トピックス 2016年6月号
平成28年7月8日
(1)梅田大使のセルジッペ州公式訪問
(2)マリンガ日本公園新旧会長交代式(クリチバ総領事館)
(3)第43回日伯友好経済使節団の訪日(クリチバ総領事館)
内政
(1)ルセーフ大統領のメーデーでの演説
(2)ジャノー連邦検事総長による捜査許可請求等
(3)ルセーフ大統領のリオ五輪聖火リレー開始式典での演説
(4)上院での大統領弾劾手続きの進捗
(5)クーニャ下院議長の停職処分
(6)下院議長代行による弾劾手続きの無効化決定
(7)大統領の弾劾に係る上院本会議での表決
(8)テメル暫定政権の発足
(9)与党連合の形成
(10)ジュカー企画予算大臣の休職
(11)文化省の再設置
(12)透明性監察監督大臣の辞任
外交
(1)セーハ外務大臣の就任
(2)ブラジル国内状況に関する中南米の一部諸国の表明に対する反論
(3)セーハ外務大臣のアルゼンチン訪問
(4)外務省の新体制(マルコス・ガルヴァォン外務省新次官の就任)
(2)マリンガ日本公園新旧会長交代式(クリチバ総領事館)
(3)第43回日伯友好経済使節団の訪日(クリチバ総領事館)
内政
(1)ルセーフ大統領のメーデーでの演説
(2)ジャノー連邦検事総長による捜査許可請求等
(3)ルセーフ大統領のリオ五輪聖火リレー開始式典での演説
(4)上院での大統領弾劾手続きの進捗
(5)クーニャ下院議長の停職処分
(6)下院議長代行による弾劾手続きの無効化決定
(7)大統領の弾劾に係る上院本会議での表決
(8)テメル暫定政権の発足
(9)与党連合の形成
(10)ジュカー企画予算大臣の休職
(11)文化省の再設置
(12)透明性監察監督大臣の辞任
外交
(1)セーハ外務大臣の就任
(2)ブラジル国内状況に関する中南米の一部諸国の表明に対する反論
(3)セーハ外務大臣のアルゼンチン訪問
(4)外務省の新体制(マルコス・ガルヴァォン外務省新次官の就任)
(1)梅田大使のセルジッペ州公式訪問
(ア)17日~18日、梅田大使夫妻はセルジッペ州への公式訪問を行った。この公式訪問で、梅田大使夫妻はジャクソン・バヘット・セルジッペ州知事を表敬し、日本とセルジッペ州の経済関係強化やオリンピックにおける協力について意見交換を行った。(イ)また、訪問期間中、梅田大使夫妻は、リオ2016オリンピック・パラリンピックに向けて、州都アラカジュ市にてサッカー男子チームなど4団体が事前合宿を行う会場を視察すると共に、現地日系社会代表、及び、進出日本企業関係者(矢崎ブラジル社)との間で懇談を行った。
(2)マリンガ日本公園新旧会長交代式(クリチバ総領事館)
4月28日、マリンガの日本公園の新旧会長交代式が約500名の参加の下に盛大に行われ、池田在クリチバ総領事夫妻が出席した。池田総領事からは、昨年はパラナにおける日伯友好120周年記念行事が同公園からスタートし秋篠宮同妃両殿下をお迎えするなど同日本公園が日伯友好の象徴的存在となっていると述べつつ、前会長の努力を労い、新会長の成功を祈念する旨を述べた。新旧会長からは、日本政府を始めとする関係者の支援に対する感謝の意が表明された。

▲池田総領事夫妻と鈴木前会長夫妻 ▲ノマ新会長と池田総領事夫妻
(3)第43回日伯友好経済使節団の訪日(クリチバ総領事館)
5月14日から22日の期間、ルイス・ニシモリ連邦下院議員率いる第43回日伯友好経済使節団が訪日した。使節団一行は、皇太子殿下に謁見し、麻生副総理を表敬した他、東京、横浜、神戸の港湾施設を視察した。また、パラナ州と姉妹州県関係にある兵庫県を訪問し交流を深めた。また、今回の訪日の機会に、使節団より日本の関連企業等に対し、マットグロッソ・ド・スール州のマラカジュからパラナ州パラナグア港までに至る貨物鉄道の整備計画について説明した。
