明美氏(ブラジルカワイイ大使)による日本文化を紹介する講演などを実施した。

 

書道レクデモ風景


 

(3)「日本民謡協会」公演の開催

     7月14日、日本国大使館は、サンパウロ新聞、ニッポクラブ等とともに、CCBB(ブラジル銀行カルチャーセンター)シアター1にて公益財団法人日本民謡協会公式訪問団(金子利夫団長)による公演「MINYOU」を開催しました。当日は、当地の太鼓団体「光太鼓」のメンバーが会場前で、およそ200人の聴衆に演奏を披露するとともにに、イベントの広報を行い、会場は満員(約350人)の盛況となりました。