トピックス 2019年1月号

平成31年1月9日
ブラジル政治情勢(12月~新政権発足までの出来事)
[内政]
(1)当選認証式でのボルソナーロ次期大統領のスピーチ
(2)ボルソナーロ新政権の発足
(3)2019年予算の議会承認


[外政]
(1)COP25開催の見送り
(2)国連移住グローバル・コンパクトからの離脱発表
(3)伯パラグアイ首脳会談


トピックス
(1)平成30年度天皇誕生日祝賀レセプションの開催

(2)平成30年度官民合同会議の開催

(3)「ニッポカタリネンセ」「FANSC」と日本NPO法人「海の国・日本」による共同ワークショップ(在クリチバ総領事館)

(4)カスカヴェル文化体育協会50周年記念式典における日本祭り、太鼓公演及び太鼓ワークショップ(在クリチバ総領事館)

 

【内政】

(1)当選認証式でのボルソナーロ次期大統領のスピーチ
     12月10日,ボルソナーロ次期大統領は,選挙高等裁判所で行われた当選認証式でスピーチを行った。主なポイントは以下の通り。

(ア)来年1月1日から,2億1千万人のブラジル人の大統領となる。社会的出自,人種,性別,肌の色,年齢,宗派の区別なく,皆のための統治を行う。謙虚さとともに,神に対する信仰心をもって,我々を結び付ける目的,即ち,豊かで公平で世界の大国として相応しい地位を占める国家の建設に向けて邁進したい。

(イ)国民が潜在力を発揮するためには,政府が適当な環境を整備する必要がある。より公平で発展した国を築くためには,進歩を遅らせてきた従来のやり方から決別しなければならない。汚職,暴力,嘘,イデオロギー的な人心操作に対し,ノーと言わなければならない。

(ウ)我々の主張は,治安対策,犯罪撲滅,個人の利益と努力を尊重する機会の均等に関するものである。

(エ)全員が一致団結して努力し,ブラジル人であることの誇り,国旗と国歌に対する誇りを取り戻そう。何よりもブラジルのために,神のために(Brasil acima de tudo, Deus acima de todos)。


(2)ボルソナーロ新政権の発足
     1月1日,ボルソナーロ大統領及びモウラォン副大統領の就任式が連邦下院で行われた(我が国からは,山口泰明衆議院議員・日ブラジル友好議員連盟事務局長が特派大使として出席)。

     同日付の官報に公示されたボルソナーロ新政権の布陣は次のとおり(非プロトコール順)。

大統領
ジャイル・ボルソナーロ

副大統領
アントニオ・モウラォン

文官長
オニッキス・ロレンゾーニ

大統領府政府調整庁長官
カルロス・サントス・クルース

大統領府事務総局長官
グスタヴォ・ベビアーノ

大統領府安全保障局長官
アウグスト・エレーノ

経済大臣
パウロ・ゲデス

法務・治安大臣
セルジオ・モーロ

外務大臣
エルネスト・アラウージョ

国防大臣
フェルナンド・アゼヴェード

科学・技術・革新・通信大臣
マルコス・ポンテス

農業・畜産・供給大臣
テレーザ・クリスチーナ

保健大臣
ルイース・エンリケ・マンデッタ

教育大臣
リカルド・ロドリゲス

インフラ大臣
タルシージオ・ゴメス・デ・フレイタス

地域開発大臣
グスタヴォ・カヌート

市民大臣
オズマール・テッハ

観光大臣
マルセロ・テイシェイラ

鉱山・エネルギー大臣
ベント・コスタ・アルブケルケ

女性・家族・人権大臣
ダマーレス・アルヴェス

環境大臣
リカルド・デ・アキノ・サレス

連邦総監督大臣
ワグネル・ロザリオ

連邦総弁護庁長官
アンドレ・ルイス・メンドンサ

中央銀行総裁
ロベルト・カンポス・ネット


(3)2019年予算の議会承認
     12月19日,連邦議会が2019年度予算法を承認。2019年度歳入・歳出額は,それぞれ3兆3,810億レアル。

 

【外交】

(1)COP25開催の見送り
     12月12日,ボルソナーロ次期大統領は,FACEBOOKのライブ中継を通じ,ブラジルがパリ協定に留まることに否定的な見方を示し,2019年のブラジルのCOP25開催を見送る方針を発表。

(2)国連移住グローバル・コンパクトからの離脱発表
     12月10日及び11日,マラケシュで国連主催「移住グローバル・コンパクト」採択会合が開催され,伯からヌネス外務大臣が出席し,「国連移住グローバル・コンパクト」に署名。他方,12月10日付で,アラウージョ次期外務大臣が,政権交代後に本枠組から撤退する考えをツイッターで発信し,新政権が本枠組みから離脱する方針が発表された。

(3)伯パラグアイ首脳会談
     12月21日,テメル大統領とベニテス・パラグアイ大統領は,フォス・ド・イグアスで首脳会談を行い,「物理的統合に関する伯・パラグアイ共同声明」に署名。本声明により,両国をつなぐ2つの国際橋(フォス・ド・イグアスとプレジデンチ・フランコをつなぐパラナ川に架かる二つ目の橋,及び,ポルト・ムルチーニョとカルメロ・ペラルタをつなぐパラグアイ川に架かる橋)の建設に関する取決めが合意された。

 

