政治情勢・トピックス 2020年5月号
令和2年6月3日
ブラジル政治情勢(4月の出来事)
【内政】
(1)新型コロナウイルス対策
(2)閣僚の交代
(3)ボルソナーロ政権支持デモの発生
(4)ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果
【外交】
(1)各国大使の信任状奉呈
(2)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(3)伯米関係
(4)伯パラグアイ関係
(5)伯墨関係
(6)閣僚の国際テレビ会合出席
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連
(2)「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携」セミナーの開催(在サンパウロ総)
(ア)1日,司法高等裁判所(STJ)は,新型コロナウイルス感染を防止するため,保釈金未払いの受刑者を釈放する旨決定した。
(イ)2日,低所得者の救済措置である「非正規労働者に対する臨時給付に関する法律」が施行された。同給付金は,一人当たり月額600レアル,一世帯につき2人まで受給可能とし,3か月間支払われる(その他,受給条件あり)。
(ウ)8日,ボルソナーロ大統領は,ラジオ及びテレビの全国ネットワークで新型コロナウイルス感染症対策に関する声明を発表し,ヒドロキシクロロキンの使用を訴えた。
(エ)15日,連邦最高裁判所(STF)は,新型コロナウイルスのパンデミック時における制限措置の決定に関し,知事及び市長に権限があることを確認した。
(オ)22日,ブラガ・ネット大統領府文官長は,新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会経済の影響を緩和するための経済回復プログラム「Pró-Brasil」を発表した。同プログラムは,主に政府主導によるインフラ投資を内容とした2030年までの長期的な取組。政府は,5~7月にプログラムを構築し,8~9月にプロジェクトの詳細を定め,10月以降に実施した後,その効果を評価する予定。
(カ)27日,ボルソナーロ大統領は,新型コロナウイルスのパンデミックに関する声明を発表し,人命を救い,雇用を維持するとの意思を強調した。
(2)閣僚の交代
(ア)16日,マンデッタ保健大臣が解任され,医師のネルソン・タイシ氏が新保健大臣に就任した(注:タイシ新保健大臣は,5月15日に辞任した)。
(イ)24日,モーロ法務・治安大臣が辞任表明会見を開き,辞任した。28日,後任にアンドレ・ルイス・メンドンサ連邦総弁護庁長官が就任した。
(ウ)28日,ジョゼ・レヴィ・メロ・ド・アマラル国税訴訟庁長官が連邦総弁護庁長官に就任した。
(3)ボルソナーロ政権支持デモの発生
陸軍記念日の19日,陸軍司令部前でボルソナーロ政権支持デモが発生し,デモ隊は,議会及び最高裁(STF)の閉鎖や軍部による政治介入の必要性を訴えた。その場に姿を現したボルソナーロ大統領は,デモ隊の前で演説を行い,「伯のために諸君の行動を求める」と述べた。翌20日,同大統領は,軍事介入の可能性を否定する旨発言。
(4)ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果
30日,ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果の公開を求めたエスタード・デ・サンパウロ紙の訴えに関し,サンパウロ連邦裁判所は,同日,連邦総弁護庁(AGU)により提出された同大統領の診断書の正当性を認めず,本件検査結果を48時間以内に提出するよう大統領側に命じた。(注:5月13日,大統領側は,陰性の検査結果を提出した。)
6日,大統領府において,計7か国(エジプト,クロアチア,伊,ホンジュラス,ポーランド,イラン及び米国)の新任大使を対象とする信任状捧呈式が行われた。
(2)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(ア)2日,伯政府は,周辺南米諸国からの(日本人を含む)外国人に対する陸路入国の制限措置を同日より30日間延長する政令第8号を公布した。
