トピックス 2016年2月号

2016/3/7

(1)平成28年新年会レセプションの開催

(2)日ブラジル外交関係120周年の模様(クリチバ総)

内政(1)ルセーフ大統領の年頭所感 (2)ルーラ前大統領の事情聴取 (3)主要政治家の汚職疑惑をめぐる報道 (4)ラヴァ・ジャット汚職捜査作戦の新段階開始

外交:ヴィエイラ外相の訪亜

防衛:伯亜間の防衛協力

その他:伯政府によるネッタイシマ蚊への対応

 

(1)平成28年新年会レセプションの開催

   在ブラジル日本国大使公邸にて、1月19日、新年祝賀に加えて、日ブラジル外交関係樹立120周年記念の締めくくりと、周年事業の実施に御協力いただいた方々への感謝の表明を目的として、新年会レセプションが開催された。新年会レセプションには、連邦政府関係者及び日系社会代表者から350名を越える方々に御出席いただいた。

   また、本年のレセプションの中では、叙勲伝達式が行われ、ブラジリアにおける日本語普及に尽力した三分一貴美子氏に対し「旭日双光章」が送られ、在ブラジル日本国大使館の元職員である冨樫雄輔氏に「瑞宝双光章」が、村田義男氏に「瑞宝単光章」がそれぞれ授与された。加えて、長年に亘って当地ブラジリアで舞踊を通じ日本文化紹介に貢献した舞踊グループ「小春時雨」に外務大臣表彰状が、昨2015年の日ブラジル外交関係樹立120周年記念事業の実施に貢献された24団体及び5個人に対して公館長表彰状が、それぞれ梅田大使より授与された。
 

(2)日ブラジル外交関係120周年の模様(クリチバ総)

   日ブラジル外交関係120周年を慶祝した昨年,ブラジル国内では約550の記念事業が実施され,数百万人のブラジル人が参加し,日伯両国関係の一層の拡大深化が図られた。ここではブラジル南部三州(在クリチバ日本国総領事館管轄)における昨年の模様を俯瞰する。
 

(ア)パラナ州

(1) 全伯第二位の日系人口(約15万人)を擁するパラナ州では,昨年は日伯外交関係樹立120周年に加え,パラナ州日本人入植百周年及び兵庫県パラナ州友好提携45周年の記念周年が共に祝賀され,約60件の記念事業が,地方部を含めた面的な広がりと数万人から約10万人に達するイベントの深みを以て開催されたことが特徴的である。主要事業のなかでも以下のものが特筆され,同州における日伯関係,同州と日本の関係自治体との関係,我が国とパラナ日系社会との関係のいずれにおいても更なる深化がみられた。

(2) 3月12日,パラナ州政庁(イグアス宮)において,同州政府,パラナ州日系実行委員会及び在クリチバ日本国総領事館の共催にて,日ブラジル外交関係樹立120周年・パラナ州日本人入植百周年・兵庫県パラナ州友好提携45周年開幕式典が開催され,リッシャ・パラナ州知事夫妻,梅田大使夫妻の参加の下,パラナ州官民の要人及び同地日系有力者300名近くが出席した。同開幕式典では,パラナ州日系実行委員会が作成したパワーポイント資料による同州における記念行事年間予定の紹介,リッシャ州知事等による法被を着ての鏡割り,茶道裏千家ブラジルセンターの林宋円正教授他の茶道師範による茶道の立礼式,和太鼓演奏及びカクテルパーティーが実施され,当日の様子は州テレビ局により全州に放映され,開幕式典の名に相応しい荘厳な公式行事となった。

(3) 日本人入植百周年記念としては6月13日,パラナ州における最初の入植地カンバラにて州全土から約150名の日系社会代表が集い,パラナ日伯文化連合会(同連合会会長はパラナ州日系実行委員会の副委員長)の主催で慰霊法要が行われ,続いてカンバラ市当局がこの機にあわせて造営した大鳥居の落成式が盛大に行われた。6月20日にはロランジアの日本移民センターにて州全土から日系社会代表ら約500名が参加し「先駆者並びにパラナ開拓先亡者慰霊祭」及び120周年・100周年・45周年の「記念碑除幕式」が同連合会の主催で開催され,同慰霊祭のなかで150名の日本語学校生徒と50名の婦人による『花は咲く』と『ふるさと』の合唱も捧げられた。

(4) 8月19日~21日,井戸兵庫県知事は同県議会,経済界,日伯協会及び柔道使節団等,団体総勢80名以上のメンバーと共に州都クリチバに来訪し,リッシャ州知事との会談,兵庫県パラナ州友好提携45周年記念式典出席,両州県友好提携45周年共同声明の調印,同州知事主催昼食会並びにパラナ州工業連盟との経済交流会議への出席等を行った。20日夜にはパラナ州日系実行委員会,パラナ州文化局及び在クリチバ日本国総領事館の共催により友好提携45周年記念コンサートが開催され,邦人ソプラノ歌手及びパラナ州ソプラノ歌手による女声歌唱,クリチバ・フィルハーモニー弦楽団との共演等を通して多数の市民がお互いの文化に親しみ共に両州県関係45周年と両国関係120周年を祝賀した。

