トピックス 2018年3月号

平成30年3月7日
ブラジル政治情勢(2月の出来事)
[内政]
(1)政界の主な動向
(2)ルーラ元大統領関連
(3)閣僚人事
(4)その他


[外政]
(1)ベネズエラ問題
(2)伯コロンビア関係
(3)伯イタリア関係
(4)ボルソナーロ連邦下院議員一行の訪日
(5)ヌメス外務大臣の中東地域訪問
(6)グリアOECD事務局長の訪伯


トピックス
(1)山田大使によるマルシア・アブラオン・ブラジリア大学学長への表敬訪問

(2)山田大使の北パラナ訪問

(3)木村在クリチバ総領事のクリシウーマ市出張(在クリチバ総領事館)

(4)親日家や日系人とのネットワーク作りに係る取組み(在クリチバ総領事館)

 

【内政】

(1)政界の主な動向
(ア)2月5日,連邦議会が開会。

(イ)2月6日,コロル元大統領(上院外交委員長,PTC)は,上院本会議での演説に際して,大統領選出馬の意向を再度表明。

(ウ)2月15日,ルシアーノ・フッキが自身の大統領選出馬について再度否定。

(エ)2月20日,日系のジュンジ・アベ連邦下院補欠議員(PSD,サンパウロ州)が連邦下院議員に繰り上げ就任。


(2)ルーラ元大統領関連
(ア)2月2日,ルーラ元大統領弁護団は,ルーラ収監を回避するため,連邦最高裁に人身保護令の発出を要請(今後,連邦最高裁は大法廷で本件の是非を審議する予定)。

(イ)2月20日,ルーラ元大統領弁護団は,第二審有罪判決を不服として,不明瞭点の解明願いを提出。


(3)閣僚人事
(ア)2月19日,テメル大統領はヴァロイス人権大臣を更迭し,ロシャ文官府法務局長を代行に任命。

(イ)2月20日,PTB(伯労働党)は,従業員の就労問題で複数の提訴を受けているクリスチアーニ下院議員の労働大臣就任を断念(辞退)することを発表。その後,同党の推薦により,エルトン・ヨムラ労働次官(PTB)が労働大臣代行に就任。

(ウ)2月26日,テメル大統領は「大統領府・省庁組織基本法」を改編し,新たに公安特別省を創設する暫定措置令に署名。ジュングマン国防大臣を公安特別大臣に任命。


(4)その他
(ア)2月21日,トランスパレンシー・インターナショナルが発表した2017年腐敗認識指数でブラジルは昨年の79位から96位に後退。

(イ)2月27日,ドッジ検事総長は,連邦最高裁ファキン判事に対して,2014年当時のオーデブレヒト社によるPMDB(現MDB)に対する1千万レアル相当の不正献金容疑にかかる捜査の対象にテメル大統領を含めるよう要請。

 

【外政】

(1)ベネズエラ問題
(ア)2月7日,伯外務省はベネズエラにおける野党の政治活動排除を非難するプレスリリースを発出。

(イ)2月12日,テメル大統領,ベネズエラ難民問題に直面するロライマ州を訪問。

(ウ)2月15日,テメル大統領は,今回のベネズエラ難民問題のような「人道上,脆弱な状況」が発生した場合には,連邦政府が支援を行うとの暫定措置令に署名。具体的には,(1)ロライマ州へのベネズエラ避難民問題の正式な認定,(2)連邦政府,議会,裁判所の三権による協力の下に難民の効果的な受け入れ(医療,教育,職業訓練,人権擁護,インフラ整備,治安及び国境管理,物資配給等に関する緊急支援策実施),(3)「連邦緊急支援委員会」の設置を通じた関係機関の調整等を主な目的とするもの。


(2)伯コロンビア関係
     2月21日,オルギン・コロンビア外相及びビジェガス同国防相が伯を訪問。国境防衛及び治安の課題に関する2+2会合を開催。加えて,文官長,法務大臣,大統領府安全保障室長官も交えた伯及びコロンビアへのベネズエラ流入民増大による影響に関する会合を開催。その他,オルギン外相は,ヌネス外務大臣との間で第4回二国間外相委員会を開催し,コロンビア和平プロセスへの伯の支援,二国間貿易投資,技術協力等の両国間の主要課題につき協議。


(3)伯イタリア関係
     2月22日,アルファーノ・イタリア外相が伯訪問。ヌネス外務大臣と会談。昨年11月のヌネス大臣イタリア訪問のフォローアップとして,貿易投資,科学技術,文化教育等の二国間課題,及び地域・グローバルな課題につき協議した模様。


(4)ボルソナーロ連邦下院議員一行の訪日
     2月24~27日,ボルソナーロ連邦下院議員(大統領候補)一行が訪日(ニシモリ連邦下院議員,エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員(三男),ロレンゾーニ下院議員,フラビオ・ボルソナーロ・リオ州議会議員(長男),カルロス・ボルソナーロ・リオ市議会議員(次男)等を帯同)。25日は,浜松市で在日ブラジル人コミュニティとの交流イベントに出席。26日,文部科学省次官,NEC品川イノベーションワールド視察,経団連との懇談等を実施。一行は,その後,韓国,台湾を訪問。


