最近の経済情勢 2015年10月号

2015/10/16

(1)経済情勢等(9月発表の経済指標)

(ア)9月23日,中銀はインフレ報告書(四半期に一度公表)を発表し,本年の経済成長率見通しをマイナス2.7%(前回6月の報告書から1.6%下方修正)とし,本年のインフレ率見通しは9.5%,明年は同5.3%,2017年第3四半期は4.0%とした。
(イ)中銀が週次で発表しているエコノミスト等への調査に基づく経済成長予測に関し,9月25日時点では,本年の経済成長はマイナス2.80%で11週連続で下方修正,明年の経済成長はマイナス1.00%で8週連続で下方修正となった。一方で,本年のインフレ率見通しは9.46%,明年のインフレ率見通しは5.87%とされた。
(ウ)8月の拡大消費者物価指数(IPCA)は単月で0.22%となり,前月比マイナス0.40%の大幅な下落となった。本年当初からの累計で7.06%,12か月累計で9.53%の上昇となり,本年当初からの累計でも政府のインフレ目標の上限である6.5%を上回っているものの,伸びは鈍化している。
(エ)7月の鉱工業生産指数は,前年同月比マイナス8.9%で17か月連続のマイナス,前月比でもマイナス1.5%となった。また,8月の輸出額は154.8億ドル(前年同月比マイナス24.3%,前月比マイナス16.4%),輸入額は128.0億ドル(前年同月比マイナス33.7%,前月比マイナス20.8%)で,差し引き26.9億ドルとなり7か月連続で貿易黒字を記録した。
(オ)7月の小売売上高は,前年同月比マイナス3.5%となり,前月比でもマイナス1.0%で6か月連続のマイナスを記録。
(カ)国内主要6都市における8月の失業率は前月から0.1%上昇して7.6%となり,8か月連続で悪化。

(2)経済政策等

(ア)9月9日,大手格付会社であるS&P社が外貨建て国債の格付けを1段階引下げ,「投機的等級」とした。(当館注:なお,同社は長期債務の大半を占める自国通貨建て国債については,引き続き「投資適格級」を維持している。)
(イ)9月14日,伯財務省及び企画予算省は,2016年度の基礎的財政収支の黒字目標を達成するため,総額663億レアルの歳出削減及び歳入増加策を発表した。

(3)中銀の金融政策等

(ア)9月2日,中銀の通貨政策委員会(Copom)は,これまで7回連続して引上げられてきた政策金利(Selic)を14.25%に据え置く旨全会一致で決定した。
(イ)9月23日に中銀が発表したインフレ報告書において,Copomは,現在の政策金利を十分な長期間に渡り維持していくことが2016年末にインフレ目標を収束させるために必要であり,そのため,格下げによりリスクバランスは悪化しているが,2016年末のインフレ率を4.5%に収束させるシナリオを維持するとした。
(ウ)9月24日,トンビーニ中銀総裁は記者会見において,「為替スワップ取引を含め,為替市場の安定のため必要な手段は十分にあり,今は外貨準備に手を付けないが,必要ならあり得る」と発言し,レアル安の阻止に向けて外貨準備を活用する可能性を排除しない姿勢を表明した。

(4)為替市場

(ア)9月のドル・レアル為替相場は,景気後退の長期化,大手格付会社による格下げ,財政調整をめぐる政局の不透明感等を背景にリスクセンチメントの悪化が継続し,通貨レアルの導入後最安値を記録する大幅なレアル安・ドル高が進行した。
(イ)上旬は,財政状況への懸念に加えて世界的な株安を背景とするリスクセンチメントの悪化等により大幅なレアル安が続き,4日には1ドル=3.8レアル台に入った。その後,9日にS&P社による格下げにより一時的にレアル安が進行したものの,中銀の為替介入により1ドル=3.8レアル台で推移した。
(ウ)中旬に入り,米国のFOMC会合を控えて1ドル=3.8レアル台で方向感なく推移したものの,ルセーフ大統領への弾劾要求等の政局の混乱を嫌気し,18日には1ドル=3.9レアル台に突入した。
(エ)下旬に入り,景気後退の深刻化に加えて財政再建策の実現性に懐疑的な見方が広がり,2002年10月以来の1ドル=4レアル台に突入した。中銀は本年3月末に終了していた新規の通貨スワップ取引を再び実施する等の大規模な為替介入を行ったものの,大幅なレアル安は止まらず,24日には一時1ドル=4.2レアル台の過去最安値を記録した。同日,トンビーニ中銀総裁が外貨準備を使用した為替介入の可能性に言及したことを受け,相場は反転し1ドル=3.9レアル台まで戻った。その後は中銀による介入への警戒感から1ドル=4レアルを挟んだ展開が続き,月末は1ドル=3.9475レアルで取引を終えた(前月末比9.1%のレアル安・ドル高)。
 

(5)株式市場

(ア)9月のブラジルの株式相場(Ibovespa指数)は,月の半ばにかけて上昇したものの,その後は一転して大きく下落する値動きとなった。
(イ)月の前半は,46,000ポイント台で推移した後,14日に政府が発表した財政再建策を好感して株価は上昇した。その後,16日は上海株式市場の急騰を受けて株価はさらに上昇した。
(ウ)月の後半は,急速なレアル安の進行が嫌気されるとともに,上海株式市場の急落等からグローバルに株価が全面安の展開となり,28日まで8営業日連続で下落し,43,000ポイント台まで下落した。その後,月末にかけて国営石油企業のペトロブラスがガソリン等の値上げを決定したことを好感して株価は上昇し,月末の株価は45,059ポイントとなり,前月末比3.5%の下落となった。