トピックス 2016年7月号

平成28年9月28日
【目次】

(1)ハイブリッド技術紹介イベントの開催

(2)平成28年春の叙勲

(3)梅田大使のブラジル日本商工会議所懇親昼食会出席

(4)第2回自衛隊記念日レセプションの開催

(5)サンパウロにおけるジャパン・ハウス第三回運営委員会の開催(在サンパウロ総領事館)

内政
(1)新透明性監察監督大臣の就任
(2)弾劾プロセスの前倒し案の却下
(3)カリェイロス上院議長等のPMDB重鎮への逮捕請求
(4)ルーラ前大統領の動向
(5)クーニャ下院議長の議員資格剥奪の動向
(6)テメル大統領代行の汚職疑惑
(7)観光大臣の辞職
(8)クーニャ下院議長の起訴状受理
(9)ベルナルド元大臣の逮捕
(10)弾劾プロセスの日程変更
(11)ルセーフ大統領の「不正会計処理」問題


外交
(1)セーハ外務大臣のOECD閣僚理事会及びWTO非公式閣僚会合への出席
(2)ベネズエラ情勢関連
(3)ロイサガ・パラグアイ外務大臣の訪伯
(4)ペルー大統領選挙
(5)コロンビア政府・FARC間の停戦合意
(6)イスタンブール・アタチュルク空港でのテロ
 

(1)ハイブリッド技術紹介イベントの開催

     6月6日,19時から22時,在外公館を利用した日本ブランド発信事業として,トヨタ・ド・ブラジルとの共催により,日本大使公邸において,同社が世界的にも強みを有するハイブリッド技術を伯政府関係者及び伯報道関係者に紹介するイベントを実施した。
 

(2)平成28年春の叙勲

     4月29日(日本時間)に日本政府は2016年春の叙勲受章者を発表したところ,在ブラジル日本国大使館管轄地域からは,元大使館職員であるマリア・デ・ジェズス・メイレーレス氏が,長年に亘る我が国の在外公館業務への功績が認められ,瑞宝双光章が授与された。6月8日,日本大使公邸にて,メイレーレス氏に対する叙勲伝達式が行われた。
 

(3)梅田大使のブラジル日本商工会議所懇親昼食会出席

     6月17日、梅田大使はサンパウロで開催されたブラジル日本商工会議所懇親昼食会に出席し、「ブラジル政治・経済の現状及び日伯関係」について講演した。
 

(4)第2回自衛隊記念日レセプションの開催

(ア)2016年6月29日,在ブラジル日本大使館では第2回目の自衛隊記念日レセプションを日本大使公邸にて開催した。冒頭,伯陸軍音楽隊による日ブラジル両国の国歌演奏に続き,梅田邦夫大使及び山内徹防衛駐在官より挨拶を行った。

(イ)本レセプションには,タバジャラ・デ・オリヴェイラ外務省防衛部長,ゴラール陸軍中将をはじめ,ブラジル連邦政府,海・陸・空軍及びブラジリア連邦区政府の関係者,各国大使館の駐在武官,サンパウロの日系社会代表など,約240名の方々に参加頂いた。

(ウ)会場では,自衛隊の防衛交流・協力等をパネル展示し,日本企業による装備品等の展示を行った。また,梅田大使による日ブラジル防衛交流功労者(ヒカルド・ヘイス・タヴァレス空軍少将)に対する表彰式も併せて執り行った。レセプションの最後には,協賛日本企業によるギフト抽選会が行われた。本年も盛況であった自衛隊記念日レセプションは,日伯両国の防衛交流の進展を示し,また今後の防衛交流を一層発展させていく機会となった。
 

(5)サンパウロにおけるジャパン・ハウス第三回運営委員会の開催(在サンパウロ総領事館)

