トピックス 2016年3月号

2016/4/13

(1)日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会中間会合の開催

(2)日伯農業・食料対話の開催

(3)サンパウロにおけるジャパン・ハウス(仮称) プレイベントの開催(在サンパウロ総領事館)

内政

(1)下院議長による大統領弾劾手続きに関する異議申立て 
(2)ルセーフ大統領の連邦議会での演説 
(3)ルーラ前大統領夫妻の事情聴取の一時見送り 
(4)PMDB次期下院院内総務に大統領弾劾反対派を選出 
(5)2014年大統領選当選取消し可能性に対する大統領の反論 
(6)サンタナPT広報担当の逮捕 
(7)ルセーフ政権の支持率
 

外交

(1)ルセーフ大統領のイラン訪問 
(2)ブラジル・ロシアの民間団体による笠戸丸引揚げ計画 
(3)ベネズエラ国会議員のブラジル訪問 
(4)ルセーフ大統領のチリ訪問


 

(1)日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会中間会合の開催

     24日、ブラジリアで日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会中間会合が開催され、ビジネス上の改善事項の要望、自動車裾野産業及びインフラ整備を含む今後の産業協力について議論が行われた。日本側からは、経済産業省、経団連、ブラジル日本商工会議所、日本国大使館が参加し、ブラジル側からは伯開発商工省や伯外務省、ブラジル全国工業連盟(CNI)が参加した。

 

(2)日伯農業・食料対話の開催

(ア) 2月29日,3月1日にブラジルのトカンチンス州パルマス市において,日伯農業・食料対話が開催された。日本側からは,松島浩道 農林水産審議官,梅田邦夫 駐ブラジル日本国大使はじめ,農林水産省,日本企業等,約30団体から約70名が参加し,ブラジル側からは,カティア・アブレウ農務大臣,マトピバ地域(※1)の各州知事はじめ,関係省庁,州,企業等から500名近くが参加した。

(イ) 29日は,マトピバ地域の農業開発,輸送インフラ整備における日伯間の協力の可能性,日本企業によるブラジルへの投資環境改善等について活発な議論が行われた。また,梅田大使とアブレウ大臣との間で,「農業及び食料分野に係る日本国政府とブラジル連邦共和国政府との間の協力覚書」(※2)への署名が行われた。この覚書により,ブラジルの北部及び北東部地域の農業開発や輸送インフラ網の整備に向けた協力関係を含め,両国間の経済関係のさらなる促進が期待される。

(ウ) 対話後は,日本食及びブラジル進出日本企業をPRするレセプションを開催し,ブラジルで初めて和牛のプロモーションを実施し,「日本食普及の親善大使」である小池信也シェフによる料理の実演及び試食が行われた。

(エ) 3月1日には,アブレウ大臣同行のもと,バナナ,アサイー及びパイナップルの農場,大豆の加工施設及び南北鉄道貨物ターミナル等の農業・インフラ関連施設の視察が行われた。
 

※1:マトピバ地域:ブラジル北東部のマラニョン,トカンチンス,ピャウィ,バイーア各州の一部から構成されており,農業開発のポテンシャルを有する地域と言われている。

※2:覚書の内容は以下の外務省HPを参照
https://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/page3_001583.html
 

(当日の様子)

         
対話冒頭,挨拶を行う松島 農林水産審議官              覚書に署名する梅田大使とアブレウ大臣 


         
      レセプションで振る舞われた和牛                    小池シェフ(右から2番目)による実演   
                                                                                                 左:着物を着てレセプションに参加したアブレウ大臣

 

 

(3)サンパウロにおけるジャパン・ハウス(仮称) プレイベントの開催(在サンパウロ総領事館)

(ア) サンパウロ市パウリスタ大通りに開設予定のジャパン・ハウスの第一回プレイベントとして,2月24日サンパウロ美術館(以下:MASP)にてレセプション,25日午前にサンパウロ州工業連盟(以下:FIESP)セミナー会場にてプレス発表会,25日午後にMASPにてシンポジウムを開催した。

(イ) 24日のレセプション及び25日午前のプレス発表会では,サンパウロにおけるジャパン・ハウスの運営委員会議長を務める中前隆博駐サンパウロ総領事から,ジャパン・ハウスの設立目的及び業務委託契約を締結した株式会社電通を中心としたコンソーシアムの発表,またジャパン・ハウスの事業運営を担う事務局体制として,事務局長に就任されるアンジェラ平田氏,企画局長に就任されるマルセロ・ダンタス氏,PR局長に就任されるネリー・カイシェッタ氏がそれぞれ紹介された。同じく,本プレイベントのために来伯していたロンドン・ロサンゼルス・サンパウロ三拠点のジャパン・ハウス総合プロデューサーを務める原研哉氏,及びサンパウロのジャパン・ハウス入居予定物件の設計を担当する建築家隈研吾氏も紹介された。25日午後のシンポジウムでは,総合プロデューサー原研哉氏,建築家隈研吾氏,建築家イザイ・ウェインフィルド氏,ジャパン・ハウス企画局長マルセロ・ダンタス氏によるトークセッションが行われた。

