最近の経済情勢 2016年12月号

2016/12/21

(1)経済情勢等(11月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、11月25日時点では、本年の経済成長率は▲3.49%で8週連続の下方修正、明年の経済成長率は0.98%とされた。また、本年のインフレ率見通しは6.72%で3週連続の下方修正、明年のインフレ率見通しは4.93%とされた。

(イ)ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した本年第3四半期(7~9月)の経済成長率は、前年同期比▲2.9%で10期連続のマイナス、前期比▲0.8%で7期連続のマイナスを記録した。需要面では、投資の指標となる総固定資本形成(▲3.1%)が再び下落に転じ、家計消費(▲0.6%)も7期連続で下落した。

(ウ)10月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.26%となり、前月の0.08%から上昇した。交通費(+0.75%)の高騰が寄与した。また、本年当初からの累計で5.78%、12か月累計では7.87%の上昇となり、依然として政府のインフレ目標の上限である6.5%を上回る水準となっている。

(エ)9月の鉱工業生産指数は、前年同月比▲4.8%で31か月連続のマイナス、前月比では+0.5%となり、2か月ぶりにプラスに転じた。

(オ)10月の貿易収支は、輸出額は137.21億ドル(前年同月比▲14.5%、前月比▲13.2%)、輸入額は113.75億ドル(前年同月比▲19.1%、前月比▲5.1%)で、差し引き23.46億ドル(前年同月比+17.5%、前月比▲38.5%)で20か月連続の貿易黒字を記録した。

(カ)9月の小売売上高は、前年同月比▲5.9%で18か月連続のマイナス、前月比でも▲1.0%となり、3か月連続のマイナスを記録した。

(キ)全国の失業率(8~10月の移動平均)は11.8%となり、前回の公表値(7~9月の移動平均)から横ばいであった。
 

(2)経済政策等

(ア)11月21日、伯財務省は、2016年のGDP成長率見通しをこれまでの▲3.0%から▲3.5%に、2017年については1.6%から1.0%にそれぞれ下方修正すると発表した。

(イ)11月22日、連邦政府は、テメル大統領及び経済主要閣僚と各州知事との会合を経た後、今後の財政調整に係る協力パッケージに全知事との間で合意した旨を発表した。

(ウ)11月29日、連邦議会上院は、本会議において歳出に上限を設定する憲法改正案について1回目の票決を行い、賛成61票、反対14票の多数で可決した(成立のためには2度の可決が必要)。
 

(3)中銀の金融政策等

(ア)11月11日、中銀は米大統領選後のレアル安の加速を受けて、大規模な通貨スワップ(先物市場でのドル売り・レアル買い)の入札を実施した。

(イ)11月30日、中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.25%引き下げて13.75%とする旨を全会一致で決定した。なお、政策金利の引下げの決定は2会合連続となった。
 

(4)為替市場

(ア)11月のドル・レアル為替相場は、米大統領選の結果を受けてレアルが急落し、その後は中銀による為替介入の効果もあり、1ドル=3.4レアル前後で推移する展開となった。

(イ)月の前半は、米大統領選の不透明感からレアルが売られたものの、その後はクリントン氏優位の情勢を受けて、1ドル=3.1レアル台までレアル高が進んだ。ところが、9日以降はトランプ氏の勝利が確実になったことで米国の金利上昇観測が嫌気され、レアルは大幅に下落した。中銀は11日から事実上のドル売り・レアル買いの介入に踏み切り、相場は1ドル=3.4レアル台で落ち着きを取り戻した。

(ウ)月の後半は、年金制度改革法案の議会提出が早まるとの報道が好感されたことに加え、中銀が連日為替介入を行ってレアル相場を買い支えたところ、1ドル=3.4レアル前後の狭いレンジで推移した。月末は1ドル=3.3858レアルで取引を終えた(前月比6.0%のドル高・レアル安)。
 

(5)株式市場

(ア)11月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は、米大統領選の結果を受けて大きく下落したものの、その後はじりじりと回復する値動きとなった。

(イ)月の前半は、米大統領選の不透明感から株価はいったん下落したものの、その後はクリントン氏優位の情勢を受けて値を戻す展開となった。ところが、9日以降はトランプ氏の勝利が確実になったことで米国の金利上昇観測が嫌気され、11日には60,000ポイントを割り込むところまで大きく下落した。

(ウ)月の後半は、それまでの大幅な下落を受けた値頃感から買戻しの動きも入り、OPECでの減産合意への期待などから、株価は上昇トレンドに入った。その後は、鉄鉱石価格の反騰やOPECの減産合意も好感され、株価は乱高下しつつも堅調に推移した。月末の株価は61,906ポイントとなり、前月比▲4.6%の下落となった。