トピックス 2019年6月号

令和元年6月17日
ブラジル政治情勢(5月の出来事)

【内政】
(1)銃所持及び携行等の規制緩和に関する大統領令の署名
(2)テメル前大統領の再逮捕及び仮釈放
(3)省庁編成に関する暫定措置令の議会承認
(4)国立高等教育機関の予算凍結に対する抗議デモの発生
(5)ボルソナーロ政権支持デモの発生


【外交】
(1)クリスチーナ農務大臣の訪日及びG20農業大臣会合への出席
(2)アラウージョ外務大臣の欧州歴訪
(3)ベニテス・パラグアイ大統領の訪伯
(4)ベネズエラ国境封鎖の解除
(5)モウラォン副大統領の外遊
(6)アラウージョ外務大臣のOECD閣僚理事会出席及び日伯外相会談


トピックス
(1)新天皇陛下御即位祝賀レセプションの開催(在ブラジル大使館)

(2)日・ブラジル外相会談

(3)山田大使によるカンポス・ネト中央銀行総裁への表敬訪問

(4)新天皇陛下御即位祝賀レセプション(在クリチバ総領事館)

(5)ラーメン講習会(在クリチバ総領事館)

 

【内政】

(1)銃所持及び携行等の規制緩和に関する大統領令の署名
(ア)5月7日,ボルソナーロ大統領は,銃器及び弾薬の購入,登録,所持,携行及び販売に関する規則を変更する旨の大統領令に署名した(8日付官報に公示)。

(イ)主な変更点は以下のとおり。
(1)政治家,犯罪について取材する記者,運送業者の運転手,農村部居住者等,計20カテゴリーに属する人々に対し,戸外で銃器を携行する権利が認められる。
(2)弾丸の年間購入量の上限は,一人当たり50発から1,000発に増加。
(3)銃の収集家,射撃手,狩猟家は,銃に弾丸を装填した状態で狩猟場まで移動することが可能となった。

(ウ)22日,ボルソナーロ大統領は,一般人による小銃の携行を禁止し,また,射撃の練習は14歳以上とする新たな大統領令に署名した。


(2)テメル前大統領の再逮捕及び釈放
(ア)8日,アングラ第3原発建設事業を巡る汚職事件に関し,リオデジャネイロ連邦地裁(TRF-2)がテメル前大統領及びリマ大佐の拘留を決定。9日,同2名が連邦警察サンパウロ支部に出頭し,身柄が拘束された。

(イ)15日,テメル前大統領及びリマ大佐の再逮捕に関する人身保護令が発出され,同2名は移送先のサンパウロ州警察から仮釈放された。


(3)省庁編成に関する暫定措置令の議会承認
(ア)22日,ボルソナーロ政権の省庁編成に関する暫定措置令(MP)第870号の原案が連邦下院で可決された。

(イ)28日,上院がMP870の下院可決案を承認。これに伴い,省庁の数はテメル前政権時の29から22に削減する現政権の省庁編成が最終的に確定することとなった。


(4)国立高等教育機関の予算凍結に対する抗議デモの発生
(ア)15日,全国26州及び連邦区において,国立高等教育機関の予算凍結に対する抗議デモが実施された。

(イ)30日,25州及び連邦区において,教育関連予算の凍結に対する抗議デモが発生した。


(5)ボルソナーロ政権支持デモの発生
     26日,全国26州及び連邦区において,ボルソナーロ政権支持デモが発生。

 

【外交】

(1)クリスチーナ農牧供給大臣の訪日及びG20農業大臣会合への出席
(ア)9日,G20農務大臣会合に出席するために訪日中のテレーザ・クリスチーナ農牧供給大臣は,吉川農林水産大臣と会談を行った。

(イ)11~12日,クリスチーナ大臣は,新潟市で開催されたG20農務大臣会合に出席した。


(2)アラウージョ外務大臣の欧州歴訪
(ア)7~10日,アラウージョ外務大臣は欧州諸国を歴訪したところ,以下のとおり。

(イ)8日,アラウージョ外相は,ローマを訪問し,サルヴィーニ伊副首相兼内務相と会談を行い,二国間貿易・投資,協力,グローバルイシュー等につき協議した。

(ウ)同日,アラウージョ外相はローマ法王庁を訪問し,ピエトロ・パロリン・バチカン国務長官及びポール・ギャラガー同外務長官と人権,家族,安全保障等につき協議した。

(エ)9日,アラウージョ外相はブダペストを訪問し,シーヤールトー・ハンガリー外務貿易大臣と会談を行った。両国外相は,移民政策及び二国間貿易等につき協議した。

(オ)10日,アラウージョ外相はワルシャワを訪問し,チャプトヴィチ・ポーランド外相と会談を行った。両国外相は,ベネズエラ情勢,経済分野での協力拡大の必要性,防衛協力拡大の可能性,同国在住ポーランド系住民等につき協議した。


(3)ベニテス・パラグアイ大統領の訪伯
     10日,ベニテス・パラグアイ大統領はフォスドイグアス市を訪問し,ボルソナーロ大統領とともに二国間橋梁の建設定礎式に出席した。