(5) 日ブラジル外交関係樹立120周年記念のハイライトというべき秋篠宮同妃両殿下御訪伯では,両殿下は10月30日から11月1日に州都クリチバ,北パラナのロンドリーナ,ロランジア及びマリンガを御訪問された。パラナ州では官民を挙げて熱烈な受入態勢が整えられ,両殿下は各地の主要日系団体御訪問,日系人(南部他二州の代表も含む)との御懇談,日本広場及び公園での市民との御交流,州知事夫妻御引見,州知事主催夕食会,州都及び北パラナでの記念祝賀行事への御臨席,各種御視察を行われた。御訪問を通じて,日系社会との連携が強化されるとともに,パラナ州における対日親近感が一層醸成された。
 

(イ)サンタ・カタリーナ州

(1) サンタ・カタリーナ州はドイツ系を中心とする欧州系が卓越する地勢であるが,年間を通じて日伯外交関係樹立120周年を祝賀する7件の事業が開催され,同州における日伯関係はもちろん,リンゴが縁で同州が姉妹提携関係を有する青森県と,並びに同州内陸のセルソ・ラーモス移住地に永住する長崎原爆の被爆移住者及び子孫とその支援者が開催した事業を通じて長崎市と,それぞれ関係の強化がみられた。

(2) 7月3日・4日には,州都フロリアノポリスにて史上初の本格的日本祭りとなった「第一回七夕祭り」が,ニッポ・カタリネンセ協会,ブラジル宮城県人会及び在クリチバ日本国総領事館の共催にて開催され,冬季には集客が少なくなるサンタ・カタリーナ島内の事業にもかかわらず,1万人の参加を得て盛況であった。

(3) 7月6日には同州政庁玄関ホールにて「日伯外交関係樹立120周年及びサンタ・カタリーナ州青森県姉妹提携35周年記念式典」がジョアン・ライムンド・コロンボ知事の主催の下,梅田大使夫妻,池田在クリチバ総領事,同州官民の有力者等約150名の参加を得て開催された。同式典ではコロンボ州知事より梅田大使に対して120周年記念及び同州の発展に貢献した日本人移民の功績を顕彰する記念プレートが贈呈され,また,池田総領事が三村申吾青森県知事のメッセージを代読した他,地元有志による和太鼓・笛の演奏及び邦人ソプラノ歌手による歌唱が披露された。

(4) 8月にはセルソ・ラーモス移住地を擁するフレイ・ホジェリオ市の平和資料館が在クリチバ総領事館と共催で原爆70周年記念展示会を開催し,州都の州議会ではジョアン・アミン州議会議員の発議のもと原爆70周年追悼特別セッションが開催された。12月にはフレイ・ホジェリオ市へ長崎の平和の誓いの火がはるばる運搬され分灯式が行われたことが特筆される。
 

(ウ)リオ・グランデ・ド・スール州

(1) 早い時期より在ポルトアレグレ領事事務所からのリオ・グランデ・ド・スール州政府国際関係当局への120周年記念に対する協力要請が奏功し,同州政府事務方としては,その時点で予定されていた2014年10月の州知事選挙のために仮に政権交代が起こったとしても,同州政府が主導して2015年に年間を通じて事務的に周年事業を継続出来るようにと,2014年5月にタルソ・ジェンロ州知事(当時)署名の州知事令が公布され,「日ブラジル外交関係樹立120周年及びリオ・グランデ・ド・スール州と滋賀県との姉妹提携35周年記念実行委員会」が設立された。記念周年の前年に官制実行委員会が設置された全伯でも最初の事例となった。

(2) 2015年4月7日には同州政庁(ピラチニ宮)にて,ジョゼ・イヴォ・サルトリ州知事の主催の下,梅田大使夫妻,池田在クリチバ総領事,同州官民の有力者等約130名の参加を得て,日ブラジル外交関係樹立120周年並びに滋賀県リオ・グランデ・ド・スール州姉妹提携35周年記念式典が開催された。同式典では三日月滋賀県知事よりの祝賀メッセージが披露された後,梅田大使挨拶,サルトリ知事挨拶が続き,式典の最後には,邦楽グル-プ「カグラザカ」による尺八,琴,味線,アコーディオンの演奏が披露された。この他,6月には州立学校「ESCOLA JAPAO」における日本文化紹介事業,8月には延べ7万人が参加した「リオ・グランデ・ド・スール日本祭」が開催されるなど,州都ポルトアレグレを中心として主要記念事業が3件開催され,同州にける日伯両国関係並びに同州と滋賀県の友好関係の深化につながった。
 