(イ)20日,伯政府は,ウルグアイからの陸路での入国制限措置を同日より30日間延長する政令第195号を公布した。
(ウ)24日,伯政府は,国籍を問わず,外国人の水運による上陸を制限する措置を同日より30日間延長する政令201号を公布した。
(エ)28日,伯政府は,国籍を問わず,外国人の空路による入国を制限する措置を同日より30日間延長する政令第203号を公布した。
(3)伯米関係
(ア)9日,アラウージョ外相及びライトハイザー米通商代表(USTR)は,伯米貿易関係について議論するため,電話会談を行った。
(イ)16日,伯外務省,経済省,農務省関係者及びUSTRは,3月7日の伯米首脳会談で合意された経済貿易アジェンダの実施につき議論した。
(ウ)29日,アラウージョ外務大臣は,ポンペオ米国務長官と電話会談を行い,新型コロナウイルスの世界的流行と闘うための協調的対応の重要性及び,両国間の経済・安全保障パートナーシップを強化する方法について協議し,ベネズエラの民主的以降枠組みを引き続き進めることで合意した。
(4)伯パラグアイ関係
21日,アラウージョ外務大臣は,リバス・パラグアイ外相と電話会談を行い,新型コロナウイルス対策を含む,伯パラグアイ間の協力につき協議した旨SNS上に投稿した。
(5)伯墨関係
24~25日,伯外政府は,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた250名の伯人及びメキシコ人に対し,メキシコ政府との合同チャーター便による相互帰国オペレーションを実施した。
(6)閣僚の国際テレビ会合出席
(ア)19日,タイシ保健大臣は,G20保健大臣テレビ会合に出席し,伯政府の新型コロナウイルス対策の取組を紹介した。
(イ)21日,クリスチーナ農務大臣は,G20農業大臣テレビ会合に出席し,非効率をもたらし,いくつかの国の食糧供給に影響を与え得る不当な貿易障壁及び補助金を見直す必要があると指摘した。
(ウ)22日,クリスチーナ農務大臣は,米州農業大臣テレビ会合に出席し,新型コロナウイルスの影響に対する伯政府の農牧畜業における取組につき,(1)農村部の生産者の健康を維持するための指針及び保護措置を公表した点,(2)国内の食糧供給維持するために流通網と協働している点,(3)稼働中の工場を維持し,生産物の衛生及び農業従事者の疫学的な安全性を提供するためのプロトコルを策定した点を強調した。
(エ)28日,アラウージョ外務大臣は,BRICS新型コロナウイルス肺炎特別外相テレビ会合に出席し,多国間主義の堅持,手を携えて感染症と戦うこと,BRICS協力の深化等について意見交換を行った。
4月14日、在ブラジル大使館、総領事館及び領事事務所では、新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、ブラジルに在留する邦人の安全対策を一層強化するため、在留状況等に関する実態把握調査を実施(所定入力フォームへの登録を依頼)した。
また、在ブラジル大使館は、「新型コロナウイルスに関する注意喚起(ブラジル国際時の注意)」、「新型コロナウイルスに関する注意喚起(外国人に対する陸路での入国制限措置の延長)」、「ブラジル出国便参考情報」についての情報を随時ウェブサイトに公表した。
(2)「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携セミナー」の開催(在サンパウロ総)
3月11日、ブラジル日本文化福祉協会(文協)及び在サンパウロ日本国総領事館の共催により、ジャパン・ハウス サンパウロ(JHSP)にて「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携」セミナーを開催した。セミナーには、政府関係者、日系社会・日本企業関係者、メディア等、計90名程度が参加した。
セミナーでは、渡邊頼純・関西国際大学教授及びグスターボ・ジュンケイラ・サンパウロ州農務局長が、日本の経済連携協定に関する取組やサンパウロ州の農業に関する取組について講演を行った。また、講演の後、ジョージ・オクハラ・文協副会長がモデレーターを務め、(1)渡邊教授、(2)ジュンケイラ局長、(3)トーマス・ザノット・サンパウロ州工業連盟国際担当局長、(4)村田俊典・ブラジル日本商工会議所会頭をパネリストとして、日本とブラジルの連携の可能性についてパネルディスカッションが行われた。
