政治情勢・トピックス 2020年2月号

令和2年2月14日
ブラジル政治情勢(1月の出来事)

【内政】
(1)公権力乱用防止法の施行
(2)2020年連邦予算案の裁可
(3)犯罪対策法の公布
(4)アマゾン審議会及び国家環境部隊の設置
(5)伯南東部豪雨被害に対する支援


【外交】
(1)伯のOECD加盟に対する米国の支持
(2)伯のCELAC参加停止
(3)ボルソナーロ大統領のインド訪問


トピックス
(1)山東昭子参議院議長一行によるブラジリア公式訪問

(2)令和2年新年会及び令和元年秋の叙勲伝達式

(3)令和元年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「ロマイマ州ボアビスタ市ベネズエラ避難民のための機材整備計画」供与式

(4)マナウス工業拠点持続見本市の開催(在マナウス総領事館)

 

【内政】

(1)公権力乱用防止法の施行
     3日,裁判官,検察官,警察官及び連邦政府公務員の職権乱用に対して刑罰を適用する公権力乱用防止法が施行された。


(2)2020年連邦予算案の裁可
     20日,ボルソナーロ大統領は,2020年連邦政府予算案を変更せずに裁可した。


(3)犯罪対策法の公布
     23日,犯罪対策法が公布及び施行された。なお,一つの事案に関して捜査から起訴までのプロセスを担当する保証裁判官の設置については,22日,フックス最高裁副長官により無期延期とする旨発表された。


(4)アマゾン審議会及び国家環境部会の設置
     21日,ボルソナーロ大統領は,アマゾン審議会及び国家環境部隊の設立を発表した。同審議会の目的は,各省におけるアマゾン熱帯雨林の保護及び持続可能な開発へ向けた様々な行動を連携させること。同日,サレス環境大臣は,国家環境部隊は,環境機関及び軍警察を含む様々な州の軍関係者で構成され,必要に応じて出動する旨発言。


(5)伯南東部豪雨被害に対する支援
     30日,ボルソナーロ大統領は,伯南東部豪雨の被災地を視察し,ミナスジェライス州,エスピリトサント州及びリオデジャネイロ州に対し,インフラ復旧及び住民サービス回復のため,約8億9,200万レアルの連邦政府予算の投入を決定した。

 

【外交】

(1)伯のOECD加盟に対する米国の支持
     15日,米国は,伯のOECD加盟を優先することを決定し,伯が次に加盟審査を開始する国となることを望む旨を正式に伝える書簡をOECDに発出した。


(2)伯のCELAC参加停止
     16日,伯政府は,ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)への参加を停止した。


(3)ボルソナーロ大統領のインド訪問
     25~27日,ボルソナーロ大統領は,モディ印首相より国賓としての招待を受け,インド訪問を行った。25日,両国は,ハイデラバード・ハウスにおいて,投資協力・円滑化協定(ACFI)や社会保障協定,石油・天然ガス部門の協力のための覚書を含む計15件の合意文書に署名した。翌26日,同大統領は,インド共和国記念日パレードに出席した。

 

トピックス

(1)山東昭子参議院議長一行によるブラジリア公式訪問
     1月9日~11日にかけて,参議院議員団(山東昭子議長(団長),世耕弘成議員,長浜博行議員,西田実仁議員,石井苗子議員,大門実紀史議員)は,ブラジリアを公式訪問した。

     10日午前,参議院議員団は,オタビオ・ブランデーリ外務大臣代行と会談を行った。会談においては,2019年に安倍総理とボルソナーロ大統領が計三回の首脳会談を行い,良好な日伯関係をさらに強化するモメンタムが高まっていることを確認しつつ,持続可能な開発やブラジル国内の年金改革などのテーマについて議論された。また,議員団及びブランデーリ外務大臣代行は,日伯関係を強固にする上での伯における日系人の役割の重要性を再認識するとともに,今後,様々な分野で日伯関係をさらに発展させていくことで一致した。

     10日午後,参議院議員団は,伯上院を代表する三名の上院議員(レイラ・バーホス上院議員,アシル・グルガクス上院議員及びパウロ・ロシャ上院議員)と会談を行った。会談においては,2020年東京オリンピック・パラリンピック,良好な日伯関係の長い歴史,二院制の役割,環境・社会・経済問題など,幅広いテーマについて意見交換が行われた。その後,参議院議員団は上院を視察した。また,山東参議院議長は,上院ラジオ局のインタビューを受け,インタビューの最後はブラジルの日系人に対するメッセージで締めくくられた(山東議長のラジオインタビューはこちらで聴取)。
 

ブランデーリ外務大臣代行との会談
(写真:参議院事務局提供)

参議院議員団とブランデーリ外務大臣代行
(写真:ブラジル外務省提供)


