最近の経済情勢 2016年10月号

平成28年10月17日

(1)経済情勢等(9月発表の経済指標)

(ア)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し、9月23日時点では、本年の経済成長率は▲3.14%で3週連続の上方修正、明年の経済成長率は1.30%とされた。また、本年のインフレ率見通しは7.25%で2週連続の下方修正、明年のインフレ率見通しは5.07%とされた。

(イ)8月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.44%となり、前月の0.52%からやや下落した。前月に高い伸びを示した食料・飲料費(+0.30%)が落ち着いたことが寄与した。また、本年当初からの累計で5.42%、12か月累計では8.97%の上昇となり、依然として政府のインフレ目標の上限である6.5%を上回る水準となっている。

(ウ)7月の鉱工業生産指数は、前年同月比▲6.6%で29か月連続のマイナス、前月比では+0.1%となり、2か月連続のプラスを記録した。

(エ)8月の貿易収支は、輸出額は169.89億ドル(前年同月比+9.7%、前月比+4.0%)、輸入額は128.49億ドル(前年同月比+0.4%、前月比+9.3%)で、差し引き41.40億ドル(前年同月比+53.8%、前月比▲9.6%)で18か月連続の貿易黒字を記録した。

(オ)7月の小売売上高は、前年同月比▲5.3%で16か月連続のマイナス、前月比でも▲0.3%となり、2か月ぶりにマイナスに転じた。

(カ)全国の失業率(6~8月の移動平均)は11.8%となり、前回の公表値(5~7月の移動平均)から0.2%上昇して3か月連続で悪化した。
 

(2)経済政策等

(ア)9月8日、連邦議会上院は、投資連携プログラム(PPI)を創設する暫定措置令を承認した。

(イ)9月13日、伯大統領府は、投資連携プログラム(PPI)審議会の初会合後、コンセッションの対象となる高速道路、鉄道、空港、港湾、石油・天然ガス、電力及び基礎衛生に関する34事業で構成されるインフラプロジェクトを「成長プロジェクト」と称して公表した。

(ウ)9月20日、テメル大統領は、ブルームバーグ社のインタビューに応じ、歳出に上限を設ける憲法改正案は年末までに連邦議会で承認されるとの見通しを示すとともに、社会保障制度改革及び労働法制改革に関する法案も連邦議会に提出する意向であると表明した。
 

(3)中銀の金融政策等

(ア)9月は政策金利(Selic)を決定する中銀の通貨政策委員会(Copom)は開催されていない。次回会合は、10月18・19日に開催予定。

(イ)9月27日、伯中銀は、インフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し、2016年の経済成長率見通しを▲3.3%(前回7月報告書から据え置き)、2017年の経済成長見通しを1.3%とした。また、2016年のインフレ率見通しを7.3%、2017年のインフレ率見通しを4.4%とした。
 

(4)為替市場

(ア)9月のドル・レアル為替相場は、1ドル=3.2~3.3レアル台の比較的狭いレンジで推移した。

(イ)月の前半は、米国の早期利上げ観測の後退等を受けて、一時1ドル=3.1レアル台までレアル高が進行する場面もあったものの、その後は米国の金利上昇等を受けて、1ドル=3.3レアル台までレアルは下落した。

(ウ)月の後半は、テメル大統領が財政再建に積極的な姿勢を示していること等が好感され、レアルは堅調に推移した。月末は1ドル=3.2624レアルで取引を終えた(前月比+1.1%のドル高・レアル安)。
 

(5)株式市場

(ア)9月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は、月の前半に米国の早期利上げ観測をめぐって大きく上下する展開となった一方、月の後半は米国の利上げ見送りや財政再建策の進展期待等から安定的に推移する値動きとなった。

(イ)月の前半は、予想比で弱い米国の雇用統計を受けて早期利上げ観測が後退し、6日に株価は60,000ポイント台を回復した。その後、ボストン連銀総裁のタカ派発言や原油価格の下落等を受けて、13日には株価は56,000ポイント台まで下落した。

(ウ)月の後半は、テメル大統領が財政再建に全力を尽くすとの発言が好感されたことに加え、米国が利上げを見送ったことから、株価は堅調に推移した。月末の株価は58,367ポイントとなり、前月比+0.8%の小幅な上昇となった。