▲横浜港にて
内政
(1)ルセーフ大統領のメーデーでの演説
(ア)1日,ルセーフ大統領は,労働者党(PT)政権の支持基盤である主要労組等により開催されたサンパウロにおけるメーデーの集会で演説を行った。(イ)演説の中で,ルセーフ大統領は,ボルサファミリア(低所得世帯に対する給付金制度)給付額の引上げ,所得税各税率の月額基準所得の引上げ(非課税条件の緩和につながる)等を実施する旨発表した上で,テメル副大統領が大統領となれば社会プログラムは後退すると述べた。
(2)ジャノー連邦検事総長による捜査許可請求等
(ア)2日,ジャノー検事総長は,連邦最高裁判所(STF)に対し,ペトロブラス汚職事件関連の起訴状及び捜査許可請求を提出した。3日,同請求等の概要が公表されると,ブラジルのメディアは一斉に報じた。その中には,ルーラ前大統領に対する起訴状のほか,ルセーフ大統領に対する捜査の許可請求も含まれていた。(イ)ジャノー検事総長は,起訴状の中で,「ペトロブラスをめぐる汚職網は,ルーラ前大統領の参画なくしては,これ程幅広く,大量に,かつ乱暴な内容で何年も機能することはなかったであろう」と述べ,同前大統領が中核として関与していたとの見方を明らかにした。
(ウ)ルセーフ大統領については,ペトロブラス汚職事件で逮捕されたゼネコン幹部を早期に釈放させるよう,STFに圧力をかけていたとの容疑で捜査請求が出されており,また,ルーラ前大統領を文官長に就任させたことについても,捜査妨害であるとの指摘がなされている。
(3)ルセーフ大統領のリオ五輪聖火リレー開始式典での演説
(ア)3日,ブラジリアの大統領府にてリオ五輪聖火リレー開始式典が行われ,ルセーフ大統領が出席し,演説を行った。(イ)その中で,同大統領は,「ブラジルは,過去のオリンピック・パラリンピック大会の中で,最も成功した大会を実現するための準備ができている」,「治安対策の総合計画も整っている。ブラジルでは,各国選手・指導チーム・国家元首・観戦客・プレス等すべての来訪者の安全を守るための準備が整っていることを保証する」などと述べた。
(4)上院での大統領弾劾手続きの進捗
(ア)4日,大統領弾劾に係る上院特別委員会において,アナスタジア報告者(上院議員,伯社会民主党(PSDB))より意見書の提出,読み上げが行われた。(イ)6日,同特別委員会は,賛成15,反対5で大統領弾劾を正当なものと結論付けた意見書を採択した。
(5)クーニャ下院議長の停職処分
(ア)5日,STF大法廷は,同日未明にザヴァスキSTF判事が発出した,クーニャ下院議長(伯民主運動党(PMDB),ペトロブラス汚職事件で起訴済み)の議員及び議長職の停職を求める仮処分について,満場一致で認めるとの判断を下した。(イ)クーニャ議長は,ザヴァスキ判事の仮処分の通告を受けた時点で停職となり,マラニョン下院第一副議長が議長代行に就任した。
(6)下院議長代行による弾劾手続きの無効化決定
(ア)9日,マラニョン下院議長代行は,連邦総弁護庁(AGU)の要請を受理する形で,下院議員による表決を含む,4月15~17日に下院本会議で行われた弾劾に係る審議を無効とする旨決定した。(イ)同日,カリェイロス上院議長は,マラニョン議長代行による今般の決定について,弾劾手続きは既に上院に移り,特別委員会における意見書の採択等も行われており,また,AGUが指摘する手続き上の不備も認められないため,同議長代行の決定は今更受け入れることは出来ないとした上で,上院での弾劾手続きを継続すると述べた。
(ウ)10日未明,マラニョン議長代行は,今般の無効化の決定を取り消すと発表した。
(7)大統領の弾劾に係る上院本会議での表決