【内政】
(1)新型コロナウイルス対策
(2)閣僚の交代
(3)ボルソナーロ政権支持デモの発生
(4)ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果
【外交】
(1)各国大使の信任状奉呈
(2)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(3)伯米関係
(4)伯パラグアイ関係
(5)伯墨関係
(6)閣僚の国際テレビ会合出席
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連
(2)「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携」セミナーの開催(在サンパウロ総)
【内政】
(1)新型コロナウイルス対策(ア)1日,司法高等裁判所(STJ)は,新型コロナウイルス感染を防止するため,保釈金未払いの受刑者を釈放する旨決定した。
(イ)2日,低所得者の救済措置である「非正規労働者に対する臨時給付に関する法律」が施行された。同給付金は,一人当たり月額600レアル,一世帯につき2人まで受給可能とし,3か月間支払われる(その他,受給条件あり)。
(ウ)8日,ボルソナーロ大統領は,ラジオ及びテレビの全国ネットワークで新型コロナウイルス感染症対策に関する声明を発表し,ヒドロキシクロロキンの使用を訴えた。
(エ)15日,連邦最高裁判所(STF)は,新型コロナウイルスのパンデミック時における制限措置の決定に関し,知事及び市長に権限があることを確認した。
(オ)22日,ブラガ・ネット大統領府文官長は,新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会経済の影響を緩和するための経済回復プログラム「Pró-Brasil」を発表した。同プログラムは,主に政府主導によるインフラ投資を内容とした2030年までの長期的な取組。政府は,5~7月にプログラムを構築し,8~9月にプロジェクトの詳細を定め,10月以降に実施した後,その効果を評価する予定。
(カ)27日,ボルソナーロ大統領は,新型コロナウイルスのパンデミックに関する声明を発表し,人命を救い,雇用を維持するとの意思を強調した。
(2)閣僚の交代
(ア)16日,マンデッタ保健大臣が解任され,医師のネルソン・タイシ氏が新保健大臣に就任した(注:タイシ新保健大臣は,5月15日に辞任した)。
(イ)24日,モーロ法務・治安大臣が辞任表明会見を開き,辞任した。28日,後任にアンドレ・ルイス・メンドンサ連邦総弁護庁長官が就任した。
(ウ)28日,ジョゼ・レヴィ・メロ・ド・アマラル国税訴訟庁長官が連邦総弁護庁長官に就任した。
(3)ボルソナーロ政権支持デモの発生
陸軍記念日の19日,陸軍司令部前でボルソナーロ政権支持デモが発生し,デモ隊は,議会及び最高裁(STF)の閉鎖や軍部による政治介入の必要性を訴えた。その場に姿を現したボルソナーロ大統領は,デモ隊の前で演説を行い,「伯のために諸君の行動を求める」と述べた。翌20日,同大統領は,軍事介入の可能性を否定する旨発言。
(4)ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果
30日,ボルソナーロ大統領の新型コロナウイルス検査結果の公開を求めたエスタード・デ・サンパウロ紙の訴えに関し,サンパウロ連邦裁判所は,同日,連邦総弁護庁(AGU)により提出された同大統領の診断書の正当性を認めず,本件検査結果を48時間以内に提出するよう大統領側に命じた。(注:5月13日,大統領側は,陰性の検査結果を提出した。)
【外交】
(1)各国大使による信任状奉呈6日,大統領府において,計7か国(エジプト,クロアチア,伊,ホンジュラス,ポーランド,イラン及び米国)の新任大使を対象とする信任状捧呈式が行われた。
(2)新型コロナウイルス感染拡大に伴う諸外国からの入国制限
(ア)2日,伯政府は,周辺南米諸国からの(日本人を含む)外国人に対する陸路入国の制限措置を同日より30日間延長する政令第8号を公布した。
(イ)20日,伯政府は,ウルグアイからの陸路での入国制限措置を同日より30日間延長する政令第195号を公布した。