(5)ヌネス外務大臣の中東地域訪問
     2月26日,ヌネス外務大臣は中東地域(イスラエル,パレスチナ,ヨルダン,レバノン)歴訪に出発。27日,ヌネス大臣はリヴリン大統領及びネタニヤフ首相への表敬,イスラエルのヤド・バシェム(ホロコースト博物館)及び「正義の人の庭園」を視察した。28日には,アシュケロン市の淡水化工場を視察。なお,伯外務大臣のイスラエルの訪問は,2011年にルーラ元大統領の同国訪問にアモリン外相(当時)が同行して以来,7年振り。


(6)グリアOECD事務局長の訪伯
     2月28日,グリアOECD事務局長が訪伯。テメル大統領との表敬の他,財務省・中銀主催によるOECD伯経済分析(Economic Survey)発表イベント,連邦歳入庁主催の経済セミナー等に出席した。

 

トピックス

(1)山田大使によるマルシア・アブラオン・ブラジリア大学学長への表敬訪問
     2月5日、山田大使は、当国名門ブラジリア大学のマルシア・アブラオン学長を表敬訪問した。ブラジリア大学との学術交流、本邦大学との連携強化、留学生交流の更なる促進に向けて有意義な意見交換が行われた。

     在ブラジル日本国大使館は、日本とブラジルの未来を担う人材を育てる教育分野での交流をより一層推進するため、様々な取組を行っていく予定である。

   


(2)山田大使の北パラナ訪問
     1月25日から28日にかけて、山田大使はパラナ州北部を訪問した。

     山田大使は、26日、ロンドリーナ市において、ロンドリーナ文化体育協会、ロンドリーナ市役所、トミ・ナカガワ公園、パラナ日伯文化連合会を訪問し、さらに同日、ロランジア市にてパラナ日本移民センターを訪れたあと、パラナ州移民歴史博物館を視察しロランジア市長と会談を行った。また,同日午後、マリンガ市において同市市長を表敬したのち、マリンガ文化体育協会主催の歓迎夕食会に出席した。

     翌27日、山田大使はマリンガ市において、マリンガ日本公園、サンフランシスコシャビエル文化センター及びサンフランシスコシャビエル学校、老人ホーム和順会、マリンガ文化体育協会会館、マリンガ農牧業協同組合を訪問した。同日夜の夕食会では、リカルド・バーロス保健大臣、ルイス・ニシモリ下院議員、シダ・ボルゲッティ・パラナ州副知事、ウリシス・マイア・マリンガ市長、アレッサンドロ・サントス元サッカー日本代表らと懇談した。

     さらに,28日には、ロンドリーナ市にてパラナ日伯文化連合会総会に出席し、挨拶の中で山田大使は、中南米第二の日系社会を有するパラナ州の重要性に触れながら、これまでのパラナ州における日本人移住者及び日系人の皆様の長年の尽力に対し敬意を表した。そして、移住110周年を迎えるにあたり、日伯関係の一層の緊密化に向け抱負を述べられた。

   
ロンドリーナ文化体育協会訪問            トミ・ナカガワ公園         

   
ウリシス・マイア マリンガ市長表敬訪問                 パラナ日伯文化連合会                 

   
                          サンフランシスコ・シャビエル学校                           アレッサンドロ・サントス元サッカー日本代表と交流する山田大使

   
パラナ州日系団体の会議出席(パラナ日伯文化連合会)


(3)木村在クリチバ総領事のクリシウーマ市出張(在クリチバ総領事館)
     2月21日、木村総領事は、サンタカタリーナ州クリシウーマ市のバイホダジュヴェントゥーデ職業訓練学校において、草の根人間の安全保障無償の贈与契約に署名した。同署名式には、ホボルジ同学校会長、サルバロ市長等が出席し、木村総領事は、「恵まれない子供達に対する慈善活動を68年間も続けて来たことに敬意を表するとともに、このような素晴らしい慈善団体と協力ができてとても嬉しい。せっかく構築できた協力関係であるので、今後ともこの関係を発展して行きたい」旨述べられた。木村総領事は、前日の日系人も招かれた歓迎夕食会から大変な歓迎を受けた。署名式当日は、地元最大のラジオ局において、朝8時から生放送でインタビューが行われ、地元のテレビ局からも取材を受けた。クリシウーマ市にでは,近年非日系人が日本祭りを開催しているが、今回の協力を契機に同職業訓練学校の中に、非日系人が日系人と協力して日系協会を設立し、日本文化発信の拠点としようとの動きが見られており、日系社会との連携強化にも繋がるものとなった。

   
          日系社会関係者           パン製菓コースの生徒たち

   
    ラジオ局生放送     テレビ局による取材


(4)親日家や日系人とのネットワーク作りに係る取組み(在クリチバ総領事館)
     2月2日、木村総領事は、公邸において、クリチバの日系協会婦人会との懇親会を開催し、日系人女性同士のネットワーク作りについて意見交換を行った。また、26日には、4月に本邦に出発する国費留学生に対しオリエンテーションを行うとともに、先輩の元国費留学生との懇親会を開催した。在クリチバ総領事館では、このような親日家とのネットワークや日系人同士のネットワーク作りに積極的に取り組んでいく。

   
日系人女性グループとの意見交換       渡日前オリエンテーション