政治情勢・トピックス 2020年7月号

令和2年8月19日
ブラジル政治情勢(6月の出来事)
【内政】
(1)新型コロナウイルス対策
(2)低所得者保障政策「Renda Brasil」の発表
(3)ボルソナーロ大統領支持デモ及び反政府デモの発生
(4)通信省の設置及び閣僚の交代


【外交】
(1)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(2)新型コロナウイルスのワクチン治験に関する英国との協力
(3)伯米電話首脳会談
(4)伯露電話首脳会談
(5)アラウージョ外務大臣の電話会談及びテレビ会談出席


トピックス
(1)新型コロナウイルス関連
(2)「GDF・大使館一丸となろう対Covid-19キャンペーン」への協力
(3)山田大使の地元テレビ局への出演(新型コロナウイルスに対する日本の取組の紹介)
(4)リオデジャネイロ州文化創造経済局への寄付(在リオデジャネイロ総領事館)

 

【内政】

(1)新型コロナウイルス対策
(ア)19日、保健省は、全国において安全かつ計画的な方法で活動を再開するための指針を公表した。同指針は、新型コロナウイルスの感染防止、制御及び緩和に関するものであり、伯国民の健康を促進するとともに、各業界の特性を尊重しつつ、活動と社会生活を安全に再開するための地域の戦略を支援することを目的とする。
(イ)30日、ボルソナーロ大統領は、低所得の自営業者及び非正規労働者に対する給付金(600レアル/月)を更に2回給付する旨の大統領令に署名した。これにより、7月及び8月にそれぞれ4回目及び5回目の給付が実施されることとなった。

(2)低所得者保障政策「Renda Brasil」の発表
     8日、ゲデス経済大臣は、条件付現金給付制度のボルサ・ファミリアを再編し、新たな低所得者層向け給付プログラムとして「Renda Brasil」を創設する意向を述べた。

(3)ボルソナーロ大統領支持デモ及び反政府デモの発生
(ア)7日、伯全国の11都市及び連邦直轄区(DF)において、反ボルソナーロ政権デモが行われ、デモ参加者は、人種差別反対や民主主義擁護を掲げた。
(イ)14日、ブラジリアの連邦政府官庁街において、ボルソナーロ大統領支持派によるデモが発生し、ヴァイントラウブ教育大臣(当時)が参加した(注:13日、DF政府は、衛生上の観点から人の密集を避けるため、14日に官庁街を閉鎖する旨の条例を発出)。
(ウ)21日、ブラジリアの連邦政府官庁街において、ボルソナーロ大統領支持派及び反対派によるデモが発生した。各々のデモは、連邦警察及びDF警察により、互いに距離が確保された。

(4)通信省の設置及び閣僚の交代
(ア)10日、伯政府は、科学技術革新通信省から分離する形で通信省を設置・復活させ、新通信大臣にファビオ・ファリーア下院議員(PSD:社会民主党)が就任した。
(イ)18日、ヴァイントラウブ教育大臣が辞任を表明し、20日に正式に解任された。25日、マルコス・デコテッリ氏が同職に就任。
(ウ)30日、デコテッリ教育大臣が辞任した(注:7月10日、マッケンジー長老派大学元副学長のミルトン・リベイロ氏が教育大臣に就任)。

 

【外交】

(1)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(ア)20日、伯政府は、外国人(国籍不問)の陸路、空路及び水運による入国を制限する措置を同日より15日間延長する旨の政令第319号を公布した。
(イ)30日、伯政府は、上記政令319号等に記載された要件を一部緩和し、経済活動目的で短期・長期の入国を条件付で解禁しつつ、外国人(国籍不問)の陸路、空路及び水運による入国を制限する措置を同日より30日間延長する旨の政令第340号を公布した。

(2)新型コロナウイルスのワクチン治験に関する英国との協力
     27日、保健省は、新型コロナウイルスのワクチン治験に係る英国との協力につき公表した。伯連邦政府は、二国間の技術開発協力及び新型コロナウイルスワクチンへのアクセスに係る合意案を受け入れた。なお、同ワクチンは、オックスフォード大学及びアストラゼネカ社によって開発中。

(3)伯米首脳電話会談
     1日、ボルソナーロ大統領は、トランプ米大統領と電話会談を行った。ボルソナーロ大統領は、米国による人工呼吸器1000台の供与につき謝意を述べ、拡大G7会合及び伯産鉄鋼製品に関する問題について協議した旨SNSに投稿した。