トピックス

(1)平成30年度天皇誕生日祝賀レセプションの開催
     12月6日、在ブラジル日本国大使公邸にて平成30年度天皇誕生日祝賀レセプションが開催された。

     山田大使は、開会式における挨拶の中で、日本人移住110周年の2018年は、皇太子殿下や眞子内親王殿下の御来伯を迎え、また、多くのイベントがブラジル各地で開催されたことで、大変記憶に残る年となり感謝したい旨述べた。その上で、ブラジルで新政権が誕生する来年に向け、引き続き各分野で両国間のさらなる関係強化に努めたい旨述べた(山田大使の挨拶についてはこちらを参照)。

     会場には、和食のプロモーションとして、天ぷら及び寿司の屋台をはじめ、日本酒コーナー、豚汁コーナーが設けられた他、進出企業支援の一環として、ブラジルで活躍する日本企業5社(ヤクルト、 NEC、パナソニック、日清、ミウラボイラー)が自社製品や技術の紹介を行った。

     なお、同レセプションには、ブラジル政府、連邦議会、日系社会、民間企業、教育・文化・スポーツ関係、外交団等、約650名の出席者を得て、天皇誕生日を祝賀するとともに、交流が盛況に行われた。
 

開会式の様子
 

大使挨拶
 

レセプションの様子1
 

日本酒コーナー
 

企業ブース(日清)
 

企業ブース(ヤクルト)
 

企業ブース(NEC)
 

企業ブース(パナソニック)
 

企業ブース(ミウラボイラー)

山田大使夫妻と館員夫人


(2)平成30年度官民合同会議の開催
     12月13日、サンパウロ市ジャパン・ハウスにおいて、平成30年度官民合同会議が開催された。

     今回の官民合同会議では、ブラジル日本商工会議所、アマゾナス日系商工会議所、南伯日本商工会議所、パラナ日伯商工会議所、リオデジャネイロ日本商工会議所及びパラ-日系商工会議所の各代表と、外務省の中南米局及び在ブラジル日本国大使館を始めとする在伯8公館並びにJICA、JBIC及びJETROの各代表、合わせて約50名が参加した。

     在ブラジル日本国大使館からは山田大使が出席し、開会の挨拶において、日本人移住110周年に当たる2018年の日伯関係、大統領選挙に言及し、ボルソナーロ新政権に対する各界の期待等について述べた。

     また、日本政府として、これまで日伯賢人会議、日伯経済合同委員会、日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会、日伯インフラ協力会合、日伯農業・食料対話等の枠組みを通じて、ブラジルとの経済対話や交流促進を図り、両国間の経済関係の強化、貿易投資の拡大に日本企業とともに取り組んできたが、来年のG20日本開催も踏まえ、今後とも民間レベル、政府レベルでの経済対話を積み重ね、ブラジルの経済制度の改革やビジネス環境の改善に向けて、官民一体となって、粘り強い働きかけを継続することが重要である旨を述べた。

     今般の会議では、国側と民間側それぞれにおける最近の活動状況について報告を行うとともに、ビジネス環境整備、日メルコスールEPAの可能性、日本産農林水産物輸出・食品の輸出促進等に関して、活発な意見交換が行われた。

     本会議での議論が今後のブラジルにおける日系企業の一層の発展につながっていくことが期待される。



     

 
(3)「ニッポカタリネンセ」「FANSC」と日本NPO法人「海の国・日本」による共同ワークショップ(在クリチバ総領事館)
     9月9日、サンタカタリーナ州フロリアノポリス市にて開催された国際捕鯨委員会(IWC)に合わせて、日本NPO法人「海の国・日本」が同地にて水産資源の持続可能な利用をテーマとしたワークショップを実施した。開催にあたり、クリチバ総領事館は、日頃より日本語教育や日本文化普及に尽力する日系2団体「ニッポカタリネンセ」と「サンタカタリーナ日系協会連盟(FANSC)」から,会場や通訳の手配、集客等について全面的な協力を得ることにより、ワークショップは大きな成功を収めた。本イベントは、両日系団体の活動領域を国際的な場へ広げ、日本との民間交流を開始する契機となった。

     なお、同IWC総会には、日本から60名を越える代表団が参加し、IWC改革案を提案したが、反捕鯨国の理解が得られず、デモが行われる中、同改革案が否決された。

     

 
(4)カスカヴェル文化体育協会50周年記念式典における日本祭り、太鼓公演及び太鼓ワークショップ(在クリチバ総領事館)
     11月7日~11日、カスカヴェル文化体育協会の日本祭りにあわせ、パラナ州カスカヴェル市にて,日本から元「鼓童」の太鼓奏者である坂本雅幸氏と前田剛史氏を招へいし、ブラジル太鼓チームに対するワークショップや日本祭りにおけるソロ公演等を実施した。ワークショップは申込初日で応募が殺到し、カスカヴェル市に加え、クリチバ市、イタジャイ市、ロンドリーナ市、サンパウロ市、フロリアノポリス市、アチバイア市など様々な地域の太鼓グループから申請が寄せられた。結局各地域の太鼓グループから5名まで選抜してもらい、計45名がワークショップに参加した。日本祭りはこれまでにない盛り上がりを見せ、来場者は延べ4万人にものぼった。また、坂本氏・前田氏の超一流の公演を聴き、太鼓を習い始めたいという子供達が増え、同協会の太鼓レッスンへの申し込みや問い合わせが増えている。