(ア)サンパウロにおけるジャパン・ハウスの第三回運営委員会(議長:中前隆博在サンパウロ総領事)が在サンパウロ日本国総領事公邸にて開催された。同会合には,今般当地ジャパン・ハウスの名誉館長に就任が決定した駐米大使,財務大臣,環境大臣,UNCTAD事務局長を歴任したルーベンス・リクペロ現FAAP(アルマンド・アルバレス・ペンテーアド財団)経済学部長と運営委員会に初めての出席となるジーコ元サッカー日本代表監督が出席した。

(イ)本会合では,当地においてジャパン・ハウスの事業運営を担う事務局より,ジャパン・ハウスの事業計画に関するプレゼンテーションが実施され,アンジェラ・平田事務局長,マルセロ・ダンタス企画局長,ネリー・カイシェッタPR局長,ファビオ・ラウジージョイベント局長,また東京リエゾンである電通金子イベント&スペース・デザイン局部長が,順次コンセプト・コンテンツ・PR戦略・事業戦略・運営計画・今後のスケジュール,また当地7月に開催予定の日本祭りへの出展概要につき説明を行った。

(ウ)事務局からのプレゼンテーションを受け,各運営委員会から各々のバックグラウンドを踏まえた多種多様な意見が出され,議論は多いに盛り上がった。ジーコ元サッカー日本代表監督は,自身の日本滞在の経験を踏まえながらジャパン・ハウスへの協力に前向きなコメントがなされ,リクペロ名誉館長からも,ブラジルにまだ知られていない「真の日本」を発信するための協力を惜しまない旨コメントがあった。

(エ)当地ジャパン・ハウスは,外務省と業務委託契約を締結した株式会社電通を中心としたコンソーシアムと,当地における事業運営を担う事務局を中心に,平成29年3月の開館を目指す。

      
 
 
 

内政

(1)新透明性監察監督大臣の就任

(ア)2日,ペトロブラス汚職事件捜査を批判した等の理由により辞任したシルヴェイラ大臣の後任として,トルクアト・ロレナ・ジャルディン氏の透明性監察監督大臣就任が発表された。

(イ)同新大臣は政治家出身ではなく,これまでに選挙高等裁判所判事,ブラジリア連邦大学法学部教授等を歴任している。
 

(2)弾劾プロセスの前倒し案の却下

(ア)6日,上院特別委員会は,弾劾裁判に向けた今後のプロセスに係る審理を行い,前回委員会で与党委員が提示した前倒し案を却下し,当初案を採用することを決定した。

(イ)同決定により,意見書の本会議での表決は8月1~2日に実施される見通しとなった。その場合,ルセーフ大統領の弾劾に係る最終表決が弾劾法廷で実施される日程は,8月16日頃になる見通しとなった。但し,今後の進捗の中で,弾劾プロセスが更にずれ込むこともあり得る。
 

(3)カリェイロス上院議長等のPMDB重鎮への逮捕請求

(ア)6日,ジャノー連邦検事総長は,連邦最高裁判所(STF)に対し,汚職事件捜査に対する妨害を企てた容疑により,カリェイロス上院議長(伯民主運動党(PMDB)),ジュカー上院議員(前予算企画大臣,PMDB)及びサルネイ上院議員(元大統領,PMDB)の逮捕請求及び解任請求を行った。連邦検事総長が,現職上院議長の逮捕請求及び解任請求を行うのは史上初。

(イ)14日,ザヴァスキSTF判事は,今回のカリェイロス上院議長らの逮捕請求を棄却するとともに,これら議員の自宅及び事務所に対する家宅捜索請求も棄却した。同判事は,棄却の理由について,同議員らの容疑(汚職事件捜査の妨害)は現行犯とは認められないと説明した(注:ブラジル憲法は,連邦議員の逮捕は原則として現行犯の場合にのみ認められる旨規定)。
 

(4)ルーラ前大統領の動向

(ア)ジャノー連邦検事総長は,連邦最高裁でしか裁かれない特権を喪失したルーラ前大統領に関する裁判は,クリチバ連邦裁判所で行われるべきであるとして,ザヴァスキSTF判事に対し,同前大統領に対する起訴状をクリチバ連邦裁判所に送付するよう求めた。