(ウ) 24日のMASPでのレセプションにおいては来場者が332人を数え,25日午前のFIESPにおけるプレス発表会についても24の報道機関が来場。25日午後のMASPにおけるシンポジウムでも学生を中心とした若年層100人以上が足を運ぶ等,各種イベントにて好評を得た。今後コンソーシアム及び事務局を中心とし,平成29年3月までの開館を目指す。

 

         
         2月24日レセプション(MASP)                    2月25日AM プレス発表会(FIESP)



2月25日PM(MASP)

 

 

内政

(1)下院議長による大統領弾劾手続きに関する異議申立て

(ア) 2日の連邦議会休会明け,クーニャ下院議長は,今後のルセーフ大統領弾劾の下院における手続きについて,昨年12月に最高裁が示した判断に対する異議申立てを行った。

(イ) クーニャ議長は,下院弾劾特別委員会委員の人選や,議長選出の表決方法(秘密投票か記名投票か)について,先般最高裁が示した判断(記名投票であるべし)は無効であり,この件をめぐる疑義が解消されない間は,他の委員会の人選等の表決にも関係し,あらゆる委員会についてその開会が阻害されるとした。

 

(2)ルセーフ大統領の連邦議会での演説

(ア) 2日,ルセーフ大統領は下院本会議場で開催された新会期の仕事始めの式典で演説を行った。2015年の第二期政権発足以来,ルセーフ大統領にとり初の所信表明演説となった(第二期政権発足時の就任式以来)。

(イ) 約40分間の演説の中で,ルセーフ大統領は,経済危機に対する政府の取組への議会の支持を要請した。特に,財政バランスの維持に欠かせない措置として,CPMF(金融取引暫定負担金)の再導入について理解を求めたが,CPMFに言及する度に,多くの議員から罵声が浴びせられた。

(ウ) ルセーフ大統領は,年金改革の必要性を訴えるとともに,急速に感染が拡大しているジカ熱等の感染症対策を強化するとし,必要となる法令整備にも当たると述べた。

(エ) 続いて壇上で挨拶したクーニャ下院議長は,行政府が提出する法案の内容を真摯に吟味すると述べたが,2015年が困難な1年となったように,2016年も政府の計画が容易に前進するとは考えられないと発言して大統領を牽制した。

 

(3)ルーラ前大統領夫妻の事情聴取の一時見送り

(ア) 16日,全国検察審議会(CNMP)は,17日にサンパウロ州検察庁で予定されていた,大手ゼネコンからの不動産提供等に係る不正をめぐるルーラ前大統領夫妻への事情聴取を当面見送ると発表した。

(イ) 今回の決定の背景には,労働者党(PT)所属議員,労働組合などによるルーラ前大統領擁護の動きが影響したとみられるほか,依然支持者の多いルーラ前大統領に対する国民感情への配慮もあったと見られる。

(ウ) サンパウロ州グアルジャに銀行員組合が建設した高級マンションの一室が,2005年にルーラ前大統領夫人の名義で,当時の評価額を大きく下回る廉価で売却された。この譲渡については,資産隠匿や,不正な資金を別な形で受け渡す資金洗浄などの疑いが持たれ,サンパウロ連邦警察が捜査を続けている。2009年には,同物件を含むマンション全体の保有権が,ペトロブラス汚職事件に関与した大手ゼネコンのOAS社に移った後,ルーラ前大統領夫人名義となっている一室で高額の改修工事が実施された。

 

(4)PMDB次期下院院内総務に大統領弾劾反対派を選出

(ア) 17日,連立与党・伯民主運動党(PMDB)の次期下院院内総務に,ルセーフ大統領の弾劾に反対するレオナルド・ピシアーニ下院議員(リオ州選出)が再選された。

(イ) 本決定は,連立与党の最大勢力であるPMDB内で一時拡大していた大統領弾劾推進派の弱体化と位置付けられる。ブラジルの主要メディアは,大統領弾劾を主導するクーニャ下院議長の敗北と一斉に報じた。

 

(5)2014年大統領選当選取消し可能性に対する大統領の反論

(ア) 18日,ルセーフ大統領は,野党・伯社会民主党(PSDB)他による2014年大統領選での同大統領の当選取消しを求める訴えについて,選挙高等裁判所(TSE)に反論書を提出した。

(イ) TSEは,既に提出されているテメル副大統領の反論とあわせ,当選取消しの訴えの審査を行う。ブラジル政府は,TSEが,本年10月の全国市長選に伴う繁忙期に入る前,8月末までには最終判断が出ることを望むとしている。