(2)令和2年新年会及び令和元年秋の叙勲伝達式
     1月23日,在ブラジル日本国大使公邸にて令和2年新年会及び令和元年秋の叙勲の伝達式が開催され,日系社会関係者や政府関係者など約320名の方々が出席した。

     新年会では,日本ブラジル両国歌の演奏後,山田大使が新年の挨拶を述べた。山田大使は挨拶の中で,日系社会とのさらなる連携強化に尽力していく旨述べた他,東京オリンピック・パラリンピックが開催される今年は,スポーツ分野をはじめとして,政治・経済・文化等,あらゆる分野で日・ブラジルの二国間関係の交流を活発にしていきたい旨述べた(山田大使の挨拶についてはこちらを参照)。

     続いて行われた叙勲伝達式では,元ブラジリア元国費留学生同窓会(ABRAEX)会長で帰国留学生のネットワーク強化等に尽力されたオジビ・テイシェイラ・ジ・カルバーリョ・フィリョ氏に「旭日双光章」が,また,在ブラジル大使館現地職員として,約40年にわたり,大使館の外交活動ひいては日伯関係の発展に貢献された栗木千代子氏に「瑞宝双光章」が伝達された。

     本レセプションにて,出席者の方々は,新しい年の始まりと今回の叙勲受章者を祝いつつ,和やかな雰囲気の中で食事と歓談を楽しんだ。
 

レシービングの様子
 

大使挨拶及び叙勲受章者2名の紹介
 

レセプション開催の様子
 

鏡割り(イシタニ伯外務省局長日本・朝鮮半島・
太平洋局長,大使,叙勲受章者両名)


(3)令和元年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「ロマイマ州ボアビスタ市ベネズエラ避難民のための機材整備計画」供与式
     1月31日,草の根・人間の安全保障無償資金協力による「ロライマ州ボアビスタ市ベネズエラ避難民のための機材整備計画」(供与限度額額 42,926米ドル)供与式がロライマ州ボアビスタ市のリベルダージ地区社会センター(Centro Social Liberdade)にて行われ,当館から山田大使と鳴海書記官が出席した。

     被供与団体であるワールドビジョン・ブラジルは,避難民の受け入れ施設であるリベルダージ地区社会センター(Centro Social Liberdade)において,入国時の登録,就労活動の支援等避難民に対する支援活動を行っている。

     この度,日本政府は,ブラジル北部のロライマ州における同団体の活動の支援として,避難民の方々のブラジルでの入国時の登録などを行う際に必要となる,椅子や机,棚などの事務機器や,事務登録所への移動のための車両,避難所内の防犯用の柵の設置などを行った。これによって避難民の方々のブラジルでの新しい生活環境が一日でも早く整うことが期待される。

     日本政府は,ベネズエラの経済・社会情勢の悪化により,ベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいる状況に対し,避難民を含むベネズエラ国民への民生支援を継続するとともに,影響を受けている周辺国に対しても継続して支援を行っている。今回の協力はこうした方針に基づいて行われている。

     山田大使は供与式典において,「実施機関は,同資金を適切かつ効果的に活用し,ベネズエラ避難民らのブラジル社会における生活の円滑な順応を支援することを期待しています。」旨述べた。


(4)マナウス工業拠点持続性見本市の開催(在マナウス総領事館)
     2019年11月27日~29日,Suframa(マナウス・フリーゾーン監督庁)主催でFesPIM(マナウス工業拠点持続性見本市)が開催された。かつて隔年で開催されていた産業見本市は予算不足を理由に暫く中止されていたが,メネゼス同庁長官の強い指導力のもと,久しぶりに大規模見本市が実施された格好。内外の諸企業,政府機関,研究機関等が参加し賑わったが,マナウス・フリーゾーン(ZFM)進出の日本企業からは(五十音順で)ダイキン,パナソニック,モトホンダ及びヤマハモーターが出展し,大勢の人々がそのブースを訪れた。FesPIM開会式にはボルソナーロ大統領(及びミシェリ夫人)が出席し,演説の中でZFMモデルを擁護する趣旨の発言を行ったところ,高い注目を集めた。

     なお,同大統領は同年7月の初訪問に続いて短期間に2度目のZFM訪問を果たしたが,歴代大統領の中では高頻度のZFM訪問は希有であり,ボルソナーロ大統領のZFMに対するコミットメントを示す一つの証左だとして,当該地域のエスタブリシュメンツに歓迎された。(近年アマゾナス州では,マナウス・フリーゾーン(ZFM)の中で,製造業に重点を置く際に,マナウス工業拠点(PIM)を同義語として用いることが好まれている。)
 

開会式の模様(ボルソナーロ大統領の演説時)

 

メディア取材に応じる大統(左はメネゼスSuframa
長官,右はリマ・アマゾナス州知事)
 

展示会場内の一コマ

(注)写真はFesPIM公式サイトのもの:fespim.com.br