(写真)日ブラジル外交関係樹立120周年並びに滋賀県リオ・グランデ・ド・スール州姉妹提携35周年記念式典の様子。同州政府提供。
 

内政

(1)ルセーフ大統領の年頭所感

   1月1日、伯大統領府はルセーフ大統領の年頭所感をホームページに掲載したところ、概要以下のとおり。

(ア)2015年は困難な年であった。経済の低迷は外的要因に因るところが大きく、政治危機は身勝手で未熟な野党勢力によりもたらされた。

(イ)伯経済は強固であり、過去の経済危機時とは状況は異なる。約3,680億米ドルの外貨準備により、投資家の信頼感は継続している。

(ウ)2016年は、議会の協力を得て、年金改革、税制改革等に取り組む。インフレ対策は既に実施しており、2016年の同率は2015年を下回る。

(エ)行政府のスリム化、公共サービスの質の向上、汚職撲滅に取り組む。基礎的財政収支の対GDP比0.5%の黒字達成を約束。

(オ)2015年は伯の強固な民主主義が確認された。

(カ)進展中の大統領弾劾手続きにも怯むことはない。
 

(2)ルーラ前大統領の事情聴取

(ア)ルーラ前大統領は,1月6日,ブラジリアの連邦警察本部において事情聴取を受けた。もっとも,ルーラ財団側は,前大統領に不正との関わりはなく,弁護市の勧めもあって,前大統領の側が自発的に情報を提供したとしている。

(イ)捜査当局によれば,2009年,以前から実施されていた自動車産業への特別減税措置が期限を迎えたが,ルーラが発出した大統領暫定措置令により更に5年間の減税延長が決められた経緯があり,これは関係企業からの働きかけに応じたもので,報酬とみられる巨額の資金がルーラの子息であるルイス・クラウジオに流れているといった疑いが持たれている。

(ウ)当時のルーラ政権のカルヴァーリョ官房長(閣僚級)と関係企業の間で,直接のコンタクトが何度もあり,カルヴァーリョ元官房長は,ルイス・クラウジオとともに捜査対象となっている。
 

(3)主要政治家の汚職疑惑をめぐる報道

   1月13日から14日にかけ当地主要メディアには,当国政治家の新たな汚職疑惑に関し多数の報道がみられた。重要なものを概要のみとりまとめれば,以下のとおり。
 

(ア)ルーラ前大統領

   ルーラ前大統領は,自らの周辺への捜査が活発になったことを受け,弁護士の増強に努めており,刑事分野に強いことで知られるバチスタ弁護士と新たに契約した。同弁護士は,犯罪学などで著作も多い弁護士として有名であるほか,ルーラ前大統領の労働者党(PT)と共闘してきた経緯のあるPDT(民主労働党)代表であったブリゾラ・リオ州知事(1991~94年)の副知事を務めた人物で,労働者党に協力的な存在。同弁護士は,ルーラ前大統領の弁護事務は無料で提供すると発言している。
 

(イ)ワグネル文官長

   新たな疑惑として,2014年,当時バイア州知事であったワグネル文官長は,OAS社の元幹部であったリベイロ氏を,同州政府の郊外地域開発局長に任命した後,州政府によるサルバドール市地下鉄工事の入札において,OAS社が工事を落札したことに何らかの不正が関係しているとして捜査が進められている。

   既に報じられている2012年サルバドール市長選挙における労働者党候補支持とりつけをめぐるOAS社からの不法資金提供疑惑についても,当時のリベイロ局長が仲介したとみられている。

   ワグネル文官長は,2010年の同州知事選に出馬した際,OAS社から150万レアル(約4500万円相当)の不正献金を授受しているとされ,2014年の知事選でもワグネル知事の所属するPTのコスタ候補にOAS社が420万レアル(約1億2600万円)の不正資金提供の疑いで捜査が進められている。
 

(ウ)ガバス前社会保障大臣

   捜査当局は,ガバス前社会保障大臣が,大手ゼネコンのOAS社とブラジリア連邦特別区政庁との間で種々取引を仲介していたとの見方を強めている。ガバス前大臣は,ルセーフ大統領と親しいとされており,2012年~14年に社会保障省の局長でもあった。ピニェイロOAS元社長(逮捕済み)とガバス前大臣の携帯電話通信記録では,2014年,連邦特別区ケイロス知事(当時)時代に完成したブラジリアのバス専用車線についてOAS社が工事を受注できるようガバス前大臣が操作したと解される内容がみつかっている。
 