(ア)12日早朝,上院本会議は弾劾法廷の設置と,それに伴う諸手続きの開始を問う表決を実施したところ,賛成55,反対22で可決された。(イ)12日,上記(ア)の結果がルセーフ大統領及びテメル副大統領に通告され,同大統領は最大180日間の停職となり,同副大統領は大統領代行に就任した。但し,停職期間中も,ルセーフ大統領は大統領公邸に居住することが可能。
(8)テメル暫定政権の発足
(ア)12日,テメル大統領代行は所信表明演説を行い,政治と経済の信頼回復に努め,投資を回復させ,失業率の増加に歯止めをかけると述べた。(イ)増税については言及せず,政府支出の削減等により財政調整を行い,PT政権下で進められた社会プログラムについては原則継続すると述べた。また,労働法規,年金制度改革等の構造改革に臨む姿勢を明らかにした。
(ウ)テメル暫定政権では,大臣ポストの数がルセーフ政権時の32から25に削減された。主要大臣は,メイレレス財務大臣(元中銀総裁),セーハ外務大臣(元保健大臣,元サンパウロ州知事),ジュカー企画予算大臣(上院議員,PMDB党首代行),パディーリャ文官長(内閣官房長官に相当。元大統領府民間航空庁長官)など。
(9)与党連合の形成
(ア)18日,下院に議席を持つ12の党首は,テメル暫定政権を支持する「中道派連合(Centrão)」の形成を決定した。(イ)下院の総議席数513の内,これら12党の議席の小計は225となる(同日時点,以下同)。これに,テメル大統領代行が党首を務めるPMDBの議席を足せば,293議席に達するため,それだけでも下院の過半数を占める計算となる。
(ウ)更に,PSDB,伯社会党(PSB),民主党(DEM),緑の党(PV)などの今回入閣している政党及びPT政権時代に反PTの姿勢を明らかにしていた野党政党の議席を加えれば,単純計算で,下院で400超(全体の約80%),上院(総議席数は81)では60超に達する。
(10)ジュカー企画予算大臣の休職
(ア)23日,ブラジル主要メディアは,ジュカー企画予算大臣がペトロブラス汚職事件に関与した可能性をうかがわせる,元同社子会社社長との通話記録が公開されたと一斉に報じた。(イ)ジュカー大臣は,記者会見で自らの身の潔白を主張したものの,テメル大統領代行に休職を申し出て,受理された。同大臣は,連邦検察庁から本件に対する見解が表明された後,正式な進退を決定すると述べた。
(ウ)テメル暫定政権は,ジュカー大臣を含む実行力を伴う経済チームを揃えたとの評価を得ていたが,景気回復の実現に向け不安を露呈する形となった。
(11)文化省の再設置
(ア)23日,テメル大統領代行は,教育省に統合した文化省の再設置を決定し,24日にカレロ大臣の任命式が行われた。(イ)文化省の教育省への統合決定直後より,文化人等による抗議活動が国内各地で行われており,そうした要求に応える形となったものの,連立与党内では,省庁再編により歳出削減を目指すとの公約を破るものとなるとの批判も噴出した。
(12)透明性監察監督大臣の辞任
(ア)30日,シルヴェイラ透明性監察監督大臣は,本年2月に録音され,今般公開された会話記録の中で,検察によるペトロブラス汚職事件捜査を批判したこと等が明らかとなったことを受け,辞職願を提出した。(イ)同大臣は,5月12日に発足したテメル暫定政権で,汚職捜査の関連で辞職を願い出た二人目の大臣となった。
外交
(1)セーハ外務大臣の就任
12日,ジョゼ・セーハ上院議員(伯社会民主党,サンパウロ州選出)が新外務大臣に任命され,18日,外務省にて同大臣の就任式典が開催された。セーハ大臣は就任の辞において,以下の伯外交の新たな10指針を挙げた。(ア)イデオロギーではなく,経済などブラジルの国益に基づく透明性のある外交