(4)ベネズエラ国境封鎖の解除
     10日,ベネズエラによる国境封鎖措置が解除された。


(5)モウラォン副大統領の外遊
(ア)16~24日,モウラォン副大統領は,レバノン,中国及びイタリアを訪問。

(イ)中国では,23日に北京を訪問し,第5回伯中ハイレベル協議委員会(COSBAN)共同議長を務めた後,24日には習近平国家主席と会談した。


(6)アラウージョ外務大臣のOECD閣僚理事会出席及び日伯外相会談
(ア)22~23日,アラウージョ外相は,パリで開催されたOECD閣僚理事会に出席した。米国政府は,伯のOECD加盟プロセスの開始を支持する旨表明した。

(イ)23日,アラウージョ外相は,OECD閣僚理事会のマージンで河野外務大臣と日伯外相会談を実現。河野大臣は,本年6月のG20サミット等の機会を通じ,二国間関係を更に前進させたい旨述べた。これに対し,アラウージョ外相は,日本はブラジルにとって不変のパートナーであり,一層の関係強化を推進したい旨述べた。

 

トピックス

(1)新天皇陛下御即位祝賀レセプションの開催
     5月2日,在ブラジル日本国大使館において,5月1日の新天皇陛下御即位を祝賀するレセプションが,ブラジル政府関係者,日系団体関係者等,約50名の参加を得て開催された。

     レセプションでは,山田大使が挨拶を行い,参加者は新天皇陛下の御即位と新たな「令和」の時代の始まりを,和食を楽しみながら祝賀した。

     山田大使の挨拶はこちらをご参照頂きたい。
 

挨拶する山田大使
 

懇談の様子
 

懇談の様子

料理の一部


(2)日・ブラジル外相会談
     5月23日,午前11時頃(現地時間:日本時間同日午後6時頃)から約30分間,OECD閣僚理事会に出席するためフランス・パリを訪問中の河野太郎外務大臣は,エルネスト・エンリケ・フラガ・アラウージョ・ブラジル連邦共和国外務大臣(H.E. Mr Ernesto Henrique Fraga Araujo, Minister of Foreign Affairs of the Federative Republic of Brazil)と外相会談を行ったところ,概要は以下のとおり。


 
(ア)冒頭
     冒頭,河野大臣から,ブラジルは普遍的価値を共有する戦略的グローバル・パートナーであり,二国間関係及び国際場裏においても緊密に協力してきている旨述べるとともに,本年6月のG20サミット等の機会を通じ,二国間関係を更に前進させたい旨述べた。これに対し,アラウージョ大臣から,初めてお会いできて喜ばしい,日本はブラジルにとって不変のパートナーであり,ボルソナーロ大統領もダボスでの安倍総理との会談を高く評価しており,一層の関係強化を推進したい旨述べた。

(イ)二国間関係
     河野大臣から,ボルソナーロ政権の諸改革への取組を高く評価しつつ,特に進出する日本企業がブラジルの投資環境の改善につながる年金改革・税制改革を高く期待している旨述べた。両大臣は,6月10日及び11日に東京で開催される日伯インフラ協力会合を含め,両国の経済関係強化に向けて一層緊密に連携していくことを確認した。

(ウ)その他
     両外相は安保理改革を進めていくという立場が不変であり,同じG4メンバーとして引き続き緊密に協力していくことを確認した。

【参考】日伯インフラ協力会合
日本の質の高いインフラの導入推進を目指して日本・ブラジル両国の官民双方が参加する枠組みとして,2017年8月に第一回会合を開催。本年は三回目。日本からは外務省,経済産業省,JICA等の政府機関に加え,日本企業も多数参加。


(3)山田大使によるカンポス・ネト中央銀行総裁への表敬訪問
     5月29日、山田大使は、ロベルト・カンポス・ネト中央銀行総裁を表敬訪問した。山田大使とカンポス・ネト総裁は、ブラジル経済情勢や同総裁が訪日して出席予定のG20財務大臣・中央銀行総裁会合(6月8~9日,福岡)について意見交換を行った。

   

 
(4)新天皇陛下御即位祝賀レセプション(在クリチバ総領事館)
     5月29日に在クリチバ総領事館主催の新天皇陛下御即位祝賀レセプションがクリチバ日伯文化援護協会にて行われた。パラナ州及びサンタ・カタリーナ州の政府機関、日本企業や日系団体関係者など約210人が同レセプションに参加し、和食が提供された他、日本舞踊、和太鼓やよさこいソーランが披露された。
 

木村総領事挨拶

和食の提供


(5)ラーメン講習会(在クリチバ総領事館)
     5月25日から27日にかけ、在クリチバ総領事館の依頼を受け、松井一之シェフ(13湯麺)が、ボランティアでラーメン講習会をアサイ市アサイ城で実施した。現地の食材を活かした同講習会は人気が高く、アサイ市だけではなく、ロランジア市やロンドリーナ市からも参加者があり、100人の参加者の中にはレストラン経営者も数人いた。松井氏は同講習会に参加できなかった人達の依頼を急遽受け、ラーメンの他にもチャーシュー、お好み焼き、チャーハンや天ぷらなどの作り方も教えた。同講習会は、ロンドリーナ市及びクリチバ市においても実施される予定である。
 

スープ作り

麺作り