(エ)ロバン前鉱山エネルギー大臣

   司法取引により数々の協力的供述を提供しており,最近新たな供述内容が続々発表されているセルベロ・ペトロブラス元国際局長の証言として,ルーラ政権での鉱山エネルギー大臣を務めていたロバン前大臣が,2009~10年の間,自身の友人であるドス・サントスが頭取を務めていたBBVA銀行が,ペトロブラスの職員年金基金の運用に参加できるよう,関係者に命令したと言われている。セルベロ元局長によれば,後にBBVAは破綻し,同年金基金は損失を被ったとされている。
 

(4)ラヴァ・ジャット汚職捜査作戦の新段階開始

(ア)1月27日,ペトロブラス汚職事件解明のためのいわゆるラヴァ・ジャット捜査作戦が新たな段階を開始した。連邦警察は,これを第22段階(トリプル・エックス作戦)と称し,今回の捜索先は主にサンパウロ州及びサンタ・カタリーナ州となっている。

(イ)連邦警察関係者は,サンパウロの銀行職員組合が共同購入したものの,ルーラ前大統領にその一部が渡っているとされる高級住宅(別荘)についても,今回の操作の照準に入っている旨述べている。ペトロブラスの発注案件を限られた企業の間で分け合い,不正に資金を横領しては政治家等に流していたとされるスキームの中心に,ゼネコンのOAS社があり,同社の関与が指摘されている。

(ウ)今回に先立つ第21段階の捜査では,昨年11月にルーラ前大統領の親友とされる牧場経営者のブンライが逮捕され,その直後にはアマラル上院議員(PT院内総務)と投資銀行経営者のエステベスが逮捕。連邦議会も,アマラル上院議員の身柄の扱いをめぐる議論で審議が停滞し,関連法案が通らないために予算が凍結状態となるなど,国政に大きな影響をもたらす展開がみられた。
 

外政

ヴィエイラ外相の訪亜

(ア)1月14日,ヴィエイラ伯外相は訪亜し,ベネズエラ問題における協調等,幅広い内容について会談を行った。マクリ政権発足後35日が経過する中,ヴィエイラ外相が最初に亜を訪問した外国の外相であった。外相会談にはプラト・ガイ亜財務大臣が同席したほか,ヴィエイラ外相はマクリ大統領を表敬した。

(イ)両国外相が発表した共同声明のポイントは以下のとおり。

(1) 1985年のイグアス宣言から30周年を迎え,両国が共に関心を有する地域・国際問題について伯亜間で振り返る良い機会となった。ヴィエイラ外相は,マクリ大統領の訪伯を招請するルセーフ大統領の招待状を手交。

(2) 双方に実りある進展をみてきた宇宙,原子力,航空機分野を中心とする科学技術協力を一層深めていく。

(3) 伯亜間及び地域の他の諸国との物理的統合に資するインフラ開発を後押ししていくことで一致。

(4) 両国間の貿易をモニターする委員会を招集し,対話を維持することで一致。

(5) パラグアイ・パラナ水路協定に基づく政府間委員会を通じ,一層の航行円滑化を進めることで一致。

(6) 国境地域に関する協定について,伯側も国内実施に至ったことを祝福し,両国間統合促進を深める必要につき一致。

(7) 人権及びグローバル・ガバナンスを中心に,多国間及び地域の問題をめぐる行動を互いに調整していくことで一致。

(8) メルコスールによる統合プロセスの現状につき議論。対EUのFTA交渉についても意見交換。ウナスール,CELACなどの地域枠組みのプロセスについても言及。

(9) マルコーラ外相から,マルビナス(フォークランド)問題につき伯側が亜の立場をずっと支持してきていることに感謝。

(10) 関係省庁も参加した形で,定期的に二国間の問題につき協議することで一致。
 

防衛

伯亜間の防衛協力

(ア)1月21日,ヴィエイラ伯外相とマルコーラ亜外相は,ブエノスアイレスで会合を行い,両国が防衛を含めて様々な分野でのパートナーシップを再開することで一致した。ヴィエイラ伯外相によれば,両者は軍用輸送機KC-390の生産に係る協定に関心を示すとともに,同輸送機はアルゼンチン、ポルトガル、チェコによる共同事業であり,伯空軍が企画してエンブラエル社が生産する機体である旨述べた。

(イ)今回の両外相による会合の主なテーマは,メルコスールの立て直し及び両国の防衛を含めた様々な分野での共同プロジェクトの再開であった。両国は,KC-390の生産に関して,今後数か月間に開発商工大臣,科学技術大臣,防衛大臣等の会合を予定している。
 

その他

伯政府によるネッタイシマ蚊への対応

   伯政府は、小頭症との関係が指摘されるジカ熱を含む様々な病気をもたらすネッタイシマ蚊への対応のため、キャンペーン強化、国内法令整備、ワクチン開発等の対策を強化。2月13日には、22万人を動員した啓発活動を行うと発表した。