(4)伯露首脳電話会談
     15日、ボルソナーロ大統領は、自身のSNSアカウントを通じ、プーチン露大統領と電話会談を行った旨公表した。両国首脳は、新型コロナウイルス対策を含む二国間協力及び次回のBRICS首脳会合での成果目標につき協議した。

(5)アラウージョ外務大臣の電話会談及びテレビ会談出席
(ア)3日、アラウージョ外務大臣は、同日に豪州、韓国、米国、インド及びイスラエルの外務大臣との間でテレビ会談を行い、新型コロナウイルス対策及び経済回復について協議した旨SNSに投稿した。
(イ)5日、アラウージョ外務大臣は、4日にアシュケナジー・イスラエル新外務大臣との間でテレビ会談を行い、新型コロナウイルス対策、経済回復及び二国間の戦略的関係について協議した旨SNSに投稿した。
(ウ)6日、アラウージョ外務大臣は、4日にアブダッラー・アール・ナヒヤーンUAE外務大臣との間でテレビ会談を行い、新型コロナウイルス対策、経済回復及び対伯インフラ投資について協議した旨SNSに投稿した。
(エ)15日、アラウージョ外務大臣は、同日にソーライデ・ノルウェー外務大臣と電話会談し、EFTAメルコスールFTAの機能、ノルウェーの対伯投資の拡大及び環境分野における二国間協力について協議した旨SNS上で公表した。

 

トピックス

(1)新型コロナウイルス関連
     連邦直轄区政府は、以下の条例を公布した。
(ア)2日,宗教行事の実施制限の緩和及び市民公園の部分的再開に関する条例(6月3日施行)を公布。これにより、(1)宗教行事は所定の安全措置を講ずる場合には、200人以上の収容人数を有する施設において実施可能、及び(2)付属書に記載された公園において、一定の条件下での開園が許可される。
(イ)3日、映画館・劇場及び文化的な集合的活動の部分的再開に関する条例(6月3日施行)を公布。
(ウ)6日、は、DF内の3地域(Ceilandia・Sol Nascente・Estrutural)における一部経済活動等の一時停止について定める条例を公布(6月6日施行)。
(エ)14日、全ての市場の営業再開に関する条例を公布(6月17日施行)。
(オ)26日、レクリエーションクラブの一部再開等に関する条例を公布(6月26日施行)。これにより、所定の安全措置を講じた上で、プロサッカークラブの練習の再開及びレクリエーションクラブの再開が認められる。

(2)「GDF・大使館一丸となろう対Covid-19キャンペーン」への協力
     9日、在ブラジル日本国大使館は,連邦直轄区政府(GDF)のイニシアティブにより実施されている「GDF・大使館一丸となろう対Covid-19キャンペーン」に協力した。同キャンペーンは,DF内の貧困層に向けた、食糧や新型コロナウイルス感染症予防のための物資の支援を行うことを目的としている。大使館及び館員個人による寄付金で購入したアルコールジェル240本,食器用洗剤192本,洗濯用液体洗剤48本及びマスク215枚が連邦直轄区政府に寄付された。
在ブラジル日本国大使館は引き続き、連邦直轄区政府をはじめとする関係機関との連帯を深めつつ、できる限りの協力を行っていく。

 

 

 


(3)山田大使の地元テレビ局への出演(新型コロナウイルスに対する日本の取組の紹介)
     5日及び6日に,新型コロナウイルスに対する日本の取組に関する山田大使のビデオ・メッセージが,地方TV局「TV Supren」の「BOLETIM COIVD-19 PELO MUNDO」(世界からのCOIVD-19の報告)というコーナーで放映された。放送された内容は,以下のとおり。
https://www.facebook.com/watch/?v=554055358609830
(山田大使のメッセージのトランスクリプトは,こちらをご覧下さい。)

(4)リオデジャネイロ州文化創造経済局への寄付(在リオデジャネイロ総領事館)
     9日,大鶴総領事は,ダニエリ・バホス・リオデジャネイロ州文化創造経済長官と懇談し,コロナ禍における文化芸術活動の現状及び今後の見通しについて意見交換を行った。また,新型コロナウイルスの感染拡大により,大人数を集めての文化芸術活動が制限されていることから,苦境に立たされているアーティストを支援することを目的に,リオ州文化創造経済局に対して,再利用可能な布製マスク,手袋,そして我々の生活を豊かにする読書ができるよう古本を寄付した。