(イ)国際条約の遵守,民主主義,人権の尊重など
(ウ)環境保全の重視
(エ)国連などの国際場裡における紛争の平和的な解決,経済的な危機への対処に対する貢献
(オ)貿易についてWTOの多角的貿易体制にのみ依存することなく,二国間のベースでの交渉にも取り組む
(カ)開発商工省及びCAMEX(貿易審議会)と協力し,相互主義に基づくブラジルの対外貿易交渉の促進
(キ)対アルゼンチン関係の重視及びメルコスールの改革
(ク)欧州,米国,日本といった伝統的なパートナーとの関係の重視
(ケ)アジアの新しいパートナーすなわち中国,インドとの関係の重視とともに,アフリカとの新たな関係の構築
(コ)民間部門との協力を得つつ,生産性と競争力の向上を通じた対外経済政策の実施と同時に,ブラジル・コストの問題への対処,インフラの改善の必要など
(2)ブラジル国内状況に関する中南米の一部諸国の表明に対する反論
(ア)13日,ブラジル外務省は,ベネズエラ,キューバ,ボリビア,エクアドル,ニカラグア政府,米州人民ボリバル同盟(ALBA)が,ブラジル国内政治情勢に関して「大統領弾劾はクーデター」等の表明をしていることに対して,「ブラジルの内政プロセスに関して意見を述べ,虚偽を広めるものである。このプロセスは,民主主義の諸機構及びブラジル憲法を完全に尊重する中で展開しているものである」とするステートメントを発表した。(イ)一方,ブラジルの内政に関する南米諸国連合(UNASUL)事務局長の声明に対して,ブラジル外務省は,「サンペール同事務局長によるブラジルの政治状況に関する声明を拒否する。これらの声明は,ブラジルの民主的諸機構の機能を誤認しているものである。同事務局長の声明は,誤謬に加えて,ブラジルの国家機構とその権能に対するいわれのない評価や偏見がうかがわれ,ブラジルの憲法と法律に関して間違った解釈をしている」旨のステートメントを表明した。
(3)セーハ外務大臣のアルゼンチン訪問
(ア)23日,セーハ外務大臣はアルゼンチンを訪問した。マルコーラ外務大臣の他,マクリ大統領,ミケティ副大統領,プラット・ガイ財務・金融大臣とそれぞれ個別に会合を行った。外相会談では,二国間関係発展の重要性につき強調した後,二国間政策調整メカニズムの立ち上げに関する覚書に署名が行われた。同枠組みの目的は,両国の二国間,地域間,国際場裏におけるアジェンダの調整や,科学技術,イノベーション,インフラ,国防,航空産業,エネルギー,通商といった分野における二国間の戦略的なイニシアチブやプロジェクトに対するフォローを行うことにある。(イ)ミケティ副大統領との会合では,二国間関係促進に向けた議員間の二国間委員会の立ち上げが合意された。
(4)外務省の新体制(マルコス・ガルヴァォン外務省新次官の就任)
(ア)25日,ブラジル外務省で新旧次官交代式が行われ,セーハ外務大臣同席の下,ダネーゼ前次官に代わり,ガルヴァォン新次官(前在京大使)が就任した。ダネーゼ前次官は次期アルゼンチン大使に就任する。(イ)報道によると,ヴィエイラ前大臣は国連大使,パトリオッタ現国連大使(ルセーフ第一政権時の元外務大臣)は駐コロンビア大使に就任予定。フィゲイレド現駐米大使は,IAEA大使に異動すると見られている。
(5)セーハ外務大臣のカーボ・ヴェルデ訪問
(ア)28日,セーハ外務大臣はカーボ・ヴェルデを訪問した。大臣就任以来,初のアフリカ訪問。フォンセカ大統領,シルバ首相への表敬,タヴァレス外務大臣と会談を行った。(イ)両国間には,カーボ・ヴェルデからブラジルへの留学のための奨学金,カーボ・ヴェルデ海軍への訓練支援等の協力プログラムがあるが,今回の訪問では,経済協力の拡大について協議がなされた模様。