(イ)これを受け,同判事は13日,ルーラ前大統領の汚職等に係る捜査を,同連邦裁判所のモロ判事に委ねる旨決定した。
 

(5)クーニャ下院議長の議員資格剥奪の動向

(ア)14日,下院倫理委員会は,クーニャ下院議長の議員資格剥奪を求める報告について表決を行った。

(イ)その結果,賛成11票,反対9票となり,議員資格剥奪案が本会議に上程されることとなった。
 

(6)テメル大統領代行の汚職疑惑

(ア)15~16日,ブラジル主要メディアは,司法取引に応じたマシャード元トランスペトロ(ペトロブラス子会社)社長が,賄賂や同社から不正に横領された資金がどの政治家に渡ったか等につき供述した内容が明らかとなったと一斉に報じた。

(イ)同元社長は,20名以上の政治家の名前を挙げ,その中では,党所属の政治家への150万レアル(約4500万円)の選挙資金の提供を要求されたとして,テメル大統領代行の名前も出された。
 

(7)観光大臣の辞職

(ア)16日夜,アルヴェス観光大臣は,マシャード元ペトロブラス子会社社長の供述において,収賄行為を指摘されたことを受け,辞表を提出した。5月12日に発足したテメル暫定政権において,3人目の大臣の辞職となった。

(イ)同大臣は,自らの汚職疑惑については否定しているが,テメル暫定政権に迷惑を掛けられないと述べ,辞意を表明した。
 

(8)クーニャ下院議長の起訴状受理

(ア)22日,連邦最高裁判所は,クーニャ下院議長に対する起訴状を全会一致で受理した。11人の判事全員が,同議長がスイスに未申告の銀行口座を保有していると認めるに足る十分な根拠があると判断した。

(イ)同口座には,同議長が2010年から2011年にかけて受け取ったとされる賄賂(528万レアル,約1億6,000万円)が貯蓄されている模様。同議長に対する起訴の受理は今回が2件目。
 

(9)ベルナルド元大臣の逮捕

(ア)23日,連邦警察は,ルーラ第二期政権で企画予算大臣,また,ルセーフ第一期政権で通信大臣を務めたパウロ・ベルナルド元下院議員(PT)を,汚職容疑により逮捕した。

(イ)元大臣は,ペトロブラス汚職事件から得た賄賂を,妻のホフマン上院議員(PT)の選挙資金に充当した疑いがあり,同上院議員とあわせ,本5月に検事総長から最高裁に起訴状が提出されていた。
 

(10)弾劾プロセスの日程変更

(ア)22日,上院特別委員会は,ルセーフ大統領側の証人喚問に時間を要している等の理由から,弾劾プロセスの後ろ倒しを決定した。

(イ)これにより,弾劾法廷での最終の表決は,リオ・オリンピック閉会式後の8月22~26日の週に実施される可能性が高くなった。
 

(11)ルセーフ大統領の「不正会計処理」問題

(ア)30日,連邦会計検査院(TCU)は,2015年度予算決算についての審理結果を公表し,ルセーフ政権は,2015年,ブラジル銀行及び国家経済社会開発銀行(BNDES)に肩代わりさせた,予算支出の利払いに対する国庫からの返済を遅滞させていた,これは財政責任法にも抵触すると結論付けた。

(イ)TCUは,また,こうした財政操作の責任は,当時のレヴィ財務大臣及びバルボーザ企画予算大臣,両省及び都市省の一部幹部にもあるほか,中銀の局長3名には,財政関連統計から「不正会計処理」に相当する部分を脱落させていた責任が認められるとした。
 

外交

(1)セーハ外務大臣のOECD閣僚理事会及びWTO非公式閣僚会合への出席

(ア)2日,セーハ外務大臣は,フランスで行われたOECD閣僚理事会及びWTO非公式閣僚会合に出席し,各会合においてスピーチを行った。

(イ)これらの会合に先立ち,同大臣は5月31日,パリで開催された仏政府主催イベント「ラテン・アメリカカリブ週間」記念レセプションにバチェレ・チリ大統領,ウマラ・ペルー大統領等と共に出席し,オランド・フランス大統領と立ち話を行うと共に,エロー仏外相と会談を行った。
 

