最近の経済情勢 2019年11月号
令和元年11月13日
1.経済情勢等(10月発表の経済指標)
(1)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して,10月28日付公表資料によると,GDP成長率予測については,2019年は0.91%で先週より+0.03%,2020 年は2.00%で先週から変わらず。インフレ率予測については,2019年は3.29%で先週から▲0.11%,2020年は3.60%で先週から▲0.06%となった。(2)8月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は,前月比+0.8%,前年同月比▲2.3%となり,3ヶ月連続でマイナスを記録した。前月比では鉱業が+6.6%となった一方,自動車製造が▲3.0%となったことで全体の伸びを抑えた。
(3)8月の小売売上高は,前月比+0.1%,前年同月比+1.3%を記録,1月~8月の累積値は1.2%となった。
(4)全国の失業率(7~9月の移動平均)は11.8%となり,4~6月の移動平均値(12.0%)から0.2%低下した。雇用者数は9,380万人となり前四半期比+0.5%と安定して伸びている。
(5)8月の貿易収支は,輸出額は187.51億ドル(前年同月比▲13.00%,前月比▲6.19%),輸入額は155.69億ドル(前年同月比▲17.09%,前月比▲12.34%)で,差引き31.8億ドルで前月比9.55億ドル低下(前年同月比▲14.68%,前月比+42.75%)。米中貿易摩擦の影響で大豆,鉄鋼の対中輸出が落ち込んでおり,1月から8月の累積値は▲315億ドル(前年同月比▲6.2億ドル)となった。
(6)9月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で▲0.04%となり,前月の+0.11%から0.15%下落した。12ヶ月の累計では2.89%で8月の3.43%から大幅に低下した。
2.経済政策等
(1)1日,上院本会議は,年金制度改革法案について,第1回投票で賛成56票,反対19票で可決,22日の第2回投票により,賛成票60票,反対票19票で承認した。当初,今後10年間の歳出削減効果を1兆2,000億レアルと見込んでいたが,下院と上院での審議の結果,8,000億レアルへと大幅に落ち込むとゲデス経済相は述べた。(2)2日,経済省は,今年の貿易収支について前回7月の予想である567億ドルの黒字から,前年比28.0%減少に相当する418億ドルの黒字予想に下方修正した。対中輸出,アルゼンチン向け自動車輸出の減少が要因と指摘している。
(3)9月の金融政策委員会の利下げを受けて,連邦貯蓄金庫(CAIXA)は, 預金システム,住宅金融システム(SFH)及び不動産金融システム(SFI)を通した住宅購入クレジット金利の最大1.0%引下げを決定した。
(4)22日,現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金の先払い政策の経済効果について120億レアル,また貧困層向け生活扶助のボルサファミリア受給者向けの13か月サラリー支払いで25億レアル,総額145億レアルが消費市場に流入されるとサッシダ経済政策局長は言及。
(5)25日,伯中銀は,9月の経常収支赤字(過去12ヶ月)が,3月から6カ月連続の増加傾向で374億3,500万ドル,経常収支赤字のGDP比が2.05%となったと発表した。今年2月の経常収支赤字がGDP比1.23%から大幅に上昇した要因として,米中貿易摩擦継続による世界貿易縮小の影響,アルゼンチンの為替危機によるブラジルの輸出減少及びブラジル国内経済の緩やかな回復による輸入増加を挙げた。