(ウ) PSDBは,テレビ及びラジオの無料政見放送における政治権力の乱用,ペトロブラス汚職事件に関与した企業による献金の,ルセーフ大統領の選挙運動での使用等を指摘している。大統領側は,すべて2014年の選挙期間中に問題ないとの審査結果が出ている旨主張している。

 

(6)サンタナPT広報担当の逮捕

(ア) 22日,連邦警察は,ペトロブラス汚職事件捜査の第23段階を開始したと発表し,PTの広報担当として,ルセーフ大統領の二度の大統領選など重要な選挙広報を担当してきたことで知られるジョアン・サンタナ氏他の逮捕を宣告した。23日,同氏は,出張先のドミニカ共和国からブラジルに帰国したところを逮捕された。

(イ) 主な容疑として,大手ゼネコンのオデブレヒト社から,タックス・ヘブンを通じて7百万レアル(約2億1千万円)相当の資金がサンタナ氏及びPTに流れていることが挙げられている。

(ウ) 今回のサンタナ氏の逮捕が,TSEに提起されている,2014年10月の大統領選挙におけるルセーフ大統領の当選無効訴訟に与える影響に注目が集まっている。

 

(7)ルセーフ政権の支持率

(ア) 24~25日,大手世論調査機関ダタ・フォーリャ社は,ルセーフ政権の支持率に関する世論調査を実施した。

(イ) ルセーフ政権を「良い・最も良い」と評価する回答は,前回調査時(昨年12月16~17日)の12%から11%に,同政権を「悪い・最も悪い」と評価する回答も,前回調査時の65%から64%へと1ポイント減少した。同政権を「普通」と評価する回答については,前回の22%から25%に増加した。

(ウ) 今後実施される下院本会議での大統領弾劾に関する表決について,「下院議員は弾劾に賛成すべき」と回答した率は,前回と同率の60%,「反対すべき」は1ポイント減の33%であった。「ルセーフ大統領は自ら辞任すべき」と回答した率は,前回の56%から58%に増加した。

 

外交

(1)ルセーフ大統領のイラン訪問

(ア) 11日,ルセーフ大統領は,アリ駐ブラジル・イラン大使との間で,2016年内にイランを訪問する方向で合意に達した。また,ローハニ・イラン大統領の本年又は来年のブラジル訪問も検討されている。

(イ) イラン側は,ブラジルからのタクシー,バス,トラック,農業機械,航空機等の輸入に関心を示している。また,先般のブラジルの対イラン制裁の撤廃について,ルーラ前大統領時代に活発であった二国間関係の回復の基礎となるとの期待がある。

(ウ) ブラジル側は,イラン産石油の輸入やバイオ・ナノテクノロジー分野での協力に関心を示している。

 

(2)ブラジル・ロシアの民間団体による笠戸丸引揚げ計画

(ア) 16日,クリチバにおいて,民間団体であるパラナ州環境技術研究所(Itapar)とロシア地理学協会(SGR)の代表が,笠戸丸の一部の引揚げに向けた学術的協力に関する覚書に署名した。笠戸丸は,1908年のブラジルへの最初の日本人移住者を乗せた船として知られる。

(イ) 本年5月,笠戸丸の残がいが沈むカムチャツカ半島沖において,引揚げに向けた第一回の事前調査を実施予定で,同調査には,ブラジル・ロシア両国の大学,ロシアの政府機関等が参加する方向で調整が進められている。

 

(3)ベネズエラ国会議員のブラジル訪問

(ア) 25日,ヴィエイラ外務大臣は,ベネズエラの野党国会議員2名と会談した。2名は,ブラジル政府が,マドゥロ大統領に対しより毅然とした態度をとるよう申し入れを行うとともに,多数の同国野党議員による政権交代に向けた活動について説明を行った。

(イ) 今回ブラジルを訪問したのは,ルイス・フロリド外交・主権・統合委員会委員長とウィリアムス・ダビラ同委員会委員の2名で,ブラジル上院外交委員会の公聴会に出席したほか,ジルマール・メンデス連邦最高裁判所(STF)判事との会談を行った。

 

(4)ルセーフ大統領のチリ訪問

(ア) 26~27日,ルセーフ大統領はチリを訪問し,バチェレ大統領との首脳会談,チリ人企業家との意見交換等を行った。

(イ) ルセーフ大統領は首脳会談の中で,2015年11年にチリと署名した投資協力・円滑化協定(ACFI)のブラジル議会での承認を急ぎ,同協定の枠組みにより,チリ企業が伯公共事業の入札に参加出来る仕組み等の整備を行う,チリによる太平洋同盟とメルコスールの協調に向けたイニシアティブを評価するなどとコメントした。

(ウ) 今回の外交日程を優先し,27日に開催されたPTの立党36周年記念党大会を欠席した点をメディアに問われた際,ルセーフ大統領は,自分は1政党のためだけではなく,2億人の国民のために大統領の職に就いていると述べた上で,党との関係悪化を否定した。