(2)ベネズエラ情勢関連

(ア)6日,ブラジル外務省は,ベネズエラ情勢に関して懸念を表明すると共に,同国政府と反対勢力間の理解促進のためのイニシアティブへの支持に加え,ベネズエラ国民の深刻な欠乏に対応するために,国際人道機関を通じてブラジルの公的研究機関が製造した医薬品を無償供与する旨を表明するセーハ外務大臣名の声明を発表した。

(イ)12日,セーハ外務大臣は,アルゼンチン,チリ,ウルグアイの外務大臣との連名で,カラカスで発生した国会議員を含む一般市民に対する暴力行為に対して遺憾の意を表明すると共に,平和的な対話及び民主的な手段を通じて意見の対立を解決することを要求する共同声明を発表した。

(ウ)14日,セーハ外務大臣は,ブラジリアにおいて,カプリレス・ミランダ州知事等,ベネズエラの反政府勢力の代表と会談を行った。同大臣は,「ブラジルとして,ベネズエラで民主主義が蔑ろにされるのを座視することはできない」と述べ,人道支援の実施を改めて表明した。これに対し,カプリレス州知事は,「ブラジルはテメル暫定政権の発足後,ベネズエラ問題に関して断固たる姿勢をとるようになった」と称賛した。
 

(3)ロイサガ・パラグアイ外務大臣の訪伯

(ア)8日,ロイサガ・パラグアイ外相が,テメル暫定政権下で初めて受け入れる外国の外務大臣として訪伯し,テメル大統領代行表敬,セーハ外務大臣との外相会談等を行った。

(イ)大統領代行表敬では,二国間関係及びメルコスールにおける両国の関係の重要性を確認すると共に,特に,国境警備や密輸等の取り締まり等の双方の関心につき意見交換を実施した。

(ウ)セーハ外務大臣との会談では,(1)両国国境を流れるパラグアイ川(ブラジル側:マトグロッソ・ド・スル州ポルト・ムルチーニョ市,パラグアイ側:カルメロ・ペラルタ市)間の国際橋梁の建設,(2)両国間航空サービス(旅客,貨物,機材流通の円滑化)に関する合意文書への署名に加え,パラナ州・パラグアイ間の水路改善,貿易投資促進,生産チェーンの統合,国境をまたぐ不法取引の防止及び撲滅,司法・治安分野での協力,メルコスールに関する課題,地域情勢(ベネズエラにおける政治,経済,人権・人道に係る問題)等につき幅広い協議が行われた。
 

(4)ペルー大統領選挙

     10日,ブラジル政府は,ペルーで行われた大統領決選投票(5日)の結果を歓迎し,クチンスキー候補の勝利に対して祝意と共に,同国との更なる関係促進に向けて協働する意思を表明した。
 

(5)コロンビア政府・FARC間の停戦合意

(ア)22日,ブラジル外務省は,同日発表されたコロンビア政府・FARC間で締結された停戦合意に対する祝意を表明した。

(イ)同合意は,コロンビアでの最終的な暴力の終結及び和平を実現するために基礎となるステップであると述べると共に,すべてのコロンビア国民にとってのみならず,すべての地域にとっても慶事であるとして,同合意が完全に実行されるよう,ブラジル政府として,隣国かつ友好国であるコロンビア政府に対し貢献する用意があることを表明した。
 

(6)イスタンブール・アタチュルク空港でのテロ

(ア)28日,ブラジル外務省はトルコ・イスタンブールのアタチュルク空港で発生したテロを非難する声明を発表した。

(イ)犠牲者の遺族への哀悼の意,トルコ国民及び政府への連帯の意を表明しつつ,ブラジルはいかなる形でのテロであっても断固拒否する点を強調した。