最近の経済情勢 2018年11月号

平成30年11月9日
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(10 月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(10月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に関して、10月26日時点で、GDP成長率予測については、2018年は1.36%で先週から0.02%上昇、2019 年は2.50%で先週から0.01%上昇した。インフレ率については、2018年は4.43%で先週から0.01%減少、2019年は4.22%で4週間前から0.02%上昇した。

(イ)8月の鉱工業生産指数は、前月比▲0.3%で2ヶ月連続のマイナス、前年同月比は+2.0%で3ヶ月連続増となった。

(ウ)8月の小売売上高は、前年同月比+4.1%で先月の▲1.0%から増加したほか、前月比+1.3%となり,4ヶ月ぶりにプラスを記録した。

(エ)全国の失業率(7~9月の移動平均)は11.9%となり,前回の公表値(6~8月の移動平均)から0.2%下落して6か月連続で改善した。

(オ)9月の貿易収支は,輸出額は190.60億ドル(前年同月比+2.15%,前月比▲15.48%)、輸入額は141.16億ドル(前年同月比+4.65%,前月比▲24.83%)で,差引き49.44億ドル(前年同月比▲4.38%,前月比+30.98%)となり,43か月連続で貿易黒字を記録した。

(カ)8月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.48%となり,前月の▲0.09%から上昇した。また,過去12か月累計では4.53%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)内の水準で推移している。

 

(2)経済政策等

(ア)10月7日の次期大統領選挙で、ジャイル・ボルソナーロ候補とフェルナンド・アダッジ候補が10月28日の決選投票へ。

(イ)10月28日の次期大統領選挙決選投票において、ジャイル・ボルソナーロ候補が当選。来年1月1日に大統領に就任予定。

(ウ)ジャイル・ボルソナーロ次期大統領はプレスを前に勝利宣言を行い、ブラジル・ファーストを目指し、雇用促進、財政均衡、債務削減、低金利、行政機関の簡素化等に取り組むとした。

 

(3)中銀の金融政策等

(ア)10月30日及び31日に開催された金融政策委員会において、中銀は政策金利を年率6.50%に据え置くことを決定。金利据え置きは5会合連続となる。

(イ)次回金融政策委員会は、12月11日及び12日に開催予定。

 

(4)為替市場

(ア)10月の為替レートは、前半はレアル買いが進行し、レアル高傾向で推移、後半は1ドル=3.7レアル台で横ばい。10月はレアルが対ドルで7.8%上昇し、2016年6月以降で最もレアル高が進んだ月となった。

(イ)月の前半は、ボルソナーロ候補の支持率上昇、及び第一回投票の結果で同候補が決選投票に進出することを受け、レアルが急騰。その後、レアル買いも一服。

(ウ)月の後半は、ボルソナーロ陣営の市場フレンドリーな政策について市場が好感する一方、既に市場はボルソナーロ候補当選を相当程度織り込んでいること、及び米中貿易摩擦等の外部要因による影響で、1ドル=3.70レアルを中心とした幅の狭い値動きとなった。

 

(5)株式市場

(ア)10月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は、前半は上昇、後半も上昇傾向となった。(イ)月の前半は、上昇傾向。7日の第一回目の大統領選挙でボルソナーロ候補が決戦投票に進んだことで、国営企業の民営化促進により株式市場が活性化する期待が高まったことから,Ibovespaは前日比4.57%の高い伸び率を記録。

(ウ)月の後半も、上昇傾向。相場はボルソナーロ候補当選を相当程度織り込み済みのため、米中貿易戦争等の外部要因による影響を受け、上げ下げを繰り返すも、31日の終値は今月最高の87,424ポイントを記録。
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