(ウ)24日,伯政府は,国籍を問わず,外国人の水運による上陸を制限する措置を同日より30日間延長する政令201号を公布した。
(エ)28日,伯政府は,国籍を問わず,外国人の空路による入国を制限する措置を同日より30日間延長する政令第203号を公布した。
(3)伯米関係
(ア)9日,アラウージョ外相及びライトハイザー米通商代表(USTR)は,伯米貿易関係について議論するため,電話会談を行った。
(イ)16日,伯外務省,経済省,農務省関係者及びUSTRは,3月7日の伯米首脳会談で合意された経済貿易アジェンダの実施につき議論した。
(ウ)29日,アラウージョ外務大臣は,ポンペオ米国務長官と電話会談を行い,新型コロナウイルスの世界的流行と闘うための協調的対応の重要性及び,両国間の経済・安全保障パートナーシップを強化する方法について協議し,ベネズエラの民主的以降枠組みを引き続き進めることで合意した。
(4)伯パラグアイ関係
21日,アラウージョ外務大臣は,リバス・パラグアイ外相と電話会談を行い,新型コロナウイルス対策を含む,伯パラグアイ間の協力につき協議した旨SNS上に投稿した。
(5)伯墨関係
24~25日,伯外政府は,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた250名の伯人及びメキシコ人に対し,メキシコ政府との合同チャーター便による相互帰国オペレーションを実施した。
(6)閣僚の国際テレビ会合出席
(ア)19日,タイシ保健大臣は,G20保健大臣テレビ会合に出席し,伯政府の新型コロナウイルス対策の取組を紹介した。
(イ)21日,クリスチーナ農務大臣は,G20農業大臣テレビ会合に出席し,非効率をもたらし,いくつかの国の食糧供給に影響を与え得る不当な貿易障壁及び補助金を見直す必要があると指摘した。
(ウ)22日,クリスチーナ農務大臣は,米州農業大臣テレビ会合に出席し,新型コロナウイルスの影響に対する伯政府の農牧畜業における取組につき,(1)農村部の生産者の健康を維持するための指針及び保護措置を公表した点,(2)国内の食糧供給維持するために流通網と協働している点,(3)稼働中の工場を維持し,生産物の衛生及び農業従事者の疫学的な安全性を提供するためのプロトコルを策定した点を強調した。
(エ)28日,アラウージョ外務大臣は,BRICS新型コロナウイルス肺炎特別外相テレビ会合に出席し,多国間主義の堅持,手を携えて感染症と戦うこと,BRICS協力の深化等について意見交換を行った。
トピックス
(1)新型コロナウイルス関連4月14日、在ブラジル大使館、総領事館及び領事事務所では、新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、ブラジルに在留する邦人の安全対策を一層強化するため、在留状況等に関する実態把握調査を実施(所定入力フォームへの登録を依頼)した。
また、在ブラジル大使館は、「新型コロナウイルスに関する注意喚起(ブラジル国際時の注意)」、「新型コロナウイルスに関する注意喚起(外国人に対する陸路での入国制限措置の延長)」、「ブラジル出国便参考情報」についての情報を随時ウェブサイトに公表した。
(2)「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携セミナー」の開催(在サンパウロ総)
3月11日、ブラジル日本文化福祉協会(文協)及び在サンパウロ日本国総領事館の共催により、ジャパン・ハウス サンパウロ(JHSP)にて「日本とラテンアメリカ諸国との経済連携」セミナーを開催した。セミナーには、政府関係者、日系社会・日本企業関係者、メディア等、計90名程度が参加した。
セミナーでは、渡邊頼純・関西国際大学教授及びグスターボ・ジュンケイラ・サンパウロ州農務局長が、日本の経済連携協定に関する取組やサンパウロ州の農業に関する取組について講演を行った。また、講演の後、ジョージ・オクハラ・文協副会長がモデレーターを務め、(1)渡邊教授、(2)ジュンケイラ局長、(3)トーマス・ザノット・サンパウロ州工業連盟国際担当局長、(4)村田俊典・ブラジル日本商工会議所会頭をパネリストとして、日本とブラジルの連携の可能性についてパネルディスカッションが行われた。
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