最近の経済情勢 2017年10月号

2017/10/9
ブラジル・マクロ経済情勢

(1)経済情勢等(9月発表の経済指標)
(2)経済政策等
(3)中銀の金融政策等
(4)為替市場
(5)株式市場

 

(1)経済情勢等(9月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づくGDP成長率予測に関し,9月22日時点では,2017年のGDP成長率は0.68%で先週から上方修正,2018年のGDP成長率は2.30%とされた。また,2017年のインフレ率見通しは2.97%で5週連続の下方修正,2018年のインフレ率見通しは4.08%とされた。

(イ)8月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.19%となり,前月の0.24%から下落した。また,過去12か月累計では2.46%となり,政府のインフレ目標(4.5%±1.5%)の下限値を更に下回る水準で推移している。

(ウ)7月の鉱工業生産指数は,前年同月比+2.5%で3か月連続でプラスを記録したほか,前月比でも+0.8%となり,2か月ぶりにプラスに転じた。

(エ)8月の貿易収支は,輸出額は194.75億ドル(前年同月比+14.6%,前月比+3.8%),輸入額は138.76億ドル(前年同月比+8.0%,前月比+11.3%)で,差引き55.99億ドル(前年同月比+35.3%,前月比▲11.1%)となり,30か月連続で貿易黒字を記録した。

(オ)7月の小売売上高は,前年同月比+3.1%で4か月連続でプラスを記録した一方,前月比では±0.0%で横ばいとなった。

(カ)全国の失業率(6~8月の移動平均)は12.6%となり,前回の公表値(5~7月の移動平均)から0.2%下落して5か月連続で改善した。  

 

(2)経済政策等

(ア)9月5日,連邦議会上院は,連邦政府のプライマリーバランス目標額について,これまでの2017年に▲1,390億レアル,2018年に▲1,290億レアルから,両年とも▲1,590億レアルに引き下げる法案を可決した。また,同日、連邦議会上院は,2018年1月1日から国営の開発金融機関である伯経済社会開発銀行(BNDES)の長期政策金利(TJLP)に代えて長期金利(TLP)を導入する法案についても可決した。

(イ)9月12日,メイレレス財務大臣は,大統領府で開催されたセレモニーで講演し,政府は将来的に更に高い成長率となる状況を構築すべく取り組んでおり,2018年には3%以上の経済成長も可能だと語った。

(ウ)9月19日,国連総会出席のためニューヨークを訪問中のテメル大統領は,米国ビジネス界との会合に出席し,連邦政府が実行する構造改革により外国人投資家の信頼は強化されていると語った。  

 

(3)中銀の金融政策等

(ア)9月6日,中銀の金融政策委員会(Copom)は,政策金利(Selic)を1.00%引き下げて年率8.25%とする旨を全会一致で決定した。なお,政策金利の引下げの決定は8会合連続となった。

(イ)9月21日,中銀は,インフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し,条件付インフレ率予測について,2017年は3.2%,2018年は4.3%,2019年は4.2%,2020年は4.1%前後とされた。また,GDP成長率予測については,2017年は0.7%,2018年は2.2%とされた。

 

(4)為替市場

(ア)9月のドル・レアル為替相場は,1ドル=3.0~3.1レアル台のレンジで安定的に推移した。

(イ)月の前半は,財政関連法案の議会通過等が好感されて,一時1ドル=3.0台までレアルが買われたものの,その後は米国の金利上昇や税制改革への期待感からドルが買われ,1ドル=3.1レアル台で小動きとなった。

(ウ)月の後半は,しばらくは方向感なく推移したものの,月末にかけて北朝鮮情勢の緊迫化等を受けたリスクセンチメントの悪化に加えて,米国の年内利上げ観測の高まりや税制改革への期待感からドルがやや買われる流れとなった。月末は1ドル=3.1625レアルで取引を終えた(前月比0.4%のドル高・レアル安)。

 

(5)株式市場

(ア)9月の伯の株式相場(Ibovespa指数)は,上旬から中旬にかけては予想比で強い経済指標や内政動向が好感されて大きく上昇し,下旬はやや値を戻す展開となった。

(イ)月の前半は,予想比で強い2017年第2四半期のGDP成長率や財政関連法案の議会通過等が好感されて上昇したほか,テメル大統領に対する起訴をめぐる動向が大統領側に有利な状況になったとの見方が広がり,株価指数は金融危機前の2008年5月に記録した過去最高値を更新し,15日には75,000ポイント台まで急上昇した。

(ウ)月の後半は,株価指数は一時76,000ポイント台まで続伸したものの,その後は米国の年内利上げ観測の高まりや鉄鉱石価格の下落を受けてやや軟調に推移した。月末の株価指数は74,293.51ポイントとなり,前月比+4.9%の上昇となった。